じきに、うとうとが始まる。
何時か知らないが、ついに倒れ
そして、夢をみる。
「おい、お前ら、俺は海軍さんに行く事にしたけぇ。」
「はぁ、何いよるんなら。」
「家はだれが継ぐんなら。」
春「うるさい…。お前が本当の長男だろうが。」
春「わしは、橋の下で貰われてきた子供じゃけぇ。」
弟「前々から思うとったが、ついにイカレテしもうたんか。」
弟「兄ちゃん、嘘つけや。気が狂うたんか。」
春「畳に座れや、今から説明するけぇ。聞け。」
※※※
「橋の下、いうのは、嘘じゃが」
「わしは、妾の子じゃけ、家の相続はできんのじゃ。」
「…父上が決めた跡取りは、貴方だ。」
「知らん、親父とは昨日話を付けてきた。」
「家族会議で決める約束だった筈。」
※※※
「紐、引けや」
「はよう、引け」
※※※
それまで夕闇の勉強部屋を照らしていた松下製の電球は消え、子供部屋は真っ暗と化した。
その時である、燐光が灯ったのは。
弟達「な、なんじゃそりゃあああああああああああ」
※※※
春「みろ、これが俺の体だ。」
春「…父上の愛妾は、妖精族といわれる異人だったらしい。」
春「俺は、時々、化け物のように強くなる時があっただろう。」
弟「合気と柔道で、よく私に勝ってましたよね。」
春「それだけじゃ、ないんだ。」
春「遠目が効いたり、夜目が効いたりするんだよ。」
春「色も白い、燐光も出ちまう時がある。」
弟達「…妖精族。」
春「異人との混血児が頭では、色々と家が困るんだ。」
弟「そんなもの、どうとでもごまかせるはずじゃ。」
妹「ほうよ。家からでちゃあ、いけんのんよ。」
弟「うんうん」
弟「御国のためなら、私が海軍でも陸軍でも志願するつもりでしたが」
春「おまえ、まだはやかろうが。」
弟「しょうがないですよ。子供のころから家をでろといわれてたんです。」
妹「みんな、広島弁つこうちゃあ、とうさんに怒られるんよ。」
春「おまえがつかっとるじゃろうがwww」
※※※
はははは
※※※
ここで夢は途絶し、場面が切り替わる
士官学校卒業式もおわり、配属後、初陣前の、祝い酒である。
※※※
同期の桜「よーう、春坊ー、元気かー。」
春仁「春坊はよせ、大淀が見ている」
同期の桜「いよいよ、初陣ときたーか。」
春仁「そうだな。」
同期の桜「純米大吟醸、もーってきたーぜぇ、ぶるうわぁ」
春仁「お、そうか。」
同期の桜「気が利くだろ。大淀、しっかりたのむぞぉおお、ぶるうわぁあ」
春仁「なんだよ、その、『ぶるうわぁ』ってのは」
大淀「私、おさかな、用意してきますねwww」
春仁「おう。たのまぁ」
※※※
第十一駆逐隊、作戦行動に入る。単縦陣、機関全速
吹雪、初雪、深雪、白雪。行けっ。
吹雪「吹雪了解、発艦する。各員、単縦陣用意」
初雪「初雪了解、単縦陣用意…」
深雪「深雪、いくよ。単縦陣用意」
白雪「白雪、参ります。単縦陣用意」
吹雪「たんじゅーうじーん、よーし」
吹雪「機関ぜんそーく」
※※※
こぶしに力が入った夜。
海風が、すこし、そよいでいた。
※※※
おまえら、無事だったか。
よし。どりこの飲めよ。
なに、羊羹もか。
よくばりゆきめ。
わはははは。