ではどうぞ!!
暦の上では季節はもう冬に入った11月のある日、今日も放課後の練習が終了し、皆それぞれ下校する。
メイと四季は急ぎの用事があったらしく先に帰ってしまい、俺はマネージャーとしてスクールアイドル部の活動日誌を書いたり後片付けをしていた為に遅くなってしまった。
作業も終わり、生徒会室で仕事をしている恋先輩の所に報告を兼ねて帰りの挨拶に行く。
「恋先輩、こっちは終わりました。じゃあお疲れ様でした…「あっ、渚さんちょっと待ってください」?」
恋「今度の土曜日、私の家に来てくれませんか? 新曲の作曲をしているのですが、男性の目線からもアドバイスをいただけないかと……」
「男性目線ですか……?」
恋「はい。スクールアイドルのファンは女性ばかりという訳ではないですし、別の視点からの曲に対するアプローチがあった方が良いかと思いまして……」
なるほど……、そういう視点も視野に入れたほうが今後のためになるか……。しかし、
「俺の好みが多くなってしまうかもしれませんけど、大丈夫ですか?」
恋「はい。お願いします」
そうして、俺は今度の土曜日に恋先輩の家にお邪魔することになった。ん?今度の土曜日って確か24日だよな?
恋先輩誕生日じゃん、なんか持っていったほうが良いかな?
俺は恋先輩への誕生日プレゼントを何にしようか考えながら家に帰った。
そしてついに土曜日、11月24日。俺は葉月家にやって来た。
「何度来てもデケェ家だな……」
俺がインターホンを押すと、メイドとして働いているサヤさんが出てくれた。
サヤ『どちら様でしょうか?』
「あっ、今日恋さんに来るように言われてたLiella!の日宮です」
サヤ『あっ、承っております。只今出ますので少々お待ち下さい』
すると屋敷の扉が開きサヤさんが門を開けて通してくれた。
サヤ「いらっしゃいませ。恋様の元にご案内いたしますね?」
「お願いします」
そしてサヤさんの案内で屋敷の中を歩き、ある扉の前で止まった。中からはピアノの音がする。
サヤ「コチラです」
するとサヤさんは扉を3回ノックし、
サヤ「恋様、日宮さんがいらっしゃいました」
するとピアノの音が止まり、扉が開き中から恋先輩が出てきた。
恋「渚さん、お待ちしておりました。では早速手伝っていただけますか? サヤさんは渚さんに何か飲み物をお出ししていただけますか?」
サヤ「畏まりました」
そう言ってサヤさんは下に降りていった。
「俺が力になれるかは分かりませんが頑張ります!!」フンスッ!
恋 クスッ「そう固くならないでください。じゃあ入ってください」
そして部屋に入り、恋先輩からある程度の曲の方向性の説明を聞き、恋先輩の演奏が始まる。
今度の曲は、イメージはアップテンポながらも、ときおり静かなリズムが流れる曲で、曲調のバランスを取らねば一気に崩れてしまうかもしれないと言った感じだった。
恋「こんな感じなのですがいかがでしょうか?」
「ん〜…そうですね……、強いて言うなら、アップテンポの部分をもう少し短くして落ち着いた曲調の部分を少し長くしても良い気がしますね。その変わり、その繋ぎの部分を一気に落とす感じじゃなくてだんだんと緩やかに落ちていく感じが良いかと……」
恋「激しい部分を削って緩やかに落ちる時間を確保するということでしょうか?」
「あっ、そうですそんな感じです!」
恋「となると……」
恋先輩はフム、と考え込むと譜面にペンを走らせ何かを書き込む。
恋「じゃあもう一度弾いてみますね?」
恋先輩が再びピアノを演奏する。今度は繋ぎがスムーズに流れる様な曲調に変化。逆の静かなリズムから激しいリズムに戻るところもスムーズになった。
しばらく試行錯誤していると、サヤさんが戻ってきて紅茶を、出してくれた。俺と恋先輩は途中休みながらも話しながら曲を組み立てていく。
「"静か"から"激しい"の変化はもう少しだけ激しさがあっても良いかも……」
恋「音が下がるときと上がる時の変化を変えるということですね?」
「そうですね……、俺の主観で申し訳無いですけどどて……」
恋「いえ、私が頼んだ事ですから…では、こんな感じではどうでしょうか?」
今度は音が"上がる"時に少し音の高低を鋭くして音を上げた。
俺には良いと思う。恋先輩は?
恋「なんか良い感じになったと思います! 今までのLiella!には無かった曲調ですけど決して悪い意味では無く良い意味で斬新な感じがしますね……!」
「じゃあ、力になれましたかね?」
恋「はい!! ありがとうございました!! 本日はこれで以上になります。後は後日皆さんと最終調整という形になりますね。でもベースはこれで良いと思います」
じゃあ外も暗くなってきてるし帰ろうかな?
恋「あっ、渚さん1つお願いがあるのですが…作曲とは関係ないのですけど……その、ゲームで分からないところがあるので教えていただけませんか?」
「ああ、いいですよ? じゃあゲーム部屋行きましょうか?」
そしてゲーム部屋に移動。恋先輩は問題のゲームを起動する。
恋「ここなんです。次のフロアへの扉が開かなくて……」
「ああ、コレは右上の大部屋にいる中ボスを1分以内に倒すと鍵が確定でドロップしますよ?」
恋「そうなんですね、やってみます!!」
「じゃあ俺はそろそろ…」
恋「あっ、お見送り致しますよ?」
そして門の所まで恋先輩が見送ってくれた。
恋「今日はありがとうございました」
「いえ、こちらこそ楽しかったですよ? あっ、そうだ…恋先輩コレ」
俺は、恋先輩に紙袋を渡す。
恋「? コレは?」
「誕生日プレゼントです。恋先輩今日誕生日でしょ?」
恋「っ! 覚えててくれたんですね……」
「ええ。一応」
恋「開けても良いですか?」
「どうぞ」
恋先輩が紙袋を開けると、星型のヘアピンが入っていた。
「髪留めのリボンにしようかと思ったんですけど、恋先輩のリボンは亡くなったお母さんがくれたものだって言ってたからダメだなと思って。"だったらコレなら一緒に着けても変じゃ無いかな?"と思いまして……」
恋「っ! ありがとうございます渚さん、凄く嬉しいです!! フフッ、メイさんと四季さんが羨ましいです。渚さんみたいな方が小さい頃からそばにいるなんて……」
「そう言っていただけると嬉しいです。ではこれで」
恋「今日はありがとうございました!!」
そして、恋先輩の家を出て俺は帰った。喜んでくれたし良かった……。
その後、
ー 恋 side ー
フフッ、まさかプレゼントを用意してくれていたなんて……。それに、私の相談にも嫌な顔1つせずに真剣に聞いてくれて……、
恋「私まで好きになってしまいそうです……/// でも、あの三人に…私の入る余地はなさそうですね……」
恋が、少しせつなさを感じさせる口調でそう呟いていたのを、渚は知らなかったのだった。
ー 恋ちゃん Happy Birthday!! ー
恋ちゃん誕生日おめでとう!!
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