なぜか無限に勘違いされるんだが   作:雷電双丘の狭間

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本当に申し訳ありません!


第八話 迎仙儀式なんだが

 

今日はあの迎仙儀式だ。そう、あの。

私は今、ヤルプァとエラ・マスクとミロスラーヴァさんと共にその開始を待っている。この後岩王帝君は死ぬだろうけど、心配はない。

 

なぜなら、ヤルプァが社会的に認められているからである。私がタルタリヤから渡される雑務を楽しんでいる間、彼は人を助けて回っていたようだ。

そのおかげでこうして皆で迎仙儀式を見ることが出来るのだから、ヤルプァには感謝だ。

 

「それにしたって…凄い人だかりだ。端の方に居ておいたのは正解だったね。この熱気は凄まじいものだから」

 

「ええそうね…私なんか潰されてしまいますよ。それに、私はヤルプァさんの肩に乗れて幸せ気分ですのでこのままで良いですね」

 

「うふふ、エラさんは本当にヤルプァさんの事が好きなのですわね。学者様なら当然なのかしら?」

 

「そりゃあ好きよ!こんなヒルチャール、興味が尽きる事が無いわ!」

 

などと話していると、会場内から「あーー!」とかん高い声で叫ぶ声が聞こえた。その方を見遣ると、パイモンが私たちをみてアワアワしていた。ちょっとかわいいな。

 

「これより、迎仙儀式を執り行うわ。」

 

儀式はつつがなく進行していき、いよいよ岩王帝君を迎える所まで差し掛かったところで異変が生じた。璃月民の前にその壮健な姿を見せるはずの岩王帝君が死体となって堕ちてきたのだ。

 

「おい、アレって…まさか」

 

「儀式は中止よ!この場にいる人間は残って、事情聴取を受けなさい!…あなた達は仙体を。早く!」

 

やっぱりこうなったか。

事情聴取は…一番最初だよね、そらそうだ。一番怪しそうなんだもの。冤罪をふっかけられても面倒だし、さっさと終わらせてしまおうか。

 

「堕岩、あなたの仕業?」

 

「そんなわけ無いだろう。私がやったのだとしたら、死体は今頃凍っているはずだ」

 

「そうよね…行っていいわよ、全員」

 

えっ?ヤルプァとかミロスラーヴァさんとかは?やっていないとは言え、一応怪しそうな部類に入ると思うんだが。

 

「ヤルプァはそんな事しないのは分かっているわ。そう怪訝な顔をしないで、次の人に代わってちょうだい」

 

おもくそ疑われると思っていたのだが、肩透かしを食らったような気分だ。まぁ良いか。疑われないというのは良い気分だからな。

 

「一人逃げたぞ!」

「追え、絶対に逃すな!」

「容疑者は金髪の少女と白くて小さいのだ!」

 

蛍とパイモンが逃げ出したか。さてどこに居るかな…っと、見つけた。階段の下で千岩軍に囲まれている。助けるのが道理なんだろうが、タルタリヤが何とかしてくれるでしょ。

 

「そこの少女、じっとしてなよ!」

 

ほら来た。それなら私はさっさと退散するとしよう。いても邪魔だろうし、早く帰りたいし。

 

と、思ったのだが。

みんなと別れてから一人ほっつき歩いていると、タルタリヤに見つかった。そしてタルタリヤに私は「仕事だよ」と瑠璃亭の会食に出るように言われてしまった。

 

 

そして一日後、私は鍾離先生と二人きりでタルタリヤと蛍を待つ羽目になった。前の不法侵入もあって、かなり警戒されているだろう。

 

「…時に堕岩殿、もう万民堂の一人娘である香菱の作る食事には手をつけたか?あれは良いものだ、彼女が料理を手がけている時は食べてみると良い」

 

「鍾離先生ほどの方が言うのであれば間違いはありませんね。今度食べてみたいと思います」

 

「それが良い…さて、客人が来たようだ。」

 

タルタリヤが蛍を連れ立って瑠璃亭へ入ってくる。

 

「……!どうして堕岩がここにいるの」

 

「堕岩は俺の部下だからね、居るのはおかしくないだろ?それとも、いたらマズい事でもあるのかな?」

 

「公子!こいつはオイラ達の前で人を殺した、とっても悪い奴だぞ!」

 

「アハハ!そういえば堕岩はこの間も公開処刑してたね」

 

「殺してないですよ、公子様。私はただ凍結させただけです。死なせたら反省しないではないですか。悪い事をしたのに謝らないからそうなるんです」

 

「あれ死んでないんだ。あぁすまない旅人、では本題に移ろうか?ここにいる鍾離先生は稼業人でね、往生堂の客卿をしているんだ」

 

「鍾離だ。話は聞いている、仙体に会いたいのであれば送仙儀式に協力して貰おう。近頃は迎仙儀式のみを重要視し、大切な送仙儀式を蔑ろにしている。これは許されざる問題だ。どうか、力を貸してほしい」

