Liella!がマルガレーテたちの事を気にし、会場入りした頃。配信会場。
七未「カメラテストーー!!はい、準備おっけー!」
八重「もうすぐ前のグループが終わるから、そうしたら配信ね!」
九乃「でも……」
八重「?何かあるの?」
かのん「いよいよだね!」
マルガレーテ「ええ」
紗夜「3人とも緊張してる?」
マルガレーテ「誰が!」
かのん「ふふ、可愛いよ?」
マルガレーテ「っ!」
紗夜「じゃあ、もう時間だから私はステージ袖に行くね?」
マルガレーテ「ええ。紗夜、ありがとね」
紗夜「どういたしまして〜」
かのん「仲良くなったね?」
マルガレーテ「まあ、紗夜のことは嫌いでわないわね。すごく好きってわけではないけど……でも、好きか嫌いかで言ったら好き寄りだと思うわ」
かのん「良かった」
冬毬「? でも、少し遅くないですか? もう時間のはず……」
九乃「かのんちゃん!」
かのん「?」
九乃「もうスタートの時間なんだけど……」
八重「配信の視聴者数が………」
マルガレーテ「ッ!!!」
配信会場の中に入っていたLiella!は、隠れながら配信サイトの画面を見ていた。
視聴者数がどんど下がり、今では8,000を下回ってしまう。
予選突破の最低ラインは10,000。となると………。
すみれ「これじゃあ、どう頑張っても一万は無理じゃない……」
夏美「やっぱり……」
(かのん先輩………)
ステージ上では、
かのん「そんな………」
冬毬「10,000以上の評価は不可能と判断されます。従って、歌う必要はありません……残念ですが」
かのん「嘘でしょ……?」
すると、マルガレーテは自虐の笑みを浮かべ、
マルガレーテ「ふふっ、そうよね……笑顔になりたいと思ってた場所で、不快な気持ちにさせられたんだもんね……。私の事、嫌いにもなる」
マルガレーテ「この顔を見ているだけでも、腹が立つ人が居るって事よね……」
会場にいる皆がマルガレーテを悲しい目で見る。
ああ、もう!我慢できない!!
紗夜「ちょっと!」
マルガレーテ「紗夜……?」
かのん「紗夜ちゃん?」
冬毬「先輩?」
陽菜「紗夜……?」
紗夜「たしかに、今歌っても結果には繋がらないかもしれない。でも、黙って諦めるなんてらしくないでしょ!!」
マルガレーテ「!!」
紗夜「今確認したけど、まだ7,500人くらいは見てくれてる。だったら、せめてその人達だけでも笑顔にして……、そこから新しく輪を広げていけばいいでしょ!?」
マルガレーテ・冬毬「「!!」」
紗夜「スクールアイドル活動1年間全体で見たら、この大会を下積みにしたって問題ないはずよ!!」
(紗夜……)
「その通りだな」ニヤッ
奏「紗夜先輩、凄いですね……!」
陽菜(紗夜……)
紗夜は、ちゃんと一歩を踏み出してる。なら、あたしは……!
かのん「……紗夜ちゃんの言うとおりだよ。歌おう」
マルガレーテ「っ……」
かのん「歌は人の心を動かす力がある。結果よりも前に、挑戦する気持ちを無くしちゃったら、それこそ何も始まらない! 私たちはこの日のために、毎日積み重ねて来たんだから!!」
冬毬「かのん先輩……」
冬毬(今歌っても結果にはならない可能性が高い。なのに……、こんな眼……)
(マルガレーテ………)
マルガレーテと冬毬ちゃんは顔を見合わせると、決意の表情を浮かべる。
紗夜「七草先輩! 配信準備!!」
七未「分かった!」
七未先輩はカメラの動画モードを起動する。
紗夜「頑張れ、3人とも! いや……、トマカノーテ!!!」
そして、3人のライブが始まった。ステージのイメージは海中。歌はそこを幻想的に泳ぎ回る海の生き物たちをイメージして作り上げていた。
マルガレーテがセンターで、そこからかのん先輩、冬毬ちゃんとフォーメーションを変え、冬毬ちゃんの体幹を活かしたダンスパフォーマンスを挟む。
そして、曲が終わると………
マルガレーテ「ねえ、かのん」
かのん「?」
マルガレーテ「歌、久しぶりに楽しいって思えた………!」
かのん「っ!その気持ち、ずっと持ってようね!」
冬毬「まぁ。たとえ利益にならなくても、悪い気持ちはしませんね……」
かのん「そうでしょ? たのしいもん!」
冬毬「楽しい……」
紗夜「お疲れさま!」
マルガレーテ「……ありがとう。紗夜!!」
マルガレーテは、いつもの生意気な顔ではなく、年相応の少女の笑顔で、笑った。
そして、ライブ後……。紗夜は陽菜に、冬毬は夏美に呼び出されていた。
紗夜「何?陽菜……」
陽菜「……紗夜の言ってたこと、やっと分かった。お互いに頼らずに個の力を上げるっていうやつ。あれは、お互いの力を上げて、その上がった力を後で束ねるってこと。そして、何かあっても、その力でお互いの大切なものを守れるように」
紗夜「うん……」
陽菜「私は、今まで紗夜の背中を追いかけて来たけど……。これからは、紗夜に追いついて、何なら追い越してやる気で行くからね!!」
紗夜「っ! フフッ。やれるものならね!」
陽菜「いつか、紗夜が私に守られる日が来るかもね。覚悟しておいてね!お姉ちゃん!!」
夏美「冬毬、取り敢えずお疲れさまですの」
冬毬「はい」
夏美「どうだった?初めてのライブは……」
冬毬「……利益にならないと言う考えは変わりません」
夏美(冬毬……)
夏美が悲しそうな顔をする。が、
冬毬「ですが、何故か悪い気はしませんでした。その……少しだけ、楽しかったです」
それを聞いた夏美は顔を輝かせて「冬毬〜っ!!」と抱きついた。
冬毬「あ、姉者なんですか! まだ認めた訳では……!」
夏美「それでも、今はそれだけで十分ですの!!」
冬毬「まったく……泣くことですか」
こうして、トマカノーテの予選ライブが終わり、一時の決別を通し真田姉妹の絆は更に強固になり、冬毬ちゃんも利益だけでは無い、やりたいと思う動機を少しは理解してくれた事だろう。
果たして、予選の結果は……
ー つづく ー
紗夜は武道家なので体育会系のイメージがあり、こういう時に喝をいれる時はかのん以外なら適任だと思ったので。
あまりかのんにばかり場面を動かすのを任せるのは良くないので………。
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