なぜか無限に勘違いされるんだが   作:雷電双丘の狭間

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お久しぶりです、リアルが忙しくて更新出来ていませんでした


第十話 敗北なんだが

 

私とタルタリヤがおもちゃ屋の前に戻ると、既に蛍とパイモンと鍾離先生が待っていた。

すっかり話し過ぎたみたいだな。

 

「いやぁ、待たせてごめんよ?少し話し込んでしまっていてね」

 

「そう気にするな『公子』殿。我々も有意義な時間を過ごす事ができた。その事実にむしろ感謝すべきだろう」

 

「そぉ、そうだぞ!オイラ達、とっっても有意義な話をしてたんだ!な、蛍!」

 

「うん、堕岩が怪しいって話をしてた」

 

「おい!」

 

「私を詮索しても無駄な事だよ、蛍。意味の無いことをするのは人間の特権だが、それは価値の無い人間のする事だ。価値ある君には勿体ないと思うんだけどね」

 

気取った言い回しで詮索を回避する。

せっかく蛍の前でボロ出してないのに『泣き飯』カミングアウトしちゃったらマジで尊厳を失う。それだけは避けたい。

 

「話して良いか?次は『永生香』を買う為に『不卜廬』に行くぞ。あそこは璃月で最も有名な薬舗だ」

 

「おや、もう行ってしまうのかい?オレはもっと話してたかったけどね。堕岩、付いて行ってあげてくれるかい?」

 

「いえ、私は他にやる事を見つけたので遠慮しておきます」

 

やる事…それは、帰終機の修理だ。

正しくはその周りに潜んでいる宝盗団の殲滅だが。まぁ蛍達の邪魔になるし消しておいて損はないだろう。

 

「「やる事?」」

 

「公子様と鍾離殿は息がピッタリですね。私が知らないだけで意外と仲がよろしいので?」

 

あまりにもシンクロしていたものだからつい口に出てしまった。少し目を見開いて私を見る仕草まで一緒だから少し面白かった。

 

「先に不卜盧で用事を済ませておいてください。私は天衡山に行ってきます」

 

そう言って私はさっさと出かけていった。

これ以上絡まれても面倒だしね。仕方ないね!

 

 

 

さて、さっさと終わらせよう。

私の視点の先には宝盗団のグループが二つ。三秒でケリをつけてやろう。流石に三秒は無理だけど。

一応念入りに潰す為に監視役の奴に規模を聞いておこう。

 

「こんにちは、このグループの規模は何人ですか?」

 

「何だテメェ!?いきなり現われや「何人ですか?」ガッ!「何人ですか?」ごっ!「何人ですか?」ぐべぇっ!」

 

近場にあった岩に宝盗団の顔を叩きつけまくる。次第に顔が潰れてきて痛そうだけど、コイツらがしてきた事を考えると妥当ではある。

宝盗団殺すべし、慈悲はない。

 

「もうやべでぐれーっ!言うがら!60人だ!それ以上はいないっ!」

 

「そうか!ありがとう、お陰で助かるよ!」

 

「よ、よかった、許「すわけねぇだろダボがァーーーッ!」ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

ふう。さっぱりした。

 

「さて…悪・即・斬で行こうか。剣持ってないけど」

 

私は氷で網を作り出し、軽く振りまわしてみる。

自分で作っただけあって振りやすくて良いな。

 

「お、オデの部下達が…何だお前は!?」

 

「地獄から来た男、堕岩マンだ!堕岩ストリングス!」

 

「Kiss☆SUMMER…!お前ら敵だ!であえであえ!」

 

「寝ている子を起こすなよ…マーベラー!」

 

なんて事はないただの蹴りを浴びせ、ついでに凍らせる。あとはなし崩し的に散り散りに逃げた宝盗団を凍らせて終わりだ。

 

チラリと生き残りがいないか確認すると、まだ元気そうなやつが一人うずくまっていた。なんか唸っているな。

 

「〜〜〜ッ!一緒このまま、負けたままで!生きたくない!お前に勝つ!へやぁっ!」

 

