なぜか無限に勘違いされるんだが   作:雷電双丘の狭間

14 / 21
ナヒーダと結婚出来たので投稿しました


第十四話 稲妻観光なんだが

 

 

「────何者ですか?」

 

「…初めまして、雷電将軍。私はDISASTER、以後お見知り置きを」

 

どうしよう、この状況。言われた通りワープしてきたら目の前に雷電将軍がいるなんて誰が予測できるんだ?

いや確かにシニョーラは稲妻に行くとは言ってたけどさ。

 

「アンタ…マトモな登場は出来なかったワケ?」

 

「貴女が渡してきたプリズムが壊れていたからだ。私はただ弄くり回していただけでこんな所まで飛ばされてしまった。責任は君にあるぞ」

 

「ちょっと!私がミスするはずないじゃない、アンタのミスに決まってるわ!」

 

「……『淑女』、これは貴女の差金ですか?」

 

「違うわ、将軍様。たまたま事故が起こっただけで、この男に害意は無いと言い切れるわ。何故なら、DISASTERは契約で私に協力する事になっているから。稲妻と協力したい私達にとって、今回のことは誰しもが不本意なもの。そうでしょう?」

 

シニョーラが私を肘でどつきながら睨んでくる。美人の怒った顔って怖いんだよな、と思いながら私は肯定する。

 

「そうですね…ええ、私は稲妻の在り方をよく思います。雷電将軍、貴女の永遠は摩耗せず永遠に続く事でしょう」

 

「フン。そうですか、では先ほどの話はここに締結されました。天守閣から去り、稲妻に滞在する事を許します」

 

私とシニョーラは天守閣から出ると、思いっきり溜息をついた。私はなぜかまたどつかれたが。解せなくは無いが、痛いからやめてほしい。

そう言えば、ヤルプァとエラ・マスクはどこにいるんだろうか。

 

「私の連れは?」

 

「あぁ、ヒルチャールの方は『強者と戦ってくる』とか言って居なくなっちゃったわよ。学者もそれに付いていったわ」

 

「………そうか」

 

あの二人を待たせたら悪いと思って急いで転移してきたのに…これじゃ雷電将軍に睨まれ損じゃないか。いや、美人だし悪い気はしないが怖いんだ。

 

「残念だったわね。それで、アンタはどうするのかしら?私達に協力する手筈になっている筈だけど…未来でも見て迫り来る厄災に対抗してくれるのかしら?」

 

「一応、共に睨まれたよしみで教えておこう。命が惜しいなら稲妻から去る事を薦める」

 

「フン…冗談も大概にしなさい?私が神如きに負ける筈ないでしょ?私はファデュイの執行官なのよ?」

 

立場が何の防御になるのかはわからないが、恐らく絶対的な自信を持つ何かがあるのだろう。

それは邪眼か、それとも陰謀か…それはまぁ追々調べてみるとしよう。私としても原神ファンであるからシニョーラの死の真相は気になる所だからな。

 

「私はまぁ…折を見て連れと合流する。このプリズムは何回でも使えるんだろう?」

 

「そうね。でも、欠陥があってそれを使った時一番近くにいた人間が転送地点として記録されるの。だから、それを使う時は私の近くで飛びなさいね」

 

「やけに親切だな。部下にはそうなのか?」

 

「違うわよ、アンタを雑な扱いしたら『公子』が五月蝿そうだから配慮してやってんのよ。感謝なさい?」

 

タルタリヤが私を守ってくれているのか。今度タルタリヤに会える機会があれば深境螺旋について教えてあげよう。タルタリヤもきっと喜ぶだろうから。

そうだ、今稲妻に来ているのだから折角だし蛍ちゃんやパイモンにお土産を買っていってあげよう。食べ物系が良いかな?

