インフィニット・ストラトス Dark Knight Story 作:DASH君
一夏side
入学式の日から1週間が経ったこの日、今日はクラス代表を賭けた春斗との決闘の日だ。
会場となるアリーナの観客席は満員御礼。聞く所、大半が俺目当てで来ているらしい。
鈴からは「当然の結果」、セシリアからは「世界第2位を撃破した技術が見たい」とか
まあ、そんな事はどうでも良い、問題はこれから始まる闘いだ。
この1週間、俺は訓練したり、訓練したり、訓練したり・・・・あれ?訓練しかやってないな。
春斗の方は専用機が来るらしく、来るまでの間は箒に頼み込んで訓練をしていたらしい。
鈴の奴が春斗を警戒しながら箒を気にしていたが、箒は何とも無い様子だった。
鈴がここまで春斗を警戒するのか理由はわからんが、どうも俺が居ない間に因縁があるらしい。
まあ、今は試合に集中したい所だが・・・・
「こうも待たされると退屈で仕方がないぜ。」
俺がアリーナでISを展開した状態で既に10分くらい過ぎている。
どうも春斗の専用機が到着していない様だった。
まあ、待つ間にどうやって春斗を倒すか考えておくか。
そうしている内に春斗がピットから飛び出してくる。
「ようやく来たか。」
「ふん、主役は遅れて登場するものだからね。」
「何言ってんだよ、観客の大半はお前なんて見てねえよ。」
「まあ、そうだとしても僕に注目するのも時間の問題だと思うがね。」
「好きに言ってろ、お前の戯言なんてどうでも良い。」
「あらそう、少し手加減してあげようかと思っていたけど、その必要は無いみたいだね。」
「あら偶然、俺も同じ事を考えていた所だったぜ。」
それと同時に試合開始のブザーが鳴る。その瞬間、春斗の奴がこっちに突っ込んで来た。
「喰らえ!!出来損ない!!」
おそらく、これから一気に俺を倒すつもりだろうが俺は動こうとしなかった。
何故なら・・・・
「フン!!」
「ぐあっ!?」
レヴェナントを使って1発で迎撃したからだ。
態勢を立て直した春斗だが、すぐに俺に対して批難する。
「お前!!いきなり何をするんだ!!」
「はぁ~・・・・お前バカだろ?」
「何を!!」
「お前に聞くが自分を殺しに来た奴にお茶でも用意するのか?」
「なっ!?」
「時間が勿体ない、さっさとかかって来い。」
そう言いながら俺は春斗のISを調べてみる。
名前は『白式』、該当は第3世代で今持っている装備は近接ブレード1本
よく見れば一次移行もしていない状態だった。
そんなので俺に勝つつもりだから呆れて仕方がない。
「まだ、一次移行もしてないじゃないか。待ってやるからさっさとフォーマットしやがれ。」
「うるさい!!出来損ないのお前なんか今のままで十分だ!!」
果敢に攻めてくる春斗、だが俺はレヴェナントを装備解除して仁王立ちで待ち構える。
そして今度は・・・・
「失せろ・・・・」
「ぐはっ!?」
顔面に蹴りをぶち込んで迎撃する。
「お前なんか足だけで十分だ。」
今日一番の屈辱的な挑発を春斗に言う、これで春斗はブチ切れるのは目に見えていた。
箒side
私は今、モニター越しで2人の闘いを見ている。
この場には千冬さんと山田先生、セシリアと鈴が居るが・・・・・
「一夏の奴、完全に遊んでいるわね。」
「最早時間の無駄ですわね。」
2人がこう言う様に実力の差は圧倒的だった。
何故なら春斗が攻めても、一夏が足だけで全て迎撃しているからだ。
その上、一夏は初期位置から1歩も動いていない。そして終いには・・・・
『
『貴様~~!!』
一夏が両腕を大きく広げて挑発をしている、これには春斗も怒り心頭と言った様子だった。
この時、何と言っていたかよくわからなかったがセシリアが通訳してくれて納得した。
私は鈴とセシリアに話しかけようとするが・・・・
「どう?
