書くかは気が乗ればということで
グレゴール・アイソンは苦戦していた。
搭乗機『ラプター』で、大多数の敵を相手取るには、多勢に無勢もいいところだった。かつて乗っていたような高性能機ならともかく、型落ちになった量産型機体で十全に戦うのは難しい。
彼が乗る兵器は、その区分をアサルト・ファイター、強襲戦闘機と名付けられていた。
『OVER G,OVER G……』
機体をファイター形態で振り回す。
次々と飛来するビーム砲撃。見てかわせる距離、速度ではない。射撃のタイミングを読んだ上でファイターを振り回す。
「ハーッ………ハーッ……」
腹に力を込め、肺に空気を流し込んではこらえる。毛細血管が破裂していく感覚。意識が遠くなるも、強靭な意思で押さえつけていく。
センサーロックオン。シーカー音。ミサイルリリース。白煙を吹きながら二発のミサイルが放たれ、敵に襲い掛かる。次の瞬間子弾へと分裂し、四方八方に弾幕を張る。
「ハーッ…………!」
ミサイルをかわしきれなかった敵機が飲み込まれていく。大量のデブリが飛び交う中、急旋回。スラスタを使いつつ、機体を変形させアサルト形態に移行。肢体が伸び、脚部が展開したことで回転速度が落ち、同時に射角が広がった。
「楽しませてくれるか」
ビーム射撃に対し、こちらもビームを射撃。ビームをビームで迎撃する神業を披露したのもつかの間、襲い掛かるミサイルを機体備え付けの小口径
その機体は大型の砲を備えた機体で、瞬時に変形すると砲を撃ちまくり始めた。
『こうなりゃ
『その名を自ら名乗ったことは一度もない』
『次は俺が名乗ってやるよ!』
『荒々しい機動、教えを遵守するつもりはないか』
教授。プロフェッサー。それはかつてグレゴールがそう呼ばれていたことがあったということである。
精密かつ緻密。計算されたような美しい戦闘機動をもって、数多くの敵機を葬り、宇宙船を撃沈してきた、伝説的な男。今その男は、眼前で似てはいるが荒々しい機動を取る男の手によって、今まさに、撃墜されそうになっていた。
簡単な護衛任務のはずであった。宇宙海賊如きであれば、グレゴールが搭乗する『ラプター』でも十分撃退は可能なのだ。
だが遭遇したのが二十機単位のソード社製カットラス、うち一機はチューンされた改造機。数的有利、質的有利を失った状態、しかも護衛任務と来ては、生き残るだけで精一杯である。
「……」
被弾。ビームが掠め、装甲を幾分か持っていく。ミサイルは撃ち尽くしてしまっており、敵機は“十機”残っている。
「護衛は果たせなかったか」
自らが護衛するはずだった白い輸送艦が白煙を吐きながら惑星の重力に引かれて落ち始めているのが見える。自分の身を守るので精一杯というのに、護衛任務など果たせるはずもなく。
『ここで死んでもらうぜ!!』
『………』
巨大な砲―――レールガンを構え、こちら側の射撃を掻い潜ってくるかつての弟子の姿に対し、グレコールは無言で応対した。
襲い掛かってくる弾頭をひらりと変形することでかわすと、後退する。宇宙での戦闘は分が悪い。遮蔽物になりうる輸送艦に接近するべきである。損傷を負った状態で大気圏に突入すればどうなるかわからないが、なにもしなければ死ぬだけだ。
『グッ………!?』
機体が爆ぜる。推進剤とエンジンを繋ぐ部位に異常が発生、バイパスを開始と出る。
「………ッ!」
次の瞬間、レールガンが背後から突き刺さり、機体が弾き飛ばされる。コックピットが砕け、宇宙が垣間見えた。致命傷だ。機体は勢いで落下しつつある輸送艦の壁面を突き破って内部へと突っ込んだ。
「………」
エラー音さえ鳴らなくなった。機体の中枢が死んだらしい。
「………」
バイタルサインの表示がヘルメット内部に投影されている。頭部損傷、出血多数。ヘルメットが打ち付けられ、守り切れず内側に凹んでいるらしい。脳に障害が発生しているのか、視界にノイズがかかっている。
「止めだ」