 

「少し買い物をしてくる」

 

「あっそ。好きになさい」

 

許可も貰えたので早速稲妻雑貨屋に顔を出しに行く。

道ゆく人が異人である私を奇異な目で見るが、金髪はモンド人にありがちな色だ。何か聞かれたらモンド人と言う事にしよう。

 

「九十九堂にようこそ。何かお求めですか?」

 

「土産物を買いたくてね、何か良いのはあるかい?」

 

「それでしたら、反物などが良いでしょうか。稲妻の反物は独自の発展を遂げているので、物珍しい上に綺麗ですよ」

 

「いや、長持ちする食事がいいな。何かないかな」

 

「長持ちする食べ物…そうですね、押し寿司などはどうでしょうか。酸味と米の甘みと魚の旨味が混じって美味しいですよ。酢で漬けてあるので長持ちもしますし」

 

「おお、それは良い!感謝する」

 

「ご贔屓に願います」

 

私は九十九堂を離れると、押し寿司を作っているという職人の所へ向かう。

しかし、途中で目を引くものを目撃した。

 

「荒瀧・天下第一・一斗のォ!お通りだァ!」

 

「親分が毎度すいません、きつく言っておくので…こら!落ちてるモノを食べるな!」

 

「流石は親分!落ちてるモンでも美味そうに食えるっ!最高だぜ!」

「親分カッケェ…!一生ついていきます!」

「フッ…ボクは初めから親分が最高だって知ってたけどね」

 

「お前らも囃し立てるな!」

 

「「「ウッス」」」

 

まさかの荒瀧一派が街を練り歩いていた。それも私の行く道を遮った状態で。はっきり言って邪魔だが、それよか愉快さが勝つ。

 

「ちょっと…通行の邪魔になってるだろ、道を開けな」

 

「ン…?おお!お前元気無さそうだな!俺様特製のおにぎりでも食って、元気出せよな!」

 

荒瀧一斗が私につやつやの米が使われたおにぎりを手渡してくる。一口食べてみると、懐かしい日本の米の味が口内に染み渡る。

美味い。日本人としての本能が刺激される。

 

「懐かしい気持ちになった…もはや思い出す事も出来ない母の握ってくれたおにぎりの味が想起されるようだ。ありがとう、荒瀧・負けるのは良いが決して負けを認めない漢の中の漢・一斗殿」

 

「おう!目はまだ元気そうじゃ無えが、とにかく元気になったなら良かったぜ!じゃあなァ!」

 

「親分がご迷惑をお掛けしました…これ、私の名刺です。何か有事であればご連絡下さい」

 

そう言って彼らは騒がしく行ってしまった。久岐忍の名刺を貰えたのは僥倖だ、何かに使えるかもしれないから大切に保管しておこう。

そういえば、九条沙羅と荒瀧一斗はセットみたいなモンだが今日は見なかったな。やはり抵抗軍との戦争激化が原因だろうか。

 

「ふむ…天領奉行に顔を出してみるか。一応ファデュイの協力者としての立場はあるから拒否はされないだろう」

 

私は途中で肉串を買いパクつきながら天領奉行へ向かうと、そこでは沢山の武士が訓練をしていた。凄いな、千岩軍とは違って心技体全てが洗練されている気がする。

やはりサムライとニンジャは実際ツヨイらしかった。

 

「む、何者か。ここは天領奉行訓練場だ。部外者は立ち入りを禁止されている」

 

「ドーモ、初めまして。DISASTER=デス」

 

「これはご丁寧にどうも。初めまして、ここの訓練長をやっている尚賢希典です。異人の方がここにいるという事は、おそらくスネージナヤの使節の方ですかな?」

 

「ウム、ジッサイ私はスネージナヤの使節団のフォロワーと言ってもオーバーじゃない。其方らのワザマエを見ていたら私のニンジャソウルが疼いてしまってな」

 

「忍者…稲妻の外にも忍者がいるのですか?」

 

「ニンジャとは心のありよう…即ちソウル!という事です」

 

「はぁ、異人の言葉はよくわかりませんが、とにかく見ていってくだされ。宜しければ模擬戦などもなさっては如何です?」

 

「いいですね」

 

という訳で私はサムライと模擬戦をする事にした。以前の私なら勝てなかったかもしれないが、神の目を得た今、ガトン・ジツやヒョートン・ジツを交えたカラテがある。

それを用いれば勝てるはずだ。

 

「東ィ〜!ディザスター!西ィ〜!稀木維盛ィ〜!いざ尋常にィ〜!かかれ!」

 

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」「ヌゥーッ!」私のカトン・カラテがコレモリ・マレギの胴を打ち据える。「イヤーッ!」しかしコレモリは耐え、ウッド・カタナによる一撃を私にお見舞いする!ゴウランガ!何たる耐久力か!

「イヤーッ!イヤーッ!」私はサムイ・カラテとアツイ・カラテを交えたメルト・カラテで応戦!「ヌゥーッ!フゥーッ!」ワザマエ!コレモリはメルト・カラテをモロに食いアバる直前だ!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」コレモリは痛みを噛み殺しながら私に斬りかかる!

