決闘者の矜持-デュエリスト・プライド-   作:ホッシー@VTuber

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4ターン目

「な、何!?」

 機械仕掛けの翼竜から伸びたコードは巨大な手によって弾かれ、神成さんはもちろん、あたしを含めた観客たちは息を飲んだ。

「……どんなことにも、無駄な行いなんてない」

 そんなあたしたちに対し、いつの間にか俯いていた破魔さんは驚くほど低い声でそう呟いた。彼女の手に持つ1枚のカードが輝いている。あれが、巨大な手の正体?

「<増殖するG>で手札を増やしたおかげで、あの子をこの手に引き寄せられた。あの子がその機械にちょっかいをかけてくれたから……この子を起動することができた!」

 そう叫びながら顔を上げた彼女はその輝くカードを掲げる。巨大な手だったそれはその動きに合わせ、彼女の背後に姿を現した。

 魔法使いのようなとんがり帽子をかぶり、腰には巨大なハサミ、手には巨大な槌。人の形をしたそれだが、関節部分は球体が嵌められているため、人形であることが明白だった。

「手札から<ウィッチクラフトゴーレム・アルル>の効果を発動!」

「『ウィッチクラフト』!? 彼女のデッキは『ライトロード』デッキではなかったの!?」

 養護の先生の絶叫にあたしは目を白黒させてしまう。確か、今の主流はカテゴリーを揃えるのが当たり前だと言っていた。しかし、破魔さんのデッキには『ライトロード』とは違うカテゴリーのカードが入っている。もしかして、彼女のデッキはカテゴリーを揃えていない?

 そんなあたしの疑問を浮かべていると破魔さんの背後にそびえ立つ巨大なゴーレムはその姿を完全に現し、無機質な表情を浮かべつつ、しっかりと機械仕掛けの翼竜を見つめていた。

「自分フィールドの魔法使い族モンスターが相手の効果の対象になった時、または攻撃対象に選択された時、相手フィールドのカード1枚または自分の墓地の『ウィッチクラフト』魔法カードを対象として発動できる! このカードを特殊召喚し、対象のカードを持ち主の手札に戻す! もちろん、対象に取るのは<サイバー・ドラゴン・インフィニティ>! さぁ、格納庫へ帰りなさい!」

「な、何!? 俺の<サイバー・ドラゴン・インフィニティ>が!?」

 ジッとしていた巨大なゴーレムが動き出し、巨大な槌を振りかぶる。そして、野球でバットを振るうようにして機械仕掛けの翼竜を吹き飛ばした。翼竜の周囲に飛んでいた光の球はそのまま神成さんの墓地へ落ち、吹き飛ばされた翼竜はその姿を消す。

 

 

 

<ウィッチクラフトゴーレム・アルル>

星8/光属性/魔法使い族/攻2800/守 0

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが手札に存在し、自分フィールドの魔法使い族モンスターが相手の効果の対象になった時、または相手モンスターの攻撃対象に選択された時、相手フィールドのカード1枚または自分の墓地の「ウィッチクラフト」魔法カード1枚を対象として発動できる。

このカードを特殊召喚し、そのカードを持ち主の手札に戻す。

(2):相手スタンバイフェイズに発動する。

このカードを持ち主の手札に戻す。

 

 

 

「……」

 あまりの展開に会場の全員が無言になっていた。しかし、その次の瞬間、破魔さんの一手に歓声が沸き上がる。先ほどまでとは違う、彼女の実力を評価した純粋なそれだった。

「<サイバー・ドラゴン・インフィニティ>がフィールドからいなくなったことにより、<ライトロード・マジシャン・ライラ>に対する効果は不発となる。さぁ、まだあなたのターンよ」

「……ただで終わらせるかよ! 手札から<オーバーロード・フュージョン>を発動する!」

 強力なモンスターを除去されたことで顔を歪ませていた神成さんだったが、すぐに気持ちを切り替えて次の一手を打った。今回の決闘(デュエル)で初めて使用された魔法カード。一体、どんな効果なのだろう。

「フィールド・墓地から機械族・闇属性の融合モンスターによって決められた融合素材を除外し、その融合モンスターを融合召喚する! 俺は墓地の<サイバー・ドラゴン・ネクステア>と<サイバー・ドラゴン・ノヴァ>を除外! 来い、<キメラテック・ランページ・ドラゴン>!」 

