第3話_
「…さっきは、ありがとう。」
ぶっきらぼうにそう述べる。
こんな時、明日奈だったらきっと笑顔を絶やさずに、愛想良く礼を言うのだろうが私には真似の出来ない芸当である。
「い、良いんだ。俺も、いきなり初対面で説教じみたことして悪かったし…」
と、正体不明の男はそう述べる。
下から見上げていた時は分からなかったが、実際は長身の私より少し背が低く、前髪でせっかくの眼が隠れていた。
如何にもコミュ障です、というような外見に驚きつつ、私も大して変わらないか、と思う。
現在地は、レーゼルの村の民家_____にある地下のバー。
この男と少し話をするために場所を提供してもらったのだ。
「自己紹介が遅れたわ。私は《ミト》。見ての通り大鎌使い。」
と、またも無愛想な自己紹介をする。
これくらいしか思い浮かばないのだ、許して欲しい。
「ミトか。
俺は《キリト》だ。武器は片手直剣。
改めて宜しくな。」
キリト、と名乗った男は、同じく無愛想というかシンプルな自己紹介を返してくる。
凄く疑問なのだ。
何故バーなのか?
もっと場所はあっただろうに_____と思うが、彼なりの気遣いだとは思うので大人しく受け取ることにする。
「好きな奴飲めよ。ここ、他じゃ飲めないものばっかりだからさ。」
そうは言われても、カクテルなんて知らないのだ。
首席を取り続けているミトでも、酒についての知識はあまり無い。
しかし、英語くらいなら余裕で読めるため、名前から適当なものを決める。
「じゃあ私は、ライム入り炭酸水で。」
「じゃあ俺はギムレットにしようかな。」
そう私たちが呟くと、マスターは聞き逃すことなく作り始める。
「ギムレットって、あれでしょ。は遠い人を想う,長いお別れ,みたいな意味があるカクテルだよね。
…ギムレットには早すぎる、とでも言いたいの?」
そう、からかうように言ってみる。
「さぁな。アンタにそんな知識があるとは思わなかったよ。」
と、キリトはそう言う。
______なんか腹立つ。
知識が無いと思われていたのか、それとも自然になのかは分からないが、何となく腹立つ。
「貴方がそんなカッコつけるような人だとも思わなかったわ、」
と一言付け足しておく。
キリトは気まずそうに頭を掻き、ちょうど良い所にカクテルが運ばれた。
こういうグラスは割れやすいので、乾杯とぶつけてはいけないらしい。
そんなことを思い出して、2人ともが上品に顔の前にグラスを持ってくると、同じタイミングで飲み物を煽った。
「美味しい…」
アスナといろいろなものを飲んだが、たかが炭酸水がここまでおいしくなるとは思わなかった。
ライムの香りが鼻を抜け、疲れた偽物の脳へと染み渡っていく。
「気に入ったようで何よりだ。」
キリトは得意げにそう言う。
素直に顔に出してしまっていたこともだが、色々と恥ずかしくなって黙り込む。
____ちゃんと男子と喋っとくべきだったかなぁ。
と、私がそう思っているとき。
____ちゃんと女子と喋っとくべきだった_
と、キリトは頭を抱えていたそうだ。
「…それで、貴方は何でここを知ってたの?私はβテスターだけど、こんな場所知らなかった。」
「俺もたまたま見つけたんだよ。
最前線に居るんだけど、宿屋が最悪でさ……農家の家借りてるんだけど、そこがこのレーゼルにあるんだ。
その農家から聞いたんだよ。
親父さんがとんでもない酒豪で_________」
と、ぺらぺらと饒舌になり始めるキリト。
とりあえず部屋を借りていて、その部屋の持ち主がここを教えた。そういうことだろう。
私も知りたかった、
アスナを連れてきたかった____
そんなことを思っていると、あっという間に1杯を空にしてしまう。
しかし、本題には入れていなかった。
「2杯目、頼むか?」
「そうしましょ。
ええと_________じゃあ、この《バイオレット・フィズ》ってやつで。」
「じゃあ俺は、《ブルームーン》で。」
またマスターが手際よく作り出す。
「なぁ、アンタが頼んだカクテルってさ。」
「スミレのパルフェ・タムールが入ってる。そう言いたいんでしょ。」
キリトが言う前にそう横取りする。
我ながら嫌われそうなきがしないでもないが、キリトは笑いながら肯定した。
「そうだ。
あれって、着色料で色を付けているらしいんだ。」
カクテルが運ばれてくる。
私のカクテルは深い、澄み渡った紫のカクテル。
キリトのカクテルは、蒼くて、満月のようなレモンがグラスに差してある。
____この紫色は、偽物。
____私の強さも、思いも、偽物って事なのかな___
そう思い、自然と表情が曇る。
しかし、キリトは何故かフォローしてくれた。
「でも、この世界じゃ着色料なんて無いから。
全部本物の酒で、本物の姿なんだ。」
____何でそんなことを言えるのか?
スミレの良い香りを肺にいっぱい吸って飲み、言葉を噛み締める。
嗚呼、そういえば。そろそろ本題だ。
「ねぇ、どうして私を助けたの。」
これが聞きたかった。
自分が死ぬかもしれなかった。
それでも、私を引き上げてくれたのだ。
普通に考えれば見捨てるのが妥当だが、どうして____と。
「アンタに死なれたら困ると思ってな。
アンタ、この辺りのMOB一掃して来ただろ。見えてたぜ。
それだけの強さがあるプレイヤーをボス攻略に役立てないのが勿体ないと思ったんだ。」
「戦力にしたかっただけってこと?」
なんか、すごく利用された気が。
と思いつつもボス戦は参加しようと思っていた。
明日奈もきっと、応援してくれるだろう。
「まぁ、そういうことだ。
明日、トールバーナで攻略会議があるから、良ければ出てくれないか。」
答えはYesしかない。
「…出てあげないこともないかな。」
そう、いつものぶっきらぼうな調子で答えてキリトに笑われた。
素直じゃないな、と。
それから私は宿屋に戻り、今に至る。
日記をつけているのだ。
《REGENERATE BRAVE》という名の日記を。
ちょっとだけキリミトです!
力尽きてここまでになりましたが、次回はもう少しくらいいちゃつかせたい一心ですね()
①ミトにユニークスキルを付けた方が良いですか?
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①付けた方が良い
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①要らない