もしも老傭兵がセクサロイドの体に入ったら   作:キサラギ職員

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こっちも含めて毎日更新は流石にできないっすね
時間がない……


4、起動

 

 

補助動力装置(APU)核融合炉(フュージョン・リアクター)起動中……』

 

 どの兵器もそうだが起動までには時間がかかるものだ。まず補助動力装置を起動し、本命である主機関を作動させなくてはならない。

 パネルを操作して、次々と機能を確認しては承認、選択していき、テキパキと作業を進める。

 

「できたぞ!」

 

 機体を縛り付けていた固定具を外して回っていたアレックスがコックピットに駆け寄ってきた。

 一方でグレーテは、体にぴっちりと張り付くタイプのパイロットスーツを格納庫から探し出してきて、着込んでいた。対G性能に優れいざという時には簡易的な宇宙服にもなる代物であり、アレックスも同様のものを着込んでいる。

 

「着方がわからん!!」

「ええい、こうするのだよ」

「いきなり脱ぐなっての!」

 

 とひと悶着合ったとか、なかったとか。

 

「乗れ。座ってるだけでいいがシートベルトとエチケット袋くらいは準備するべきだ」

 

 冗談を言ってるのか、冗談ではないのだろうなと思いながらも、アレックスは座席に座った。各種パネルが並んではいるが、意味合いが掴めない。表示される文字列の言葉としての意味が少し理解できる程度である。

 

『主機関、縮退炉(ブラックホールエンジン)、起動中……出力安定』

 

 甲高い音と共に各部の機能が目覚め始めた。パネルの表示が慌ただしく変わっていき、後部の電子戦担当座席もパネルの表示が変化して戦闘モードに切り替わった。

 

「一応言っておくが機能はこちらでロックしている。安心しろ」

「安心なんてできるわきゃねーだろ。座ってるだけでいいって言われてもな」

「シートベルトはつけたか?」

「ちょっと、ちょっと待ってくれ!」

 

 問答無用と言わんばかりの物言いにアレックスは慣れぬ手でシートベルトをつけた。

 

『リンク確立 ハッチ解放』

 

 格納庫のハッチが開放と同時に機体が浮き上がったかと思えば、後方方向へとすっ飛んでいく。

 

「ぐお!?」

 

 前につんのめる格好になったアレックスが悲鳴を上げた。

 後方方向に機動からのくるり一回転してスラスタに点火。翼端からヴェイパーを曳きながらバレルロールをして、襲い掛かってくるビームを回避する。揺らめく大気を攪拌し、機体が踊る。

 

「うおおおおお!?」

「元気そうだな」

「死ぬ! 死ぬって!!」

 

 元気のいい声を聞いて安心したグレーテは、敵の数を確認した。三機。いずれもビーム兵器を有してはいるが、狙いが甘い。既に射程内に入っているのでアウトレンジは不可。

 操縦桿の攻撃スイッチを叩き、兵装を指定。トリガーに指を置く。ヘルメット内部の小型カメラが眼球の動きに合わせ照準を微調整した。

 

「マスターアームオン、エンゲージ」

 

 背負い式の大型レールガンを起動。照準。

 

『チャージ開始 出力、50%……』

 

 チューン、という甲高い轟音を上げて発射。一機目の頭部に弾頭がめり込み、しかし抜けない。

 

「出力が足らんか」

「うわぁぁぁぁ! 止まってくれ! 頼む!」

「断る」

 

 次々矢継ぎ早に放たれるビームを、ひらりひらりと紙一重でかわしながら肉薄する。その動きの緻密さと大胆さはプロフェッサー等と呼ばれたころと寸分の狂いもないどころか、肉体が若返ったせいかさらに鋭さを増していた。

 瞬間的に発生する8G相当の一般人であればしがみついているだけで精一杯な力に対し、しかし頑強に抗い、肢体を使う。失神してもおかしくない強大なGに、アレックスは口から涎を流しながら懸命に耐えていた。

