決闘者の矜持-デュエリスト・プライド-   作:ホッシー@VTuber

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6ターン目

「サイレント、マジシャン……」

 破魔さんのフィールドに現れた青を基調とした魔法使い衣装を身に纏う女性。破魔さんに似た白銀の髪を持つ彼女は凛とした表情を浮かべ、真っ直ぐ前を見つめていた。あと、魔法使い衣装の腰の部分にスリットが入っており、そこはかとなくエッチな感じがする。

「<沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン>の攻撃力は私の手札×500アップする。私の手札は4枚。よって、彼女の攻撃力は3000!」

「破魔さんのモンスターが<サイバー・ドラゴン>たちの攻撃力を上回った!」

「バトル! <沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン>で<キメラテック・ランページ・ドラゴン>を攻撃!」

「ちっ……墓地の<超電磁タートル>の効果発動! このカードを除外してバトルフェイズを強制終了する!」

「……メインフェイズ2へ移行。カードを1枚セットしてターンを終了する。これにより、私の手札が3枚に減って<沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン>の攻撃力は2500になる」

 

 

 3ターン目終了

 

 破魔 LP:7600

 神成 LP:8000

 

 破魔 手札:3枚 フィールド:<沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン>、伏せカード1枚

 神成 手札:2枚 フィールド:<サイバー・ドラゴン>、<キメラテック・ランページ・ドラゴン>

 

 

 

 

 

 突如として現れた強力な魔法使いに神成さんは呆気に取られていたが慌てて<超電磁タートル>を除外してバトルフェイズを終了させた。あのカードはデュエル中に一度しか使用できないカード。使わせたのはよかったが神成さんのモンスターは2体とも健在。このままでは<サイバー・ドラゴン・インフィニティ>が現れてしまう。

「まさか、あんなカードを入れてるとは思わなかったわ……それより、有栖川さんはどうしてあのカードが来ることがわかったの?」

「え? あ、そのー……何となく、ですかね」

 養護の先生がジト目でこちらを見つめてきたのでそっと目を逸らした。

 今もなお、<エフェクト・ヴェーラー>が破魔さんの周囲を楽しそうに飛び回っていたり、<沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン>のカードだけが違うとわかったり、と不思議なことが起きているのであたし自身、混乱しているのである。

「あの状況で攻撃力を上回るモンスターを召喚するとは思わなかったが……<エフェクト・ヴェーラー>だけじゃ、止められない! 俺のターン、ドロー!」

 神成さんは破魔さんを守るように立つ<沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン>を睨みつけながらデッキからカードを引き、そのまま手札に加えた。

「<キメラテック・ランページ・ドラゴン>の効果を発動! デッキから<サイバー・ドラゴン・コア>と<サイバー・ドラゴン・ヘルツ>を墓地へ! 更に続けて墓地に送られた<サイバー・ドラゴン・ヘルツ>の効果で<サイバー・ドラゴン>扱いとなっている<サイバー・ドラゴン・コア>を墓地から手札に加える!」

 <キメラテック・ランページ・ドラゴン>の墓地にカードを送る効果は起動効果。フィールドに残っていれば繰り返し、使用できる。一応、<エフェクト・ヴェーラー>で止められるが、この後に登場するカードを知っているため、破魔さんは一切動かなかった。

 

 

 

<サイバー・ドラゴン・コア>

星2/光属性/機械族/攻 400/守1500

このカード名の(2)(3)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):このカードのカード名は、フィールド・墓地に存在する限り「サイバー・ドラゴン」として扱う。

(2):このカードが召喚に成功した場合に発動する。

デッキから「サイバー」魔法・罠カードまたは「サイバネティック」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

(3):相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、墓地のこのカードを除外して発動できる。

デッキから「サイバー・ドラゴン」モンスター1体を特殊召喚する。

 

 

 

 墓地→<サイバー・ドラゴン・コア>、<サイバー・ドラゴン・ヘルツ>

 手札→<サイバー・ドラゴン・コア>

 

 

 

