とあるモブウマ娘の物語   作:トルポめぐろ

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第26話  モブウマ娘、皐月賞を見る(2)

 

 

 ー内からゴールドシップ 上がって来た!200を切ってゴールドシップ が先頭に変わる!折ってくるのはディープブリランテ、コスモオオゾラ!そして大外からワールドエース、グランデッツァですが・・・2着争い!

 

 ー抜けた抜けた!!ゴールドシップゴールイン!!2着ワールドエース!!

 

 ワアアアアアアア!!

 

 「うわーー!!やったーーーーー!!」

 

 「すごいすごい!!」

 

 場内が大歓声に包まれる。ゴルシちゃんが勝った・・・ゴルシちゃんが勝ったのだ。G1皐月賞、世代の頂点達が集まるクラシックで・・・。チームのみんなが喜びのあまり叫んで抱き合ったりしている。チームに初の重賞をもたらしたかと思えば、次はG1を獲ってしまった。それもクラシックの・・・。やはりゴルシちゃんは凄い。

 

 どよどよ・・・

 

 場内がどよめいている。最終コーナーではみんな内を避けて回り、しかし外過ぎずバ場のいいところを走った先行勢と大きく外を回った追い込み勢に分かれた。場内みんなその二つの勢力の勝負に注目していた。しかし、気がつくとゴルシちゃんがいつの間にか先頭集団にとりついていたのだ。 最終コーナー手前では相変わらず最後方にいたはずだ。それが直線でまるでワープしたみたいに先頭に抜け出していた。いったいどうやって・・・。

 

 「内側・・・あの荒れたバ場を突っ切ったんです・・・!」

 

 「え!?」

 

 場内ディスプレイのリプレイ映像が流される。見切れがちにはなっているが、それを見ると確かにジャスタちゃんの言う通り最終コーナーで内側へ向かっている・・・!

 

 「なるほど・・・。」

 

 みんなが外を回す中、開いた内側を突っ切っていったのだ。距離のロスなくコーナーを回り、最終コーナーだけで10人以上追い抜いている。

 

 「いや、でもあんな内側荒れてるのに・・・。」

 

 「ははは・・・。みんなバ場を意識して位置取りだなんだって言ってるのに、あの子にはそんなの関係なかったみたい・・・。」

 

 アスカ先輩も驚いているが、それもそうだ。序盤の出遅れやコースロスにより絶望的な位置取りのレースになっていた。レース前にトレーナーさんや私の期待していた展開とは真逆のものだ。しかし、彼女にはそんなこと関係なかった。力技で解決してしまったのだ。

 桁外れのスタミナとパワーがなければこんなことは出来ない。普通のウマ娘ならば足元をとられ、思うように加速できないままスタミナを消耗し沈んでいってしまう。現に先頭で内を通っていったゼロスさんは直線半ばで力尽きている。比較的良いところを通った先行勢もハイペースな展開とバ場にやられ、ブリランテさんとコスモオオゾラさん以外はみんな沈んでいってしまった。

 

 「わーいわーい、 とりゃ!!」

 

 「ぐおっ!?」

 

 スタンドから降りウイニングランから戻ったゴルシちゃんを迎えに行くと、なぜか一番手で迎えた北山サブトレーナーがドロップキックをくらっていた。

 

 「へっつへーんどうよ?」

 

 「シップちゃん! すごいよ!」

 

 「やりましたね! シップ!」

 

 「トレーナーさん・・・大丈夫ですか?」

 

 チームに G1 タイトル、それもクラシックでのものをもたらした彼女にみんな駆け寄って祝福の言葉をかける。 北山トレーナーはアスカ先輩たちに介抱されていたが、流石に手加減はしたらしく大丈夫そうだ。

 

 「シップ! よくやった!!」

 

 須川チーフも嬉しそうだ。 トレーナーとして最高の名誉の一つであるクラシック制覇を手にしたのだ。 流石に感極まったのかみんなの輪を突っ切って行き、ゴルシちゃんに抱擁している。こうした大レースに勝利した時にウマ娘とそのトレーナーが喜びの抱擁を交わすのはよくある光景だが、ゴルシちゃんはよほど嫌だったのか無表情で固まってしまっている。さっきまでみんなに祝福されニコニコしていたのに・・・。あんなに目に光がない彼女は初めて見た。

 

 <くそっ・・・

 

 くうぅ・・・

 

 近くではレースに敗れたウマ娘たちの姿が見える。 悔しそうにしている者、泣いてしまっている者、全力を出し切って晴れやかな表情の者・・・様々だ。

 

 「ゴールドシップ 、やられたぜ。まさかあんな所通って行くとはな・・・。」

 

 そんなウマ娘たちの中からエースさんがこちらへ歩み寄って来た。道を作るようにみんなゴルシちゃんから少し離れる。

 

 「だが、これで勝ったと思うなよ。次はこうは行かねぇ。宣戦布告だ・・・ダービーではアタシが勝つ・・・!」

 

 「!」

 

 ゴルシちゃんを見据えて堂々と言い放つ。そうだ、皐月賞は終わったがクラシックはまだ始まったばかり。次は日本ダービーがあるのだ。

 

 「・・・へっ!面白え・・・。おかげで助かったが、レースじゃあ容赦しねえ・・・。全力で来な・・・!」

 

 トレーナーさんの抱擁から解放されたゴルシちゃんも言い返す。二人はもう次のレースを見据えているのだ。きっとエースさんだけではない、次のダービーではゴルシちゃんをマークしてくるウマ娘が多くなるはずだ。今日よりも厳しいレースになる。世代の頂点を決める戦いは、まだ始まったばかりなのだ。

 

 

 

 

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   皐月賞 結果

 

 1 ゴールドシップ 追い込み 34.6  出遅れ

 2 ワールドエース 追い込み 2.1/2 34.9  スタート不利(つまずき)

 3 ディープブリランテ先行  3/4 36.7   掛かり   

 4 コスモオオゾラ 先行   ハナ  36.4

 5 グランデッツァ 追い込み 11/4 35.4   

 6 サトノギャラント 差し  ハナ 36.0

 7 ベールドインパクト差し  クビ 36.2

 8 メイショウカドマツ逃げ  ハナ 38.4

 9 モンストール   先行  1/2 36.4

 10スノードン    差し  3/4  36.2 出遅れ

 11アーデント    差し  ハナ 36.2

 12トリップ     先行  クビ 37.0

 13フジマサエンペラー差し  1/2  36.3

 14ロジメジャー   先行  3/4  37.1

 15シルバーウェイブ 差し  アタマ 36.0 出遅れ

 16マイネルロブスト  差し  3/4 36.4

 17ゼロス       逃げ  5   40.6

 18アダムスピーク   先行  8   40.2

  

 

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