とあるホテルの喫茶店に二人の男が入っていった
?「おぉ!茂!良!ここだ!」
声のする方に顔を向けると5人組の男の内の一人が手を振り呼んでいた
良「先輩!」
茂「へっ……ちょっとした同窓会だなこりゃあ」
?「元気そうだな二人共」
座っていた男の一人が話した
茂「まぁね、良い生活とは言えねぇが楽しくやってますよ」
良「俺もですね、先輩達も元気そうでなによりです、他の先輩方は?」
茂と良と呼ばれる二人は席に着きながら問いかけた
?「今、アマゾンがトイレに行っている、だから今8人だな、志郎と洋はもうすぐ来るだろう」
答えたのはコーヒーを飲んでいた初老の男
良「結城さん……お元気そうで安心しました」
結城「あぁ、なんとか生きてるよ、俺だけ老いが来るのが皆には申し訳ないがな」
苦笑しながら再びコーヒーを飲んだ
?「いやいや、寧ろ喜んでますよ俺達」
?「そんなこと気にしないでください結城さん、ねぇ?本郷さん!一文字さん!」
テーブルに座る青年が力強く話す
本郷「あぁ、敬介と一也の言う通りだ、お前はよくやってくれた、そのまま生きてくれるだけで俺達は嬉しい」
一文字「そうそう!お前はそのままで良いんだよ、老いて死ぬ、俺達に叶わない事はお前に任せた、かわりに俺達はお前の意志を継いでいく、それで良いじゃねぇか」
結城「ふっ……ありがとう皆、もう戦闘の方は厳しいが科学者としてはまだまだ現役だ、これからもよろしく頼む」
本郷「あぁ、この間も世話になったからな、頼りにしている」
茂「この間ぁ?何かあったんすか先輩?」
本郷「あぁ、重要な話だから皆が揃うまで……」
?「シゲル!リョウ!」
本郷の話を遮り、男が茂と良に抱きついた
良「お久しぶりです先輩、相変わらずですね」
茂「イテテ……イテー!ちょっと離れろっての!」
しかし男は何かを喋りながら離そうとしない
敬介「ハハハ、俺達もやられたんだよ、会えたのがよっぽど嬉しかったんだろうなアマゾンは」
アマゾンと呼ばれる男を振りほどいた二人と同時に声が掛かった
?「皆集まっているようだな、久し振りです」
?「お久し振りです皆さん」
アマゾン「シロウ!ヒロシ!」
現れた二人に抱きつこうと駆け寄るアマゾン
シロウ「抱きつかなくて良いぞアマゾン」
アマゾンの頭を押さえながらシロウは話す
ヒロシ「ふふっ……変わらないですね先輩は」
アマゾン「うー……」
不満げなアマゾンと共に席に座りながら再会の挨拶をする
本郷「志郎、洋、遠い所をわざわざすまんな」
志郎「構いませんよ、ちょうど時間が空いていたので」
洋「いやーしっかし何年ぶりですか?俺達全員が集まったのって?」
良「十年以上は経つんじゃないですか?」
一文字「あー……そうだろうなぁ、個人で会うことはあるが全員となるとなぁ……一也なんか宇宙だしなぁ」
一也「ほとんど宇宙にいますからね俺は、すぐには帰れませんし」
茂「惑星開発って今どんくらい行ってんだ?」
一也「今はですね……」
談笑をする一同を本郷は喋らずその様子を穏やかに見つめる
本郷(皆元気で良かった……戦い続ける地獄、その道連れにしてしまった九人の男達……お前達を見るたびに俺は後悔で潰れそうになる……だがお前達は運命を受け入れ戦ってくれた、そして……)
本郷(仮面ライダーとなってくれた……)
仮面ライダー
それは人間を悪から守る為に戦う戦士達の通称
様々な経緯があるが一名を除き肉体を改造された「改造人間」である
本郷猛(仮面ライダー1号)
一文字隼人(仮面ライダー2号)
風見志郎(仮面ライダーV3)
結城丈二(ライダーマン)
神敬介(仮面ライダーX)
アマゾン(仮面ライダーアマゾン)
城茂(仮面ライダーストロンガー)
筑波洋(スカイライダー)
沖一也(仮面ライダースーパー1)
村雨良(仮面ライダーZX)
結城丈二は改造されておらず右手の義手と強化スーツで戦う人間、その為普通の人間と同じように歳をとる
この十人の仮面ライダー達により世界は平和を保たれていた、世間にはほとんど情報は出ないようにしている為、彼等の活躍を知る者は少ない、過去、世界で暗躍した組織達は彼等によって壊滅させられ世界を幾度も救っているが一部のライダー関係者や救助された人々がその存在を語るだけで半ば都市伝説と化していた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
