リオンとブレイブ   作:駿州山県

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1週間ぶりの更新~
今後この調子で更新します。
3日毎にならなくてごめんね。


22話

 

「騎士様、ありがとうございます」

 

不健康そうな顔色のミアがこちらを気遣ってそう言う。

話を聞くとミアの年は俺の1つした。現在14歳のようだ。

しっかり食べているのだろうかと思えるほど体は細く、成長期であったはずなのにそれほど身長も伸びていない。

 

「気にしなくていいよ。国を、民を守るのが騎士。

 これも仕事のうちさ」

 

騎士トレヴァーが言いそうなセリフで、俺が言うと全く似合わない。

隠れてブレイブがくすくす笑っているのでそれがよくわかる。けれど、そんな俺の似合わない騎士としての言葉にもミアは真面目に聞いてくれた。

 

「えと……騎士様方は怖い方が伺ってましたので……。

 騎士様は親しみやすそうでびっくりしてます」

 

俺が騎士団長になってからもう半年経っている。

その間に傲慢な態度をとり続けていた上級騎士は中級騎士へと、中級騎士は下級騎士へと降格させたのにも関わらずミアのような平民として過ごしている者にもこういう風に思われていると言うことは、今までの騎士がどれだけ酷かったかがわかる。

そしてそれが平民の間にどれだけ根付いているかと言うのを理解した。

 

「安心しろ。俺が騎士団長になってから、騎士団は変わった。

 今の騎士はみんな俺より優しいよ。むしろ俺が一番優しくないくらいかな」

 

「騎士団長さんだったんですか?!

 すいません、若い人だったのでつい一般の騎士様だとばっかり」

 

そう言えば、俺の紹介のため生徒が集められていた時にミアの姿はなかった。あの時は保健室で休んでいたのかもしれない。

騎士の恰好をしていて15歳となれば、知らなければ騎士団長と思われてなくても当然だ。

 

「ああ、気にしなくていいよ。

 これでも騎士団長っぽくないのはわかってるから。

 それと……俺のことはリオンでいいよ。呼びずらそうだしな」

 

笑顔で言うと、ミアはほっとしていた。

その後他愛のないことを少し話してから、保健室から出ようとすると。

 

「あの……リオン様。

 良かったら明日も保健室に来ていただけませんか?」

 

うるうるとした目でそのようなことを言われては無下に断ることなんてできない。

そして俺はミアに近づくのが目的だったので、むしろ誘われると言うことは良いことだ。

 

「わかった。巡回の合間に来ることにするよ。

 だから元気になるまでは大人しく保健室で寝てるんだぞ?」

 

図書館でミアが倒れた時に持っていた本を、手渡す。

するとミアはその本を胸に抱きしめた。

 

「わかりました!

 大人しく待ってます」

 

手を振って保健室を出た。

皇帝はミアと親しくなれと言ったが、仮に親しくなってもこれほど元気がないのにどうやってミアを留学させようとするのだろうか。

そんなことを考えながら、今日のところは自分の部屋へと帰った。

騎士として着させられている軽めの鎧を脱いで、ハンガーラックの様な物に掛ける。

するとここまで姿をずっと隠していたブレイブが姿を現した。

 

「騎士として振る舞ってる相棒の姿は面白かったな!

 これが後一か月も続くなんて楽しくて仕方ないぜ。

 それより……相棒、あのミアって女。

 新人類だぜ」

 

ブレイブの言う新人類と言う言葉を聞いて驚いた。

確か前に聞いた時はこう教えてくれた。

新人類とは魔素を体に取り込むことができる人間だと。今の世界は魔素が極端に少ないせいで、俺は新人類の血を継いでいるのに思う存分力が出せていなかったと。

 

「もしかしてミアが不健康なのはそれが理由なのか?

 しかし俺はあそこまで不健康じゃなかったぞ。

 前にブレイブも言ってただろ。力が出せないだけって」

 

「ミアのほうが血が濃いってだけだぜ。

 相棒は新人類の血が約50%。だけどミアはほぼ100%が新人類の血だ。

 もし相棒の血がもっと濃かったらミアみたいになってたと思うぜ」

 

ミアみたいに外出することもできないくらい体が弱いと言うのは正直ぞっとする。

それでも腐らずあれほど素直な人間に育ったミアは心から素晴らしい人間だと思えた。

そしてそんなミアを思って、自分に何かできないものかと思う。

 

「俺がブレイブを纏っている時のように、ミアに魔素を分け与えることはできないのか?」

 

「俺様を纏えるのは俺様と契約した奴だけだ。

 つまり相棒以外は纏えないんだぜ」

 

「じゃあブレイブと同じ魔装のコアを探して……」

 

「前にも言ったと思うが、俺様の仲間はもういないぜ。

 ミアは俺様を纏えないが、1つだけ方法がある。

 薬の様な形で口から摂取することだ」

 

「ほんとか!」

 

俺はブレイブの薬と言う申し出が嬉しくて、つい立ち上がってブレイブに迫ってしまった。

 

「相棒、落ち着けって!

 けど、俺様は魔装でしかないからな! 俺様が造る薬ってのも当然ちゃんとした薬じゃない。

 常用はできないし、いざってときに服用する分だけだからな!」

 

ミアに対して親愛の態度を向けたようになってしまったブレイブは急に恥ずかしくなったのか俺から顔を背けた。

背けたって言うより、目がぐるんと後ろに回っただけだけどな。

 

「ブレイブ、良いところあるよな。

 俺なんかよりよっぽどいい人間やってるぜ」

 

「やめろよ相棒!

