10月16日に2話更新しています。
先にこの話を読み始めた人は、1つ前の24話も更新してありますのでそちらをお読みください。
まずは俺たちが今だに荷物を持っている状態をなんとかするため、寮に案内された。
ミアはオリヴィアに案内されて女子寮に連れていかれ、俺は5人に連れられて男子寮に来ている。
歩きながら自己紹介をしてくれたので、アルトリーベ1作目の攻略対象である5人なのが間違いないとわかった。
第一王子のユリウス・ラファ・ホルファート。
ユリウスの乳呑兄弟であるジルク・フィア・マーモリア。
公国との国境を守っているフィールド家の嫡男。ブラッド・フォウ・フィールド。
現剣聖、クリス・フィア・アークライト。
五人の中では総合的な戦闘力はナンバーワンのグレッグ・フォウ・セバークだ。
「なあリオン、今度手合わせしないか。
お前って帝国で騎士団長なんだろ?
学園内で相手になるのがクリスくらいでさ、飽きてきたんだよな」
「私も手合わせをしてみたいものだ。
帝国の騎士と言えば他国に知れ渡る強者と言う話だ」
「僕は接近戦は得意じゃないから、そういうのは二人に任せるよ」
「なら私も手合わせしてみたいな」
「殿下はダメですよ? 王妃様の許可も取れてませんよね」
「なぜ私だけダメなんだっ」
前回の茶番劇以来なぜか五人の俺に対する態度が緩和された……だけじゃなく、むしろ馴れ馴れしくさえある。
赤と青は元々戦闘マニアだから俺に対するこういう間の詰め方はわかるとして、残りの三人の態度はなんなのだろうと思う。
「ユリウス王子たち、さっきと態度が違いすぎないか?」
俺の前だったり横だったりを歩いている五人をに問うと、
「オリヴィアはあの調子だろ?
どんな相手にもああやって優しくするもんだから心配で仕方なかったんだ。
だからどんなやつかわかるまではああして警戒しようって話になった。
悪く思わないでくれよな」
真っ先に赤色が返事をくれた。
ごくごく普通の返答なのだけど、何か調子が狂う。
赤色ってこんな性格だったっけ。
「俺も調子を崩されたしな。
その気持ちはわかる」
あの性格で行動されては護衛する側はさぞ大変だろうなと思う。
「ここです、リオン・ルタ・ヘリング。
ここがあなたの部屋です」
皆の足が止まったので俺も足を止めるとどうやら俺に当てがわれる部屋についたらしい。
中に入るとどうも違和感しか覚えないほど豪華な部屋だ。
王国の権威とやらを示すために他国からの留学生にはこうして良い部屋を与えている可能性があるが、華美すぎる気しかしない。
「随分と良い部屋だな」
部屋を見渡しながら言うと、
「その部屋は上級貴族用の部屋だからね。
帝国騎士団長なら、帝国の上級貴族と同等なんだろう?
そういう部屋を与えるように王家から指示が出ているのさ」
なるほどな、と思う。
「(相棒、盗聴器が仕掛けられているぜ)」
すぐさま部屋を調べたブレイブから念話が入った。
「王国は留学生の部屋に盗聴器を仕掛けるしきたりでもあるのか?」
そう五人に告げると、張本人以外の4人からそいつに叱責が飛んだ。
「「「「ジルクッ、お前!」」」」
俺もわかっていたが、どうやら4人も誰が犯人かすでにわかったのだろう。
「いやぁ、バレてしまいましたか」
そう良いながら、部屋の装飾品ごと仕掛けた盗聴器を回収していく。
ツボ、サイドテーブル、絵画。割とありがちなところに仕掛けたやつを持って部屋を出ていこうとするので再度声を掛ける。
「おい、1つ忘れてるぞ」
そう言いながら、親指で後ろのカーテンを指さす。
その瞬間、ジルク以外の4人が硬直した。
「あ、忘れてました」
あくまでトボけようとするジルクに対し、4人が仲間とは思えない容赦ない言葉を浴びせていく。
「このことはオリヴィアに入れておこう、もちろん母上やルーカス学園長にもだ」
「ジルク、本当に屑ですね……。
僕だってそこまでしませんよ」
「いくらなんでも陰険すぎだろ。実力で示せばいいんだって」
