第2話
アスナと永遠に別れて、今日で何日が経つだろう。
君が居ないこの世界は、色が無くてつまらない。
悲しいくらいに残酷で、ゲームの楽しさが全て削がれてしまったような世界だったよ、アスナ。
私はあれから、《レーゼルの村》に寝泊まりしている。圏外村だから、寝ているところを丁度よく殺されたり、モンスターに襲われたりしないかな____と、そんなことを考えたからだ。
そこに行くまでの道でも、片っ端からモンスターを狩った。大規模リンク等の事故が起きて偶発的に死ねるか、モンスターに殺されるかを狙ったのだが、逆にLvが2も上がってしまって逆効果だった。
もうこの辺りには、単体で私を脅かすモンスターは居ないらしい。
私は最前線まで飛び込むか、フィールドボスにソロで挑むかを考えた。
フィールドボスにソロで挑むのは自殺行為に過ぎないし、アスナも怒るだろう。
しかし、LAボーナスがソロならば取り合いにならず、安定してもらえるので、ハイリスク・ハイリターンな訳だ。
だとするならば、ここは大きな賭けに出るべきだと、寝不足の頭で考える。
ここのフィールドボスは狼型で、ボス狼が存在する。
そいつが吠えると、雑魚狼までが集まって囲まれるというとんでもなくソロに向かないボスだった。
高確率で死ねる、そう踏んだ私はすぐに行動に移した。
レーゼルを出てすぐ。
狼は現れた。
吠えるまでには時間がある。
ラスト1本のHPバーが4分の1になると吠えるのだ。
だから、4分の1からは一気に削れば何ら問題はない。
そう踏み、フィールドボスを見る。
______ガルルルルル…
_______食い殺して。
狼が牙を剥く。
______私を、殺せ。
狼が地を蹴って、まだなんの効果も発さない大声で吠えた。
________………煩い。
狼は意外と固く、午後7時に村を出たのにも関わらず、現在は午前1時。
大鎌を強化していないのと、硬直時間によるロスタイムが原因だ。
しかし、出直す訳には行かない。
何故なら、HPバーはあと1本。
ここで引くには勿体なさすぎる。
それに、死ねるかもしれない。
「はああああッ!!!」
疲労困憊の身体に鞭を打ち、大鎌ソードスキル《モーアー》を発動。
HPは数ドットしか減らないが、繰り返していけば撃破出来る。
そう思ったのだが。
___アオオオオオオン,!!!!
狼が吠えた。
嘘だと、思ったが。
嘘ではない。その証拠に、辺りを埋め尽くす狼が集まっている。
_____1人じゃ手の打ちようがない。
急に食い殺されることへの恐怖が湧いてくる。
生暖かい温度に、身体に食いこんでくる大きな刃。多分、それだけでは留まらず、雑魚狼にも身体を引き裂かれて__________
しかし、私は最後の手を残している。
レーゼルの村へと私は駆け出した。
その村は、広場があった。
そこだけ外周への柵が無くて。
踏み台のようなベンチがあって。
______待て!!!!!
私は、広場を目指して走った。
ギリギリだったが、ベンチを踏み台にして身を投げ出す。
無事に飛び降りる感覚を味わって、大鎌はもう要らないから、捨てても良かったんだ____と思う。
これで、この世界とは別れを告げられる。
そう思ったのだが。
ガク,と身体が止まる。
ふとしてみると、大鎌の湾曲した刃が外周に引っかかっていた。
______このままじゃ、自殺になる。
しかし、落ちるのも時間の問題だと思い、最期くらいはアスナを思い浮かべても良いだろうと目を閉じる。
_____おい!早まるな______!!!!!
ミシ、と音を立てて大鎌が外周に刺さる。
瞼の裏のアスナは、私の顔を見て____
_______大鎌の刃がある…生きてるのか!?_____
残り2cmといったところか。
___アスナ、どうしてそんな…叱るような顔をするの…?
「掴まれ!!」
少年の声に目を開く。
せっかくアスナを鮮明におもいだせたのに、と思いつつも、声のする方へと顔を向ける。
その男は、真っ黒な夜空のような瞳をしていた。さらさらとした黒髪は、リアルの私が憧れた純粋な黒で。年齢不詳の男は意外と色白で、線が細い。
その整った中性的な顔が、必死の形相でこちらを見ている。
その男は、大鎌の刃に手を伸ばして掴んだ。
「やめて!!貴方まで落ちちゃう!」
そう。私が落ちるのが先ならば、彼は共に引き込まれて落ちてしまう。
「そんなこと言ってられるか!!
ここで手を離したら、君は死ぬんだぞ!?」
嗚呼。恐怖を煽ることを言わないで。
必死に抑えてるんだから。
「私はもう良いの!!パーティメンバーを死なせて、ずっと独りで!!!!
こんな私を受け入れてくれる、一緒に居てくれる人なんて_____,もう誰も居ないんだから!!!
もう私は死にたいの!!!」
それが本心なのか?
それは私には分からない。
「君に何があったのかは、俺には分からない……けどさ、君がそこまで思い詰めて死んだら、その親友は君のことを怒ると思うんだ。」
「________…だから何?」
アスナは、怒るかもしれない。
だけど私はアスナに会いたいんだ。
どうしても_________
「「
「______!」
男と明日奈の面影が重なる。
真っ直ぐな瞳は、色こそは違うが本質は同じだ。
やけに正義感が強くて、芯が強くて____
「君だけだろ、その親友の命をつないでいけるのは。」
_____そうだね。
私は、明日奈の命を繋いでいける…そんな風に考えることが許されるのかなんて分からない。
だけど、それが許されるのなら。
信じても良いなら。
自分の目から涙が流れていることを意識しながら、私は左手を持ち上げ、大鎌の柄を掴んだ。
その手でゆっくりと体を引っ張り上げ、右手を柄から離すと、男が差し出す左手に向けて思い切り手を伸ばした。
キリト君登場ですね!
森では多分ミトが倒しちゃうので、どうしようかと悩んだ結果こうなりました()
次回作はもうちょっとキリミトしている筈なので、是非楽しんで頂けると嬉しいです!
①ミトにユニークスキルを付けた方が良いですか?
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①付けた方が良い
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①要らない