これはミヤモト・マサシの名言にもある『キュー・ラットのキャットイーター』と正しく同じ条件だ!「ヌゥーッ!?」思わず呻き声をあげてしまった!コレモリのワザマエは窮地にあって尚衰えない!

「コレモリ=サン!次で決着だ、全力で来い!」「望むところだ、ディザスター=サン!コォーッ!」私はカメハメ・レーザーの構えをとりカトン・ジツを集結させる。コレモリはチャドーを整えている。

 

「イヤーッ!」「イヤーッ!」

 

決着は一瞬だった。

私はコレモリよりも先にイレイザーキャノンを放ち、コレモリはこれを受け切り反撃。私はそのまま斬られてノックダウン。

コレモリもダメージの限界が来てノックダウン。

 

結果は引き分けに終わった。

 

「勝負アリ!勝者、稀木維盛!」

 

大きな歓声が上がるが、私にとってもはやそれはどうでも良かった。今はとにかく、強敵(トモ)との対話がしたかった。

 

「ぐ…こ、維盛殿…良い、太刀筋だ…思わず見惚れてしまったよ」

 

「フ…もはや我らは強敵(トモ)。堅苦しい呼び名はよせ、ディザスター。其方の拳もまた重く、芯に響いたぞ…!」

 

互いに拳を合わせ健闘を讃えあう。この瞬間こそ、戦った甲斐があったというものだ。

さて、汗をかきながら戦った後はする事がある。それは汗を流す事だ。それで漸く私たちは真の友情を手に入れるのだ。

 

「行くか…ON=SEN!」

 

「うむ!」

 

「ブフォーッ!」

 

「なんだ、鼻血出して倒れた奴がいるぞ」

「八重堂の作家さんじゃないか?」

「あぁ、あの衆道作家の…」

 

私は維盛と共に温泉で汗を流す。そういえば、この世界に来てから初めて湯船に浸かる気がする。今までは行水で誤魔化していたからな。人前で髪を解いたのもこれが初だ。

 

「ディザスターは髪が長いな、切らぬのか?」

 

「そうだな…切るつもりは無いな。適当とは言え私自身で選んだ髪の長さだからな」

 

「其方がそれで良いなら某も納得しようぞ。しかし、後ろ姿はまるで女子のようだ。其方のしなやかな肉体がそれを助長しているように感じるぞ」

 

「そうか?まぁ私はどこまで行っても男だ。声も低い」

 

「はっはっは!然り然り!さて、そろそろ上がるとするか。ディザスター、風呂の作法は知っているか?」

 

「当然だ」

 

「「上がった後には牛乳!」」

 

やはり稲妻人は日本人的感覚が強い。だからかはわからないが、稲妻は非常に馴染みやすい国だ。いっそここに永住しても良いが…まだその時じゃない。

私は蛍ちゃんの旅路が心配で仕方がないのだ。どこかで迷子になっていないか、どこかで腹を空かせていないか、どこかでのたれ死んでいないか。それが心配で心配で。

 

「あぁ、もうこんな時間だ。某は天領奉行へ帰る。ディザスターはどうするのだ?」

 

気がつくと、もう日は沈み月がその顔を覗かせていた。

 

「私もスネージナヤの使節団用の宿に行くとするかな。朝イチで行かなくてはならない場所があるから、出来るだけ休んでおきたい」

 

「そうか!では、また何れ手合わせしようぞ!ではな!」

 

「おう、じゃあな維盛!」

 

私は維盛と別れファデュイの宿へ行く。天領奉行のトップとズブズブだけあって、良い宿が用意されているようだ。

稲妻料理の夕飯を頂き、私は就寝した。明日はヤルプァの捜索をしたいが、蛍ちゃんは恐らく明日にもダインスレイヴと再会するだろう。

朝イチで転移し、アビスの前兆者を何とかしなければ。

 

「ふぁ…おやすみ」

 

 

 

 

翌朝。軽く旅支度をした私はシニョーラの部屋の前で転移した。何かが壊れた音がした気がしたが特に気にしなくて良いだろう。

 

私がワープすると、また猛スピードでバリアを張りながら落下していく。下を見ると、ダインスレイヴが何やらフィールドワークを行なっていた。転移先はダインスレイヴだったようだな。

 

「……ディザスターか。随分と派手な登場だな」

 

