リオンとブレイブ   作:駿州山県

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リオン朝寝坊オチ


7話

「リオン、ごめんよ。僕のせいで……」

 

試験が終わった後、俺はトマスを見舞いに行った。

トマスは家のベッドで寝ていて、顔はまだ腫らしたままだ。

医者に診てもらったところ、幸運にもひどく腫らしているのに骨などには異常はないと言うことだ。

トマスは性格も良いし俺とは違って日ごろの行いも良いから、大したことにならなかったんだろう。

 

「気にしなくていいよ。

 それにさ、あいつむかついたじゃん?

 トマスがあんな目に合わなくてもどの道ああいうことになってたって。

 ほら、昔トマスをいじめてきたやつらも似たような目に合わせただろ?」

 

そう、俺がトマスをいじめたやつらにした仕打ちを思い出して話す。

俺はトマスをいじめたやつらを一人一人闇討ちして、全員を素っ裸にして街中に吊るしてやったことを思い出しながら話した。

 

「おい相棒。俺様だってそんなことは流石にしないぞ?」

 

俺が笑って話したと言うのにブレイブがドン引きだ。

 

「良いんだよ。トマスみたいな人格者をいじめるやつらに人権はない」

 

「あの時のリオンはやりすぎだって!

 でも……正直スカっとしたんだ。ありがとね」

 

トマスの感謝はきっと前の時のことではなく、今回のことについてだろう。

仕返しをしてくれたことに感謝してくれたのだ。

ぶっちゃけ騎士になれなかったとしても、トマスの風習ができただけで俺は満足出来た気がする。

騎士になる夢は両親には諦めてもらおう。明日は両親に墓に酒でも持っていこうかな、そんなことを考えていた。

トマスはまだ重症であるのは間違いないので、俺は見舞いの時間を少しにして退室することにした。

 

「相棒の昔の話が聴けて楽しかったな!」

 

一時期ドン引きしていたブレイブだが、俺の昔の話を色々聞いて途中からは爆笑していた。

最初はブレイブの姿にびっくりしていたトマスも、ブレイブの明るさのおかげで最後には普通に笑い合うことができた。

 

「しかし……騎士はやっぱり諦めないといけないかな」

 

先ほどは簡単にあきらめると思ったけど、やはり両親の夢であったからそうぽんと捨てれるわけではなかった。

もし可能であるなら今からでも騎士になりたい。そういう気持があった。

 

「意外と平気じゃないか?

 明日になったら、ぽんと普通に合格の連絡が来たりしてな!」

 

ブレイブは明るい。おかげで俺は暗くなる暇がない。

間違いなく不合格になると思うけど、万が一合格だったら……そう思って俺は出来もしないことを言ってしまった。

 

「じゃあ、もしそうなったら今度の休みは一日ブレイブに付き合うよ。

 朝だって早くに起きてやるぜ」

 

「ほんとか?

 じゃあ朝から夜まで、欠片集めにモンスター退治と付き合ってもらうからな!」

 

そのせいかブレイブは上機嫌だった。

翌日学校に行くと、俺は授業が全て終わった後に学校側に呼び出された。

何だろうか、心当たりはあの選抜試験のことだけだが……。そのことで責められるのだろうか。

いくらあの騎士がひどかったと言っても騎士は騎士だ。騎士をやっつける生徒がいると言うのは学校側として許せないと言われても仕方ない気させする。

学校長の部屋に向かい中に入ると、そこにいたのは学校長だけではなかった。

 

「リオン、来たか。

 先日の選抜試験、お前は参加していたんだったな?

 その時の試験に同行していた方たちからお前を呼び出してもらえるよう通達があったんだ」

 

あの時の文官二人がそこにはいた。

不合格を通達するだけなのに、なぜ手紙で済まさずにわざわざ学校まで?

そう思ったが文官二人はとても真面目な顔をしている……むしろ緊張していると言っても過言ではない。

今回の事は特殊な事例だったし、やはり俺にお咎めがあるとかそういうことか?

