スーパースターの方を投稿したくなってしまったので、思い立ったが吉日と、投稿することにしました。
ではどうぞ!
初春の柔らかな日差しが、神宮の杜の緑を鮮やかに照らし出す午後のこと。
開放的な代々木公園の一角に、色鮮やかなレジャーシートが広げられていた。
結ヶ丘の制服を脱ぎ捨てた私服姿のみんなは、かのんたち1期生が巣立ったあとの、少しだけ新鮮で、けれど変わらない賑やかさに包まれていた。
奏「わあ、すごい! 先輩たち特製のサンドイッチ、とっても美味しそうです!」
レジャーシートの真ん中で、マネージャーの男の子、月城奏が目を輝かせる。彼は今年、2年生になるのだ。
その隣では、メイが水筒のフタを開けながら、奏に声をかけていた。
メイ「奏、落ち着け。まずは手を洗ったか……って、さっき洗ったばかりか。ほら、お茶だ」
奏「ありがとうございます、メイ先輩!」
去年のLiella!とトマカノーテが1つになった学園祭から、付き合い始めたこの2人。中々に甘々な空気感だった。
紗夜「ほら、マルマルもレジャーシート広げるの手伝って!」
マルガレーテ「マルマル言うなって言ってんでしょうよ……」
陽菜「飛ばないように大きめの石持ってきたよ〜」
そう言って、陽菜が直径25センチはあるのでは? というような大石を持ってきてシートの四隅に置く。
きな子と夏美、渚、四季は、近くのコンビニに大きめのペットボトルの飲み物と紙コップを買いに行った。
少し離れたベンチの上では、マルガレーテが腕を組んでいた。
風に揺れる薄紫の髪を手で払いながら、自分で作って持参した菓子を持っていた。
マルガレーテ「……なんで私たちが、こんな芝生の上で地面に直接座らなきゃならないのよ。優雅にティーサロンでもよかったはずよ」
だが、その口元はどこか緩んでいる。
冬毬が、そんなマルガレーテの隣にスッと寄り添い、手際よくペーパーナプキンを差し出した。
冬毬「マルガレーテ、文句を言わずにお茶を淹れてください。ほら、風が気持ちいい絶好のピクニック日和ですよ。それに、空気感を味わうにはちょうどいい場所かと」
冬毬の冷静な指摘に、マルガレーテは「っ……!」と小さく息を呑み、不満げに目を逸らしながらも、素直にカップを受け取った。
マルガレーテ「……まあ、悪くはないわね。風の匂いとか……その、悪くはないわよ」
少し大人びた表情を見せる冬毬と、素直になれないマルガレーテ。
そんな3期生のふたりの様子を、みんなは頼もしそうに見つめ、陽菜は淡々とタブレット端末で木漏れ日やみんなの写真を撮っている。
―――すると、
渚「みんな〜買ってきたぞ~?」
きな子「多めに買ってきたっす〜!」
夏美「ナギくん、重くないですの?」
渚「へーきへーき!」
四季「でも、やっぱり悪い。少し持つ」
そう言って四季が渚から1つ袋を受け取る。
メイ「あっ、こっちだ!」
1期生という大きな翼が羽ばたき、渚たちが最上級生、マルガレーテと冬毬たちが「先輩」と呼ばれる立場になった今。
プレッシャーがゼロだったわけではない。けれど、この青空の下で分け合うサンドイッチの温かさと、隣にいる仲間たちの笑い声があれば、どんな未来へだって真っ直ぐ歩いていける気がした。
きな子「さあ、みんな! 遠慮しないで食べるっすよ〜
レジャーシートに広げられたお弁当箱のフタが開くたび、春の陽気によによく映える美味しそうな匂いがフワリと広がった。
奏「わぁ……! この卵焼き、すごくきれいな黄色ですね! ライカ先輩、すみれ先輩からレシピ受け継いだんですか?」
ライカ「いや、これは平安名家じゃなくてウチの宮本家のレシピね」
夏美「いただくんですの!」
パクっ!
