君を連れて行こう
悲しみの無い未来まで
君がくれた笑顔だけポケットにしまって……
「……行方知れずの王の石、太陽と……お前は言ったな、ならば月、か……対になる力が合わさる事でその姿……いや、力に至れたという事か」
新生したBLACK、即ちRXを見定めてゴラドは呟く
(先にリントの戦士と見せた共鳴による上昇などまるで話にならん……そんな次元ではない、存在の格を上げたのだ……ダグバやガミオ、俺や暗黒の王、そしてあのリントの戦士が立つ……「究極の闇をもたらす者」そう称される我等の領域まで)
その感情に怒りは無い
土壇場に起きた奇跡を忌々しく思ってもいない
「まだ楽しませてくれるか、ゴルゴムの戦士……!フッ……ハハハッ……!!」
胸中にあるのはただただ高揚
ゴラドは強い者が好きなグロンギ、異常とさえ言える弱肉強食主義者、それがゴラドと言うグロンギの本質、グロンギの王など興味も無い
故に力を持つ者には差はあれど敬意を持つ、RXとクウガに決闘を提案したのもそれ故
そしてそれ故にリントを許せないのだ、己達と非常に近い種族でありながら力を持たず、なのに争いを好まず綺麗事ばかり抜かすリントに異常な嫌悪を抱くからこそルールに縛られる面倒なゲゲルなどせずに容赦無く根絶やしにしようとするのだ
そんなゴラドが抑えれぬ歓喜の声を出したのだ、それはRXを死合うに足る対等の敵と認めたからに他ならない
本来ならゲゲルを経て段階的に上がっていく力をズの階級のまま自力でンに匹敵するまで高めたグロンギからはぐれた異端にして最悪の天才
昂り続ける闘争本能の怪物が獲物を狙うハンターの如くRXを鋭く見据える
「大丈夫か五代君!?」
「い、一応……なんとか……」
そんな刺す様な視線を受けながらRXが優先した事はゴラドではなく友・雄介だった
「南さん、その……変身?は……いや、それよりオレも……戦います……!」
クウガは立ち上がろうと体に力を込める
「無茶するな!後は僕に任せろ」
「そんな……!?南さんにだけ戦わせられないです!」
RXが制止するもクウガは止まらない
「こ……こんな奴等の……」
五代雄介という魂が掲げる信念
それがクウガを、雄介の歩みを止めさせない
「……カッ……ゲホォッ!!?」
クウガは血を吐き、立ち上がる寸前で……崩れた
「五代君ッ!?」
倒れる体をRXが受け止め、支えた
「……ハァ……ハ……ァ……すみま……せん……ハァ……」
雄介の意思は止まらなかった、しかし、クウガである肉体は限界を迎え動けなかったのだ
「すまない……君にばかり辛い目にあわせてしまった」
クウガを寝かせ、アマダムが内包されるベルト・アークルへRXは手をかざす
「ありがとう……五代君」
RXのキングストーンと手が輝き、共鳴する様にアークルも弱々しく淡く輝き、RXの手からアークルへ光が送られると変身が解け、優しく寝かし付けられた様に雄介の体から力が抜けた
「……済んだか?」
邪魔する事なく見ていたゴラドが問う、戦闘が唯一の楽しみであるゴラドは相手の弱味や不意を突かない純粋な戦いを好む、だからこれは当然の事
「……」
無言のRXは答える様にクウガから離れ、ゴラドと向かい合う
「貴様は……俺が倒す!!」
新しき体に力を込め、漲らせ、RXは構える
「そうだ……もはや余計な言葉は要らん……!」
ゴラドも歓喜を表し呼応して構える
「それでいいッ!来い!ゴルゴムの戦士!リントを覆う闇!晴らせるものなら晴らしてみせろ!!」
クウガから受けたダメージなどまるで感じさせず、むしろ自らの血に濡れたゴラドはかつてない狂喜を感じ、叫ぶ
ズッ……ズズズッ……!
その狂喜に応えたかのように、霊石から溢れた黒い靄がゴラドの肉体をまるで暗雲が覆うように纏い隠す
バチッ……バチチッ……!!
雷光が走り、朧に見える肉体が金色を加えながらより刺々しく、より禍々しく変貌していく
「さぁ!!オレに……勝ってみせろォ!仮面ライダァァァ!!」
強烈な電撃の拡散と同時に意思の具現である
「……オオオオオオオオッッ!!」
「……ヌアアアアアアアッッ!!」
そして……光の戦士と闇の戦士はぶつかり合った
ドウッ!!
