ー 紗夜 Side ー
Liella!が練習を始めた頃、かのんとマルガレーテ。マルガレーテは取り敢えず自分のミスなのでかのん先輩を仲間にすることは認めた。私は東京大会でいなかったし、そもそもスクールアイドルじゃない上にLiella!に入部届も出して無かったから『Liella!メンバーの友達ではあるがLiella!ではない』と言う扱いになった。
意外と分別はあるんだね……。
かのん先輩はマルガレーテと練習のために校舎裏に来ていた。ここはLiella!が校内ランニングにも使うコースだ。
マルガレーテ「こんなところで練習するの……?」
かのん「うん。さっきちぃちゃんに連絡したら、『鉢合わせない方が良いよね?』って言ってくれて。皆がランニングで、ここを通る時は、事前に連絡してくれるって」
マルガレーテ「そう。……こういう時はかのんがいることに有り難みを感じるわね」
紗夜「ニヤニヤ」
マルガレーテの言葉に私がニヤニヤと笑う。
マルガレーテ「何よその顔は!!」
紗夜「いや? 意外と素直だな〜と思って。じゃあ、ダンスの録画とかドリンクとかの用意するから……」
かのん「ありがとね」
マルガレーテ「……ありがと。助かるわ」
紗夜「どういたしまして〜」
そして私は練習の準備を始める。
すると、
かのん「ねえ」
かのん先輩はスマホでとある画面を出してマルガレーテに見せる。
マルガレーテ「ん?」
そこには、『代々木スクールアイドルフェス』の文字が。
マルガレーテ「これ、去年私が出場して優勝したやつよね?」
かのん「そう。今年もLiella!が招待されてる」
マルガレーテ「なるほど。そこに私たちも出場して、格が上だって事を見せつける訳ね……悪くない」
そう簡単にいくかな……。
紗夜「かのん先輩、私それ調べましたけど……出れるスクールアイドルは1校につき1グループだけじゃ無かったですか? 結ヶ丘はもうLiella!が招待されてるから枠は埋まってるんじゃ……」
マルガレーテ「はぁ!? じゃあ、私たちは出られないってこ!?」
かのん「……このままじゃあね。ただ、ゲスト枠が1つ空いてるらしくて。その枠を決める予選が近々あるみたいなの」
マルガレーテ「予選……つまり、競い合えってこと……?」
かのん「まあ、簡単に言うと……」
マルガレーテ「なんで!? 去年私はあそこで優勝したのよ!?Liella!も倒して、他のスクールアイドルも圧倒した!なのに招待もされず争えって!?」
かのん「まあまあ……」
かのん先輩がマルガレーテの勢いに圧される。
やれやれ……
紗夜「でも、東京大会ではマルガレーテはLiella!に負けてるんだよね?」
マルガレーテ「っ!!」
紗夜「つまり、その時とは実力差が変動してる場合がある。だったら、甘く見てる審査員にマルガレーテの力を改めて見せつけて『是非出てください!!』って、逆に頭を下げさせてやったほうが気持ちよくない?」
それを聞いたマルガレーテは黙り……。
マルガレーテ「………そうね」
かのん「へ?」
マルガレーテ「紗夜! あなたの言う通りだわ! 私を過小評価した事を後悔させてやるんだから!! そうと決まれば練習よ!!」
かのん「うん。それと忘れないでほしいけど、フェスの目的はお客さんを楽しませることだからね?」
マルガレーテ「楽しませる……?」
冬毬「かのん先輩の言う通りです」
そこに、冬毬ちゃんがやって来た。
冬毬「お客さんに楽しんで貰うことで、利益を得ている訳ですから」
かのん「利益って……」
冬毬「違うのですか?」
かのん「利益なんて無いよ。お金を集めてる訳でもないし、何か売ったりしてる訳でもない」
冬毬「なるほど。では、姉者が言ってた言葉は事実……」
かのん「夏美ちゃんが?」
冬毬「はい。スクールアイドルはお金や営利目的はいっさい無い上にタブーだと言ってたので。ただ、動画を配信しそれの閲覧数などで収益が入った場合、それは主に部の活動費に充てると」
かのん「うん。まあ合ってるね……」
冬毬「将来的な資格取得になる訳でもないのに……」
かのん「あはは……たぶん、お客さんに喜んでもらえるのが嬉しいし、楽しいからやる。それだけなんじゃないかな。理由なんて」
冬毬「楽しいから……」
かのん「目で見えるメリットは無いかもだけど、気持ち的な意味ではメリットはあるよ?」
冬毬「なるほど…その視点はありませんでした」
かのん「まあ、取り敢えず練習しよ?」