遠方からレールガンが叩き込まれ、白い輸送艦に大穴を穿つ。輸送艦はそのまま、急速に速度を増しつつ、灰色の惑星へと落ちていく。
「プロフェッサーの最期だ」
かつて弟子であった男、エイハブ・フィセターは炎上しながら落ちていく輸送艦を尻目に、機体を変形させ母艦へと帰還して行った。
流れ星が灰色の惑星に落ちていく。
「なんだありゃあ……」
灰色の惑星で発掘調査をしていた青年がいた。彼は空から流れ星が落ちてくるのを見ていた。流れ星にしては、動きが妙だった。光り輝きつつ加速して燃え尽きるのがほとんどであるのだが、速度がまるで減速しているように遅く、しかも……。
「こっちに来てないか!?」
彼のいるキャンプへと落ちつつあるようだった。
彼は慌てて道具類を纏めると、エア・バイクに跨ってその場を撤収した。幸いというべきか、その流れ星は減速しながら彼の上空を掠め、ランディングギアを出し始めた。大穴を穿たれ、各所にビームの着弾痕が残るそれは、着陸にしくじりつんのめりながら岩ばかりの荒地の大地上で静止した。
「………」
何も感じなかった。頭に怪我を負い、脳にダメージが行っていること。酸欠状態に陥ったこと。大量出血で体温が急速に低下しつつあること。もしかすると着地の衝撃で腕がなくなったかもしれないこと。
ボロボロの輸送船を着陸させられたのは奇跡に近かった。搭載していたものがほぼなく、推進剤も残り少なかったことから致命傷を免れることができたからだ。だが着陸の衝撃でランディングギアは折れたし、つんのめったあとで叩きつけられたのだ。もう自分が生きているのか死んでいるのかもわからない。
死にたくない。その一心で、何か治療に使えるものはないかと格納庫に潜り込んだのは記憶していた。
「………」
痛みが消えた。
メッセージが見えた。
『摘出開始』『完了』『適合開始』『エラー 脳に損傷』
痛みはない。だが何も感じない。意識だけしかなかった。
『修復開始………………』
『適合条件達成、インストール開始』
『×××パッケージインストール』
『………パッケージインストール』
電脳の類を入れられているのだろうか。
電脳。一部電脳化はしているが、ほとんど脳は丸ごと残っているはず。
インストール。何をインストールしている?
『残骸の摘出、廃棄』
『製造ポッド内部にて経過観察中』
意識が遠のき、再び戻ってきた。何も見えないが、聞こえないが、感じる。生暖かい液体の中にいるような感覚だった。
また意識が遠のき、目覚めたとき。
「…………」
腕一本動かせなかった。目だけ開いており、どこかのプラントにでもいるのか、排気ファンが天井で回っているのが見えた。
『起動中……完了。全システムクリーン』
メッセージが視界にちらつく。数式を含む、様々な情報の羅列がスクロールして消えていった。
視界に金髪の青年が入り込んできた。
「生きてるか?」
「ああ…………何?」
返事をする。しかし、その声は女性のもので。
むくりと身を起こしてみる。タオル一枚がかけられた“女の”肢体が見えた。タオルをめくると、毛一つ生えていない艶めかしい体躯が映り込んでくる。手を見る。細く、しなやかなつくりをしている。後頭部に手をやる。白い毛ではなく、長く黒い毛を掴むことができた。思わず胸に手をやると、ふにゅんと柔らかい肉をつかみ取ることに成功した。
「…………バカな」
老傭兵は、あろうことか、女の体に入っていたのだった。
何を望むのだよ
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あまあまな恋愛
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えちえちな展開
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いちゃいちゃさせろ
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冒険させろ