ー 数年前 ー
まだ、小学生だった夏美は……
夏美「……………」
夏美は雨の降る公園で、自分の叶えたい夢を綴った《夢ノート》とにらめっこしていた。
夏美「ハァ…………」
夏美は、またしても破れた夢に✕印を書く。
すると、後から冬毬がひょっこりと顔を出す。
冬毬「姉者、ダメだったのですか………?」
夏美「っ! うるさい……!」
夏美(ダメですの……冬毬は心配してくれているのに……)
軽く自己嫌悪に陥る夏美。
冬毬「姉者は頑張りました!毎日遅くまでずっと勉強していましたし……むしろ、姉者の素晴らしさを分からないやつらこそ、無能なのです!」
夏美「でも、ダメな物はダメだったんですの………」
夏美は《夢ノート》のページをめくる。そこには、コレでもかと✕印で上塗りされた数々の内容の《夢》が……。
夏美「ほとんど無くなってしまいましたの………」
冬毬「姉者……」
冬毬は、そんな夏美を見て悲しそうな顔をする。
―――すると、そんな二人乗り気持ちを表すように、雨が強くなってきた。
――そして時は、現代へ。
Liella!のメンバーは、夏美主導のもとこの間行われた代々木スクールアイドルフェスの振り返り配信をしていた。
何でも、要望が凄く多かったらしく、こういう配信は現役【L Tuber】の夏美が適任となったのだ。
夏美『………以上! フェスのふりかえりでした~! リポーターは、あなたの心の鬼サプリ〜!オニナッツこと、鬼塚夏美でしたの!! では〜』
そして、撮影カメラのスイッチを切るカメラマンの七草先輩たち。
七未「はーい、オッケー!!」
八重「夏美ちゃん慣れてるー!!」
それを見ていた千砂都先輩たちは、
千砂都「そんなに反響凄かったの………?今回のフェス」
七未・八重・九乃「「「!!!」」」
七未「そりゃあもう!」
九乃先輩がウンウン!と鼻息荒い。
八重「会場に来られなかった生徒たちが、見たい見たいって!!」
九乃「特に四季ちゃん凄い人気で!!撮影会開いて欲しいって!!」
「でしょ〜? 俺の彼女は可愛いんですよ〜!!」
自慢げな渚。先輩たちに「この幸せ者〜!」と、脇腹を突かれる。
きな子「良かったっすね四季ちゃん!! アレ?四季ちゃんは?」
メイ「四季ならあそこだよ……」
メイが目をやった方向には大きな木があり、それを見上げる四季が。
四季「………クワガタ」
奏「さすがにこんな都会の町中には居ないかと……」
すみれ「でも、こうなると問題はラブライブ!ね……」
ライカ「出場は1校につき1グループなのよね?」
すみれ「ええ……」
俺達がどうした物かと思っていると……、
九乃「それも、学校で話題になってる……」
七未「どっちが出場するんだろう?って……」
可可「それデ、七未たちはどっちを〜!」
七未・八重・九乃「「「ええ……」」」
言葉に詰まる3人。
可可「どっちを應援してるデスか〜……?」
八重「そ、それはもちろんLiella!を応援してるよ?1年の頃からずっと結ヶ丘のスターだもの!」
すみれ「ふふっ、当然よね!」
すみれ先輩が髪をたくしあげる仕草をする。
七未「ただ……」
すみれ・可可「「ん?」」
七未「向こうは向こうでかのんちゃんが居るし……」
九乃「それも無視できないっていうか……」
すみれ「裏切る気〜〜!?」
七未・八重・九乃「「「ち、違うよ〜〜!!」」」
まあ、凄い板挟みだよなぁ………。
陽菜「でも、2年生もそう思ってる生徒多かったよね?」
メイ「ああ……。どっちも好きって……」
きな子「きな子も、敵だ……なんて思えないっす……」
千砂都「………そりゃあ、そうだよね」
――その頃、
― 紗夜 Side ―
新スクールアイドル部の方は、かのん先輩がスマホでこの間の代々木スクールアイドルフェスの四季がセンターで歌った曲を動画で見ていた。
かのん「〜♪はぁ〜!」
マルガレーテ「ムムム………」
かのんのワキから厳しい顔で画面を覗き込むマルガレーテ。
かのん「四季ちゃんスゴイな〜!」
マルガレーテ「むっ!」
かのん「メイちゃんとのコンビもサイコー!!歌もすっごく良かったなぁ〜〜!!」
マルガレーテ「っ!」
あっ、マルガレーテキレそう。
マルガレーテ「なに喜んでるのよ!! Liella!に勝たなきゃ、ラブライブ!に出場できないんだからね!?」
かのん「それはそうだけど〜……」
マルガレーテ「まったく、調子狂うわね……!」
すると、かのん先輩は画面に目を戻し、
かのん「みんな頑張ってる……。みんな素敵だなぁ〜……」
紗夜「ですよね……」
すると、マルガレーテがかのん先輩に……。
マルガレーテ「やっぱあんた、本気で勝つ気無いんでしょ?」
かのん「え?」
マルガレーテ「私と組んだのも、Liella!のためで……!」
かのん「ち、違うって。マルガレーテちゃんたちといい歌を歌いたい、いいライブをしたいって本気で思ってるよ!」
マルガレーテ「だったら……!「ただ……」?」
かのん「お互いに足を引っ張り合うんじゃなくて、高めあって最高のライブを目指したい!この結ヶ丘に、最高の歌を!最高の思い出を残したいの!!」
マルガレーテ「………あっそ」
まったく、
紗夜「マルガレーテ、この間のライブだってかのん先輩はいっさい手を抜いてなんかいなかったでしょ?Liella!の為に潜り込んだなら、手を抜いてると思うよ? 去年Liella!と戦ったマルガレーテなら、かのん先輩が本気かどうかなんて見抜けるんじゃない?」
マルガレーテ「………それもそうね」
すると、
冬毬「ウォーミングアップは終了しました。次のタスクはなんでしょう?」
かのん「えっと……タスク? あっ、あのサクサクした?」
紗夜「それはラスクです。やらなきゃいけないことって言う意味です。主にビジネスとかゲーミング関係の用語ですね」
かのん「ああ、それだったらもう少し念入りにストレッチやっておこうか。いきなり動いた時は、ケガが1番怖いし……」
冬毬「
そして冬毬ちゃんはストレッチを始める。
マルガレーテ「……どういう風の吹き回しよ?いきなり練習に参加なんて……」
かのん「……フフッ。スクールアイドルのこと、少し好きになってくれたのかな……」
紗夜「……どうでしょうね」
マルガレーテ「……そういえばあの子、Liella!の鬼ナントカ……って言うのの妹よね?もしやスパイ……」
紗夜「ていっ」
アタシはマルガレーテにチョップをかます。
マルガレーテ「痛っ! 何すんのよ!」
紗夜「なんでそういう考え方しかできないの?」
かのん「ほんとだよ……」
マルガレーテ「あんたたちがお人好しすぎるのよ!」
かのん「あはは……」
マルガレーテ「……姉ならともかく、あのコはかなりの危険人物と見たわ……」
紗夜「危険どうかはともかく、何かあるのはたしかだろうね……」
かのん「そうかなぁ……」
そして、その日の新スクールアイドル部の練習が始まった。
― つづく ―
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