 

「お兄ちゃんを探すためなら仕方ない、協力する。」

 

「何か困った事があったら、この堕岩に言うんだよ?そしたら大体何とかしてくれると思うよ。堕岩は顔が広いからね」

 

実際、知り合いが多いのは事実だ。だからそんな疑いの目で見ないでほしい。もし詮索されて『泣き飯』とか知られたら凄い恥ずかしいから。

 

「堕岩だ、よろしく頼む。以前覚えておけと言っておいて良かった。腕に自信は無いが、人脈は広い方だ。何かあれば力になろう」

 

「……………よろしく。」

 

まぁ私ができる事なんて値切りに交渉ぐらいだ。戦いなんて以ての外、神の目を持った超人についていける訳ないでしょ。だがまぁ、蛍と協力して事に当たれば大概うまく行くので大船に乗ったつもりでいよう。

 

その後、タルタリヤからお金を受け取って四人で送仙儀式の為の準備を行う事になった。夜泊石は大きな鍋が必要だったので、私たちはモンドのダダウパの谷まで来ていた。

 

ワープを使わず歩いてきたため、少し骨が折れた。

 

「Yo.che kera(おや、この匂いは)」

「Ara ara ara(ディの気配がする!)」

「Wek api po(帰ってきたのか!)」

 

「やぁ、少し鍋を借りて行っても良いかな」

 

「Rhy sum(もちろん)」

「Hea ven gorl den(お前の頼みならしゃーない)」

 

「ありがとう」

 

肯定する気配を感じたので有り難く使わせて貰おう。

ふと、皆の方を見遣ると私のことを驚愕したような目で見ていた。

 

「堕岩殿はヒルチャールとの交流もできるとは。永く生きてきたが、こんな事は初めてだ」

 

「アビス…?」

 

「彼らとて争いが好きな訳では無いんだ、きちんと誠実に当たればそれに応えてくれるものだ。むしろ、お前達が固定観念からヒルチャールを敵視するから敵になるのであって…これ以上言っても仕方ないな、作業に取り掛かるぞ」

 

夜泊石の選別が終わったので、これから璃月に戻り霓裳花を選別する。ワープポイントが使えたら楽なんだけどな。おっと、その前に石を買っておかないとな。

 

「これで良いんですか?」

 

「あぁ、それにしてくれ。岩王帝君の送仙儀式に使うものだから、一番良いのが欲しくてな」

 

「そんな!岩王帝君の為でしたら、お安く致します。半額でどうですか?」

 

「よし、それで「ちょっと待った。」…どうなされた、堕岩殿」

 

「私の個人的な知見だが、夜泊石にはそこまでの価値は無い。現に私は、夜泊石の鉱脈がどこにあるかを既に記憶済みだ。取るのには手間はかかるが、これ程の金を支払わなければならないのなら自分達で取ってきた方がマシだ。」

 

それに、だ。

 

「もし仮に君がこの夜泊石を半額で売ると言うのなら、その額が君の岩王帝君に対する忠誠心という事になるが…良いかね?」

 

「うぐ!し、しかし…こちらも商売でしてね。秘密の鉱脈から掘っているんですよ。」

 

「侵入禁止の廃坑からだろ。まったく…」

 

「だぁー!わかりました!安くしますから!だから言わないで!」

 

それで良いんだよ。

一悶着あったが、結果的に8分の一の値段で買えたからトントンだろう。その代わり、私は鍾離先生からの呆れた目線を頂くことになったのだが。

 

解せぬ。

 

 

 ─────────***─────────

 

 

「やった!やりました!流石です私!」

 

薄暗い研究室の中で、偉大なる占星術師モナは歓喜に打ち震えていた。以前はどれほど環境を良くしようとも見ることの叶わなかった『厄災』の星座を見る事に成功したのだ。

 

「ふふっ、それでは…彼はどんな星座をしているのでしょうか…?何々、これ…はと…なんですか、これ。絡み合う二つの輪に巻きつく自らの尾を喰らう蛇。どうしましょう、見たことありませんよこんなの」

 

「ですが、知識とは基礎の応用から成るものです。この輪の紋様は円環、蛇の方は…暴食?それとも自滅でしょうか。いえ、これは自身を喰らい自身を生み出している…?つまり転生を表す?円環と転生、この二つを合わせると…」

 

 

「ディザスターは何者かの転生体?」

 

しかし、と呟きモナは考察を再開する。

 

「一つの個体から生まれるものはどこまで行っても同じモノである事には変わりはしません。であれば、『厄災』は元から『厄災』であった。それでも暴走しなかったと言う事は、力が大幅に減少している可能性が高いですね」

 

モナがふと外を見ると、既に夜の帳が下りていた。夜ふかしはいけませんね、と言いながらモナの一日が終わっていく。

 

モンドの空は平和そのものであった。




DISASTER/堕岩
星座: 転生座(神の影響を表す円環の輪+
       転生を表すウロボロス)
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