「どうにも欠陥品みたいでね。ワープの座標がズレてるのか上空に飛んでしまうんだ。お陰で稲妻と敵対するところだった」

 

「何があったかは聞かないが、この遺跡からアビスの気配がする。支度は出来ているか?行くぞ」

 

「その必要はない。じき待ち人が来る」

 

「そうか」

 

私たちが遺跡の外で待っていると、息も絶え絶えな蛍とパイモンが慌てたように出てきた。

あれ?こんなに疲れるようなことするっけ。そんな事ないはずだ。精々アビスの使徒と交戦したくらいだろう。

 

「はぁ…はぁ……ダイン?それにディザスター…」

 

「ダイン…そうだ!この遺跡の中が大変だったんだぞ!オイラ達、どうなるかと思ったぞ!」

 

「……まずは息を整えて、状況を説明しろ」

 

二人は息を整え、説明し始める。

 

「オイラ達が依頼でこの遺跡の中にアビス教団の物を狙う宝盗団がいるって事で退治にきたんだ!でも、遺跡の中には宝盗団の死体があって…」

「『大宝盗家』は祈りを捧げながら死んでた。そこに逆さ吊りにされた神像があって、それに触れた瞬間にアビス達に襲われた」

「蛍が倒しても倒しても現れるから、次第に蛍も疲れてきて…それで逃げ出してきたんだ!」

 

「それはおかしい!」

 

「「「?」」」

 

思わず叫んでしまった。

あり得ない事が起こっている。正史であれば出てくるのはアビスの使徒だけのはず。無限湧きする程アビスが出てくるなど無かったはずだ。

確かに、使徒と共に何体か出て来るだろうがそれでも倒しても倒しても現れるなんて事は起きない筈だ。どこかで何かがズレている。

 

「……『夢』か?本来起こりうる未来と違うのだな?」

 

「そうだ。しかし…結果は、結果だけは僅かに違えど殆ど同じだ。過程は既にめちゃくちゃだ、どこだ、どこでズレた…?」

 

「ともかく、千載一遇の好機だ。今からでも遅くはない。俺について来い、アビスの使徒を追い詰めるぞ。ディザスター、行けるか?」

 

「正直混乱しているが…大丈夫だ。行こう、アビスの企みを阻止しなくては…」

 

私たちがダインスレイヴについて行くと、遺跡守衛の周りでウロチョロしているアビスの魔術師達を見つけた。

どうせ目的は分かっているんだ。何も聞かずに退散してもらおう。

 

「そこの君たち、君たちの目当てのものはそこには無いぞ」

 

「何…?貴様アビスの計画を知る者か?」

「どうでも良い、早く教えろ!」

 

「層岩巨淵の最奥、そこに眠る遺跡サーペントの動力に使われている。急ぐんだな、アレは他の勢力も狙っているようだからな」

 

「何っ!?それはいかん!おい、お前ら行くぞ!」

 

アビスの魔術師たちは私の嘘を信じて転移していってしまった。余計な争いは時間の無駄だ、一刻も早く『順路』を辿らせないと。とにかく時間がない。

 

「層岩巨淵の件…あれは本当か?」

 

「嘘に決まっているだろう。最古の耕運機の目はあんな所にあるはずが無い」

 

「何故それを───まぁ良い。“観た“のならば疑う余地も無い。あぁ、説明しておこう…最古の耕運機とは、貴様らが『遺跡守衛』と呼ぶ機械の最も古い型番の事を指す」

 

「ええーっ!遺跡守衛って農業用の機械だったのか!?それなのにあんなに強いってどういう事だよ!」

 

「そうではない。これは500年前に滅びた故国カーンルイアの『領土とは血と鉄によって耕される』という理念に沿ったコードネームだ。とどのつまり、侵略兵器だ」

 

「カーンルイアだって!?それって、すごい古い国の名前じゃないか!あ、そうだ。蛍にも説明しておかなくちゃな!カーンルイアって言うのは──────」

 

「カーンルイアなら知ってる。そこにいた記憶があるから」

 

「………人は誰しも、何かしら秘密を抱えている。貴様が俺に深く聞かなかったように俺も貴様を深く聞くつもりはない」

「しかし、貴様に話す意思があるのなら聞こう。貴様が見たカーンルイアはどのような光景だった?」

 