互いを打つ拳が凄まじい衝撃音を響かせる
「グアッ!?」
「ゴハッ!?」
血が飛散し、よろめきながら互いに数歩後退するも直ぐ様体勢を立て直した両者は同時に相手へ駆ける
「ヌグゥ!?」
RXの強烈な蹴脚が脇腹を打つ
「オアアッ!!」
メキメキと体組織を破壊する音が鳴るがゴラドは構わず切り返し、RXの顔面を掴み引き込んで背中に苛烈な肘打ちを食らわせる
「ウグァァ……グッアッ!!?」
RXの甲虫を思わせる装甲の様な背にヒビが入り陥没している、更に体勢を崩されたRXが動くよりも早くゴラドはRXを首から掴み上げ殴り飛ばす
「クッ……!?」
凄まじい砂埃を巻き上げ大地を深く抉りながら100メートル近くも飛ばされたRXは全身から感じる激痛を堪えながらも立ち上がろうと体を起こす
「ッ!!?」
BLACKのマルチアイから進化し、新たに透視能力を得た知覚、マクロアイが砂埃で閉ざされた空間の外から飛来する力を視認し瞬時に跳び上がる
直後にゴラドが放った衝撃波が砂埃を吹き飛ばしRXが一瞬前に居た場所を突き抜ける
「……!!」
跳んだRXはゴラドを視認しその両足に力を込める、空中で後方宙返りを行い横に回転しながら摩擦によって赤熱した両足を突き立てる
「RXキック!!」
凄まじい勢いでゴラド目掛け一直線に空中を疾走するRX
「……ムンッ!」
それを見てゴラドは拳を突き出し衝撃波を連射で放ちRXにぶつける
「何ッ!?」
驚愕の声をゴラドはあげた
自身が放った衝撃波はRXの勢いを全く止める事無く全て打ち払われたのだ
「チィィ……!!?」
予想外の事態に避ける機を失ったゴラドは舌打ちしながら防御に構え、BLACKの時の3倍の威力を持つ跳び蹴りを受ける他無かった
「グッ!?オオオオオオオオッ!!?」
受け止めたゴラドだったが余りの威力に堪える事が出来ず、吹き飛び、数十メートル離れた大地に巨大なクレーターを作る程の勢いで叩きつけられた
「ハァ……ハァ……ウグゥ!!?」
必殺技とも言える技を防御の上からとは言え決めたRXだったが息は荒く、痛みに悶え膝をつく
(わかってはいた……だけど、何て強さだ……!信彦の力を借りて回復した僕を、強くなった僕を……ここまで……!?)
本来ならばRXに非常に有利な戦いの筈だった
新生しクウガやゴラドと同等の力を得た上に体は完全に回復した、対してゴラドはクウガとの戦いでかなりのダメージを負っている筈
なのに一進一退の攻防を繰り広げているのだからRXはゴラドに驚愕する他無い
(それに……今のでも倒せていない)
ゴラドの居るクレーターを見つめる
「ゴフッ……ハァ……ハァ……」
クレーターの底でゴラドは左腕を見ていた
(やってくれる……左腕がほぼ死んだか、リントの戦士と戦っていなければ受けきれたかもしれんが……ククク……!)
感じているのは歓喜と愉悦
(幸運と言えるだろう、宿敵であるダグバが死に、害虫のごときリントのみが蔓延るつまらん世でこれ程の戦士、それも二人も戦えるなど)
闘争を求めるゴラドにRXを卑怯だと思う感情は無い、始めから二体一を容認し、クウガがアルティメットを制御した後も喜んでいた程だ、RXが回復し強くなった程度に卑な感情は一切出ないしもしそれで結果敗北しようと自ら望んだ故に後悔する事も無い
戦士として本懐を遂げられているという己が位置ではもはや到底得難い生の実感のみが満たしている
「……!」
クレーターからゆっくりとだが確実に歩み、姿を見せたゴラドにRXはやはりかと思い立ち上がる
「死の覚悟と必倒の決意が混ざった良い顔だ……やはり戦いとはこう在るべきだ」
RXを見据えるゴラドは変化に気付く
(傷が縮小している……自己再生……陽の光を浴びて、か……我等の持つそれを遥かに上回る速度……)
RXは太陽光が射す下では無類の回復力を持っている、それは軽い傷程度なら瞬時に回復してしまう程の異常とも言える回復力なのだがゴラドの強過ぎる力からなる攻撃はダメージが凄まじく回復が追い付いていない
(長期戦に構えれば俺が負けるのは明白……だから……だからこそ……!面白い!)
