この広い広い世界を私と共に旅してみませんか?
勇者様に竜の導きがあらんことを!
勇者へ向けて手を差し伸べて笑顔で言うロゼッタ・ドラガリオン。
ギルド任務をこなしながら広い広い世界を旅するドラゴン騎士の女騎士。
たくさんの「楽しい」「元気」「癒し」をお届けする旅をしていたそんな彼女だが。
カタカタカタカタ。と、キーボードのタイプ音が響くある部屋。
ロゼッタが住む世界とはまた違う歪んだ時空の先にある世界。宇宙に浮かぶ宇宙飛行艦隊内の第二処置室…そこには黙々と自分の任務をこなす赤髪の女性、星科 静。
彼女が任務をこなす第二処置室の床に、突然バチリッと電気が走る。
決して船の故障ではない、その音が聞こえた瞬間静の手は一瞬止まるが再びキーボードを打ち込み始める。
「せーいーさーまー!」
笑顔で魔法陣から飛び出てきたロゼッタはワークチェアに座る静に後ろ抱きついた。
「はいはいどうしたの?」
突然時空の壁を越えてやってきたロゼッタに軽く返事を返しながら静は黙々と任務をこなす。
「……え、それだけ?」
「それだけって?それだけだけど?」
「静様なんかドライだよ?疲れてる?癒しいる?」
「まだ任務が残ってるから仕事モードなの。今はまだ構ってあげられないからベッドの上で眠って待ってて」
ロゼッタの方を見ずにパソコンの画面や手元の書類を見る静。普段自分に対して構ってくれる静とはまた違う冷たい姿に「あ、うん……ごめんね?」とロゼッタはシュン…と見てわかるほどに落ち込み静から離れる。
言われた通り処置室のベッドの上にちょこんと座り、任務をこなし続ける静の後ろ姿を眺めた。
膝を抱えてジッとロゼッタは静が任務を終わらせるのを待った。
カタカタと聞こえるタイプ音と、ペンを走らせる音、時折聞こえる静のため息、ただただ待っていたロゼッタはだんだん瞼が重くなる。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「よし、終わり…」
最後のカルテを書き終えて、同じ姿勢で作業を続けて固くなった身体を軽くストレッチでほぐし、纏めていた髪を解きながら「ロゼー?」と放置してしまったロゼッタを呼ぶ。
返事はなく、振り返ると…。
ベッドの上でスゥ…スゥ…と寝息を立て眠るロゼッタの姿がいた。
「………誘ってる?」
静自身心の中で呟いただろうが、身体を丸くして眠るロゼッタには聞こえない。
「ロゼさーん?起きないと今度は私が拗ねますよー?」
ぷにぷに、とロゼッタの頬を軽く突くが「んにゅぅう〜…」と声をあげてロゼッタは寝返りする。
「はぁ、疲れているならなんで来るんだか……医療従事者のお姉さんとしてはしっかり身体を休めて欲しいよ」
そう言いながら静はロゼッタの頭を撫でる。
「んっ…」
「………」
ロゼッタから聞こえた声に静の手が止まる。
起こさぬよう、ゆっくりその手はロゼッタの首筋に移動する。
「んん…ふぁ…」
「……ロゼッタ、起きないと私自制できなくなるよ」
「んにゅー……せーしゃまー」
プツンと静の中で何かが切れる音がした。
ロゼッタの寝言が聞こえた直後、静はロゼッタの耳に息を吹きかける。
「ひょわぁああ!?!?」
「ぶっ!!」
やってきたゾワゾワとした不快感ではない感覚、身体中の血が顔に集まるほど熱くなる感覚にロゼッタは飛び起き、当然顔を近づけていた静の顔面にロゼッタは頭突きすることになる。
「せ、静様!?い、い、いまな、なにしたの!?」
「まず謝りなさい……そして逃げないで、色々とロゼが悪いから」
「な、何が!?静様目が怖…い…?」
ベッドから逃げようとするロゼッタだが、足に力が入らずベッドに突っ伏してしまう。
「?、?、?」
顔を真っ赤にさせて困惑するロゼッタに静は小さく笑みを浮かべ、ロゼッタの耳元で。
「どうしたの?」
「ち、ちから、はいら、なくて……」
「ふーん…?」
静の吐息が耳にかかりロゼッタは震える。
そして(マズイ)と焦りの表情も見せる、ゆっくり静の方を見る。
「それで癒しを届けてくれる、可愛い私のドラゴン騎士のロゼッタちゃん?」
ネクタイを解きながら、頬を少し火照らせニヤリと笑う静がロゼッタを見つめる。
「私を癒していただけますか?」
Fin…?
オチなど無い!!(°▽°)by剣 紅夜