茂「あ、そういや本郷さん、さっきの話って?」
先程話題に出た「この間」の事を思いだし尋ねた
本郷「そうだな、全員揃ったし話そうか」
志郎「それが今回集まった理由ですか?」
本郷「いや、理由の一部だ、久しく会ってなかったお前達に会うのが大半の理由だ」
フッ……っと皆が微笑する、アマゾンは大喜びだ
結城「この間の事を話す前に……暗黒結社ゴルゴムと言う組織を知っているか?」
暗黒結社ゴルゴムと言う言葉にほんの少しだが不安と緊張が走った
良「俺は知らないですね」
アマゾン「うー……オレも」
洋「俺もです」
一也「俺もです、まぁ宇宙にいましたし」
四人は知らないと答えたが表情は険しい
茂「ゴルゴムってのかはわかんねぇけど昔、身元不明の怪人一体倒したぜ、可能性でいやぁそいつがゴルゴムって奴になるな」
志郎「俺もです、その時は敬介と共に倒しました」
敬介「組織名を名乗らなかったから色々探ったんですが結局わからずじまいだったんですよね」
志郎「あぁ、あれからは現れなかったからな」
一文字「俺も知らないがもしかして新しい敵か?」
言葉を受けた結城は微笑し答えた
結城「すまん、含んだ言い方をしてしまったな、安心してくれ、ゴルゴムは既に壊滅している」
一文字「なんだ、緊張して損したぜ、それで?そのゴルゴムってのがどうしたんだ?」
本郷「俺達は皆、日本を離れ海外で戦っていた、その間日本は誰も居なかった、その隙を狙ってゴルゴムは活動していた様だ」
洋「俺達に気付かれない様に動いていたのか……」
結城「そうだ、活動拠点をほぼ日本に限定していた上に日本の企業や政治家を操り情報統制も行っていた、だからわからなかった、そして風見達が戦った怪人はおそらく日本征服を間近にした海外への偵察だろう」
本郷「一時期、ほんの僅かな期間だが日本は征服されていたんだ、公の記録ではテロリストの仕業になっているがな」
一文字「あぁ!あれか!テロリストが鎮圧された後に情報が出た奴ね、知ってりゃ俺が駆けつけたんだが」
敬介「ある意味、俺達が戦った組織より上手ですね」
ゴルゴムについて話している中、アマゾンは難しい顔をしながら聞いた
アマゾン「ダレが倒した?」
本郷と結城以外がハッっとなりアマゾンに視線を向ける
茂「そうだ!壊滅してるって事は誰かが倒したって事だ!」
志郎「本郷さんと結城の口振りからは二人が倒した様には思えない……」
洋「かといって日本の自衛隊が怪人に敵うとは思えない……」
一也「ってことは……」
良「まさか先輩!?」
皆が本郷と結城を見る、皆、答えは想像していたが答え合わせをするように二人を見て、回答を促した
結城「……皆の想像通りだ」
本郷「ゴルゴムは……新しい仮面ライダーによって滅ぼされた」
一文字「マジかよ……」
新しい仮面ライダー、その言葉を聞いた戦士達の顔は曇る、仮面ライダーとは戦い続ける地獄の道を行く者、その地獄への道にまた一人入ったのを誰も快くは思わない
茂「……まぁなっちまったもんはしょうがねぇわな」
敬介「そうだな、その新しい仮面ライダーが日本を守ってくれた事に感謝しよう」
一文字「そうゆう事だな、それより本郷、そいつは仮面ライダーを名乗ったのか?」
本郷「仮面ライダーBLACKと名乗ったそうだ、俺達の存在は一部しか知らないはずだがどうやって……」
良「もしかしてあれじゃないですか?昔特撮でやってたじゃないですか仮面ライダーって番組」
一也「それ知ってます、確かあれ事実を元に制作されたらしいですね、本当なら本郷さんか一文字さんがモデルのはずですが」
一文字「あぁあれな、ありゃあ本郷がモデルだ、人気が出たんだが監督がショッカーに殺されて打ち切りになったんだよ」
本郷「……普通俺達の事を知ることは出来ん、案外そうかもしれんな」
志郎「それでその新しい仮面ライダーがどうしたんです?」
本郷「あぁすまん、話がそれたな、その新しい仮面ライダーが死にかけていたのを結城と共に助けたんだ」
洋「死にかけた?」
結城「あぁ、日本のある県で起きた事件が気になって俺は向かったんだ、そこで同じくやってきた本郷さんと合流したんだ」
本郷「少し前、アンノウンと呼ばれる奴等と戦っただろう?その前に日本に出現したグロンギと呼ばれる怪人、そのグロンギの生き残りが現れて殺人を行っていたんだ、もっとも俺達が向かった時には全て終わった後だったがな……」