確定的に不利な状況を知るもゴラドはそれでも全てを肯定する好戦的な笑みを見せた
「フフ……ハハハハハ……!!」
死の淵に立ち、それでも尚戦いを望む戦士が笑う
ズズ……ズオッ!
その魂が決めた強靭な意思に、意思で力の高を決める霊石がベルトから漏れ出す様におぞましい黒い力を立ち上らせる
「……ヌアアアアアッ!!」
雄叫びをあげRXへ駆けた
「トアッ!」
迫るゴラドへタイミングを合わせ小さく跳躍し左側頭部へ蹴りをカウンターで放つRX
「ヌオアアーーッ!!」
左腕の防御が間に合わず直撃を受けたがゴラドは止まる事無く空中に浮いたRXの腹に右手の鉄槌を食らわせる
「ッッ!!?……ツアッ!」
大地に叩きつけられ追撃に踏みつけようと脚をあげたゴラドより速くRXは倒された状態からゴラドの背に蹴りを打ち、バランスを崩した隙に立ち上がり右手を手刀に構えた
「RXチョップ!!」
「オオッ!!」
斜に構えた上段から振り下ろされた手刀をゴラドの右拳が刀の腹を狙う様に打ち払う
ドギャ!
打ち払われた勢いをそのままに回転して放った裏拳がゴラドの頭部を打ち抜く
「アッ……グアァ……!?」
虚を突かれた攻撃故か、クウガから連なるダメージのせいか、ゴラドの動きが鈍る
(今だ!!)
その隙を逃すRXではない
「ウオオオオッ!!」
勝機と見て一気呵成に攻め立てる
「グッ!?ヴゥ!?ゴアアッ!!?」
RXの怒涛の攻めを迎え撃つゴラドだが押されている
左腕を満足に動かせない事が災いし手数において差が出ているのだ、そしてそれはこのレベルの戦いにおいて致命的な差だった
「ハァ……ハッ……~~~~ッ!!」
肉体の反射のままに攻撃を続けるRX、今はただそれを使う機を得る為に無我夢中でゴラドを打ち続ける
ドンッ!
RXの回し蹴りに堪えきれなかったゴラドが吹き飛び
「グオァァァ……!!?」
直ぐには立ち上がれぬ苦声をあげたまさにその瞬間
「……!?今だ……今しか無い!!」
ついにその時は来た
「ハァ……ハァ……!!」
息を整えRXはベルトであるサンライザーに力を込める
「リボルケイン!!」
サンライザーから柄が出現し、RXは初めから知っていた様に柄を握り引き抜くと光輝く剣の様な物を形成していた
光子剣・リボルケイン
RXの持つ太陽のキングストーンから光粒子を凝縮させて生成される光のスティック、スティックとあるが光子剣と称す通りに斬撃も出来、打突・斬撃をこなせる万能武器
「……!」
だがその程度では宇宙をも支配出来る次期創世王の位に叶う武器とは言えない、このリボルケインの真価は他にある、それこそがリボルケインが創世王が造り出したに恥じぬ由縁がある
「トアッ!!」
大地をリボルケインの柄で叩き、RXは跳躍しリボルケインを構える
「!!?」
立ち上がったゴラドだったが遅かった、RXは既に目前まで来ていたのだから
「ウオオオオーーッ!!」
リボルケインがゴラドに迫る
「ヌッグッ……オォ……グオオオオオオオオオオッ!!」
ゴラドはただ……拳を突き出す
ドギャアッ!!