「騎士の精神に反する行動だな、屑」
それも仕方ないと思う。
そして俺はわかった。この中で一番警戒しないといけない相手は緑のジルクであると。
その後心配になってミアの部屋に行き、盗聴器を探してみるがミアの部屋には1つもなかった。
最初どうしてそんなことを気にするのかと驚いていたオリヴィアに、ジルクが俺の部屋に盗聴器を仕掛けていたことを告げたところ、5人は後ほどオリヴィアに呼び出され2時間近く説教をされたらしい。
どうしてジルク一人ではなく五人全員かと言うと、いつも何かしらやらかすので連帯責任だそうだ。
そして何も心配することがなくなった部屋で休んで、翌日学園の授業が始まった。
最初の授業で俺とミアの紹介がされた。
「帝国からの留学生のミアくんと、リオン・ルタ・ヘリングくんだ」
簡単に紹介され、席につく。
教室を見回し一人の要注意人物を見た。
名前はエリカ・ラファ・ホルファート。ユリウスの妹で王国の第一王女だ。
一年ほど前まで病弱気味で外に出て来ることはほとんどなかったと言う話だが、皇帝の話によるとこいつが3作目の悪役令嬢だと言う。
1作目でオリヴィアがユリウスルートを辿ると悪役令嬢のアンジェリカにいじめられるように、3作目ではミアはこのエリカにいじめられるらしい。
俺がいる間は可能な限り守ろうと思う。
最初の授業が終わると、エリカは早速ミアの前にやってきた。
「あなたが留学生ね」
きつい性格をそのまま表現したような顔だ。
「は、はい。王国は不慣れで、皆様にご迷惑をおかけすると思いますが……」
「そうね、とっても迷惑だわっ」
ミアの言うことを途中で遮って迷惑と言って来る。
すぐに俺はミアとエリカの間に入りかばう。
「エリカ王女。私はリオン・ルタ・ヘリング。
帝国騎士団長にしてミアの守護騎士です」
あたかも何もなかったかのように挨拶をすると、俺をチラとみてエリカ王女がきつく言ってくる。
「ふん、知ってるわ。
あなたたち、帝国から来たからって王国に迷惑をかけないことね。
大人しくしてるなら何も言わないわ、それだけよっ」
そしてこちらの反応も待たずに教室を出ていった。
「はぁ……驚いた。
王家の方に声を掛けられるなんてびっくりです」
実際は帝国皇女なのだけど、自身を平民だと思っているミアにはさぞ驚きだろう。
俺もここまでエリカがひどいとは思わなかった。
もし俺がかばわなかったら何を言われていたのかと思う。
ただエリカの取り巻きは割とまともらしく、エリカの後を追いつつ頭を下げていたのが印象的だった。
「ミア、部屋に誰かが訪れてもドアを開けたりするなよ。
オリヴィアは平気そうだが、王国の子女全員がオリヴィアのようだとは限らないからな。
元々体調があまりよくないことは王国側にすでに告げてあるんだ。
何かあったら体調が悪いので俺を呼んでほしいと言うんだ」
「わ、わかりました。
騎士様にご迷惑おかけしてすいません」
「気にするな」
頭を撫でながらそう言ってやると、ミアは顔を赤くして喜んでいた。
前世の妹がこれほど可愛かったらもうちょっと俺も違ったのにな……と遥か昔を思い出していた。
「なあリオン。武器屋に行かないか?
俺がよく通ってるとこがあるんだ」
「そこならアークライト家もよく使っている。
私も剣の整備をお願いしたいので行こうじゃないか」
「良いですね。私もちょっと欲しい銃があるので一緒に行きましょう」
「僕も行って良いかい?
その近くに確か魔道具屋があったはずだよ。
王国の魔道具も面白いんだよ」
「お前たち、私を置いていくな!」
その日、学校が終わると5人に絡まれた。
グレッグはすでに俺のことを友達と思っているのか、気兼ねなく誘って来る。そうすると、青やら緑やら紫やらが群がってきて、なぜか団体ですでに行くことが決まっている。
最後になぜか扱いの悪いユリウス王子が、追いかけて来ると言った感じだった。
「お前たち、俺はミアの守護騎士だぞ?