冬毬「練習が私に必要と判断すればやりますが。無駄な時間は過ごしたくないので……これで失礼します」
聞き捨てならないね。
紗夜「つまり、日々の練習が自分にはムダだって言いたいの?」
すると、冬毬ちゃんはいきなりダンスを踊り始める。すると、その動きはキレッキレ。かのん先輩とマルガレーテは驚いていた。
紗夜(私はダンス素人だけど、確かに言うだけはあるみたいだね……)
そして冬毬ちゃんはダンスを止めると、
かのん「す、すごい!練習してないのに!!」
マルガレーテ「なんなの、この子……」
冬毬「体幹には自信があります。曲の具体的な方向性や内容が決まったら連絡ください」
そして、冬毬ちゃんは紙を渡してくる。
冬毬「これ、正式な入部届になります」
紗夜「……………」
私が険しい顔で冬毬ちゃんを見ている頃………
ー Liella! Side ー
恋先輩から新スクールアイドル部の情報を聞いた夏美は驚愕の顔をしていた。
夏美「と、ととと冬毬〜っ!?」
メイ「冬毬って……」
四季「夏美ちゃんの妹」
入学式の日に一度会ってる2年生がそう言うと、
すみれ「夏美の妹……?」
可可「その子がどうして向こうにいるのデスかぁ!!」
夏美「え、え〜っと………」
夏美がどうしようかと悩んでいると、屋上の扉が開いた。
冬毬「私から説明しましょう」
千砂都「……どちら様?」
夏美「と、冬毬……」
千砂都・すみれ・可可・恋「「「「え!?」」」」
恋「この方が………?」
冬毬「2年生の先輩方。先日は大変失礼を……」ペコリ
冬毬ちゃんが先日の渚飛び蹴り事件について謝る。
「まあ、それはもういいけど……」
冬毬ちゃんはみんなを見渡すと、
冬毬「姉者がお世話になっております」
すみれ「姉者……?」
冬毬「私があちらに入部した動機は、スクールアイドル活動が、根本的にどのような物なのか、この目で確かめたいと思ったから。この一点のみです」
ライカ「確かめる……?」
冬毬「はい。姉者は、かつて言いました。スクールアイドルはマニーを集めるよりも、将来に備えるよりも大切な、夢を得られる特別な物。と……」
夏美「冬毬〜!!」
「へ〜」ニヤニヤ
メイ「コイツがそんな素敵な事を!?」
夏美「〜〜ッ///」
恋「では、冬毬さんは今実際かのんさん達のもとで?」
冬毬「活動時間は最小限になっていますが、その通りです。姉者のスクールアイドル活動を客観的に見たかったですし、Liella!に入ると、どうしても個人の感情が入る余地があるので」
奏「な、なるほど……?」
冬毬「突然失礼しました」
そして、冬毬ちゃんは屋上から出ていった。
奏「何ていうか、仕事のできる女性主任とか、社長秘書ってイメージになったな……」
四季「けど、実際は夏美ちゃんの事が大好きなシスコン妹」
すみれ「そうなの?」
夏美「それ、冬毬の前で言わないでくださいね?」
すると、夏美は少し沈黙したあとで口を開く。
夏美「……冬毬は、私以上にマニーの鬼なんですの。去年、私が毎日楽しそうにしていたことは、喜んでくれていたんですけど……。お金にならないのにやることの理由だけは分かってくれなかったんですの……。利益にならないのに何故やるの?と。……私が1人で動画配信していた時は、応援してくれていたんですが……」
陽菜「姉妹なのに……ぎこち無い関係になっちゃったんだね……」
ライカ「陽菜、さっそく寂しそうよ?」
陽菜「だってぇ……」
そして、その日の練習の終了時刻までみっちりと練習し、下校時……
メイ「はぁ……」
「どうした?」
メイ「いや、成長のためって分かってるんだけどさ……、かのん先輩がLiella!を離れるってなって頭こんがらがってさ……」
四季「たしかに」
「メイはクーカーの頃からかのん先輩を応援してたもんな……」
メイ「ああ……」
ふむ。
「でも、かのん先輩がマルガレーテを連れて戻ってきた時に、『私たちはこんなに成長したぞ!』って、胸を張ってドヤ顔できるようになろうぜ? かのん先輩たちに、『参りました〜!』って言わせてやろう」
するとふたりはクスッと笑い、
メイ「ああ、そうだな。ナギ、サンキュ!」
四季「ナギサ、ありがと……」
「おう! じゃあ、また明日な?」
四季「うん」
メイ「また明日」
そして、それぞれの家の中に入っていった。
ー つづく ー
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