相克する意思の果て
「…………」
「…………」
一瞬の静寂
「……」
RXの出した技の名は「リボルクラッシュ」
突き刺したリボルケインから太陽とキングストーンのハイブリッドエネルギーを注ぎ込み爆散させる技
原理としてはクウガが封印エネルギーを相手に打ち込みベルトに届かせ破壊するプロセスに似ているが問題はそのエネルギーの量
太陽とキングストーンから無限に生まれるエネルギーを限界を超えて爆散するまで注ぎ続けるのだ、故にベルトに伝わらせる必要も無く、エネルギーを制御し爆散を防ぐ事も不可能、際限無く無限大なのだから
決まれば正しく必殺、創世王の力に恥じぬまさに究極の一撃
「……」
「……ア……ウァ……ァ……」
そう、それは決まれば、の話
「ァ……ガハッ!?」
崩れ始めたのはRXだった
「……運が……味方したか……」
リボルケインはゴラドの脇腹を掠め、逆に戦士であるゴラドが放った無意識の拳はRXのサンライザーを打ち、亀裂を入れていた
「紙一重……だが、勝負あった、な……!」
「ウグッ!?」
衝撃波でRXは吹き飛ばされリボルケインも消滅する
「楽しかったぞ……本当に楽しかった、一生涯に匹敵する充実があった……礼を言う、ゴルゴムの戦士」
「グゥゥ……クアッ!?」
力の源であるキングストーンが破損しRXはもはや死に体、太陽光による回復は始まってはいるが深刻なダメージを瞬時に治せる筈も無く、立ち上がる事もままならない
「リントの戦士もすぐに送ってやる……」
死神が、人に仇なす闇の権化が今、守護者を葬ろうとしている
「ま……けられ……ない……んだ……!?」
そこにもはや不思議や奇跡が起きる事は無い、起こるべく事しか起きない
「さらばだ」
ゴラドが、構えた腕をRXのサンライザーへ向けて……振り下ろした
「やめろおおおおおおおぉッ!!」
ゴラドは殴り飛ばされた
「ヌゥ……お、お前は……!?」
邪魔者を視認したゴラドは驚愕する
「ハァ……ハァ……南さん……」
「五代……君……」
それはRXによって眠りにつかされた雄介だった
「どうやって……いや、どうして……」
RXは雄介がこんなに早く目覚めるとは思っていなかった、いくら同じ位同士とはいえ回復にはもっと時間が掛かる筈
だがそれも雄介をよく見ると納得した、回復が僅かにしかされていない、意思の力で無理矢理起きて来たのだ
だからRXは問うた、五代雄介にそこまでさせる意思とは何なのかと
「……こんな奴等の為に!」
雄介は叫ぶ、魂からなる、五代雄介の想いを!
「これ以上誰かの涙は見たくない!皆に……笑顔で居て欲しいんです!」
悲しみの無い未来の為に
「だから南さん……見ててください!」
大好きな……笑顔の為に!
「オレのぉ!変身!!」
青空の様な心優しき男は今一度、究極の戦士へ成る
「フッ……立つかリントの戦士」
ゴラドはクウガを見て笑みを浮かべる
「願ってもない事ではある、永遠に楽しみたいとさえ思う、だが……潮時だ」
嬉しさはあるが変身出来ただけでクウガもRXも満身創痍、そして己も
これ以上戦いは続かないと見たゴラドは決着の時だと言い渡す
「南さん……あいつとんでもなく強いです、0号より強いかも……オレじゃ勝てないかもしれません……」
「かも……しれないな……」
クウガの言葉を肯定するRX、それだけゴラドの力は今までに無く強大であり恐ろしき闇であった
「いや、勝てるさ五代君……!」
だがRXは直ぐ様口に出した、同時に二人のベルトは強く共鳴する
「今は僕と君でダブルライダーだからな……!!」
誇り高き希望を胸に立ち上がる、平和の祈りを込めて……!
「いつでも来い、それがこの闘争の幕となる時……出し惜しむな、リントの自由を賭けるのならばなぁ!」
ゴラドも最後を飾るべく強烈な雷撃を放つ黒いオーラの全てを右手に集め、光の戦士達を待ちわびる
「行くぞ!!」
「はいっ!!」
二人は動く
RXが大地を叩き、クウガが一歩下がると同時に腰を落とし両手を斜めに開き構えを取り、踏み出す
「トオッ!!」
同時に跳び上がり、跳躍の頂点で前方宙回転を行い、寸分の狂い無く右足を突き出す
「ライダァァァダブルキック!!!」
ゴルゴムとキングストーン、グロンギとアマダム
それぞれの時代で人間を守り抜いてきた二人の戦士が繰り出す最後の合技
「ヌアアアアアアアアアアアアッ!!」
ゴラドも戦士の誇りを拳に全霊を賭けて粉砕せんと迎え撃つ
「ハアアアアアアアアアアッ!!」
