「ねぇロゼ」
「やだ」
任務を終え、ロゼッタとのギルド任務も終えた静は困っていた。
可愛いドラゴン騎士であるロゼッタが帰りたくないと言い出したのだ。
すでに静が使っているベッドの上でしっかり布団を被って横になっているロゼッタを見て、静は困った顔で軽く右手人差し指で頬を掻いた。
「今夜は静様のところにお泊まりするの」
「私は床で寝ろと」
ベッドの上で寝転がるロゼッタに対して静は呆れたように言うが、ロゼッタは「え?」と不思議そうに静を見た。
「ベッドでしょう?」
「え?」
「一緒に寝ようよ、ほら」
静が眠れるスペースを空けて、ニコニコ笑うロゼッタに静は深いため息をついた。
「本当にこの子は……この間私のベッドで寝ないとか言ってたくせに」
「あれは静様が悪いもん!」
思い出したのかロゼッタはプゥ…と頬を膨らませてジト目で静を見る。だがベッドから降りようとはしない。
(あー、もう、本当に可愛いなこの子は)
なんて内心で呟き、諦めて静はため息をついて着ていた白衣をワークチェアに向かって脱ぎ捨てて、ロゼッタが横になっているベッドに腰掛けた。
「静様、そのまま寝たら制服シワにならない?」
「明日は休み、クリーニング出すから大丈夫。ロゼだって普段の服のままなんだし、いいでしょ?」
会話をしながら纏めていた髪を解いて部屋の電気も消し、静はベッドの上に横になる。
ロゼッタと向き合うように横になるが、少し距離は遠い。
それに対して気に食わないのかロゼッタはムッとした顔で静を見た。
「静様遠い」
「ロゼが狭くなるでしょ?」
「良いからもうちょっと近くに来てよ」
言われた通り静は少しロゼッタに近づいて「これで良い?」と聞くが「もっと」とロゼッタから返された。
渋々近づきほとんど近くにいる状態になると、ロゼッタから静を抱きしめた。
「ちょっとロゼ?!」
静の身体(胸あたり)に顔を埋めて、満足気にロゼッタは笑う。
「ふあぁ…静様あったかーい」
「はあ…まあ良いけど……おやすみ、ロゼ」
ロゼッタを抱きしめて静は目を閉じた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
深夜…。
「静様、静様」
「んー?」
名前を呼ばれ起こされた静は片目を開け、眠た気に「なーに?」とロゼッタの方を見た。
やってきた温もりと唇に感じる感触。
先ほどまで眠っていた静にはそれが何かと気づくのに時間がかかった。
気づいた時にはロゼッタの顔は静から離れていて、照れくさそうにロゼッタは笑った。
「静様、誕生日おめでとう♪生まれてきてくれて、ありがとう」
「……え?」
まだぼんやりとする頭で、つけたままになっていた腕時計で時刻や日付を確認する。
2/6 0:00
それを見て静はようやく思い出したかのように「あ…」と呟いた。
「そっか、私の誕生日か」
「うん、だから静様のところにお泊まりしたかったの…覚えてるかと思ってたけど、忘れてたんだね」
「うん。ありがとう、ロゼ…思い出させてくれて」
激務が続く中、時間の間隔も日付の間隔もあやふやになりつつあった静。
自分の誕生日に気にかけるような暇もなかった。
「じゃあ、さっきのキスはお祝いってことかな?」
「言わないでよ…恥ずかしいじゃん。静様寝ぼけてたから気づかないと思ったのに…」
「最初はわからなかった」
ロゼッタの頬に右手を添えて「ね、ロゼ」と名前を呼びロゼッタは静を見た。
「誕生日プレゼント、一番にくれる?」
「え、今?用意、してるけど…」
「ううん、私が今欲しいプレゼントは……」
抱きしめる力を強め、右手をロゼッタの顎に移し…
「ロゼの熱」
再びやってくる互いの熱。
唇を通して伝わる静の熱にロゼッタはビクリと身体を跳ねさせるが逃さないと言わんばかりに静はロゼッタを抱きしめる。
顔に集中する自分の熱に、静の熱にロゼッタはたまらず目を閉じる。
静かな部屋に布が擦れる音と一緒にリップ音が響いた。
お互いの唇が離れ、静は軽くコツンとロゼッタの額に自分の額を当てる。
「お祝いしてくれてありがとう、ロゼッタ。大好きだよ…」
Fin…
2022/02/06
(改めまして。
星科さん、誕生日おめでとうございまーす!)
by剣紅夜*(^o^)/*