ダインスレイヴが聞くと、蛍は何かを決心したような面持ちで話し始めた。恐らく、私とダインスレイヴがカーンルイアに関係する人物と踏んだのだろう。

まぁその内容は誰でも知ってる原神のオープニングムービーだったから聞き流す事に決めた。

 

「……あの時の話に、そんな経緯があったのか。オイラてっきり事の始まりは見知らぬ神からの遭遇だと思ってたぞ…」

 

「ふむ…この世界に来た時、いきなり地面に寝ていて兄から呼び覚まされたのか」

 

「どうやら、お兄さんの方が先に目覚めてたみたいだな…ん?どうしたんだディザスター。変な顔して…」

 

「地面に、寝ていた?今そう言ったんだね?」

 

「うん、そうだけど…」

 

おかしい。本来であれば蛍は隕石の中から目覚める筈だ。つまり、世界は初めから本来とは違った?どこだ、どこから違うんだ?

全ての事柄に因果関係がある以上、蛍が地面で目覚めたのには理由があるはずだ。思い出せ、何かがおかしいんだ。

 

「いや、何でもない。ともかく蛍はお兄さんに『カーンルイアの滅亡が天変地異を起こすからテイワットから逃げよう』と言われたんだね?場合によっては君のお兄さんを問い詰めなければいけなくなるからな」

 

「カーンルイアの滅亡?本当にそんな事を?」

 

「うん。確かに言ってた」

 

「貴様達が経験したそれは500年前の出来事だ。どうやらこの世界で初めて目覚めたのもそれと同じ時期のようだな」

 

「つまり、お前のお兄さんは先に目覚めてたから世界について良く知ってたんだな」

 

「そして、君たちはアイツに阻まれたんだろう?『天理』の奴に…本当、良い仕事っぷりだな。感激してしまうよ」

 

「あの神と知り合いなの?」

 

「さてね。面識が無いだけでお互い知り合いかもしれない」

 

天理が恐らく、変わりゆく歴史を修正したのだろう。本来隕石から目覚めることによって起こりうる事象を確実に起こす為に何かしたに違いない。そうだとしたら天理には感謝しないといけないな。

いや、天理を当てにするなんて業腹ものだが。

 

「物を調べるのなら、モンドの大聖堂に行ってみてたらどうだ?私は行く事ができないが、君たちならば出来るだろう」

 

「そうか!バーバラやロサリアなら何か知ってるかもな!ダインは来るのか?」

 

「俺も遠慮しておこう。俺は神を信じていない…あのような碌でもないものに頼ってしか生きれない人々を俺はあまり好まないからな」

 

「そっか!じゃあオイラ達は行ってくるから、どこで合流する?」

 

私はこれから稲妻に戻ろうと思っていた所だ。いい加減ヤルプァと顔を合わせたい。適当な理由でもつけて離脱してしまおう。

それに、調査には時間がかかるだろうからまた数日後戻って来れば大丈夫に違いない。きっと、遺跡突入前には合流出来るはずだ。

 

「私は然るべきタイミングで合流する。理由は聞くな、後悔するぞ」

 

「俺は途中まで付いて行こう」

 

私はプリズムを使用し稲妻へ飛ぶ。

いつもの如く空から落下するのだが、今回はタイミングが良いようで何やら同じところをクルクル回っているシニョーラの元へ落ちた。

 

「────戻ったぞ」

 

「戻ったぞ。じゃないのよ!アンタねぇ、私の部屋を爆破していくとか気が狂っているの!?見なさいよこの有様!私の部屋だけ全部めちゃくちゃよ!」

 

「待つんだ、何が起きたか私でも理解できていない。このボロ屋が『淑女』の部屋だって!?」

 

私の視界の先には、ボロボロになり何もかも焼け焦げ吹き飛んだ部屋があった。嘘だろ?一体誰がこんな事を…

 

「アンタのそのワープ装置、ワープ地点が自身の元素力の影響を多量に受けるのよ。それで、アンタの炎元素が大暴走してここを吹っ飛ばしたってワケ。今後はアンタの部屋使うから。これからは床で寝なさいね?」

 

「なん…だと……!?」

 

「味方が死んだ時みたいな顔するんじゃないわよ!全く…いい加減になさい。あんまりふざけていると氷漬けにするわよ」

 

「既に体験済みだ。ご遠慮願おう」

 

「アンタねぇ…ま、良いわ。ともかくアンタのベッド無いから」

 

