ではどうぞ!!
1年生の北海道合宿の2日目の夜、夕飯を食べた俺たちは各自部屋にいた。のだが・・・
「! 鬼塚・・・・」
鬼塚がペンションを出ていったので俺も外に向かう。きな子の家の方に聞いたら、少し夜風にあたってくると言っていたらしい。なにはともあれチャンスだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆
夏美「・・・・・スクールアイドル・・か」
「鬼塚!」
俺が背後から声をかけると、いるとは思わなかったのかビクッとする鬼塚。しかし俺だと分かるとホッとした表情になり、
夏美「ビックリさせないでほしいですの・・・「悪い悪い」どうしたんですの?」
「単刀直入に言う。鬼塚、Liella!に入れ」
一瞬の静寂が支配する。しかし何を言われたか理解した鬼塚は「ハァ?」と訳が分からなそうな顔をすると、言葉を発した。
夏美「なんの脈絡もなく何なんですの? 私にそんな気は・・「昨日の夜のきな子との会話を聞いてたんだ。お前には夢が無いって」っ!」
「それに今日の朝の皆への言葉で確信した。お前にはかつて夢があったけど、どれも叶わず思い知らされたんだろ? その結果、夢なんて持っても叶うはずない、そんなものだと思うようになった。そしてその心の跳ね返りが金への執着として現れた。違うか?」
鬼塚は愕然とした顔をしていた。口からは「な、何で・・」と漏れている。その時点で俺の推理は当たっているような物だった。しかし、鬼塚は口を開き・・・
鬼塚「そのとおりですの・・・でもそれとLiella!に入ることと何の関係があるんですの? 慰めなら余計なお世話ですの!!」
「慰めなんかじゃない。お前を見てると、見てらんねぇんだよ」
鬼塚「アナタに何が分かるんですの!? 才能にも恵まれて、勉強もスポーツもそれ以外のこともこなせるクセに、私のことなんか分かるはず無いですの!!!」
「フッ・・・才能、か。本当にそんなものが俺にあるならな」
鬼塚は意味が分からないといった顔をしていた。言葉の意味が分からず困惑しているというべきだろう。
「俺の過去、知らないだろ? 話してやるよ」
そして鬼塚に座るように促す。鬼塚が座ったので俺も隣に腰を下ろす。
「これから話すのは全て実話だ。嘘だと思うなら四季とメイに聞くといい。あの2人は知ってるから」
そして、俺は過去を語り始める。
◆◇◆◇◆◇◆◇
10年前、俺が幼稚園の時から、俺は頭も悪ければ運動だって全然できなかった。運動会の徒競走はいつもビリ。チームの足を引っ張ることだって珍しくなかった。
でも・・・バスケだけは好きで、毎日家のリングを使って練習してた。けど、そのバスケに至っても俺に才能なんてものは欠片も無かった。
ドリブルもマトモにできない、パスミスばっかり。シュートは外す。いい加減友達も入れてくれなくなって、一人でやってたんだ。
周りの奴らも、きっとバカにしてただろうな。でも、四季とメイは普通に接してくれてたからどれだけ助けられていたか分からない。
小学校に上がってある日、俺は四季とメイにクラスメイトの前で頭を下げてまでメイが得意な運動を、四季が得意な算数とか理系の勉強を教えてくれって頼み込んだ。
当然クラスメイトからはバカにされた。「お前がいくらやっても無駄だ」ってな。
でも、必死に努力して、小学6年生になってようやく周りの奴らに言われない程度には成長できた。幸い国語とか文系の科目は得意だったからそこは自力でなんとかできたけど。
だからこそ、俺は2人に感謝してるし他の誰よりも尊敬してる。2人に言ったらそんな特別なことはしてないって謙遜するだろうけど、俺にとっては2人が幼馴染みだったことは物凄い幸運だったんだ。
そしてバスケの方も、バスケ部の補欠程度にはできるようになっていた。
途中で何度も挫折しかけたが、そのたびにふたりに愛想を尽かされたくないと奮い立たせ……ここまで来るのに、俺は6年の歳月を要した。
そして中学生になり、バスケ部に入ろうかと思ったけど、俺は入らなかった。練習に時間を取られると、俺は勉強についていけなくなると思ったからだ。
それからも勉強は四季に、運動はメイにたっぷり指導してもらい、中学を卒業する少し前に俺は今の自分を試すため、バスケのストリートの1vs1の勝負をする大会に出たんだ。結果は・・・・
なんと初出場で優勝という成績を修めた。あのときは応援に来てくれた2人も喜んでくれたし、俺も凄く嬉しかった。高校も、2人と同じ結ヶ丘に受かってたし、俺の小1から続けてきた努力がようやく実を結んだのは、中学の卒業間近になってからだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「で、後はお前の知る通りだ」
夏美「そ、そんな・・・」