「───それは。ファデュイ製の銃?どうしてお前が…」

 

「射出!あ、あれ、出ない…おいマジかよコイツも使えねえのかよ!?あっ、ちょっとまってちょっと待って粉「イヤーッ!」グワーッ!」

 

危ない。少しタイミングが遅かったらまずい事になってた。

さて、宝盗団も片付けたし帰終器に行っておこう。

 

あ、血を流すの忘れてた。まあ良いか…洗うの面倒くさいし。それにしても遅いな、何をしているんだろうか。

暇だし料理でもして待っていよう。

 

 

 

「ひっつじ♪ひっつじ♪コッコナツヒツジー♪」

 

しばらく待っていたら、ウッキウキのパイモンと蛍が歩いてきた。丁度料理も出来上がった事だし、分けてあげるとしよう。

 

「待っていたぞ。蛍、パイモン」

 

「おいし…ひええっ!?血塗れだぞ…!こわい!」

 

パイモンが蛍の影に隠れてしまう。

そう怖がらなくても良いのに。私は今回に限っては完全に協力者なんだから、少しくらい心を開いてくれても良いと思う。

 

「何をしていたの?」

 

「邪魔者を片付けていただけだが。そうだ、君たちがここに来るだろうと思って料理を作ったんだがよし良ければ食べないか?」

 

私は二人に美味しそうな四方平和を差し出す。パイモンはその匂いに釣られてフラフラと出てきた。

おい、私の事を怖がっていたんじゃないのかよ。

だがむしろこれは好機かもしれない。パイモンとさえ仲良くなれれば、蛍もきっと私を警戒しなくなるはず。

 

「あぅ…その、食べていい…のか?」

 

「もちろんだ。好きなだけ食べるといい」

 

 

「──────待って」

 

蛍からストップが入ってしまった。やはり警戒されてまくっているようだ。仕方ない、これは私が後で一人で食べる事にしよう。

 

「それは私が食べる。毒味は必要でしょ」

 

「ほ、蛍…!」

 

「パイモンに変なものは食べさせない。それじゃあ、頂きます」

 

蛍は私から皿を受け取ると、あっという間に食べてしまった。その食べっぷりは凄まじく、まさしく「バクバク」といった擬音が似合うほどだった。

喜んでもらえて何より。

 

「ふぅ、美味しかった。パイモン、毒は入ってなかったよ」

 

「おい!お前が食べたかっただけじゃないか!」

 

「えへっ」

 

「おいっ!……堕岩、これしかないのか…?」

 

やめてくれパイモン、そんな捨てられた仔犬のような目線で見ないでくれ。勝手に身体が動いてしまうだろう。

私はいつの間にか松茸の肉巻きとおにぎりを用意してしまっていた。こ、こんなはずでは…うわーっ!

 

 

 

「わぁい!ごはんだ!いただきまーす!んーっ!おいしいぞ!堕岩は良い奴なんだな!」

 

ちょろい。私が本当に敵だったらどうするつもりだったんだ。まぁ実際ゲームシステム上毒は盛れないが、それでもベネット飯の前例がある。

人を傷つけられない飯がないわけではないのだ、用心するに越した事はないだろう。

 

「パイモン、食べ終わった?こっちはもう帰終器の修理終わったんだけど」

 

「流石は蛍!オイラが見てなくてもしっかりやる事をこなして偉いぞ!」

 

「ココナッツヒツジは見つかりそうかな?」

 

「何で知ってるの?」

 

「さっきパイモンが歌っていただろう」

 

危ない危ない、パイモンが上機嫌で歌ってなかったら私は無為に転生バレをかますところだった。こういうのは言わない方がいいというものだ。

それに、私が未来を知っていると知ったら利用しに来る奴らはごまんといるだろう。

それが煩わしいというのも理由の一つだ。

 

「あぁそれと…嘘つきには注意したまえ。彼は最初から君の味方ではない。全てが終わった時、初めて彼と友人になれるだろう」

 

