原作に近づいていく話になっているので、もう一度原作を見直させてもらわないとなー!って思ってますね
「今日の授業はダンジョンに行きます。
皆さんは初めてのダンジョンになりますが安心してください。
上級生がサポートしてくれますので」
今日は俗に言うダンジョンの日。朝一番で教師からそう伝えられた。
ダンジョンの日には丸一日かけてダンジョンに潜ることになるので他の授業は一切行われない。
そしてダンジョンに入る最初の数回は、上級生がサポートのため一緒に潜ってくれるらしい。
「ってお前らかよ……」
「俺たちでは不満か?」
俺とミアの前に並ぶのは例の五人とオリヴィアだ。
俺たち留学生には殿下たちがサポートとしてつくらしい。エリカ王女にも多くのサポートがついている。
「4人はともかく、殿下がこんなところで怪我したら問題になるだろうが」
そうなのだ。4人は……と言ってもこいつらも有力貴族だから怪我なんてされたら困るのだろうけど、殿下はこの国の次期王候補だ。
そんな人に怪我なんてさせたら俺たちまで問題に巻き込まれかねない。
「その通りなんだけどね。殿下は実力もあるからこういう時来たがるんだよ」
さも当たり前のように言うけど、それを止めるのがお前らの役割だろ紫!
「まあ安心しろよ。俺とクリスがサポートしてやるからよ。
とは言うが、お前たちが余裕なうちは俺たちは何もしないからな」
「少しでも怪我をしたら言ってくださいね、私が治します」
何と言う完全サポート体制だろう。
しかしこいつらの実力を見たかったと言うのに、逆に俺だけが実力を見られると言う状況になってしまった。
まあ、ただのモンスター程度なら手を抜いてでも勝てるだろうと、俺はこの国に来て購入しておいた剣を取り出す。
ブレイブに武器を出させるわけにはいかない。
ミアも昨日選んでもらったショートソードを取り出して、俺の斜め後ろに来た。
「ミア、サポートしてくれるからと言って無理しなくてもいいからな」
「ありがとうございます、騎士様。
もしもの時はよろしくお願いしますっ」
二人で一階層を進むが、一階層には武器を持っていれば勝てる程度の弱さのモンスターしか出ない。
剣技と呼べるようなものを振るう必要もなく、二人で飛んできた虫を振り払うかのようにして先に進む。
普段まともに運動ができなかったミアが、ダンジョンであれば戦うことができると言うのが驚きだ。
適度に休憩を挟みつつ、二人で進むと二階層への入口に差し掛かった。
「ここからはモンスターが少し強くなるぜ。
正面以外のモンスターは俺たちが相手をするから、正面だけを注意してくれ」
正直助かる。
俺一人であれば問題ないが、ミアに注意を配りながら戦うのはなかなかに大変だ。
いくらオリヴィアが怪我を治せるからと言っても、怪我なんて負わないに越したことはない。
なるべく多くのモンスターが俺に向かって来るように立ち位置を変えて戦う。
ミアもそれに気づいているようで、決して俺の邪魔にならないように立ちまわる。
左右と後ろを5人がカバーしてくれることもあって、俺たちは難なく正面に来る敵を倒していく。
そして最初は不慣れだったミアもどんどん慣れていって、しまいには一匹位であればモンスターを任せられるようになっていた。
「騎士様、私戦えてます……。
こんな風に動けるようになるなんて」
ミア自身も驚いているようだ。
今まではモンスターは全て俺が倒していたが、ミアがモンスターを倒すとモンスターが消える時に発生する魔力はミアが吸収できるようになるのだろうか。
それともこのダンジョンが単純にミアと相性が良いのだろうか。
皇帝もああ言ってたし後者かもしれないが。
そして俺たちは二階層を無事突破し、三階層に突入した。
だが三階層を進んでいくと先ほどまで調子のよかったミアが今度は体調が悪くなった。
「き、騎士様……すいません、ちょっと休んでも……」
顔が若干赤くなっていて息も粗い。
額に手を当てるとかなりの熱を出していることがわかった。
「(相棒。ミアのやつ、魔力過症にかかってるぞ)」
「(なんだそれは?)」
「(旧人類がたまにかかっていた病気だな。
ミアは今まであまり魔力を取り込むことができてなかっただろ?
急に魔力を取り入れることができるようになったせいで、体がそれに過剰反応してるんだ。
少し休めば治るが、今日のダンジョン攻略はこれ以上は無理だな)」
「オリヴィア、ミアが熱を出しているみたいなんだ。
視てもらえないか?」
俺はミアの本当の症状を隠して、実際に体温が上昇していることもあり熱と言ってオリヴィアに任せる。
オリヴィアなら魔法で癒すこともできるだろう。
「結構熱が出てますね。
今日はこれ以上は無理です。戻ってミアさんには休んでもらいましょう」
オリヴィアの話に全員が頷き、俺がミアを背負ってダンジョンから脱出した。
そしてミアを保健室へと運び、俺自身はミアが目覚めるのを待った。
「騎士様……?」
ベッドの横で本でも読んで時間をつぶしていると、どうやらミアが目覚めたようだった。
ただまだ顔は若干赤く、熱はさほど収まっていないように見える。
「ミアか。
ダンジョンのことは覚えてるか?」
「はい。私モンスターを倒したら体の調子がよくなって、どんどん倒したらもっとよくなるかもって思ったんです。
そしたら急に体が熱くなってきて……。
ごめんなさい、また迷惑かけちゃいました」
「気にするな。
それより熱がまだ下がってないみたいだからな。
もう少し寝ておけ」
「わかりました。
あの……お願いがあるんですけど」
「なんだ?」
「手……握っててもらっていいですか?」
そう伝えて来るミアの目は涙をためているようだった。
「わかった。握っててやるからゆっくり眠るんだぞ」
「ありがとうございます」
ミアの手を握ってやると、その手は俺より熱を帯びていた。
そして俺と年が近いと言うのに、まだ小さすぎる手は妹と言う存在を大きく感じさせた。
前回から大分時間が空いちゃいましたね・・・