「酷いものだが、もう少し言いようがあるのではないか?」
「この言い方はまだ優しい方よ。」
「日本の言葉に“馬鹿と天才は紙一重”と言う言葉があるらしいのですが・・・・」
「そっ、あれが良い例よ。今まで散々ちふy・・・・いや、織斑先生に甘やかされて
育ったんだから厳しい現実にぶつかれば良いわよ。」
「それにしても鈴よ、お前は春斗に対して恨みでもあるのか?」
「そりゃね、あたしの大切な友達を蔑ろにした挙句・・・・」
「鈴、それは初耳なんだが詳しく・・・・」
「言った所で春斗は“証拠が無いから身に覚えが無い”とか言って逃げる筈よ。」
鈴の様子を見ると、瞳の奥底に怒りの炎が宿っているのがわかった。
私が知っている範囲では小さな悪事を一夏に濡れ衣を着せる行いだけだと思っていたのだが
春斗よ、本当にお前は一体何をしたのだ。私は気にしながら2人の行く末を見届ける。
一夏side
あ~あ、試合開始からもうすぐ30分。そろそろ飽きてきたな。
俺はノーダメージ、春斗はボロボロ、既に結果は見えている。
このまま一気に・・・・待てよ?もうすぐ“30分”と言う事は・・・・
考えた矢先、春斗のISが輝きだし、光が収まるとそこには純白の鎧があった。
「フン、機体に救われたみたいだな。」
「これは・・・・」
「おめでとう、これでフォーマット完了だ。」
「これで僕のISになったんだね!!これでアイツに勝てる!!」
「そうかな?さっきまで泣きそうな顔していた奴のセリフじゃないがな。」
「白式のスペックを見てわからないのか!!」
春斗がそう言うと俺は白式のスペックを再確認してみる。
すると、手に持っていたブレードは・・・・
「雪片弐型か・・・・と言う事は
「そう!!これがどう言う意味かお前にわかるかな?」
そう、雪片弐型は千冬姉が現役時代に使用していた暮桜の刀の後継型だ。
そして
「これでわかっただろう?僕は出来損ないのお前と違って神様に愛されているんだよ!!」
「・・・・・・・。」
「これで短いお前の時代が終わり、僕の時代がやってくるんだ!!」
そう言って、春斗が俺に突っ込んでくる。その加速は通常のそれと違い
「これで終わりだ~~~!!!!」
「言いたい事はそれだけか?はあ!!」
「ぐあっ!?」
突っ込んで来る春斗に対して、俺はタイミングを合わせてデビルブリンガーを解放する。
「オラ!!オラ!!オラ!!オラ!!オラ!!」
「ぐっ!?がっ!?あぐっ!?ぐおっ!?ごふっ!?」
そのままバスターを決めて両腕のデビルブリンガーでひたすら顔面に殴り続ける。
気の済むまで殴り続けると春斗はぐったりと俺に体を預ける。
そして俺は右腕で春斗の頭を掴んでこう言い放った。
「お前、神に愛されていると言ったな?だったら神に祈りな、お前にはそれだけだ!!」
その直後、会心の左アッパーで春斗の顔面にヒットして放り上げる。
そして、すかさず俺は右腕に力を集中して・・・・
「
そのまま会心の右ストレートで春斗をアリーナのフェンスに叩きつけながらぶちのめす。
これによって春斗は気絶、白式は無残にもスクラップ寸前までボロボロになった。
そしてこの瞬間、試合終了のブザーが鳴り響き。俺の勝利で闘いの幕は閉じた。
鈴side
試合の呆気ない幕切れだったが、会場は大盛り上がり。
事実上、世界第2位にあたる一夏の実力を目の前で見れていたからだと思う。
まあ、一夏の前では向かうところ敵なしと言った感じだ。
あたしは内心、春斗に対して“ざまみろ!!”と言って心がスッキリした。
春斗を抱えて戻って来る一夏はどこか複雑そうな表情をしていたのが気になったけど
まあ、それよりは今は勝利のお祝いしないと。
「一夏、お帰り。」
「ああ、ただいま。織斑先生、
「ああ、すまないがそうしてくれ。」
「ハイ、わかりました。」
そう言うと一夏は無残にもボコボコにやられた春斗を投げ捨てる様に担架に放り込んだ。
怪我とISの状態を考えると、春斗は当分の間は顔を見せる事は無いと思う。
そう思うと、少しの間だけ安心できるあたしが居た。
色々と考えていると一夏があたしに話しかけてきた。
「それで鈴、少しはスッキリしたか?」
「なっ、何が!?」
「お前、春斗に対して恨みがあったんだろ?」
「はぁ!?そっ、そんなことは・・・・」
「嘘つくなよ、お前の顔を見ればよくわかる。」
「ぐっ・・・・」
一夏と再会してから何でもこうも見破られるのよ。
でも逆に考えてみるとそれくらいあたしの事をよく見ているって事なのかな?