鍾離先生は「淑女」との契約で璃月全体を混乱に陥れた黒幕とも言って良い存在だ。鍾離先生が悪い人?神では無いとはいえ、騙しているのは事実だ。

そして「全ての契約を終わりにする契約」、それを実行するために氷の女皇との契約を結んでいる。

ゆえに全てを盲信するのは危険だ。

 

「もぐもぐ…嘘つきってなんだ?」

 

「今はこれしか言えないな。これ以上は世界が危うい」

 

「世界が?」

 

「言葉の綾だ。要は、進むべき運命を変えてはいけないから言う訳にはいかない。と言っている」

 

シナリオブレイクしたらその余波で何があるかわかったもんじゃない。そもそも私はメインストーリーに関わる気は一切無かったんだが、なし崩し的に手伝うことになってしまった。

これが終わったら私の事を知るひとが少ないだろうスメールにでも住んでみようか。

 

「運命…あなたは占星術師なの?」

 

「違うとも。私はただのしがないファデュイさ」

 

私はその場から立ち去り、群玉閣を眺める。

アレが落ちるのかぁ。綺麗だし再建されるとは言え勿体無いと感じてしまうな。

どうにかしてオセルを群玉閣落とし以外で倒せないだろうか。

 

「しかし運命には逆らえない…落ちるべし、群玉閣」

 

ちょっぴり残念に思いながら、天衡山の頂上で空を仰いでいるとカッコつけたい気持ちになってきた。どうせ誰もいないんだ、例のセリフを言ってみても良いだろう。

 

「居るのは分かっている…私の眼前に出てきなさい」

 

「フ────恥ずかしがり屋さんめ。宜しい、私から目を合わせてあげるとしようか」

 

流石に居るわけないよな、と思ってカッコつけながら後ろを振り返ってみる。しかし、そこには私の予想とは違って驚愕の表情を浮かべている甘雨がいた。

 

え?今の聞かれてた?嘘だろ、恥ずかしすぎる。

 

「群玉閣を堕とすというのは本当ですか…?戯言にしては大言壮語が過ぎますよ…?」

 

正しくは“落ちる“なんだが、まあ良いだろう。甘雨はあまりストーリーには関係ないし、軽くなら説明してしまっても良いかな。

 

「あぁ、そうとも。群玉閣は堕ちる。たとえ私が何もしなかったとしても堕ちる。そう決まっているからだ」

 

だってストーリーでそう描かれてるし。しかし甘雨はやはり気に食わなかったようで、おっとりした目を鋭くしている。

 

「計画は盤石とでも言いたげですね。今私が貴方を倒してしまっても良いのですよ?」

 

武器も無しに?無理でしょ、いくらなんでも武器が無ければ元素スキルも元素爆発も使えるはずがない。

神の目をもってしても、不可能なことはある。

アゲートの力を使える私や蛍が特殊なのであって、武器が無い神の目持ちなんて怖くない。

 

だから、このセリフを言ってしまっても良いだろう。

 

「あまり強い言葉を使うなよ────弱く見えるぞ。それに、麒麟の血が流れているとは言え武器も持たない女子一人に拘束されるほど私も柔では無い」

 

「戯言を────」

 

うん?ちょっと待って、なんか氷が甘雨の手に集まっていってる。どういう事だ?使えないんじゃ無いのか?

 

「【風雪の縮図】ッ!」

 

「何ッ!?馬鹿な、なぜ戦える!くっ、氷よ!私を守れ!」

 

私は慌てて氷の力を引き出して障壁を作る。

 

「甘いですね!貴方を千岩軍へと連行しますッ!」

 

しかしその上からさらに氷が纏わり付き、私を凍らせ磔にしていく。あっこれマズい。本当にまずい。

などと慌てているうちに、私はすっかり氷に呑まれてしまった。ファデュイ謹製元素調節コートがなければ凍死していたな。

 

さて、凍死しないために氷の力を使っている以上、他の用途…脱出などには力を割けない。大人しく解放されたときに誤解を解くとしますかね…

 

暇だし寝てよう、ではおやすみなさーい。

 

 

 ─────────***─────────

 