「融合、モンスター……」

 エクシーズの次は融合。こうやってすぐに立て直せるということは『サイバー・ドラゴン』デッキは養護の先生の言うとおり、サポートカードが多いのだろう。

 しかし、神成さんが召喚したモンスターの攻撃力は2100。<ウィッチクラフトゴーレム・アルル>には届いていない。他に強力な効果でもあるのだろうか。

「カードをドロー」

「<キメラテック・ランページ・ドラゴン>の効果発動! 1ターンに一度、デッキから機械族・光属性モンスターを2体まで墓地に送る。そうすることでこのカードは通常の攻撃に加えて墓地に送ったモンスターの数まで攻撃することができる! 墓地に送るのは<サイバー・ドラゴン・ヘルツ>と<超電磁タートル>!」

 

 

 

 

<オーバーロード・フュージョン>

通常魔法

(1):自分のフィールド・墓地から、機械族・闇属性の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

 

 

 

<キメラテック・ランページ・ドラゴン>

星5/闇属性/機械族/攻2100/守1600

「サイバー・ドラゴン」モンスター×2体以上

このカードの融合召喚は上記のカードでしか行えない。

(1):このカードが融合召喚に成功した時、このカードの融合素材としたモンスターの数までフィールドの魔法・罠カードを対象として発動できる。

そのカードを破壊する。

(2):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。

デッキから機械族・光属性モンスターを2体まで墓地へ送る。

このターン、このカードは通常の攻撃に加えて、この効果で墓地へ送ったモンスターの数まで1度のバトルフェイズ中に攻撃できる。

 

 

 

 融合素材として除外→<サイバー・ドラゴン・ネクステア>、<サイバー・ドラゴン・ノヴァ>

 墓地→<サイバー・ドラゴン・ヘルツ>、<超電磁タートル>

 

 

 

「攻撃回数を増やした? 意味なんてないのに……それにあのモンスターで破壊できるのは魔法・罠カードだけ。これじゃ、<ウィッチクラフトゴーレム・アルル>は倒せない」

「いえ、彼の目的はそこじゃない。モンスターを墓地に送ることよ」

「墓地に送られた<サイバー・ドラゴン・ヘルツ>の効果発動! このカードが墓地に送られた時、デッキ・墓地から<サイバー・ドラゴン>1体を選んで手札に加える! <サイバー・ドラゴン>をサーチ!」

 

 

 

<サイバー・ドラゴン・ヘルツ>

星1/光属性/機械族/攻 100/守 100

このカード名の(2)(3)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):このカードのカード名は、フィールド・墓地に存在する限り「サイバー・ドラゴン」として扱う。

(2):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。

このカードのレベルをターン終了時まで5にする。

この効果の発動後、ターン終了時まで自分は機械族モンスターしか特殊召喚できない。

(3):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。

自分のデッキ・墓地からこのカード以外の「サイバー・ドラゴン」1体を選んで手札に加える。

 

 

 

 養護の先生の言葉が正しかったことを証明するように神成さんは<サイバー・ドラゴン>を手札に加えた。墓地に送る効果は一見、デメリットに見えるが墓地に送ることが真価を発揮するカードもあるようだ。

「そっちのゴーレムは倒せないが……さすがにその白い魔法使いには退場してもらう! バトル! <キメラテック・ランページ・ドラゴン>で<ライトロード・マジシャン・ライラ>を攻撃!」

「くっ……」

 <ライトロード・マジシャン・ライラ>が破壊され、ソリッドヴィジョンの演出で爆風が巻き起こり、破魔さんが顔を庇う。その間に彼女のLPが減少した。

 

 

 破魔 LP:8000→7600

 

 

「そのままターンエンド」

「……」

 神成さんはゴーレムを睨みつけながらバトルフェイズを終了し、ターンを終えた。それに対し、破魔さんは余裕を見せているわけでもなく――むしろ、手札を見ながらどうしようか考えているようだ。

(あれだけ相手の動きを読んで状況を打破したのに……どうして?)

 あたしが疑問に思う中、怒濤の2ターン目が終了した。

 

 

 

 

 

 

 2ターン目終了

 

 破魔 LP:7600

 神成 LP:8000

 

 破魔 手札:6枚 フィールド:<ウィッチクラフトゴーレム・アルル>

 神成 手札:3枚 フィールド:<サイバー・ドラゴン>、<キメラテック・ランページ・ドラゴン>、伏せカード1枚

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