クソマゾ提督の逆襲   作:uncle_kappa

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我ガ大日本帝國ハ皇軍足ル陸軍ト海軍トヲ擁セリ。
然レトモ陸海軍間ノ關係惡シク。

先刻大戰ニ破レ足リ、ソノ理由足ルハ是、如何セラルルヤ?必定ナリヤト論ズル者、少ナカラズ在ル物也

(現代語訳)

我が帝国には陸海軍があったが、両軍の仲が悪く、そのため先の大戦に敗北したのではないのかと論ずる人間が少なからずいる。

※※※

帝国海軍は人類大戦の後半になって、ようよう陸海合同本部を設置した。
ある人によれば遅きに失した訳ではあるが、何もしなかった人に言われたくないだろう。

そして、現在、陸海共同であり、仲は普通に良かった。
人類共通の敵を前に、仲たがいする暇はない。

※※※



陸軍

※※※

 

春仁は帝国陸軍船舶輸送司令部に出向となった。

階級は、なんと、特務少尉である。士官学校卒業資格取り消しで。

 

(特務少尉とは、名ばかりの少尉である。)

 

しかし、当の本人は何も考えていない。

いかなる時、場所でも事に当たっては任務に忠実たれとの教育の賜物であった。

 

※※※

 

陸門はん「春仁閣下」

春仁「閣下はやめてください。陸門殿。」

 

陸門はん「ああ、そうでしたな。では線ノ春仁少尉。」

春仁「はっ!」

 

陸門はん「陸門少佐より命ずる、線ノ春仁少尉は本日1000迄場内見学。船舶輸送司令部配属は同時刻をもって行う。」

 

春仁「はっ! 海軍、第零号 線ノ春仁(特務)少尉。本日1000迄場内見学を致しますっ!」

 

陸門はん「では、あきつ丸に案内させましょう。」

 

あきつ丸「私があきつ丸である。まずは工廠からだ、ついてこい。」

春仁「よろしくお願いしますっ。線ノ春仁特務少尉と申します。」

 

※※※

 

あきつ丸「設備は海軍さんと共同であり、先の人類大戦の反省を踏まえている。」

 

春仁「工業規格も製品も統一されていますね。」

あきつ丸「…」

 

あきつ丸「ここが、どっく、船廠だな。」

春仁「メモメモ」

 

あきつ丸「…特務少尉、記録は禁止されている。」

 

春仁「あっ、これは失礼しましたッ!」

  「あきつ丸殿、こちらを査収願いますっ!」

 

あきつ丸「よし(パラパラ…)56枚目と57枚目を頂く。(ベリベリ)」

 

※※※

 

あきつ丸「…最後が貴様の生活の場たる士官寮だ。荷物を整理して、0945に第一司令部に集合せよ。」

 

春仁「はっ!0945に第一司令部に集合しますっ!」

 

あきつ丸答礼。

 

春仁「(厳しそうだな…ニヤリ)」

 

※※※

 

(士官寮)

 

どかっ。

 

「ふう…、さて、身の回り整理を開始して、と。」

 

(おっ、そういえば今日から新しい服だったな。これは、、、凄いな、緑色で日本刀か…。帝国海軍からしたら少し重いぞ。)

 

(テキパキ。)

服を脱ぐ

陸軍装備に着かえる。

服たたむ。

 

(テキパキ。)

帯剣する。

立ち鏡で身嗜みを確認。

 

前より良し、後ろより良し。

時間だ。

 

※※※

 

たったったったっ。

 

(少し遠いな。まあ、いいか。)

 

たったったったった。

 

渡り廊下を超え、官舎に入り、定刻前に、船舶輸送司令部に到達する。

 

其の時である。

警報が発令したのは。

 

※※※

 

馴染みの高周波の音波が基地に響き渡る。

 

「空襲警報発令、空襲警報発令」

 

※※※

 

 

「敵機は深海棲艦戦闘爆撃隊と認む」

 

「さつき部隊、出撃用意っ」

 

※※※

 

「敵の情報、戦闘機64、爆撃機6」

 

「さつき部隊、出撃ぃつ!」

 

※※※

 

飛行第八九連隊「さつき」部隊は 急速上昇に秀でた鐘馗を主力とする。所謂「重戦闘機」を運用している。陸軍がノモンハンで学んだ成果であった。

 

急速発進と上昇迎撃行動は確かに早かった。

海外では「ズーム」とか「マニューバ」とか呼ばれる機動がこれに当たる。

 

※※※

 

警報音、戦闘行動中の班員。

 

発動機の音と飛行機雲だらけになる空を仰ぐ少尉。

やがて、さつき各機の機関砲が反重力戦の一撃をお見舞いする破裂音が木霊した。

 

※※※

 

大佐「春仁特務少尉。予定変更だ。手伝え。」

春仁「特務少尉了解。指示願います。」

 

大佐「我と共に第二さつき部隊として防空戦56号機により出撃せよ。」

 

春仁「…」

 

大佐「復唱はどうしたっ。」

 

春仁「はっ、防空戦56号機により出撃します。」

 

大佐「かかれっ、56号機はあそこだっ!」

 

※※※

 

少尉は、慎重に操縦席に入る。フムナの表記がない。

注意しながら入っていると怒鳴られた。

 

(計器類、操作類は海軍と共通だ、いけるっ!)

 

整備兵「56号機コンタークト」

 

整備兵が発動機を起動。

 

発進手順開始、昇降翼確認よし、左右翼確認よし。可変式空力抵抗装置確認よし。照星確認…つかない。」

 

大佐「後まわしだ。時間がないっ。」

 

整備兵に合図を送る大佐

 

大佐「第二さつき部隊 各機、俺についてこい」

 

※※※

 

整備兵「次、56号機発進!」

 

第二さつき部隊、急速上昇。

 

※※※

 

距離を縮める中、自機の武装、機関砲を確認する。

 

機関砲1よし。

同2よし。

安全装置解除

 

大佐は?

 

※※※

 

大佐「各機、反重力戦、開始。」

 

※※※

 

重力戦の真逆が反重力戦である。

急速上昇中に敵機のどてっばらに機関砲をお見舞いするのだ。

 

※※※

 

春仁の機関砲がどてっぱらに炸裂した。

鐘馗の急上昇により、高度は爆撃機より遥か上方に占位している。

 

少尉はとっさに振り返る。

しかし、爆撃機は無事だった。

 

大佐「少尉。左ペラ基部を狙え。俺と同時に重力戦にかかるぞ。」

少尉「56号機了解、左ペラ基部を狙う、重力戦にかかります。」

大佐「鐘馗は慣性が独特である。見て合わせろ。」

 

失速機動(マニューバ)により、重力戦を仕掛ける。

先ほどの爆撃機が対象だった。

 

 

大佐「逃がすなよ。」

少尉「逃がしません。真っ二つにしてやる。」

 

 

割れた。

真っ二つに割れた。

 

 

大佐「更なる敵機、同軌道にて続けてこいっ!」

少尉「了解」

 

※※※

 

空襲警報解除

空襲警報解除

 

二次攻撃の危険はなし。

 

空襲警報解除

空襲警報解除

 

二次攻撃の危険はなし。

 

※※※

 

特務少尉春仁の陸軍勤務における初の戦果が、爆撃機(共同)撃墜2であった。

 

今頃、馬鹿元には報告が上がっているだろう。

 




ども、かっぱのおじさんです。
俄なので描写が甘いのです。
すまんのぅ。

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