 

甘雨はその日、珍しく暇を貰い天衡山でゆったりとしていた。空を見て風情に浸る。これほど気持ちの良い休日は無いだろうと甘雨が考えていると、人が来るのが見えた。

 

「いけませんね、少し休み過ぎてしまいました」

 

甘雨がチラリと来た人を見ると、その人物は革色のコートを身につけ顔を覆う程の兜を身につけて、全身から冷気を噴出しているようであった。

 

(ああ、あの人が『泣き飯』さんですか。ファデュイとの関係もある彼と接触するのは控えておきましょうか)

 

そう思い甘雨はその場を離れるが、甘雨にとって唯一聞き逃すことのできない言葉が風に乗って聞こえてきた。

 

「──────堕ちるべし、群玉閣」

 

(………ッ!やはり、ファデュイは悪でしたか…!弓は置いてきてしまいましたがこの半仙、ただの人間には負けません)

 

甘雨は池を凍てつかせながら堕岩へ近づく。

僅か三歩後ろに甘雨が立てども気がついていない素振りを続ける堕岩。

実際は本当に気がついていなかったのだが、厨二病スイッチが入ってしまった堕岩は要らないことを言ってしまった。

 

「居るのは分かっている…私の眼前に出てきなさい」

 

「ッ!?」

 

「フ────恥ずかしがり屋さんめ。宜しい、私から目を合わせてあげるとしようか」

 

そう言って堕岩は振り向く。そして甘雨と目が合う。数秒の硬直、先に動いたのは甘雨だった。

 

「群玉閣を堕とすというのは本当ですか?戯言にしては大言壮語が過ぎますよ」

 

「………あぁ、そうとも。群玉閣は堕ちる。たとえ私が何もしなかったとしても堕ちる。そう決まっているからだ」

 

「計画は盤石とでも言いたげですね。今私が貴方を倒しても良いんですよ?」

 

「あまり強い言葉を使うなよ────弱く見えるぞ。それに、麒麟の血が流れているとは言え武器も持たない女子一人に拘束されるほど私も柔では無い」

 

非常に舐めた態度の堕岩。悲しいかな、堕岩は原神のキャラは武器を持たなければ戦うことすら儘ならないと思っていたのだ。

しかしこれは現実。ゲームのように甘くはいかない。

 

「戯言を…【風雪の縮図】!」

 

「何ッ!?馬鹿な、なぜ戦える!くっ、氷よ!私を守れ!」

 

「甘いですね!貴方を千岩軍へと連行しますッ!」

 

甘雨の放った氷は堕岩の守りごと堕岩の仮面を破壊し堕岩を磔にし、身動ぎすら取れなくする。堕岩は驚愕の表情で固まっているが、

次第に諦めたような表情になると安らかな表情で眠るように目を閉じた。

 

「ふぅ…さて、仕事が出来てしまった以上は休日は返上ですね♪先に千岩軍へ行きましょうか、それともファデュイに対する強硬姿勢のための布石とするため凝光様に提出してしまうか…どちらにしましょう…」

 

少しの間甘雨は考え、先に凝光の元へ行く事を決めた。

 

甘雨が凝光に氷漬け堕岩を届けてから凝光に「蛍とパイモンを群玉閣に連れてくるように」と命じられ、甘雨は三杯酔で会話している蛍とパイモンを見つけた。

 

「な、なぁ蛍、堕岩の奴どうしちゃったのかな…あの後別れてから『公子』の奴も見てないって言ってたし…」

 

「鍾離先生も見ていないって言ってたね。でも彼って神出鬼没な所あるからどこかにはいるんじゃない?きっとわたし達が困ったらヒョイっと現れるよ」

 

「そうかなぁ…そうだな、天権へのお土産も用意したし!あとは迎えが来るのを待つだけだな!」

 

「(あの堕岩と知り合い、ですか…悪い人たちには到底見えませんが、一応警戒しておくに越した事はありませんね)蛍さん、パイモンさん、お迎えにあがりました」

 

