「”待”ってたぜェ!!この”瞬間”をよォ!!」
突然立ち上がった葦毛のウマ娘がものすごい勢いで迫ってくる。
「入荷してから1週間、ここで”考える人”と化して張り込んでた甲斐があったぜ!」
「いやしかし信じられん!初見であれを買うとはッ!全く信じられん!なんてことだ!こんなやつがいたとはッ!!」
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「まさか中毒者か?いや、あれは先週発売だ・・・。学園内で売っているのもここだけだ・・・!やはり初見であれをッ・・・!」
「・・・なんてことだ、こんなヤベーやつがいたなんて・・・!見た目からじゃ全く見抜けなかったッ・・・!!」
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状況が飲み込めない。このジュースはなに?やべーのはお前では?1週間張り込みってなに?日本語のはずなのに何を言っているのか分からない。と言うか誰?このジュースは何?訳のわからないことが起こりすぎている。
「なあなあなあ!早く飲んでくれよ!そんでどんな味か教えてくれよぉ〜!気になって夜しか眠れねーんだよぉ〜!!」
混乱している私にさらに畳み掛けてくる。え?何?このジュースの味が知りたいの?
「頼むよぉ〜!1週間ずっと待ってたんだよぉ!誰も買わなかったんだよぉ〜!」
「わ、分かった。の、飲むから。飲むから落ち着いて・・・!」
勢いに押されジュースの蓋を開ける。味の想像がつかないが買ってしまった者を捨てるのも・・・・。ええい!!
ゴクリ
うっ・・・!?これは・・・・
「なあなあ!どうなんだよ?!うまいのか?!」
「な、なんと言うか・・・濃厚なんだけど後味はスッキリしてるし、青汁みたいな臭みがあるかと思えば爽やかなミントの味もする・・・。不思議な味だけど不味くはない・・・。」
そう不味くはない。・・・意外と飲める。
「・・・ちょっと癖になるかも。」
「おおー!!飲めば飲むほどうまいってか!?さすが宇宙の味だぜ!」
「よーし、ゴルシちゃんも宇宙進出してやるぜー!」
ウキウキで例のジュースを購入する葦毛のウマ娘。ゴルシちゃんって言うのか・・・。
「・・・うっ?!・・・ゲホッッ・・・・!!」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
口にした途端むせて無言になるゴルシちゃんと名乗るウマ娘・・・。どうやら口に合わなかったようだ。
「うぅ〜〜〜泣・・・」
ワァ、泣いちゃった!!
「うえ〜〜ん、アタシに宇宙はまだ早かったんだ。アタシには宇宙の味は理解できないんだぁ〜〜〜泣」
謎にショックを受けている様子のゴルシちゃん。ジュース一本口に合わなかっただけで大袈裟すぎでは?てか宇宙の味ってなんだよ。
「うぅ〜、アタシは未熟者だ〜。井の中の蝉だったんだぁ〜〜。」
「そんなに落ち込まなくても・・・。ただ口に合わなかっただけでしょ?」
・・・正直関わりたくはない。けどなんだか放置するのも気が引けるので一応励ますことにした。・・・一応ね。
「でもよぉ〜、アタシは宇宙の味を理解出来なかったんだぜ?とんだ未熟者なんだ。免許皆伝なんて夢のまた夢だぁ〜。」
・・・頑張れ、わたし。
「今は未熟者でいいじゃない。これから頑張って立派になればいいんだよ。ね?」
だいぶ適当な励ましの言葉を並べる。
「お前・・・こんなアタシを励ましてくれるのか・・・?」
「私も同じ未熟者だからね!未熟者だからこそこれから頑張ろうよ!(勢い)」
「お前・・・!いいやつだな・・・・!」
・・・なんとかなった、のか・・・?
「いよぉーーし!なら修行じゃあーっ!!目指せ将棋王ーーーッ!!!うおおおおお!!」
元気になったのか走り去ってしまった・・・。なんと言うか嵐のようなウマ娘だった。おかげでなんだかぐるぐる考えていたことが吹き飛んでしまった。
・・・未熟者だからこそこれから頑張ろう、か。
ズズ・・・ うーん。
気持ちが晴れたせいか謎のジュースがさらに美味しく感じる。あれほど感じていた焦りもなくなっていた。
ゴールドシップ・・・ロダンの彫刻「考える人」のポーズをとっていたが、ふと自分はウマ娘で人間ではないので適当でないと感じやめようとした。しかし同時にウマ娘も一人二人と数えることを思い出し、広義ではウマ娘も人であるとの考えも浮かんだ。そのうち果たしてウマ娘は人と言えるのか言えないのか、そもそもウマ娘の起源とは?私たちはどこから来てどこへ向かうのか。そんな疑問が湧き出てきたため後日エイシンフラッシュにぶつけた。エイシンフラッシュは熱を出した。