もしも老傭兵がセクサロイドの体に入ったら   作:キサラギ職員

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ヒャア我慢できねェ投稿だァ!


2、驚愕と出会い

 

 老人は驚愕した。瀕死の重傷を負ったかと思えば、いつの間にか女になっていたのだ。

 否、正確に言うならば、女の体に入っていたとでも言うべきだろうか。状況が読み込めず、頭の上に疑問符が大量に繁殖しかかっていたが、伊達に年齢を重ねているわけではない。タオルを改めて自分にかけなおすと、己を覗き込んできている男に目をやった。

 年齢で言えば二十になったばかりくらいだろうか。金髪青目の地球人(ブルー)に見える。つまり己と同じ出身者ではないだろうか。

 この銀河系には人型(ヒューマノイド)のエイリアンが数多く存在する。地球人はその中でも特に数の多いヒューマノイドの一種である。

 

「………」

「その、さ。服を着てくれねぇかな。ホラこれ……」

 

 グレゴールが口を開こうとすると、青年が服を渡そうとするではないか。全裸にタオルでは締まらないのは道理である。さっそく着替えようと立ち上がると、青年が顔を赤くして目線を逸らした。

 青年からすれば美貌の女が全裸で立ち上がったせいでタオルがぺろりと落っこちたのだ、まじまじと見つめられるメンタルをしていなかった。

 

「どうしたのかね?」

「どうしたもこうしたも服を先に着てくれや」

「確かに。失敬した」

 

 まずは服を着るべきだ。

 グレゴールは相手がなぜ恥ずかしがっているのか理解できないまま、服を着込んだ。青年の使い古しなのだろう。単純な長袖のシャツにズボンであるが、だいぶ袖と裾が余っている。

 

「靴はこの輸送船あさったらあったからよ、履いてくれ」

 

 と、ご丁寧に靴まで用意してくれたらしい。靴の方はぴったりだった。

 改めて、自分の体を確認する。どぷん、という効果音が聞こえてきそうな程大きく豊かな胸元。しなやかな肢体。むっちりとした腿。きゅっと窄まったくびれ。髪の毛は長く、黒く、艶々としており、肌は透き通るように白い。顔は確認できないが、恐らく女のそれ。まごうことなき女になっているではないか。

 

「感謝する。私はグレゴ………いや、グレーテ。グレーテ・アイソンだ」

 

 咄嗟にグレゴールは女性名を名乗った。現状の把握はかなり早い方だった。相手の知識にもよるが、男性名と看破され違和感を持たれては支障をきたす可能性があると判断したのだ。

 青年はやっと服を着た相手に名乗った。

 

「俺ァ、アレックス・ゴールドってんだ。よろしくなねーちゃん」

 

 二人は握手をかわした。

 

「!?」

「? どうした?」

「なんでもない」

 

 触れた瞬間に全身にぴりりと電流が走ったような感覚があった。

 一方のアレックスはきょとんとしていた。

 グレゴールもといグレーテは、部屋を見回してみた。謎の液体で満たされたポッドや樹脂製のベッドがあり、生活感はない。研究室の一室のようだった。

 

『リンク確立 ようこそ ホワイト号へ』

 

 電脳の扱いは素人ではなかったが、簡素なものしかインプラントしていなかったはずだ。念じるだけで船体とリンクできるほどではなかった。ところができてしまい驚いた。

 情報を検索しつつ、相手にも問いかけをしていく。

 

「記憶が混乱しているようだ。済まないが状況を教えてくれ」

 

 青年は腕を組み、歩き回りつつ説明を始めた。

 

「あれは一週間前のことだったかな」

 

 一週間。一週間寝ていたとでもいうのか。

 困惑するグレーテであったが、おくびにも出さなかった。

 

「俺が仕事をしていたら急に上からこの輸送船が降ってきたんだ。中に入ってびっくりしたよ。あんなのと、ポッドに入ってるあんたがいたんだからな」

「あんなの……? ポッドに入っていたのか、私は」

「全裸でね。目のやり場に困ったよ」

「?」

 

 言っている意味が飲み込めない。男だった意識がまだあるのか、全裸への抵抗感がない。下はともかく上は特にそうだ。軍属であった時期もあった。故に、裸体を見て抵抗感を抱くことがそもそもありえない、そんな男であった。

 アレックスが呆れた様子で言う。

 

「なああんた裸族だったのかい?」

「いや違うが。こんな体のどこに………いい、後にしよう。それで?」

「下手に動かすわけにもいかんから放っておいたのさ。この船がどこから来たのか調べてみたかったというのもあるからな。拠点をここに移して一週間たったころにあんたがポッドからあの天井にぶら下がってるアームで引っ張り出されてきたってわけだ」