だとしたら嬉しいかも・・・・
「まあ、鈴が何故春斗の事を恨んでいるのかわからないけど、今でなくても
良いからいつか話してくれよ。」
「うっ、うん。わかったわよ。」
「まあ、これで春斗の奴が頭を冷やしてくれたら苦労は無いがな・・・・」
あたしの事を察してくれているのか猶予を与えてくれているみたいだった。
本音を言えば今すぐ喋りたい所だけど、場の雰囲気がそれを許さなかった。
春斗の悪事を言うよりも、このお祝いムードに浸りたい気持ちが大半を占めていたからだ。
何か話そうと思った矢先、この静寂を崩したヤツが居た。
「さあ、一夏さん!!早速祝賀会の会場に参りましょう!!」
「オイオイ、流石に早くないか?せめて明日とか・・・・」
「鷹月さんからの連絡で“既に準備は出来ている”そうですから。」
「仕事早いな・・・・」
「一夏さんがよく食べているストロベリーサンデーも用意されているみたいですわ。」
「マジか!?ならすぐに行こう!!」
「そんな物に釣られるとは・・・・」
「“そんな物”は無いだろ?食堂のストロベリーサンデーは絶品なんだから。」
そう、IS学園に来てから一夏は食堂のストロベリーサンデーが好物になったらしい。
一夏を食堂で見かける度、必ずと言っていいほどストロベリーサンデーを食べている。
まあ、IS学園の食堂デザートは全て絶品なんだから反論が無いんだけどね。
「では早速参りましょう。」
「セシリア、腕を組まれると歩き難いだが・・・・」
「女性のエスコートする方法を学んでほしいですわ。」
「ああ、それもそうだな。」
「フン!!」
「箒まで、なんで?」
「セシリアが良くて私はダメと言うのか?」
「そんな事はねえけど・・・・」
ムムム、先を越された。ならば残された場所は・・・・
「じゃあ、あたしはここ!!」
「どわっ!?鈴、いきなりおんぶは止めてくれ。」
「良いじゃん、腕が空いていないならここしかないでしょ!!」
「ハハハ、それもそうだが・・・・」
そう言って久しぶりの一夏の背中を感じる。
懐かしさと温もりがあたしの心に入り込んで少しずつ癒していくのを感じた。
このまま会場に向かうけど、あたしはその間はずっと温もりを感じ続けるのだった。
一夏side
「ふぅ~、パーティ楽しかったな。」
祝賀会は終始どんちゃん騒ぎで消灯時間ギリギリまで騒ぎまくった。
途中2年生の新聞部:黛 薫子先輩から取材を申し込まれて受けた訳だが
カッコつけ過ぎたらそこに居た女生徒一同が“濡れる”と叫んでパニックになった。
まあ、楽しめたから良かったけどな。
「さてと、すぐに部屋に戻って明日の予習をしないと・・・・あれ?」
目の前に1冊のノートが落ちている。
拾ってページをめくってみると1枚のディスクが入っていた。
ノートの裏の名前欄を見ると“更識 簪”の文字が入っていてクラスまで書いていた。
ノートの内容は授業内容を書き記しているだけだが問題はこのディスク、これはなんだ?
「怪しいな、部屋に戻って見てみるか・・・・」
急いで部屋に戻ってディスプレイを開き、ディスクの中身を確認してみる。
すると、そこには・・・・
「こいつは・・・・ISのシステムデータじゃないか。」
よく見ると、基本、推進、攻撃等に必要な多くのプログラムが含まれている。
機体名は『打鉄弐式』、量産機である『打鉄』の後継機にあたるのかもしれないな。
確認してみるとプログラムのミスが所々にあって放置しておくと危険であることもわかった。
企業がこれを出したなら製作者はモグリ、更識さん1人で制作していたなら大したものだ。
しかし、後者の場合ならそのまま返すべきだが修正しなければ危ない。
俺が手を加えても良いのだろうか?
「(カタカタ・・・・)」
答えは1つ、修正しなければ更識さん自身が危ない。それだけは確かだった。
束さんの元に居た頃にISに関して様々な技術を教わっているので修正する点は問題なかった。
「許せ、更識さんよ。」
そう言いながら俺はプログラムの修正を続けていく。
室内はプログラムを修正するキーボードの音が日の光を出す頃まで鳴り響いていた。
≪To be continued…≫