「俺は9年間、血の滲む様な努力をし続けて今の評価を手にしたんだ。お前は夢があったとき、きっと努力したんだろう。けど、ダメだと思ったあと、どうした?」
夏美「ダメだと思って……諦めましたの」
鬼塚は俯いて答える。
「努力なんて、1日やそこらで実を結ぶものじゃないし、必ず実を結ぶとも限らない。けど、そもそも頑張らなければ絶対に結果なんてでない。さっき、四季とメイは俺の師匠だみたいな話しただろ? あの2人、バスケは俺の練習相手ついでにちょっと遊ぶ程度にしかやってなかったのに、2人で連携すれば今の俺でも攻めあぐねるんだぞ? それ考えたら、どっちのほうが才能があるのか分かるだろ?」
夏美「それは、どう考えても2人の方が才能がありますの・・・」
「だからこそ、お前を放ってはおけなかったんだ。確かに、夢を追いかけたら途中で壁にぶつかることなんか当たり前にあるだろうさ。でも、Liella!はグループだ。1人でやってるわけじゃない。仲間がいる。壁にぶち当たったら、仲間と一緒に越えればいい。何なら壁をブチ壊せばいい!! これだけ何もできなかった俺が言うんだ。お前ならできる!!」
夏美「っ!!」
「お前ならできる」その言葉を小さくつぶやき何度も繰り返す鬼塚。そして、
夏美「本当に………そう思うんですの?」
「ああ!!」
夏美「足手まといになりませんの?」
「必死に頑張ってる奴をそんな風に言うやつは、Liella!には1人もいないよ。だから、皆と一緒に奇跡を起こしてみろよ! 夢を叶えて見ろよ!! この間の、皆を金儲けに利用しようとしてたときのお前と、皆と触れて、純粋な願いを前にした今のお前の気持ちが変わり始めている事と、お前がまだ、夢を見たいと思い始めている事くらい、見てりゃ分かるんだよ!!」
鬼塚は涙をボロボロこぼしていた。もう後ひと押しだろう。だが、
「で? そこでいつまで隠れてるつもりですか?」
鬼塚がぎょっとした表情で振り返ると、そこにはかのん先輩が立っていた。
かのん「き、気づいてたの?」
「まぁ、なんか気配はしたんで。盗み聞きですか?」
かのん「ご、ゴメン・・・・」
まぁいっか。
「で? 何でここに?」
かのん「お父さんが今北海道にいてね。忘れ物届けに来たついでに差し入れ。 ・・・ねえ渚くん、さっきの話・・本当なの?」
「本当です・・・」
かのん「やっぱりか・・「やっぱり?」うん。なんていうか、本当に何となくだけど・・そうじゃないかって気がしてたんだよね」
なんだ、かのん先輩は気付いてたのか。するとかのん先輩は、
かのん「夏美ちゃん! 私達は大歓迎だよ?」
「どうすんだ?」
鬼塚は、ギュッと拳を握りしめ・・・今の自分の正直な想いを口にする。
夏美「私は・・・入りたい! Liella!で、皆と一緒に頑張ってみたいですの!!」
変わった。鬼塚はやっと、長く閉ざされていた自身の"夢"という扉を開け、一歩を踏み出すことができた。
俺とかのんの先輩の答えは、勿論!!
かのん・渚「「夏美ちゃん(鬼塚)! ようこそ!! Liella!へ!!」」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
そして日が経ち、夏休みが終わり今日は結ヶ丘の学園祭当日。
そこには、今回の曲の衣装に身を包んだ夏美たち9人の姿があった。
かのん「1!」
可可「2!」
すみれ「3!」
千砂都「4!」
恋「5!」
きな子「6!」
メイ「7!」
四季「8!」
夏美「9!」
だが、皆俺の方を見る。え? 何?
かのん「ステージには立たなくても、渚くんもLiella!のメンバーだよ?」
ったく、そうですか・・・。
俺は、輪に加わり・・・・・
「10!!」
かのん「もっともっと沢山の人に、歌を届けよう!!」
そして、学園祭ライブは大成功で終わった。
ー ライブ後 ー
夏美「ナギくん!!」ギュッ!
なんと急に夏美が俺の腕に抱き着いてきた。
「へっ!?」
Liella!『!?』
すると、夏美は四季をチラッと一瞥した後メイに視線を向け・・・
四季(?)
夏美「メイちゃん? 負けないですので!!」
メイ「えっ、えぇえええっ!!?」
四季(っ!? 気付かれた・・・・?)
メイ「ヤロウ上等だ!! アタシだって負けねぇからな!!」
四季(ナギサ………我慢しないと、ダメなのに……ッ)
ハァ・・・。また、いちだんと賑やかになりそうだな。
「というか何の話?」
やはり何も分かっていない渚だった。
ー 続く ー
夏美「この話が良かったと思ったら高評価・エ〜ンド、チャンネル(お気に入り)登録、コメント(感想)よろしくですの〜!!」
作者「おい、お前のチャンネルじゃねぇしL Tubeでもないんだけど」
夏美「固いことは言いっこ無しですの〜!!」
やれやれ・・・
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