私は大淀、帝国海軍の誇る艦隊指揮艦である。
私は長門が嫌いだ。当新鎮守府の指揮系統をすぐに乱すからだ。
今日も駆逐隊と提督の懲罰は明日で明けさせると長門が命令した。
まあ良い、本当の指揮を見せる機会はもう二度と来ないのだから。
それよりも長門ができない事を私がしてやる。あいつをつけあがらせない為に。
※※
吹雪「長門秘書艦代理、おはようございます。」
長門「吹雪さん。おはようございます。今日もよろしくお願いします。」
長門「大淀さん、おはようございます。」
大淀「、、、。」
明石「長門さん、おはようございます。
長門「はいおはようございます。これで全員ですね。」
最近は提督が治療中なので、敬礼がおざなりになっている。
このことも大淀の癪にさわるのだった。
正式な敬礼をしていたのは吹雪ちゃんと私だけじゃないか、これで新鎮守府といえるのか。
大淀はそういう苛立ちと若干の哀愁を想うのだ。
提督の愛に応えられないなら、私たちがここにいる意味はなんだろうかと。
長門「本日の議題は、当新鎮守府の将来予定についてです。」
大淀「帝国海軍から復員省に移管されることはすでに決定済みです。皆さんこちらを。」
吹雪「すごいです大淀さんの資料。素敵。」
大淀「素敵かどうかは関係ありません。それより早く読んでくださいね。」
吹雪「あっはい。すみません。」
長門は知っている。戦前の大淀の頑張りを。
提督と一緒に支えあう姿に嫉妬心を覚えたこともあったからだ。
あの作戦指揮は、わたしにはできなかった。もし、わたしにその能力があれば、あの戦いに負けることはなかった。
だから大淀のことをいつも見つめそして、大淀が辛いときは、自分のことのように辛くなるのだ。
長門「いや、これは素敵とよんでいいと思いますよ。私には無理ですから。」
大淀「、、、どうも。」
長門「さて、困りましたね。最大の問題がここにあります。2ページ目」
大淀「っ」
明石「私の担当でもあるので、私から説明させていただきますがよろしいでしょうか。」
長門「いえ、大淀さんお願いします。」
大淀「大本営は解体されます。人事権は深海棲艦にゆだねられました。」
長門「大淀さん、提督に辞令が下りると思いますか。」
大淀「申し訳ありませんが、私には判りません。私に判るのは推定工数だけです。復員にむけての」
大淀が驚いた事に、長門は直球で最大の問題点を言い当てた。
私の、いや、私たちの提督と、もしかしたら別れが来るのではないかという問題点を。
思わず背筋を伸ばし、眼鏡の焦点を合わせなおして長門を見つめた。
長門は哀し気に、それでも優し気に会釈気味に応えた。
長門「明石さんは。」
明石「私は辞令が降りる前提で行動計画を考えるべきだと思います。」
大淀「っ」
吹雪「っ」
吹雪と大淀は見つめあう。
やっぱり。
でも、
そんなのひどくないのか。
と。
大淀と吹雪が同時に発言許可を求めた。
長門「大淀さんお願いします。」
大淀「明石さん。では具体的にその行動計画を示してくださいませんか。」
吹雪は顔を伏せたまま猫背気味だ。
偉そうにしても、自分はただの駆逐艦だと思い知らされたのだった。
神通さんごめんなさい。と小さくつぶやいていた。
明石「想定される期日をマイルストーンとして、それまでに提督の治療をすることです。」
大淀「治療計画。」
明石「提督の精神健全性を示すことです。健常者と変わらないということを。」
大淀「意味が分からない。もっとわかりすく。」
長門「大淀さん、すみません。まだ明石さんがお話していますので。」
大淀「、、、申し訳ありません。代行。」
長門「さんづけでいきましょう。戦前の提督もそうおっしゃっていました。」
大淀「では長門さん、私気分が悪くて、退出許可をお願いします。」
吹雪「吹雪ですが、わたしもおねがいします。」
長門「お二人には申し訳ありませんが、休憩の許可しか出せません。」
長門「お茶にしましょう。たまには私が入れますよ。」
※※
処は変わって、内閣総理大臣室である。
総理「陛下に申し訳ありません。大和さん。私を殺してください。」
大和「いけません。陛下はそんなこと、望んでいらっしゃいませんよ。」
総理「どうすればよかったんですかね、大和さん。」
大和「申し訳ありません、私の戦闘力が役に立ちませんでしたので。」
総理「だめだ。大和さん、大和さんがそんなこと、、、。」
二人は肩をよせて泣いた。
※※
明石「以上をまとめますと。責任能力の判定試験、おそらくそれに合格すれば辞令は我々の手で反対できます。」
長門「ありがとうございました。
長門「長くつらい日々だったけど。明石さんのお陰で希望が持てるようになりました。」
大淀「明石さん、、、。」
吹雪「頑張りましょうねっ。」
長門「ああ、そうだな。」
吹雪「ふふふっ、長門さんが久しぶりに威張った。」
全員「あははは。そうだそうだ。」
※※
今日はどうかしている。
私が長門と笑いあえるなんて。
、、、いや、戦前はいつも笑いあっていたな。
、、、それにしても長門の入れた紅茶、旨かったなぁ。
※※
吹雪は転属していった友達、睦月と夕立に手紙を書いていた。
「今日は希望が持てました。私たちも頑張りましょうね。やまない雨はないということを抱いて。」