「手札の<銀河戦士(ギャラクシー・ソルジャー)>の効果を発動! <サイバー・ドラゴン・ネクステア>を墓地に送ってこのカードを特殊召喚!」

「また、<サイバー・ドラゴン>扱いになるカードが墓地に……」

「いえ、状況はもっと最悪よ……これで<キメラテック・ランページ・ドラゴン>を素材にしなくても【エクシーズ召喚】が可能になった」

「レベル5の<サイバー・ドラゴン>と<銀河戦士(ギャラクシー・ソルジャー)>でオーバーレイ・ネットワークを構築! エクシーズ召喚、<サイバー・ドラゴン・ノヴァ>!」

 養護の先生の言葉にハッとしてフィールドに視線を戻せば丁度、神成さんが【エクシーズ召喚】をするところだった。彼のフィールドに再び、<サイバー・ドラゴン・ノヴァ>が召喚される。

「そのままエクシーズ・チェンジ! 来い、<サイバー・ドラゴン・インフィニティ>!」

 そして、呼吸を置かずに凶悪な機械仕掛けの翼竜が舞い戻ってきてしまう。翼竜は『さっきはよくもやってくれたな』と言わんばかりに破魔さんに向かって咆哮を放った。その凄まじい威圧にソリッドヴィジョンなのにあたしは小さく悲鳴を上げてしまう。

「……」

 そんな翼竜に対し、彼女は微動だにせず、ジッと見つめ返していた。来るなら来い。何も言っていないのに彼女の立ち姿から自然とそんな言葉が思い浮かんでしまう。

「……ふん、動かないのならいかせてもらう! <サイバー・ドラゴン・インフィニティ>の効果を発動! <沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン>を対象に取って吸収する! さぁ、お前のエースが飲みこまれるところを見ているんだな!」

「そう簡単にいくかしら? 手札から<エフェクト・ヴェーラー>の効果を発動! <サイバー・ドラゴン・インフィニティ>の効果を無効にする!」

 彼女の周囲を飛んでいた小さな妖精が勢いよく翼竜へと飛んでいく。その光景は見たことがある。さっきは妖精が命をかけてゴーレムの起動を手助けしてくれた。だが、今回は――。

「――<サイバー・ドラゴン・インフィニティ>の効果! X素材を1つ取り除き、その効果を無効にする!」

 伸びるコード。翼竜に迫る妖精。そして、その妖精を迎え撃つために翼をはためかせる。その瞬間、破魔さんが微笑んだ。

 

 

 

 

(トラップ)カード、オープン! <スキル・プリズナー>!」

 

 

 

 

「す、<スキル・プリズナー>!?」

「なんで、そんなマイナーカードが!?」

 破魔さんの発動したカードを見て神成さんと養護の先生が同時に叫んだ。どうやら、マイナーカード――あまり使われてないカードのようだが、一体どんな効果なのだろうか。

「自分フィールドのカード1枚を対象に取って発動する。対象に取ったカードを対象として発動したモンスター効果を無効にする! 対象は<沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン>!」

 妖精と翼竜がぶつかる直前、<スキル・プリズナー>から放たれた光が<沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン>を包みこまれた。そして、妖精が翼竜に跳ね飛ばされてしまう。しかし、妖精はフィールドに光に包まれている青い魔法使いを見て嬉しそうに微笑み、消滅した。

「<サイバー・ドラゴン・インフィニティ>の効果は対象に取るモンスター効果! よって、その効果は無効となる!」

 破魔さんの言葉通り、翼竜のコードは<沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン>に触れる前に彼女を包んでいた光に阻まれ、捕らえることができなかった。

 

 

 

<スキル・プリズナー>

通常罠

自分フィールド上のカード1枚を選択して発動できる。

このターン、選択したカードを対象として発動したモンスター効果を無効にする。

また、墓地のこのカードをゲームから除外し、

自分フィールド上のカード1枚を選択して発動できる。

このターン、選択したカードを対象として発動したモンスター効果を無効にする。

この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。

 

 

 

「な、なんなんだよ……なんで、そんな意味わかんねぇデッキでどうにかできんだよ!」

「酷い言いようね。これでも何年もかけて鍛え上げた(・・・・・)デッキなのよ?」

「うるせぇ……うるせぇうるせぇ! 手札から<サイバー・ドラゴン・コア>を通常召喚! そのまま効果を発動! 『サイバー』魔法・罠カードまたは『サイバネティック』魔法・罠カードを手札に加える! <サイバー・レヴシステム>をサーチ!」