 俺様はそういうの苦手なんだよ!」

 

照れてるブレイブを追い打ちしてやると、本格的に照れが収まらなくなったのか逃げていってしまった。

翌日、俺は巡回と称して学園をいろいろ歩き回った後に保健室に向かった。

もちろん目的はミアに会うためだ。

保健室のドアを手の甲でコンコンとノックをすると、ミアのはーいと言う声が聞こえた。

どうやら今日は元気らしい。

俺はドアを開けて中に入ると、俺の顔を見たミアの顔が途端に笑顔に変わる。

 

「わぁっ! 騎士様、本当に来てくださったんですね!」

 

花が咲いたような笑顔と言うのはこういうことを言うのだと思う。

ミアの周りに幻想の花が見えるほど眩しい。

 

「新しい騎士団は嘘つきだなんて言われたくないからね」

 

冗談を言いつつ、近くにあった椅子を引き寄せて座る。

ミアはどうやら俺が来るまで昨日の本を読んでいたらしく、栞を挟んで咄嗟に閉じていた。

その後昨日と同じように一時間ほどお喋りをした。

話しのほとんどはミアが俺に騎士の話をねだり、俺がそれを話すと言った感じだ。

結局俺は1時間ずっと話をさせられることになり、喉が渇いてしまった。

 

「じゃあ、今日のところはこれで帰るよ。

 ミアの体調も少しよくなったみたいだし、もう少ししたらまた歩き回れるな」

 

良かれと思い、体調が良くなったことを伝えたのだけどそれに対してミアは顔を俯かせた。

 

「そうだと良いんですけど……。

 よくなったと思っても、またすぐ悪くなるんです。

 あ、騎士様がせっかく元気になったことを言ってくれたのにすいません」

 

14年もの間、ずっとこの体調に付き合ってきたミアだからこそわかることであるのだろう。

確かに何度も何度も繰り返していれば、今の元気が一時的なものであることも知っているに違いない。

 

「安心しろ。俺がミアの体調をよくしてやる。

 いつか一緒に外出もしよう。その時は俺が護ってやる」

 

「ほ、本当ですか……?」

 

「ああ。

 さっきも言っただろう? 新しい騎士団は嘘つきだなんて言われたくないって。

 とりあえず俺は今のところミアには嘘をついていないだろ?

 だから俺がいつか嘘をつくまでは俺は嘘をつかないって信じてみてくれ」

 

「わかりました、騎士様を信じます!」

 

その日はそれで保健室を出た。

 

「相棒、知らないぞ。

 あんなこと言って良いのか」

 

つい言ってしまったが、ブレイブの薬を使えばミアの突然の不調にも対応することができる。

体調が少しよくなれば外出もできるし体力がつけば王国へ留学もできる。

そう思っていたが……ミアの不調はなんと次の日に訪れた。

一度不調になってから二日と経たないうちにまた不調になる。これではまともな生活などできるはずがない。

ミアの不調を聞いた俺は、すぐさま保健室に駆け付けた。

 

「大丈夫か、ミアっ」

 

ドアを開けてすぐ声を掛けると、ミアは苦しそうにしながらこちらを見て笑顔になっていた。

汗を多くかいていて、とても大丈夫そうには思えなかった。

 

「いつもの……ことです……うっ」

 

笑顔が急に曇り、胸を押さえるようにしていた。

俺は今すぐにでも助けてやりたい、そんな気持ちになりすぐにブレイブに声をかける。

 

「ブレイブっ!」

 

「わかったぜ相棒。これを飲ませろ」

 

隠れていたブレイブが出現し、触手で俺にカプセルの薬を渡して来る。

それを手に持って、水を入れたカップと一緒にミアに近づいた。

 

「ミア。これは今のミアの苦しい状態を抑える薬だ。だが直す薬じゃない。

 正式に医者の処方された薬ではない。

 だがもし俺を少しでも信用してくれる気持ちがあるなら……飲んでくれないか」

 

俺はできるだけミアに不安を持たせないように言った……つもりだ。

新人類に詳しいブレイブが言う薬だ。間違いないと思う。

 

「騎士様が言うなら……信じます……」

 

ミアは今にも死にそうな辛そうな顔をしながらそう言った。

会ってたった数日の俺を信用してくれる、そのことに応えたいと思った。

俺はブレイブが渡してきた薬を手ずからミアの口に入れ、そしてカップに入った水を注ぐ。

ミアの喉がゴクリとなり、薬が飲みこまれた音を聞いた。

そしてすぐにミアが瞼を閉じる。

 

「相棒、大丈夫だぜ。

 苦しいのがなくなって、気が緩んで寝ただけだ」

 

スゥスゥと言う寝息も聞こえ、ホッとする。

 

「俺様の薬もしっかりと効いてるようだ。

 いきなり運動は厳しいだろうけど、この分なら明日には動き回れるぜ」

 

「ああ、よかった。また明日来ることにしよう」

 

女の子の寝顔を見続けると言うのはきっとよくないことだ。

ミアだって男性に起きるまで寝顔を見続けられたと聞いたら恥ずかしいだろう。

俺はすぐに退散した。

翌日、例のメイドからミアが元気になったと聞いてほっとした。

 




原作ではミアとフィンがどのようにして仲良くなっていったかは書かれていませんでしたよね。
ですけど、ミアはブレイブが用意した薬でよくなっていたこと。そしてフィンが実の妹と重ねてみていたことで仲良くなった。と言うことから推測して今回の話を書きました。
三嶋先生がこの作品見て感想してくれたらうれしいなーなんて思うけど、まあ無理だろなw
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