結城「そして仮面ライダーを名乗る男が瀕死の状態にあると知った俺達は病院へ向かい助けた訳だ」
本郷「あの時は結城が居てくれて助かった、何せ俺達とは異なるベクトルの改造人間だったからな、俺だけでは助けられなかった」
アマゾン「オレ達とチガウ……?」
結城「そうだ、基本的にはお前達の様に肉体を改造した形なんだが異なるのはそのエネルギー源だ、彼のベルトに埋め込まれている石が肉体に変化の切欠を与える、アマゾンに似たタイプだ、もっともその石が無事だったからこそ助けられた訳だが……」
良「なるほどそんな事が……」
本郷「それと……もう一人、グロンギと戦った男がいた」
志郎「まさか未確認生命体4号……ですか?」
本郷「そうだ、先のグロンギとの戦いの後、消息不明だったがライダーと共に戦っていた様だ」
一也「その人は仮面ライダーでは無いんですか?」
結城「あぁ、クウガと名乗ったそうだ、だがその心は俺達と変わらない物を宿している」
洋「嬉しいですね、俺達以外にも人間の為に戦ってくれる人がいる……」
茂「その新しい仮面ライダーはどんな野郎でした?未確認の方は見たんすか?」
本郷「逞しい、良い男だったよ、眩しさを感じる程な……あれはまさに、太陽と言うべきかな」
結城「もう一人は優しさが滲み出ているような男だったよ、戦いには向かないと思う程な」
一文字「また後輩が出来ちまったな……そのクウガってのも入れて二人もな」
アマゾン「オレ、会いたい」
敬介「気持ちはわかるがやめとけアマゾン、向こうの事情も知らずに俺達仮面ライダーです!じゃ混乱するぞ、このままで良いんだよ、もし会うとするなら戦いの中だろう」
アマゾン「うー……わかった……」
良「でもせっかく後輩が出来たんだから何かしたいですね、激励の様な」
一也「激励か……うーん……」
洋「とっさには浮かびませんね」
茂「手紙で良いんじゃねぇの?」
志郎「フッ……仮面ライダーからの手紙……か、茂、お前もなかなかロマンチックな事を言うんだな」
茂「べ、別にそんなつもりじゃ!?」
一文字「良いんじゃねぇの?きっと喜ぶぜ?」
一也「俺も手紙に賛成です、それで……」
洋「誰が何を書くか……だな」
敬介「でも、彼が番組から取ったのだとすると……」
結城「本郷さんだろうな」
アマゾン「オレ、書きたいけど我慢する」
一文字「だとよ本郷?」
皆の視線が本郷に集まる、本郷は戸惑い、気はずかしそうに言った
本郷「皆がそう言うなら俺が書こう、内容はそうだな……」
談笑を交えながら手紙を書いていく、一字一字丁寧に……
そして……
本郷「これで手紙は彼の元に行くだろう」
一文字「結局おまけまで付いちまったがな」
良「喜んでくれますかね?」
一也「喜ぶさ……きっと……」
洋「じゃあそろそろ……」
茂「解散……だな」
アマゾン「ミンナ……元気で!」
敬介「また会いましょう」
結城「元気でな」
志郎「行こう結城、では、また……」
仮面ライダー達は散っていく、束の間の再会は終わり、再び戦いの生活へ戻る為に……
一文字「行っちまったな……本郷、お前はどうするんだ?警視総監に戻るのか?」
本郷「お前も知っているだろう、警視総監とは名ばかりで実際は世界を駆け回っているのを」
一文字「悪い悪い、ちょっとからかっただけさ、名前貸してるだけだもんな、情報を貰う為に就いてるんだったな」
本郷「あぁ、だから彼を助ける事が出来た」
一文字「さぁて、俺もジャーナリストに戻りますかね、じゃあな本郷!また会おうぜ!」
歩きながら手を振り一文字は人混みに消えていく
本郷「また会おう……友よ……」
そして、残った本郷もまた都会の喧騒の中へ消えていった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
杏子「光太郎さーん!手紙が来てるわよー!」
玄関で靴を脱ぎながら杏子は光太郎を呼び出した
光太郎「手紙?僕に?」
本来、行方不明扱いになっている光太郎に手紙が来る事は無い、それにここは杏子の家だ、少し不安になりつつも光太郎は杏子に問う
光太郎「差出人は?」
杏子「えーと……本郷…猛ってなってるわ、知ってる人?」
光太郎「いや……知ら…ない人…だ……」
知らないと答えた光太郎だったが、何かを感じ考える
光太郎(でも何故だかとても懐かしい感じがする……)
杏子「ふーん、まぁ変な物は入ってないみたいだし読んでみたら?」