「オオオオオオオオオオオッ!!」
ぶつかり合う終焉を決める攻撃、尋常ならざるエネルギーの衝突が封印の地を激しく鳴動させる
「グアア!?」「ウアア!?」
二人の足が異常に赤熱していく、余りの負荷に限界を迎えた身体では耐えられないのだ
「フッ……ハハ……!!」
それはゴラドも同じだが己の身体など厭わぬ気概が僅かにだが二人を越えていた
「終わりだァァァ!!」
勝敗が決する……刹那
「ッッ……キングストーンフラッシュ!!」
黒陽の咆哮
「み……なみ……さんッッ……!!?」
RXのヒビ割れたキングストーンから出た淡く弱々しい光がアマダムを照らし、輝かせる
それは一瞬の閃光となって二人の戦士を包み
黒き剣と化した
「……オリャアアアアアアーーーーッ!!」
直後に凄まじい轟音が鳴り響き、未曾有の衝撃が封印の地を吹き飛ばす
「……」
大量の砂鉾が舞い、その勝敗を覆い隠している
「……」
砂鉾が晴れていき、徐々に……三人の様子を映し出す
「……見事だ……」
映しだされたのは右腕が消滅したゴラド、その離れた背にはクウガとRX
「俺の……負けだ……」
そして……ゴラドの下腹部はベルトごと消滅していた
「満足だ……悔いは無い……」
死を悟ったゴラドは二人に振り向き、今際の言葉を向ける
「これから先もリントは様々な脅威に晒されるだろう……お前達が……守れよ」
人間を嫌っていたがゴラドにとって人間の絶滅は目的ではあったが野望ではなかった
本当に望んでいたのは強き戦士との死闘
それが成せた末に死ぬのならばもはや達成出来ないリントの事など悔やむに値しない、だからそのリントを守った二人を称え、激励する様な事を言うのだ
「わかった」
「約束する」
迷い無き確かな覚悟を乗せた返事にゴラドは笑みを浮かべながら目を閉じる
「良い戦いだった……さらばだ」
全身に亀裂を走らせ、爆散する
それは二人の戦士を極限まで追い詰めた最強のグロンギとは思えない程の小さな爆発だった
「……」「……」
それでも……ゴラドは確かな死を迎えたのだ
「……終わりましたね!」
「ああ……!全て……終わった!」
はぐれグロンギとの戦いに勝利した二人
クウガが変身を解き、傷だらけながらも屈託の無い笑顔でサムズアップを取る
それを見たRXは頷き、青空を見上げる
「……うっ!!?」
RXの今だヒビ割れたサンライザーが光る、その光は全身を包み、緑光となってRXから飛び出た
「あ……南さん……」
すると、そこにはRXではなく、BLACKが立っていた
「お前のお陰だ信彦……ありがとう」
変身を解いたBLACKは宿敵シャドームーンではなく、南光太郎として亡き親友へ聞こえる様に感謝を声に出す
『気にするな光太郎!お前が勝って……生きてて良かったよ』
その声に光太郎は驚くが自分にしか聞こえない声だと悟り、救えなかった申し訳なさに顔を下げる
「……お前は、生き返れないのか?」
光太郎は問う
BLACKをRXに生まれ変わらせる事が出来たのだから可能なのではないかと思ったのだ
『……それは無理だ光太郎、俺はキングストーンの持つ可能性を見せただけだ、アレはほとんどお前のキングストーンの力……俺はただ切欠を与えたに過ぎないんだよ』
「そう……なのか……」
淡い希望が無くなり光太郎は悲しみと後悔にうちひしがれる
『泣くな光太郎……お前は俺がいなくたって大丈夫だ、新しい親友も出来たのに情けない顔を見せるな』
ハッとして光太郎は雄介を見た、雄介は何が起きているか何となく察して笑顔で何度もサムズアップを繰り返している、光太郎に笑って欲しいのだろう
「……わかったよ信彦、ありがとう……五代君も……ありがとう」
信彦の言葉と雄介の笑顔を受けて光太郎はようやく吹っ切れた様に……笑顔を見せた
『……時間だ、もう行かなきゃな……生きろよ光太郎!俺の分まで!……克美と杏子を頼む』
「ああ!任せろ!」
光太郎の返事を聞いて信彦は青空へ昇っていく
『光太郎!最後に……俺からプレゼントをやるよ!俺は無理だったがお前の相棒なら何とかなりそうだ……!あの皆既日食の日から随分遅くなったけど……受け取れ光太郎!達者でな!!』
そして信彦は緑光の粒子となり、消えていった
「プレゼントだって……?どういう事だ信彦……?相棒……?」
「どうかしたんですか?」
光太郎が疑問に首を傾げ雄介が問うた直後
ブォン……
そう遠くない場所で何かが音を出した
