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長門「大淀め、軽巡のくせに意外と重いな。痩せた方がよい」
私はのん気なことを小声でつぶやいた。
私は、ずるずると荷物を引っ張る作業員のように廊下を渡っていく。
最近は殆ど毎日の要に大淀を連れていくので慣れてしまった。あまり慣れたくは無かったんだけど…
明石「大淀さんは最新鋭軽巡ですから。」
明石は漸く私と会話をしてくれた。
大淀のやり方は、正しいんだけどキツイんだよ。
私のやり方でなければ、新鎮守府は廻せないことは判っているってぇの。
…おっといかん、死んだ妹に叱られるな。
※※
執務室という名前の小屋の扉を開けると、私の吹雪ちゃんが、笑顔で挨拶を
…じゃなかった、駆逐艦吹雪が敬礼をしていた。
吹雪め。相変わらず可愛い。
※※
0800 執務室
(じょぼぼぼ。)
吹雪ちゃん、じゃなかった、吹雪が私と大淀、明石のために入れてくれた紅茶を頂いている、入れ物は欠けた茶碗なんだけどね。
悪くない。
一息付くと、彼女が再度敬礼してくる。
何だろうか。
可愛い…じゃなかった。何か儀があるのだろうか。
私は答礼する。
吹雪「長門秘書艦代行、吹雪、意見具申します。」
長門「不許可だ。今は大淀と明石の三人で話をしている。」
吹雪「はっ。失礼しました。」
消沈気味。
御免なさいね。又、後でね。
※※
吹雪が扉を閉める、0900 には進駐軍殿が来る手筈だ。
今の事を手短にせねば公務に支障が出る。
長門「明石さん、提督への投薬の効果は出ていますか。」
明石「経過観察の結果は望ましく有りませんでした。」
長門「何が精神障害回復への隘路と成って居ますかね。」
明石「敗戦による罪の意識かと」
長門「すみません、何の事か良く判りません。」
明石「あ、御免なさい。認知の問題なのですが、提督は敗戦したことを自分のせいで、かつ、自分の罪だと認知しています。この事が正常な情動や精神活動を妨げているのではと推測しました。敗戦の日から現在にいたるまで。」
長門「判り易い説明を有難う。でも、どうすれば対策できるのでしょうか。」
明石「そうですね…。まずは、私達が敗戦後に提督の愛によって再生された船であることを、先ずは認知して頂く事が必要です。」
大淀「、、、提督には目の前に居る、私達、艦娘が見えていないんです。」
明石「見えては居ると思います。認知が出来ていないんです。」
大淀「言葉遊びはいいですよ。」
明石「いいえ、言葉遊びじゃありませんっ。科学的な見解です。」
大淀「言葉遊びじゃないですか。」
明石「科学は言葉遊びじゃないです。大淀さんこそ言葉遊びを止めてくださいっ。」
大淀「何だとっ!貴様っ」
明石「何ですか!」
長門「二人とも止めろ!小休止だ。五分休憩を命ずるッ。」
長門「大淀、羊羹食え。」
大淀「要りませんっ…って。あっ…」
長門はスポっと大淀と明石の口に羊羹をぶち込んだ。
大淀「むぐ」
大淀「(射撃兵装を使いやがったな。)」
※※※
長門「…話が横道に反れました。」
明石「私達は敗戦後に提督の愛によって再生されたフネです。」
吹雪「お手元の明石さんの資料です。ここの図が愛についての項目です。」
長門「提督の愛…、愛とは何なのですかね…。あ、吹雪ちゃん御代わり頂けます?」
吹雪「長門代行、その前に発言許可を戴けますでしょうか。」
長門「許可します。」
吹雪「はっ。明石工作艦のいう「愛」については本艦も、確かに感じておりました。暖かく、そして優しい情動に包まれている。愛に相当すると思います。」
長門「そうですね。」
長門はグラフが苦手である。
しかし、吹雪の言葉で「情動」情けの動きと云うのだが、それについては雰囲気で判った。
暖かく、そして優しい情動…
愛…
提督の愛。
敗戦まで戦った提督。
諦めなかった提督。
あの強かった彼が、どうして壊れなきゃいけなかったんだろう。
長門「…有難う御座いました。…駆逐艦吹雪、秘書艦補佐は解除。任務に戻れ。」
吹雪「はい、駆逐艦吹雪、秘書官補佐を解除し、任務に戻ります。」
吹雪「各艦に朝礼の続きを行うように致しますか?」
長門「その前に涙の後をお互いに拭きましょう…。海軍軍人として提督の前に立てません。恥ずかしいですからね。」
吹雪「了解です…。長門さん。」
お茶碗はすでに配膳されていたので吹雪ちゃんは涙を拭いて任務に戻った。
私は引き続き業務に戻る。
余り時間が無い。
行動指示書を手短に作成しなければならない。
※※
0845 指示書掲示をもって朝礼の代わりとする。
明石と大井を工作艦小隊として特務を命ず。
吹雪は進駐軍殿のお迎えを準備
その他、各艦は休めを継続
0900 わたしもつかれました。
おおよどさん、あなたもやすんでください。めのしたにくまができてますよ。かわいいのにもったいないですよ。