「………貨物が違法なものとはわかっていたが人間を搭載できる程のアンドロイドだったとは。いやこれは違法というほどのものか?」

「何か言ったかい」

「いや、なんでも。それで、もう一つのあんなものっていうのはなんのことか?」

 

 ようやく状況が分かってきた。

 あんなものについて聞こうとするとアレックスが顎をしゃくった。

 

 

 

 格納庫がもう一つあったらしい。入って理解する。グレーテの眉間に皺が寄った。

 

『リンク確立 ダウンロード開始中』

 

『ソード社製 試作アサルト・ファイターAF-X002“スクラマサクス”』

 

『スペックデータ取得中……』

 

 戦闘機形態(ファイター)のアサルト・ファイターが鎮座していた。空母のような発進を前提にしている構造ではなく、床に置き、固定しただけという風である。

 鋭角な機首、コックピットは赤く、ところどころに配置されたパーツも赤い。大型のスラスターノズルの延長線上には一対の角のような砲が生えており、背負い式の巨大な砲が上部に設置されている。灰色の低視認性(ロービジ)の塗装。

 見覚えのない機体であった。ソード社製の試作機がどうしてここにあるというのか。

 

「横流し品か……?」

 

 電脳を使い機体の経歴を確認する。たいていの場合、どこで製造され、どこで整備を受け、なんのパーツをいつ外しなどの情報が登録されているのだが、製造された時点以降のデータを取得できない。ブロックされているわけではないというのに。

 

「なああんた、あんたも売り買いされてたんかい?」

「奴隷かということであれば答えは否だ」

「じゃあなんであんなところに乗ってたんだ」

「私にもわからん」

 

 こうなれば記憶を失ったということにして乗り切るしかないのではないか。やたらと素性を聞かれたが、知らぬ、覚えていないの一点張りで済ませることにした。

 

『ダウンロード終了 ……データベースへアクセス』

 監視カメラ映像を確認。

 

『監視カメラ映像を確認』

 

 映像を確認することで、何が起こったのかを把握しようとした。

 撃墜される己。機体が船体に突っ込み大破。ログによると瀕死のまま船を操縦して軟着陸させた。そののち格納庫に入ってきて、そして……。

 

『セクサロイド:タイプ・カフカ への移植を開始』

 

「なん………だと………」

 

 絶句した。己が死にかけて助かったのはいい。脳の損傷があって、それをナノマシンで補修したのもまあいいとしよう。体がボロボロになり過ぎて脳と脊髄を引っこ抜いたのもいい。移植先がセクサロイドだとは。呆れてものが言えぬ。ほかならぬ自分がそれを承認している場面を見ていよいよめまいがしてきた。

 

「この船は………無人船だったか……」

 

 搭乗者を詰問してやろうと思ったが、そもそも乗っていないことを思い出した。

 

「さっきからぶつぶつ言って大丈夫かあんた」

「電脳で情報を見ているだけだ」

「はぁ金持ちだね。貧乏人の俺には到底インプラントなんてできやしないんだが」

 

 電脳を持たぬ人間からすれば急に呟き始めただけにしか見えない。

 アレックスに言われて、グレーテはむっとした唇を尖らせた。

 

「だが待て、肉体に再度移植するというのは………」

 

『使用済み』

『破棄済み』

 

「………だったら男性のアンドロイドへの移植は………」

 

『基幹ユニットと、脳幹の癒着を確認』

 

 脳の損傷部位が表示される。物理的損傷と、低酸素による脳細胞の破壊を、軍用規格品と比べても謙遜ない性能のナノマシンが浸透して補っている、という図が表示された。

 ナノマシンを取り除けば、死んでしまうことであろう。

 

『切除不可』

 

 出てくる情報がことごとく絶望的で、表情も暗くなる。自身の元の体は既に処分済み。ほかの肉体への再移植も、癒着しているために難しいらしい。

 棒立ちで呟いていたかと思えば急に表情を陰らせるグレーテを見て、アレックスは眼前に手を翳してきた。

 

「大丈夫かい。気分が悪そうだ。メシにしよう」

「……変換炉はついている、問題はない」

「なぁあんたロボットなのかい」

「サイボーグみたいなものだよ」

 

 こうして二人は、アレックスが拠点にしているというブリッジへと向かっていったのであった。

何を望むのだよ

  • あまあまな恋愛
  • えちえちな展開
  • いちゃいちゃさせろ
  • とにかくバトルだ
  • 冒険させろ
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