リオンとブレイブ   作:駿州山県

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初日の一気投稿はここまでとします。
原作で言うところの、5馬鹿との決闘の前までを書いた感じです。
雰囲気も似せてあります。


5話

 

「リオン、朝だよ。起きて!」

 

隣の家に住む可愛い幼馴染が起こしに来てくれる。

だけど眠い……後ちょっと……。

 

「何やってるのさ! 朝に行こうって言ったじゃないか!」

 

しかし耳から聞こえたその声は可愛い女性のものではなく男性のものだった。

 

「あれ? 可愛い幼馴染は?」

 

「何を寝ぼけてるんだよ。リオンに幼馴染なんていないじゃないか。

 ほら、顔を洗って準備してきなよ」

 

どうやら俺は遠い夢を見ていたらしい。

トマスに言われるがまま洗面所で顔を洗う。

今日は選抜試験の当日だ。午前中は受付、午後から試験となっている。

まだ寝てても問題はないかもしれないけど、試験を受ける人数に限りがあって受付終了と言われては困る。

髪の毛も軽く整えてから寝間着から着替える。一張羅と言うわけじゃないけれど、きりっとした服だ。

 

「トマス、お待たせ」

 

「うん、良かった。これなら間に合いそう」

 

この気の良い隣人がいなかったら俺は受付を寝過ごした可能性がある。感謝しかない。

もしかしたらブレイブも起こしてくれたかもしれないけど、ブレイブは猫みたいに気の向かないことはしないことが多い。

わかりやすく言うと、平日の学校に行く時間には決して起こしてはくれない。

だけど土日の欠片集めやモンスター退治の際は積極的に起こしてくる。そう言う感じだ。

 

俺とトマスは調子はどうとか、試験の内容はどんなだろうかと言う推測を話しながら、受付の場所まで向かう。

受付の場所を知っているのはトマスだけなので、俺はトマスについていった。

 

「受付、あそこだね。

 すごい、もうあんなに並んでるよ……」

 

トマスが指差す方向を見ると、受付をしているらしきテントとそこに並ぶ行列が見えた。

まだ朝だと言うのにそこには数十人が並んでいる。

これからもっと並ぶのだと思うととても億劫だ。

並んでる人たちを見ると、明らかに元兵士と言ったような人からただの街の人までいる。

ほら、あそこにいるのなんて肉屋の店主だ。

この間奥さんと喧嘩したって言う噂を聞いたから、騎士になって見返したいのかもしれない。

まあ肉屋の店主なんかがなれるわけないんだけどね。

俺とトマスは最後列に並んだ。どうやら受付は名前の記載だけで終わるわけではなく、その他にも多少何かをしているらしい。時間にして、一人当たり5分くらいかかっていた。

トマスと会話を続けながら、流石に立ち続けるにも疲れたなと思った頃。ようやく俺たちの番になった。

 

「じゃあリオン。俺先に行くね」

 

「ああ、頑張ってな。って言うほどのことではないけども」

 

トマスは軽く笑うと停止線から出て行った。

受付はテントの中で行われるのでどんな内容が行われているのかは並んでいるこちらからは見えない。

とは言えただの受付だ。大したこともない、午後からが本番だ。

そう思っていた……。

 

「雑魚がっ!」

 

しかし、大声と共にテントの中から人影が飛び出してきた。

よく見れば飛び出してきたなんて言うものじゃない。ただ吹き飛ばされてきただけだ。

じゃあ誰が吹き飛ばされてきたのか……トマスだ。

トマスは顔を黒く腫らして吹き飛ばされていた。

その後テントの中から、結構な背の大男が出て来る。

 

「もう、うんざりだ。お前みたいな冷やかし野郎は!

 記念受験みたいに軽い気持ちで来てんじゃねえよ!

 お前みたいなひょろひょろの人間がなれるほど騎士は甘くねえんだよ」

 

男はトマスの前に立つと、そう言った。

間違いない、トマスを吹き飛ばしたのはこいつだ。

翳している右手にトマスの血がついている。

 

「お前みたいなクソ野郎は下水でクソの攫いでもしとけよ。

 それがお似合いだ。

 わかったら二度と来るなよ」

 

男は口に含んだ唾をトマスに吐きかけて、テントに戻って行った。

 

「トマス、大丈夫か?」

 

すぐにトマスに駆け寄ると、トマスは殴られた頬を黒く腫らしたせいで片目が見えていないようだった。

 

「リオン……。

 はは、僕ダメだったみたい。

 そうだよね。だってリオンに助けてもらえなかったらきっと今もずっといじめれていただろうし。

 そんな僕みたいな人間は、騎士になるどころか試験を受ける資格なんてなかったんだ」

 

まさか受付さえ拒否されるとは思っていなかったトマスは、自虐的だった。

だけどトマスが受付をできなかったのは別にいじめられていたからじゃない。

トマスがダメで肉屋の親父がOKな理由もわからないし。

 

「そんなことはない。

 トマス、お前は俺の友人だ。

 それにあの時とは違う。お前は決していじめられっ子じゃない」

 

「ううん。

 僕はリオンに憧れてるんだ。

 だから、リオンだけはせめて受かってよ」

 

一緒に試験を受けられなかったことはきっと悔しかっただろう。

トマスは開けられる片目の方からだけ、涙を流していた。

ああ、なんでこんな良い人間のトマスが貶められなければならないんだろう。

俺は立ち上がると、テントの方へゆっくりと向かった。

 

「リ……リオン……?

 どうしたの?」

 

俺の雰囲気がおかしかったのだろうか。

なぜかトマスが俺を呼び止めた。

はは、自分でも感情が止められないや。

 

「俺、ああいうやつ嫌いんだよね」

 

 




少しでも原作と似た雰囲気が出ていたらいいなあ
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