設定集
ウェイトリー・アルハズラット
この作品の主人公にして割かし諸々の諸悪の根源。前世は《副王の検閲済み》という名のアメリカ産まれアメリカ育ち。
医者として働きながらとある作家の友人たちとコズミックホラーの先駆けとなる作品を書き上げた。
コンセプトは「もし御大と近しい人が魔法が科学として扱われる世界にゴリゴリの神秘の存在を連れてきたら」
今世にて自分には現代魔法の才はないと知るや、使える魔法を作る方向にシフトする。
フレン・アルハズラット
金髪碧眼外国系未亡人美女。元々はアメリカで公認戦略級魔法師『黄昏』として活動。名前の由来は辺り1面を太陽の如き炎系魔法で焼却し静かにするから。
一世代は前の世代なので、現役魔法師でも知る人は疎ら。アラブへの出張のとき、当時のアラブ首長国連邦政府に所属する魔法師だったアブドゥル・アルハズラットと一目惚れで結婚。そのまま亡命し、日本でウェイトリーを産んだ後2年半で病により死去。享年32歳
アブドゥル・アルハズラット
ウェイトリーの亡き父。アラブ首長国連邦で魔法師として働いていたところフレンと結婚。後に魔法の研究の最中、彼曰く『この世の何よりも悍ましく、偉大なナニカの気配』に接触、発狂。そこで得た狂気と冒涜の叡智を『ネクロノミコン』に書き写し、北海道の路地裏で不可視の獣に食い殺された。
外神ズ
転生し、記憶を取り戻したウェイトリーに接触。彼より後世が生み出した外宇宙の存在の叡智を授けそのまま従属。
彼らは創作にしか存在しない架空のものだったはずだが何故かバリバリ存在している。
彼らは一体創作なのか、それとも現実に存在していて、ウェイトリーたちが言い当てたのか。そもそもなぜウェイトリーに忠誠を従うのか。
全ての真実を知るものはもはや……この世界の外で微睡む盲目白痴の魔王、ただ1柱である。
ナグとイェブ
本編では要素はないが、実は人間状態で権能を1部解放すると尻尾と角、触手で編まれた翼が生えてくるドラゴンロリメイド。けして作者の性癖ではない。作者の性癖ではない。
七草真由美
概ね原作通りだがウェイトリーと出くわしてしまいナグと
イェブを認識し発狂。けして作者は可愛い女の子が恐怖でゲロ吐くのが好きというわけではない。ないったらない。
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「今日は突然呼び出してしまって悪いね。──大黒特尉」
「いえ。問題ありません」
場所は霞ヶ浦基地。魔装大隊隊長の風間に案内をされた大黒竜也特尉とスーツを纏った中年の男の2人を残し、他の関係者一切を排除した応接間。ドアにはしっかりとロックがかけられており事の重大性を伝えてくる。
「さて、自己紹介がまだだったね。私は国防省所属の西田という」
「改めて、大黒竜也です。……本日はどのようなご用件で?」
急な招集と国防省の人間が竜也個人への用件。警戒と緊張感も顕に竜也は尋ねる。
「そうだね。早速本題へと移らせていただく。……君はサバトを知っているかい?」
「えぇ。全く未知の魔法を用い法を犯し、彼らの言う『真理』の探求を第1に掲げる世界規模の団体のことですね」
その通りだ。とこの場に似合わずやや柔らかな雰囲気の西田。しかしその瞳は冷たく、サバトに対する憎悪も感じる。
「そしてそのサバトを調査していたところ、こぞって奴らはあるものを求めていることが分かった」
鞄から引き出された膨大な資料から迷いなく一部分を取り出し、竜也に渡す。拝見します。と 断った後竜也は資料に目を通し、一際大きく目立った文字列を見つけた。
「……【ネクロノミコン】?」
「あぁ。奴らの言い方に合わせれば、禁忌にして無比の叡智が詰まった結晶だと」
忌々しそうに話す西田の表情は暗い。おそらくは存在そのものに半信半疑なのだろう。だが資料に示されているのはその実在を裏付けるものばかりだ。
「国防省総出で捜査をしてね。……18年前、当時アラブ首長国連邦政府所属の魔法師だったアブドゥル・アルハズラットという男が構築したとされる。……しかしそれに記載されているとされるのは眉唾物ばかり」
「……例えば?」
「曰く、神を降臨させる儀式。曰く、外宇宙の魔法。曰く、地球圏外の生物の使役方法」
馬鹿げてる。と言いながらも、それはどうやら事実らしい。だって今まさに世界中でその未知の魔法を扱うサバトがいるのだから。
「それで西田さん。あなたは俺に何を言いたいのです」
「……実は我々は、ネクロノミコンの在り処を見つけたのだ。その持ち主も」
次の資料を促され竜也が紙を捲った瞬間、瞠目した。そこには面識はないが印象深い面相があった。
金髪碧眼の、非常に整った異国人の顔立ち。証明写真に写るその瞳からは、知慮深さと老練さを感じられる。
あのブラコンがあれやこれやと自慢する兄弟。
「彼の名はウェイトリー・アルハズラット。……君の同僚の刈谷特尉の戸籍上の兄であり、君と同じ魔法大付属第一高校への入学が決まっている子だ」
どう涼に説明すればいいのだ。おまえの尊敬する兄は、世界へ影響を及ぼす可能性のある爆弾を抱えている。とでも言うのか。
「幸い、その子の周りで
「接触は図ったのですか?」
「あぁもちろん。そしてもう1つの問題がここにある。──彼は教会に住んでいてね。……保護者である神父たちにまずは接触しようと人員を送ったのだが」
新たな資料を取り出し、竜也に見せる。それは教会に関しての記録だったがあまりにも不可解だった。
「1、初めての接触結果は『忘却』。2、こちらも接触を図った職員が記憶を『忘却』。3、4、5、6と職員を送り続けたのだが、悉くが彼ら教会に関しての記憶を失ってるんだ。まるで初めから教会のことなんて知らないように」
認識阻害の魔法か、記憶操作か、よく分からないが確実に何か干渉されている。
「本当は強引にでも調査に踏み切りたいのだが……何故か
どうやら取り付く島もないようだ。しかしその目に曇りなない。
「そこでだ。君には同級生として、彼に接触をしてもらいたい。無論、それ相応の報酬も約束しよう」
もし彼が善良な人間で、素直にネクロノミコンを渡してくれるのならばそれで良し。だが何か悪用するようなどであれば。
「君個人の判断による……殺害も許可する」
「……!」
一国民への行動にしては非道かもしれない。冷酷に過ぎるかもしれない。だが西田には1億数千万の自国民、ひいては世界の人々を守る義務がある。
「国民を守るためならば私は鬼にでも何でもなろう。……くれぐれも他者には内密に。そしてこれは国防省から君への命令扱いだ」
よろしく頼むよ。とだけ言い残し、竜也を置いて部屋を後にする。
残された竜也は深々と溜息を漏らし、資料を見つめるのだった。