極力感情を排除して甘雨は二人の前に姿を現す。

蛍はふと、甘雨から自然由来の氷元素を感知した。

本来自然由来の元素力は勝手に人には付かないものだ。それこそ、雪山や水中などの自然環境があってようやく成立するような微弱な力が自然由来の元素力だ。

 

(おかしい、雪は降っていないはず。だとしたらなぜ?そういえば堕岩の元素力は…)

 

蛍はそこまで考えて、ある恐ろしい結論に辿り着いた。しかし、確証がない。それ故に蛍は思わず聞いてしまった。

 

「堕岩はどこ?」

 

「…………それを答える義務が、私にありますか?」

 

「知ってるのは否定しないんだね。じゃあ質問を変えるよ。あなたは堕岩から何を聞いて、何をしたの?あの秘密だらけの彼のことだ、何か誰も知り得ないような璃月に不都合な情報を言ったんじゃないの?」

 

「頭が切れるようですね、さすがは天権に選ばれし客人。彼は確かに、『群玉閣を落とす』と言っていました。貴方達はおそらく彼に騙されて利用されていたのでは?」

 

「おっ、おい!お前ら何の話をしてるんだよ!?オイラぜんぜんついてけないぞ!」

 

「──────兎に角、仕事ですので。群玉閣へお連れします。それにあなた方は特段悪人という事でも無さそうですから」

 

甘雨が話を畳み、群玉閣に行こうとしたその時だった。突如として群玉閣が爆発した。爆音が地上まで聞こえてくるほどの大爆発だ。

 

「っ!?なぜ、堕岩は私が凍らせたのに…!」

 

「細かい話は後でするよ、行くよ!」

 

蛍が駆け出していき、それに追従するように甘雨も走る。迫りゆく客星はもはや止められない物へと変わり始めていた。

 

 

 

一方、群玉閣では。

 

「ふぅん、こんな男が群玉閣を…ねぇ」

 

『天権』凝光が氷の彫像を見つめている。その彫像は十字架に磔られたようであり、しかし破壊された仮面から覗くその顔は安らぎに満ちている。

 

「甘雨の強さは私も認める所ではあるけれど…甘雨すら打倒できない者が群玉閣を落とせるはずが無い。それに…群玉閣を落とすことが出来るのは現状この私だけ。不思議ね」

 

凝光が妖艶な笑みを浮かべながら氷像を眺めていると、執務室の外が騒がしくなっているのに気がついた。

何事かと法器を構えていると、5人ほどの男女が押し入って来た。

 

「堕岩殿、いや、我らが盟友ディザスター!君を助けに来たぞ!」

 

燃える銃を持った男を筆頭にゾロゾロとファデュイが姿を見せる。

 

「ファデュイ先遣隊…やっぱりこの子はファデュイだったようね。しかし驚いたわ。アナタ達にそんな度胸と仲間意識があったなんて」

 

「『天権』か。フン、貴様に興味は無い。我々は友達を助けに来ただけだ。邪魔してくれるなよ、俺も貴様を殺したくはないからな」

 

「あら怖い。ところで…アナタ達、ここからタダで帰れると思っているのかしら?」

 

「………っ!しまった、足が!」

 

凝光が会話中に仕込んでいた岩がファデュイ達の足を捕らえる。岩元素は凡ゆる元素力を結晶化する。

すでにファデュイ達の命運は凝光に握られていた。ファデュイ達は哀れにも氷漬けの男に声をかける。

 

「くっ、すまないディザスター…!俺たちが不甲斐ないばっかりに…!」

「頼むっ、目覚めてくれ…!また俺たちと同じ鍋の飯を食おう!」

「わたくしとまたお話ししましょう…っ!」

 

 

 

「「「だから…目覚めて!」」」

 

ビキリ。

 

その音とともに氷が割れていく。

中からは凄まじい熱気と共に一人の男が出てくる。目は幽鬼めいて爛々と輝き、立ち姿に隙は無い。

 

「そう、目覚めたのね────神の目に」

 

「ハハ、期待には応えないとね?」

 

 

男は静かに微笑んだ。

 

 

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