まあこれからヤルプァに会う為に旅をする予定なので宿は使わないのだが。まぁ途中で手がかりでも掴んだら帰ろうかな。

そんな訳で稲妻城を抜け出しウェーブボートを召喚した。

 

「…これ動くのか?」

 

出てきたのはオンボロのボートだった。

動力は煙を上げ、幌には大きな穴が開き、蜘蛛の巣が張られてある。

正直こんなんで九条陣屋まで行ける自信がない。ヤルプァには学者のエラ・マスクがついているこら、恐らく交渉でもして渡れたのだろう。

もしくは、初めから稲妻城へは行っていなかったとかな。

 

「とにかく、乗ってみるしかないな…ゔっ、臭いがきつい…」

 

埃臭さを我慢しながらボートを動かしていると、暫く行った先で嵐にあった。しかも雷雨。

雷電将軍様、天井壊した事謝りますからライダー助けて!ああやばい船底がちょっとまってちょっとまって粉塵!(?)あああああ──────!

 

 

 

 

 

目が覚めると、見知らぬ天井だった。

 

「やっと目が覚めたか!ゴロー様、漂流者が目覚めました!」

 

「おお!目覚めたか!大丈夫か、意識はあるか?」

 

私の眼前にはワンコショタ…もといゴローがいた。私はどこまで流されているんだ。藤兜砦まで流されていてよく生きてきたな私。

誰か褒めてくれても良いんだぞ。

 

「私はどれぐらい寝ていた?」

 

「発見してから半日ぐらいだな、しっかりと受け答え出来ているなら大丈夫だろう。そういえばお前は稲妻人では無いようだがどこから来たんだ?」

 

「私はモンドから来た。私には色々な名前がある…その中でもDISASTERという名前が気に入っていてね。是非そう呼んでくれ」

 

「おう…待てよ、ディザスターだって?おい、ヤルプァ殿を呼んでこい!」

 

「ヤルプァがここにいるのか?」

 

暫くして、大きな足音が聞こえたと思った瞬間私のいた野営地が吹き飛んだ。しかし私は安心しきっていた。なぜなら、その気配はヤルプァのものだったからだ。

久々に顔を合わせた友人はその身に抵抗軍の鎧を纏っていた。

 

「友よ!よくぞ来た、待ち侘びていたぞ!」

 

「ヤルプァ、私も会えて嬉しいよ。それで?状況を説明してくれるかな?これまでの経緯を…」

 

「うむ。話せば長くなるが、オレとエラはこの島に厄介払いされてな。暫く放浪していたところ、抵抗軍と出会ったのよ。当初は警戒されていたが、オレの強さとエラの説得でオレたちは抵抗軍に入ることになった。エラの奴は下手に医療知識があったからそっちに回されているぞ」

 

「なるほど…私の方はまだ大陸の方に用を残していてね、あと1回ほど渡るつもりだ。それで全ての方がつく…その後はずっと稲妻にいれるかな」

 

「オレが手伝おうか?敵はどれぐらいいるんだ」

 

なんだ、ヤルプァには私がアビスと戦う事がバレていたらしい。それならもう隠しておく必要は無いな。

私はヤルプァにアビスと戦う事と、きっと死闘になるだろう事を話した。ヤルプァは深く頷くと、手を出してきた。その手を握り言う。

 

「今回は頼りにさせて貰うよ、ヤルプァ!」

 

「やっとお前のために暴れられるのだ、全力で行かせて貰う!」

 

「決行は…明日だ。この戦いは…恐らく熾烈になる。敵は本来、数体しかいない筈だが予想外のことが起こっている。倒しても倒しても湧いてくる敵の排除が私たちの目標だ」

 

そして、必ず蛍ちゃんと空くんを出会わせる。「俺たちはいずれ再会する」というのならその手伝いをしてやろうじゃないか。

私とヤルプァは遠く璃月の空を見つめながら決行まで備えた。

 

 

翌朝、私たちはゴロー達に出かける旨を伝えて飛び立った。遺跡の上からダインスレイヴのいる所へ向かって猛スピードで墜落する私たち。

しかし、今回は覚悟を固めてきている。

 

轟音を立て、私とヤルプァが広間に降臨する。

 

「貴様ら…何者だ!」

 

「「我らは死神の代行者…アビスに死を齎す者だ」」

 

戦いが今、始まろうとしていた。




次回は一週間以内もしくはレイラちゃんと添い寝できたら投稿します
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。