急に不安に駆られて心臓が締め付けられる。

 

「リオン殿、帝国は貴殿の選抜試験は合格と判断した。

 来月から騎士団に出頭されたし!」

 

文官の片方が鞄から取り出した丸められた紙を広げ、書いてある文章を読みだしていた。

広げる時に、封を切っていたことを考えるとこれは正式な通達で間違いない……とそう思えたが。

 

「え?」

 

当たり前のように不合格になると思っていた俺は、選抜試験は合格と聞いてびっくりしてしまった。

 

「どうして? 合格?」

 

文官二人は顔を見合わせると、どちらが結末を伝えるのか悩んだ挙句先ほどとは違うもう一人が、

 

「そう聞かれるだろうと、皇帝陛下から今回のことについて直接のお達しがある、心して聞くように。

 ……今回、試験官として選ばれた騎士には問題が多々あった。帝国としてもそのことにまことに苦しい思いをしていたのだ。

 だが一度騎士して選んだ者を罷免すると言うのは帝国としてもバツが悪い。

 そこで今回の話だ。騎士でありながら、試験管として正しく振る舞うどころか一町民に対し決闘を起こすような行いをした上、一方的に負けたとあっては騎士の名折れ。

 これを機会にその騎士を無事罷免することができた。

 そしてリオン。貴殿は騎士と言う上位の存在を相手にしても正義を放置をしないその姿、それこそがまさに帝国騎士としてあるべき姿である。

 是非今後は騎士団にてその姿を披露してもらいたい」

 

帝国皇帝が言ったと思わせるような、威厳を持った話し方を終えると文官が一息つく。

 

「……と言うことだ。疑問は色々あると思うが、これが帝国が下した結論である。

 必要な荷物をまとめ、来月より騎士団に出頭されたし」

 

そう俺に告げると、皇帝陛下からの直接の文を丸めて学校長の部屋から出て行った。

俺はただトマスの仇をうっただけだったのに、必要以上に褒められたことがムズ痒かった。

 

「リオン、おめでとう。

 我が学校から騎士が排出されるなんてすばらしい事だよ!」

 

このことに学校長は大喜びしていたが、俺としてはまだ納得がいかなかった。

絶対におかしい。さては騎士団に行ったら調子に乗りすぎた者として、先輩騎士から訓練と称して毎日ボコボコにされたり、部屋の物が常に壊され続けたりするのかもしれない。

素直に喜べない俺は学校長に事前に渡されていたらしい、騎士団入団の案内状を受け取ると部屋から去った。

 

「相棒、合格しちまったな。

 俺様はこうなると思ってたぜ。

 何せ相棒は俺様の相棒だからな!」

 

ブレイブが何を言ってるかわからない。

 

「だが怪しすぎないか?

 お咎めの1つや2つあってもいいはずだ。

 だがそれがない。

 帝国皇帝とは断定しないけど、今回の結果を捻じ曲げようとした誰かがいるはずだ」

 

「そうかもなー。

 そんなことより相棒、覚えてるか?

 もし合格だったら……」

 

俺が深く考えすぎなのだろうか。ブレイブの気楽さを見ると考えすぎてる自分が少しだけ馬鹿らしくなる。

そんなことよりブレイブと約束したんだった。

あの時は合格するなんて思っていなかったから適当なことを言ってたなと思い出した。

 

「ああ、覚えてるよ……。

 確かブレイブの良いあだ名を考えてやるって言う話だったよな。

 今日にでもすぐ考えよう」

 

「違うだろ! とぼけた振りしても無駄だからな!

 明日! 明日は朝から俺様と一緒に欠片集めとモンスター退治だ!

 騎士団は昨日みたいなやつがたくさんいるかもしれないだろ? 俺だけじゃなく相棒だって強くならないと騎士団で見下されることになるんだぜ」

 

騎士団に入るまでに俺とブレイブが強くなっておけば、騎士団内でボコボコにされるかもしれないと言う未来の1つは回避できる。

そう思えば明日、いや騎士団に入るまでずっとでもいいかもしれない。欠片集めとモンスター退治に精を出すのは良いことに違いない。

 

「わかった!

 ブレイブ、明日だけとは言わない。

 騎士団に入るまで俺たちは強くなるために、欠片集めとモンスター退治をしよう!」

 

「さすがだぜ相棒!

 じゃあ数日家に帰らないつもりで今日のうちに準備してくれよな!」

 

「わかった!

 だから……明日の朝だけは勘弁してくれないかな」

 

「お……おう。相棒、せっかくの気合が今ので台無しだぜ」

 

頑張りたいけど朝は弱い自分が恨めしい。朝は勘弁してと言った俺はブレイブからしたら情けなかったことだろう。

 




リオンとルクシオンのやり取りも好きなんですけど、リオンとブレイブのやり取りも好きなんですよね。
原作(書籍)の1シーンで、
『偶然で狙ったように主人公と敵役の二人と婚約するのか?
 実は狙っただろ? 俺にだけ教えてくれよ。な、いいだろ?』
「お前は思ったより楽しい奴だな」
と言うやりとりがあります。
そんな雰囲気を醸し出したつもりです。
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