 何度も邪魔をされ、冷静さを欠いてしまったのか。神成さんは声を荒げながら決闘(デュエル)を再開した。<サイバー・ドラゴン・インフィニティ>を止めたが神成さんのターンは続いている。それに<エフェクト・ヴェーラー>を使用したことで手札が減り、<沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン>の攻撃力が2000に下がってしまった。このままでは青い魔法使いは戦闘破壊されてしまう。

「そのまま<サイバー・レヴシステム>を発動! 自分の手札・墓地から<サイバー・ドラゴン>1体を選んで特殊召喚する! 更に特殊召喚したモンスターは効果では破壊されない!」

「あなたもよくテキストを読むべきね! <沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン>の効果を発動! 1ターンに1度、魔法カードが発動した時に発動できる! その発動を無効にする! ≪サイレント・マジック≫!」

 破魔さんが神成さんのフィールドで表になった<サイバー・レヴシステム>を指さして叫ぶとジッと佇んでいた<沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン>が杖に魔力を溜めた後、一気に放出して<サイバー・レヴシステム>を破壊する。

 よくテレビで放映されているプロの決闘(デュエル)では特定のモンスターが効果、もしくは攻撃する際、技名を叫ぶところを見たが、この決闘(デュエル)で初めてそれが行われた。そのおかげで臨場感が生まれ、観客たちは歓声を上げる。

「あ、あぁ……」

 その歓声に神成さんは明らかに動揺していた。『オベリスク・ブルー』が『オシリス・レッド』に押されている。フィールドの状況を見れば決してそんなわけではないのに今まさにこの決闘(デュエル)の流れを掴んでいるのは破魔さんだった。

 きっと、それが神成さんの矜持(プライド)を傷つけたのだ。

「……飲まれたわね」

「え?」

「そ、そんなモンスター、すぐに消し去ってやる! バトル! <サイバー・ドラゴン・インフィニティ>で<沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン>を攻撃! こっちの攻撃力はX素材が一つだから2500。それに対してそっちは手札が2枚だから2000!」

 養護の先生の言葉の真意を確かめる前に神成さんはバトルフェイズに入った。神成さんの怒りを汲み取ったのか、<サイバー・ドラゴン・インフィニティ>は口から<沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン>に向かって太いレーザーを放つ。青い魔法使いは負けじと青い魔法を放つが、攻撃力が足りないせいでレーザーに飲み込まれ、破壊されてしまう。

 

 

 

 破魔 LP7600→7100

 

 

 

「……」

 破魔さんはエースを破壊されたはずなのに黙って神成さんを見つめていた。いや、違う。彼女は神成さんではなく、彼女の前で半透明になりながらも存在し続ける――破壊されたはずの<沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン>を見ていた。

「なんで……そいつは俺のモンスターに破壊されたはずなのに……」

「……<沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン>の最後の効果を発動。このカードが戦闘または相手の効果で破壊された場合、手札・デッキから<沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン>以外の『サイレント・マジシャン』モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する!」

「な、なに!?」

 半透明の青い魔法使いは目を閉じ、杖に魔力を貯めていく。そして、少しばかりエッチな衣装が少しずつ変化していき――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、私のエースよ、真なる姿を現せ! 手札(・・)から<サイレント・マジシャン LV8(レベルエイト)>を特殊召喚!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――大人に成長した白銀の魔法使いが姿を顕現した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン>

星4/光属性/魔法使い族/攻1000/守1000

このカードは通常召喚できない。

自分フィールドの魔法使い族モンスター1体をリリースした場合のみ特殊召喚できる。

(1):このカードの攻撃力は、自分の手札の数×500アップする。

(2):1ターンに1度、魔法カードが発動した時に発動できる。

その発動を無効にする。

(3):フィールドのこのカードが戦闘または相手の効果で破壊された場合に発動できる。

手札・デッキから「沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン」以外の

「サイレント・マジシャン」モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。

 

 

 

 

 

 

 

 

<サイレント・マジシャン LV8(レベルエイト)

星8/光属性/魔法使い族/攻3500/守1000

このカードは通常召喚できない。

「サイレント・マジシャン LV4」の効果でのみ特殊召喚できる。

(1):このカードは相手の魔法カードの効果を受けない。

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