そう言いつつ手紙を光太郎に差し出した
光太郎「そうするよ、ありがとう杏子ちゃん」
手紙を受け取った光太郎はベランダへ向かう、その足取りは些か早い、自分に手紙が来たことに少なからず興奮していたからだ、階段を登りながら光太郎は差出人について心当たりを考えた
光太郎(知らないのに知っている感覚、ずっと昔から知っている様な……)
ベランダに出た光太郎は手紙の封を切り中身を取り出した、中身は一枚の便箋とカードが一枚、便箋を選択し視線を走らせる
光太郎「えっ……」
光太郎は手紙の内容に動きが止まった、そして何度も、何度も手紙を読み返す
「突然の手紙、申し訳ない、単刀直入に言おう、私は、いや私達は仮面ライダーだ、陰ながら戦い続ける者達だ、その昔にあった特撮番組の様に……君がゴルゴムやグロンギから人間を守ってくれた事は知っている、間に合う事は出来なかったが礼を言わせてくれ、ありがとう。
君も改造人間なら多くの苦悩があったと思う、挫けそうになったと思う、だが君は乗り越え、仮面ライダーとなった、私から始まる正義の系譜に君は名を刻んだ、だがそれは決して喜ばしい事では無い、地獄への道連れとも言えるからだ、だから君が戦いを辞めると言うなら私達は止めない、だがそれでも戦い続けると言うなら君は私達の仲間だ。
これから先も戦いは続くだろう、君が戦い続けるならその時は思い出してくれ、仮面ライダーは、仲間は共に戦っていると……もう一人の仮面ライダーにも会うことがあれば伝えておいて欲しい。
私達が会うならそれは戦いの中だろう、その時はよろしく頼む、いずれ会おう十一人目の仮面ライダーよ……
本郷 猛
PS:もう一枚のカードは君の先輩方からのメッセージだ、読んでやってくれ」
光太郎「…………」
言葉が出なかった、幼少の頃に頭に焼き付いたヒーロー、テレビの中の存在と思っていたヒーローが現実に存在する、それも十人も……無論イタズラの可能性もある、だが光太郎は真実だと確信していた、理由など無い、ただ魂がそう感じたのだ
光太郎「先輩からのメッセージ……」
もう一枚のカードを取りだす、そこには九枚綴りで一枚一枚にメッセージが刻まれていた
「仮面ライダー2号だ、頑張れよ!」
「仮面ライダーV3だ、仮面ライダーの名に恥じない様にな」
「ライダーマンだ、辛い事があってもめげるなよ」
「仮面ライダーXだ、仲間は大切にしろよ!」
「オレ、アマゾン、俺達仲間!」
「仮面ライダーストロンガーだ、やられるんじゃねぇぞ!」
「スカイライダーだ、活躍を楽しみにしているよ」
「仮面ライダースーパー1だ、人間の未来の為に頑張ろう!」
「仮面ライダーZXだ、体に気を付けてな」
光太郎「先輩……」
光太郎はいつの間にか泣いていた、感動で涙が溢れて来たのだ
光太郎は一時期孤独だった、親友を亡くし、仲間から離れ、戦い続けていた、五代雄介との出会いで孤独から解放され、改造人間となる以前の光太郎に戻ったがそれでもなおこの手紙は心に響いた
光太郎「わかりました……頑張ります……先輩……」
頬を伝う涙を拭い、青空を見上げる
光太郎(五代君、俺達は二人じゃない、十人の先輩がいるんだ……五代君……今はどこを冒険しているんだい?)
心地好い一陣の風が光太郎を突き抜けて行った
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
雄介「うおっ!?気持ちいい風!」
突如吹いた一陣の風に思わず声が出る
雄介「なんか……なんか知んないけど嬉しいな!光太郎さん元気かなぁ……」
自身を突き抜けて行った風にふと先輩の事を思う
雄介「その内会いに行かなきゃな、皆にも」
青空を見上げニッコリと笑顔を作る
雄介「よっ!」
青空に向かいサムズアップを行う、何だかよくわからないが無性にそうしたくなったからだ
雄介「さぁ、冒険の続きだ!」
そうして雄介は再び歩き出した、その顔に笑みを浮かべて……
この世から悪が消える事は無い、それは人間の中にも存在する、いつの時代にも悪は存在するのだ、だが悪があれば必ず正義も存在する、時代が望む限り仮面ライダーは必ず甦る
この世に悪が有る限り、正義の系譜に終わりはない
外伝:正義の系譜 おわり
アギトは……残念ですが登場しません、彼等にはもう自分の生活に戻って欲しいので。
BLACK寄りになりましたがこんなのしか書けませんでした、申し訳ありません。