尤も、その成立には黒い噂が多いのだが。
実際問題、帝国に有って両者は門閥貴族であるかのように振舞っていた。
例えば四菱財閥は、前身組織、海淵隊(かいえんたい)からして怪しいという情報屋、新聞屋(所謂「ブン屋」)供が居たのだが、彼等は自殺したり失踪したりして消えていった。
有体に言えば、明治の御一新の成立過程自身が黒かったと言えるのかも知れなかった。
線家は、その「門閥貴族」に対抗すべく商売に手を広げていたのだ。
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名月の夜である。
春仁の父、秋仁は「ソロモンは何処の方角だろうか」と、空を見上げていた。
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澄子「こちらにお団子を用意いたしました。」
秋仁「そうか、有難う。君も座りなさい。」
澄子「恐縮です。」
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澄子「奥様は素敵な方でした。」
秋仁「…そうだな。」
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秋仁「おまえらも食えよ。母さんの供養だ。」
月仁「はい。父上。」
星仁「…はい。」
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月仁「むぐ。…わぁ、おいしい。(⌒∇⌒)」
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星仁「…ところで父上、兄上からの催促ですが。」
秋仁「星、月、おまえらどっちか、助けてやれんかのぅ?」
星仁「私には支店業務があると命じたのは父上ですが…」
月仁「私がまいりましょう。父上。」
星仁「月、お前は学生の本分を全うする義務がありますよ。」
星仁「ですから、父上。わたくしが参ります。」
秋仁「ほうか…。実は工作はすでに澄子さんに頼んであるんじゃ。」
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星仁「食えないな。」
秋仁「団子くらい、食えや。」
星仁「父上の事ですよ、ハハ。」
(ガタッ)
秋仁「生意気に育ったのぅ、春譲りか。わしの教育が悪いんかのぉ。」
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澄子「旦那様、喧嘩はおよし下さいませ。今日は奥様の命日ですので。」
秋仁「お、おぅ、すまんすまん。」
星仁「澄子さん、すみませんでした。私の不徳の致す処。」
秋仁「星が、偉そう気に」
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澄子「…皆様、御茶ですよ。」
三人「ありがとうございます。」
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秋仁「で、二人に聞こう。ソロモン戦線はどうなる思うや?」
星仁「良くないですね。まず、人。本営の人事が悪い。馬鹿元派閥で固めてます。」
秋仁「…(クソ)閣下か。」
星仁「次に資源、こちらは私の支店からわずかに支援していますが。」
秋仁「持たんのぉ…。ハシタじゃけぇのォ。」
星仁「はい。此れだと、十月には元の木阿弥です。」
秋仁「陸門閣下が派閥争いに負けたのはどうしてだと思うや?」
星仁「私では判りかねます。噂の検証もして折りませんので。」
月仁「噂なら、なんぼでもあるもんねぇ。」
星仁「…おまえの大学校でも、噂が立っているんだね?」
月仁「まあ、…ソロリティいう社交界があるようなクソ大じゃけぇ。」
秋仁「そのクソ大を選んだのは、月、おまえじゃろ、誰が支援したおもうとるんなら。」
月仁「えへ。」
秋仁「まさにこの時、諜報のためじゃ。星、月、わかっとるな?」
二人「はいっ、わかっとります。」
秋仁「ソロモンの補給線が絶たれたら、ワシら大日本帝国は終わる。」
二人「…。そのとうりです、父上。」
秋仁「人類大戦の時の二の轍は、踏むのを許しちゃいかんのじゃ。」
二人「…。」
秋仁「月、お前は澄子さんと噂の検証をたのむ。星は急ですまんが、陸軍大佐の肩書を用意しておいた。すぐに自家用航空機で向かってくれ。」
月仁「合点承知。」
星仁「…。判りました。支店はお頼み申します。」
秋仁「ワカっとるわいや。…そういえば、お前らももう成人したんじゃけ、お酒でも飲もうや。」
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秋仁「澄子さん、熱燗二合たのむ。」
澄子「千ノ福(せんのふく)でよろしいですか。」
秋仁「お、ええのぅ。頼みます。」
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星仁「なんでこんな流れに…。」
月仁「まあまあ、兄貴、あきらめろや。(乾杯)」
星仁「だまれ不良学生。(乾杯)」
月仁「あは、なんせ僕ぁ、名家の三男じゃけぇねぇ。」
星仁「こんなァ、言うようになったのぅ。(ちびりちびり)」
月仁「まあのぉ、『こんぱ』じゃの『倶楽部』じゃのあるけぇねぇ。(ぐびぐび)」
星仁「ふん。こっちは従業員と顧客の板挟みじゃわい。うーい。」
月仁「ありゃ、もう『うーい』かいな。明日から陸さんになるんじゃけぇ。大丈夫かいね。兄貴」
星仁「うるさいわ。お前にいわれんでも。ヒック、わかっとるわい。」
秋仁「お前ら、仲がええけぇ、わしも嬉しいデ。」
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わははは。
あははは。
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