「……!!……そんな……まさか……」
光太郎は瞬時に気付く、誰よりも知っていて誰よりも長く一緒にいたのだからその音が何なのかわからぬ訳がない
「今の……バイクのエンジン音?まさか一条さんがバイクに乗って来てたりとか……?それは無いか……いや、あるかもしんない」
知らない雄介が気楽な予想を立てるなか
光太郎は一点を見つめ続けている、その昔……決して忘れ得ぬ辛苦を経験した……あの採掘場を
「一条さんだと思うんだけどな~桜子さんは絶対無いし……待てよ?昔おじいちゃんがバイクに乗る正義のバッタ男を見たとか言ってたような……もしかして?」
音は凄まじい速さで二人の居る場所に近付き、最後に知らせる様に轟音を出した後、一台のバイクが丘から飛び出し、二人の……いや、光太郎の前に着地した
「え!?何このバイク!スゲェ!バッタの……バイク?スゲェ!つーか無人?あ!ゴウラムみたいな感じ?スゲェ!」
はしゃぐ雄介とは対称的に光太郎は動けず、確かめる様に名を呟く
「バトル……ホッパー……」
そのバイクの名は「バトルホッパー」
ゴルゴムが次期創世王、つまり世紀王の為に造りあげた意思を持つ専用マシン
光太郎がゴルゴムを脱出する際に邂逅し、光太郎の長きに渡るゴルゴムとの戦いをロードセクターと共に支えた愛車
ゴルゴムとの決戦時にシャドームーンにより致命傷を与えられ、BLACKの為に自爆特攻を行い命を散らした無二の相棒
そのバトルホッパーが今、在りし日のままの姿で光太郎の前に居る
『……!!』
バトルホッパーが目を点滅させ喜びを表す様に首を振る
『ラ……ライダー!』
拙いが確かに伝えられた光太郎に向けた言葉
「バトルホッパー!!」
確信した光太郎はもう抑える事など出来なかった、相棒の名を叫び、走り、抱き締める
『タダイマ……!』
「ああ……!おかえり……おかえりバトルホッパー……!」
互いに涙を流し再び会えた奇跡を喜び合う
(ありがとう……信彦!!)
月影から黒陽への贈り物をもって、古から続くゴルゴムとグロンギ、今を生きるBLACKとクウガの戦いは終わりを迎えた
ーエピローグー
「五代君!」
待ち合わせの公園で光太郎が手を振る
「南さん!久し振りです!皆でパーティーした以来ですね!元気でしたか!?」
「ああ!君も元気そうで良かったよ」
再会に笑みを向け合う
「そうそう!桜子さんに聞きましたよ南さん!南さん今バイクショップで働いてるって!」
「ああ、君が冒険に出た後に偶々出会った人に放っておけないって強引に連れていかれてね……不思議な人なんだ、まるで僕みたいな人を何人も見てきたみたいな……そんな人なんだ」
「え?じゃあオレの事もわかったりしますかね?」
「どうだろうな……でもおやっさんならもしかしたら……ああ、おやっさんは愛称なんだそうだ、昔から呼ばれてたらしい、本名は立花……五代君、立ち話もなんだからどこか行かないかい?長くなりそうだしそこで話そう」
「ならポレポレ……と言いたい所ですけど良い店があるみたいなんですよ南さん!これも桜子さんから聞いたんですけど「AGITΩ」って名前のレストランがあってそこがメチャクチャ美味しいらしいんです!」
「ならそこにしよう、行こうか」
「はい!……ところで南さん?バトルホッパーは元気ですか?」
「勿論元気さ!今日も五代君と会うと言ったら自分も行くと言って聞かなくて困ったよ、バトルホッパーには悪いけど流石に街中は走れない」
「あー……ふつーに違法改造車にしか見られませんもんね」
「だから後で会ってやってくれ、バトルホッパーも会いたがってる」
「全然良いですよ!オレも会いたいですし!」
「ありがとう……じゃあ、行こう」
二人はバイクに跨がり駆けていく
ライダー達よ永遠に……
気が向いたので戦闘描写増し増しです。
ゴラドのパワーアップは所謂ライジングアルティメットです、好きじゃないけどRXとクウガに対抗するにはこれしかなかった……
最初の構想ではRX主体のIFとしてリボルクラッシュで終わらせようと思ったんですが黒陽伝説はBLACKとクウガが主役の話だからと変更しました、そのお詫び?にバトルホッパーをてつをへ贈りました。
ちなみにこのIFからは光太郎が瀕死になってないので正義の系譜に繋がりません、その代わりにおやっさんが出てます。
それとサブタイを見てニヤリとした人は中々のライダーファンと見受けます、ネタもかなり詰め込んだので楽しんでくだされば幸いです。