リオンとブレイブ   作:駿州山県

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三日置きの更新ですよろしくーっ


9話

 

飛行船が帝都の港に到着すると、俺はすぐさま騎士団の寮へと送られた。

荷物を搬送するように、こっち、こっちだと指示されて瞬く間に寮だ。

寮に着くと今度は寮長の騎士OBが迎えてくれた。騒がしいことこの上ない。

 

「お前がやらかしたって言う噂のやつか!

 話は聞いてるよ、笑わせてもらったぜ」

 

俺の選抜試験の話はすでに騎士達に広まっているようだ。

笑わせてもらったってことは、あの騎士は相当騎士団内で疎まれていたに違いない。

騎士団内で今度は俺が疎まれるようなことにならなくて良かった。

 

「まあその話はおいといて、まずはこれだ。騎士服と儀礼用の服だ。

 二着ずつある。自分で洗わないなら使用する二日前までに洗濯物として出してくれ。

 メイドが洗ってお前の部屋に届けておくようにするから。

 訓練用の服については基本的に好きなもので良いことになっているが一応渡しておくぞ。

 お前さんは平民らしいから大丈夫だと思うが、訓練に良い服を着て行こうだなんて思うなよ?

 騎士連中に言いようにからかわれて、最終的に泥だらけにされるのがオチだからな」

 

過去に幾度となく良い服を着て訓練場に行こうとした輩がいたのだろう。

良い服を着てきたやつを率先して泥だらけにするなんて、騎士達もなかなか御茶目だ。俺もやってみたい。

受け取った騎士服を広げて見ると、カッコ良い……厨二心がくすぐられる。

そして儀礼用の服。普段の服を一層品良くしたような服。

真っ先に俺には似合わないなと思うのだけど、イベント事に儀礼服を着ないといけないのはどうやらルールっぽい。

今日はすることがないので、俺にあてがわれた部屋の中で両方とも着てみたのだけど。

 

「馬子にも衣装なんて言葉は、相棒の辞書には存在しないんだな!」

 

俺の姿を見たブレイブに爆笑された。こういうのはイケメンが着るから様になるんだ。俺のようなやつが着てもよくて背景にしかならないと改めて思った。

翌朝ブレイブに起こされて儀礼用の服に着替える。

部屋に設置された大きめの鏡を見ながら、着こなしを確認してから部屋を出るとそこにはメイドがいた。

 

「本日の騎士任命の儀のために、案内させて頂きます」

 

メイドは所作がとてもキレイだ。下級騎士、つまりまだ貴族とも認められない俺に対してのふるまいを考えても、とても訓練されたメイドであることはわかる。

メイドの後について向かった先は控室のようだった。

そこにはすでに俺の他に数人の騎士がいた。どうやら彼らも今回騎士に任命されるらしく、皆揃って儀礼用の服を着て緊張な面持ちだ。

面識もないため互いに話すことは一切なく、そのまま控室で待っていると声がかかる。

 

「騎士になる皆さま、こちらへお越しください。

 騎士に任命される際、任命状を代表して一人がいただけます。

 その役はリオン様。あなたと仰せつかっておりますので、呼ばれたら1歩前に出て受け取ってください」

 

騎士に任命される者が数人いると言うことは、俺以外の者は間違いなく俺よりナンバリング上位の者だ。

もしかして99位と98位と……と言うことかもしれないが、それでも俺より上位なのは間違いない。

なのに最下位である俺がその役を受けるのはどうして……?

そう思ったが、俺たちに説明をしてくれる執事は無駄なことを一切伝えようとして来ない。

 

「では時間です。

 入場してください」

 

俺たちが疑問について聞き返す暇もなく、ドアが大きく開かれ入場することになってしまった。

部屋にいた他の騎士の後ろに並んで、皇帝陛下がいる間に入る。

そこには玉座に座る皇帝陛下、そして政治を行う貴族たち、俺たち以外の騎士が勢ぞろいしていた。

当然こちらを見て来る。何人かは薄笑いしていたような気もするが、基本的に皆真面目な顔をしている。

 

「ブレイブ、明らかに俺を馬鹿にしてるような笑みを浮かべてるやつは覚えとけよ」

 

「もちろんだ相棒。

 そういうやつらには是非俺たちの実力を思い知ってもらわないとな!」

 

俺ははっきり言って心が狭い。だから、俺を笑ってくれたやつらには絶対に笑い返してやらないと気が済まない。

幸いにもブレイブも俺と同じ気持ちらしく、率先して俺を笑った騎士を覚えようとしてくれてるみたいだ。

俺たちは皇帝陛下の午前に辿り着くと姿勢を正した。

長い長い前振りの挨拶があり、帝国の繁栄についての話があり、やっとのことで俺たちの騎士の任命の儀に移った。

 

「騎士リオン、前へ」

 

俺の名前が呼ばれ、1歩前に出るとなぜか任命状を持った皇帝陛下が俺の数歩前の場所に来た。

俺の顔を正面から見ると、ニヤリと笑い。俺だけにかろうじて聞こえる声で、

 

「課金アイテム」

 

そう言った。

この世界には課金アイテムなんて言葉は存在しない。その言葉が存在するのは前世の世界だけだ。

つまり、皇帝陛下は俺と同じ前世からの転生者? さらに課金アイテムとはブレイブのことを指すに違いない。

そのことに驚いた俺はショックのあまりその時あったことはあまり覚えていなかった。

気づいた時には任命の儀が終わり、部屋に戻った後だった。

 

「相棒、平気か?

 隠れて見ていたが、途中からおかしかったぞ?

 特にあの帝国皇帝と言うやつが相棒に近づいたときだ。

 何かされたのか?」

 

ブレイブからは表情は読み取れないが、声質からして俺のことを心配してくれていることはわかる。

 

「任命状を渡されるとき、課金アイテムと言われたんだ」

 

俺としては大事なことを言ったつもりだったのだけど、ブレイブには全く重要さが伝わっていないようだった。

 

「ん? それだけなのか。

 ところで課金アイテムってなんだ?」

 

ああ、そうか。ブレイブには前世の話しかしたことがなかった。

 

「前に前世の話をしたことがあっただろう?」

 

「ああ、初めて会った時になんか言ってたな」

 

「そうだ。

 ブレイブ、お前は俺が前世でやっていたゲームに出てきた最強の鎧だったんだ。

 俺はゲームの中でお前を手に入れていた。だから俺はお前が存在する場所を知っていたんだ」

 

「俺様がいた兵器工場に訪れる者は基本的に偶然迷い込んできたって感じだったけど、確かに相棒は違ったもんな」

 

「相性があるとは思ってもいなかったけど、お前を手に入れることができるって知ってたからな。

 ゲームの中でお前は課金アイテムと呼ばれていたんだ。

 おそらく帝国皇帝も前世でそのゲームをやっていたに違いない、だからこの言葉を知っているんだ」

 

「うーん……相棒が嘘ついてるようには思えないんだよなあ。

 相棒は今までの新人類と比べても、特殊っぽいし言われてみればわかる気もするけどよ。

 でその皇帝からその後他には言われたりしたのか?」

 

「いや、何もない。

 だから悩んでるんだ」

 




次は三日後の8月1日で!
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