夏美が緊張した面持ちで箸を伸ばし、一口パクり。次の瞬間、ぱあっと顔を輝かせる。
夏美「んん〜っ! 美味しいですの! みんなもどうぞですの」
渚「ん、……もぐもぐ。……出汁巻きか。出汁の味がしっかりしてるな。料理上手いな」
ライカ「当然よ」
紗夜「あ、これも飲む?」
紗夜が差し出したお茶を冬毬がグビッと飲み干す。マイペースな紗夜も、冬毬が持ってきた自家製のスムージーを一口もらう。
紗夜「……フルーツの酸味と甘みが効いていて、悪くないね」
満足げにうなずいた。
マルガレーテも、持参したポットからおしゃれなカップに紅茶を注いでいる。
マルガレーテ「私特製のブレンドティーよ。ただのお茶じゃ味わえない深い香りを楽しみなさい」
陽菜「……どれどれ。確かに、上品なベルガモットの香りがするね」
陽菜が一口含んで目を細める。マルガレーテは「当然よ!」と得意げに胸を張りつつ、陽菜が差し出した一口サイズの唐揚げをじっと見つめた。
マルガレーテ「……何よそれ」
陽菜「真田家秘伝の冷めても美味しい味付けのやつ。食べる?」
マルガレーテ「……食べるわ」
マルガレーテが口に運ぶと、思わず目を見開く。
マルガレーテ「……っ、ジューシーで美味しいじゃない……!」
と、小さく呟く姿に、陽菜はふっと口元を緩ませた。
お腹が満たされてくると、自然と芝生の上でまったりとした空気が漂い始める。
四季「ねえ、せっかくのピクニックなんだから、みんなで何かゲームをしない?」
提案したのは四季。カバンから取り出したのは、トランプと、ちょっとした言葉遊び系のカードゲーム。
渚「おっ、いいな! 何する?」
メイ「王道だけど、ババ抜きと……あとは連想ゲームとか? 負けた奴は、次の買い出しでみんなにジュースを奢るっていうのはどうだ?」
マルガレーテ「ふふっ、面白そうじゃない。このワタシが、アンタたちにゲームの厳しさを教えてあげるわ!」
こうして始まったカードゲームは、意外な展開を見せた。
意外な強さを見せたのは四季。表情一つ変えずに相手の心理を読み切り、次々と手札を減らしていく。
きな子「……四季ちゃん、強すぎねぇっすか!? 今の表情、完全にポーカーフェイスっす!」
メイ「人間観察の成果だな」
渚「サイボーグかよ……」
マルガレーテ「ぐぬぬ……! 次こそは!」
マルガレーテがムキになって引いたカードは、見事にハズレのジョーカー。
その瞬間、きな子が「ああっ、マルガレーテちゃんがババを……!」と声を上げ、周りがドッと笑いに包まれた。
ゲームに一喜一憂し、冷たい飲み物を片手にゲラゲラと笑い合う。
遠くで遊ぶ子供たちの声や、風に揺れる木々のざわめきが、心地よいBGMのように耳をかすめる。
ライカ「……ねえ」
ふと、ライカが空を見上げながら呟いた。
ライカ「こうやって、みんなでのんびり過ごす時間って、すごく贅沢じゃない?」
マルガレーテ「そうね。……悪くないわ」
メイ「たまには、こういう息抜きも必要だな。かのん先輩たちに負けないくらい、アタシたちがこれからのLiella!を引っ張っていくんだから」
新部長であるメイの頼もしい言葉に、マルガレーテもこくんとうなずく。
穏やかな木漏れ日の下、それぞれのカップがカチリと軽やかな音を立て、2期生と、3期生たちの笑い声が、青空へ溶け、穏やかな公園の風に乗ってどこまでも高く響き渡った。
― つづく ―
かのんたち卒業後の春休みの一時でした!