守護騎士が守護対象を置いて出かけるなんて話があってたまるか!」
ど正論をぶつけてやる。
「それもそうだな。
そしたら、ミアだっけか。も一緒に呼んでいこうぜ。
ミアが来るならオリヴィアも一緒に来るだろうしな」
「それが良いな。
ジルク、オリヴィアとミアを呼んできてくれ」
「わかりました。
しかし殿下。呼ぶのはミアがメインで、オリヴィアがついてくるのはついでですよ。
その言い方だとオリヴィアを呼ぶのがメインになっていますが」
「殿下はオリヴィアを前にするとポンコツになるからね、全く仕方ないよ」
5人はハハハと笑う。
ゲームとの違い、五人の人間っぽさになんだか呆れてしまう。
もっとダメなやつらだと思っていたのにと思うが、ゲームではこいつらのせいで攻略が困難だったのだ。
それをしっかりとクリアしているのだから、かなり成長しているに違いないとも思う。
すこしするとジルクがミアとオリヴィアを連れてきた。
「騎士様、お待たせしました」
「ああ、ミアすまないな。
俺が学園を離れることになったせいで連れていくことになって」
「いえいえ。私も王都を見て回って見たかったので嬉しいですっ」
ミアは俺の役に立てて嬉しいと言った感じだ。
王都を見回れて嬉しいと言うのはついでのように見える。
「リオンさん、すいません。
五人が無茶言ったみたいで……」
「いや、構わない。
俺も騎士として王国の武器には興味があったしな」
一応俺も騎士として王国内の調査を行う身である。
よって武器屋に連れていってもらえるなら大喜びだ。
しかもクリスの話だと、親子で剣聖だったアークライト家御用達と言う話だ。
おそらく王国で最も良い武器を揃えている可能性もあるのだ。
そして俺たちは学園を出て武器屋へ向かった。
五人は学園で相当な人気らしく、行く先々で女性がキャーキャーと叫ぶ。
アルトリーベは俺が妹にやらされたゲームであるが、女性人気は相当のものだったし確か売れ行きもかなりのものだったと聞いていた。
現代でもこの世界でもこの5人はかなりの人気なのだなと思っていると、
「リオンくんはモテますね。
エリカ王女からミアさんを守ったと言う話はやはり華がありましたね」
ジルクがそんなことを言ってくる。
「は? 俺がモテるわけないだろ?」
「本気で言ってるのか?
王国には守護騎士なんて制度はないからな。騎士様に守られたいって言う女子で学園はいっぱいだぞ?」
「私も平民の学園生から何度かリオンさんのことを聞かれましたよ。
やっぱり守護騎士って言うのは女性との憧れみたいです」
「なんだい? オリヴィアもリオンにお熱なのですか?」
「いえ、私には皆さんがいますから……」
ブラッドに言われて赤くなるオリヴィアを見て、なんなんだこいつらはと思う。
オリヴィアの純粋さに心を打たれて……と言えば良い物だが、実際はどうなのかわからない。
だってハーレムルートを辿るようなやつだよ?! ろくなやつじゃないに違いない……と思うんだけどなあ。
俺も正直オリヴィアがよくわからなくなってきていた。
「騎士様、オリヴィアさんは私のことをすごくよくしてくれるんですよ。
ご飯を食べる時に誘ってくれたりしますし、友人を紹介してくれたりするんです。
おかげで授業が終わった後もみんなでお話ししたりして楽しくさせてもらってるんです」
ミアにそう言われてはこれ以上オリヴィアを疑うこともできない。
「そうか、ありがとう」
オリヴィアに頭を下げると、オリヴィアは焦ったようにだ、大丈夫ですよっ。と言っていた。
五人はそんな態度のオリヴィアを微笑ましそうに見ていた。
少し歩いて武器屋につくと、思い思いに皆で武器屋を見回る。
だが……俺の両隣には常にグレッグとクリスがついていて離れることがない。
「お、良い物を見つけたな。
この槍は俺もよく使うぜ。お勧めだ。使い方教えてやろうか?」
「何を言っているんだグレッグ。
騎士ならば剣に決まっているだろう。
リオン、これがアークライト家でも使っている形の剣だ。
刃部分の幅や柄の大きさ、形を変えたいのであれば私が店主に言ってやろう」
ものすごく、現代のアパレルショップの店員さんを思い出す。
一人でじっくり見たいのに、どうしても声を掛けて来るので居心地が悪い。
実際俺はブレイブが武器を出してくれるので武器を買う必要なんてないので武器屋へは本当に見に来ただけだと言うのに。
と言うかお前らは自分の武器を見てもらえよ! 特にクリス、お前は武器の整備に来たんじゃねえのか!と声を大にして言いたい。
かたやミアはと言うと、王国の学園生はダンジョンに潜ることもあると言うので五人でミアに合う武器屋防具を見ていた。
ミアは体も小さく、体力もそこまで多くないのであまり大きい武器は持つことはできない。
そのこともわかってか、ブラッドとジルクが真剣に話しているのが有難かった。
オリヴィアもちゃんと間に入って会話に参加してくれてる。
ミアに友達ができるか不安だったが、まさかこいつらが一番の友人になってくれるとはな……と言う気分だ。
「ところで、この武器屋にはもっと高級な武器とかはないのか?
例えば希少金属のやつとか」
「ああ、希少金属の武器は王国に申請を出さないと作れないからな。
普通には売ってないぞ。なんだ、希少金属の武器が欲しかったのか?」
「希少金属はダンジョンでもなかなか手に入らない。
仮に手に入っても、リオンは帝国からの留学生。
申請は通らないだろう」
なるほど、と思うついでにそうだろうなとも思う。
こうして俺たちは武器屋を適度に楽しんだ。
5馬鹿完全登場!
敢えて会話に誰が話していると書いてないのですがわかりますかね?
わかりにくければ次から変えていこうと思います。