 

「疲労を覚えぬ肉体というのも便利なものだ」

 

 操縦桿を目いっぱい使う。スラスタレバーを最大まで倒し、フッドペダルを蹴っ飛ばす。

 

「次は抜く」

 

『出力、99%……』

 

 発射。派手な金属音を立てて装甲を貫徹し、三本足がもんどりうって倒れる。

 

「………」

「ひいえええええ!?」

 

 残った二機の腕が振り回されるが、それも機体をバンクさせるだけで回避。懐に飛び込みつつビーム砲を乱射。脚部付け根に集中砲火を浴びせかけ、装甲を貫通、撃破する。

 

「やはり付け根は弱いか」

 

『出力、80%』

 

 至近距離からレールガンを発砲。超音速で放たれる弾頭が三本足の頭部を貫通、爆発させた。

 敵沈黙。周囲を旋回しながら敵影がないかを確認する。

 

「敵影無し、これより帰投する。RTB」

「…………」

 

 反応を示さないアレックスに対し、グレーテは僅かに口元を吊上げながら問いかけた。

 

「生きてるか?」

「吐きそうだ」

「吐かなかったのは大したものだ。見込みがある」

「冗談きついぜ」

 

 機体が緩やかに輸送船へと吸い込まれていく。甲高い音を上げつつ、時折スラスタを吹かしながらゆっくりとハッチ内部へと入っていき、ランディングギアを出して着陸した。

 

「もう脱いでも構わんぞ」

「う、ううううう!」

 

 アレックスがシートベルトを取りヘルメットを脱ぐなり機体から飛び降りて物陰へと走っていき、胃の中身をぶちまけ始めた。ほどなくして戻ってきたその顔は真っ青で、人生最悪の体験をしたとでも言わんばかりに歪んでいた。

 ヘルメットを脱いだグレーテはひらりと操縦席から飛び降りると、髪の毛を優雅に払って腰に手をやった。

 

「最悪の一日だ」

「始まりの一日だよ。これから後部座席に乗ってもらうことになるんだからな」

「………は?」

「人手がいないのだ、アレックス、お前がするしかあるまい」

「ええええええええ!!」

 

 格納庫に悲鳴が響いた。

 

 

 

 

「ちょっと待ってくれ修理するだって?」

「うむ」

 

 冷めたスープを再加熱しながらアレックスが素っ頓狂な声を上げた。

 グレーテは、隣で胡坐をかいていた。

 

「通信が一切通じないのだ、こうなれば自力で脱出するしかあるまいよ。ワープが使えるのはこの船だけなのだから。スクラマサクスの航続距離では近い星にすら辿り着けないぞ」

 

 宇宙は広い。たとえ光の速さで走っても数年かかる場合も少なくはない。基本的に小型の船はワープが使えないので、大型の船に乗って行く必要がある。現状この星でワープが使えるのはこの壊れた輸送船だけなのだ。

 

「通信が使えないってのは………うわマジなのか。この前まで使えたのに」

「軍用規格のスクラマサクスの通信機器でもどこにも通じなかった。大規模なジャミングが実施されていると推測する」

 

 船備え付けの通信機器に目をやったアレックスは、通信が圏外になっているのを見てしまった。船の通信機器がだめ、軍用機の通信機器もだめなら、彼が持っている端末も当然使えないことだろう。

 

「そして」

 

 グレーテは機体から持ってきた端末機を操作して、空間に映像を投影した。

 

「ジャミングの位置を大まかだが特定できた。お前が遺跡と言っていた施設から出ているようだ」

「そんな馬鹿な。だって今までそんなの出ていなかったのに」

 

 空を飛んだ時に取得した地形データ。遺跡らしい複雑な地上構造物から、赤い波が発信されている合成映像が出てくる。ジャミングの発信元を表示しているらしい。

 

「つってもなぁ、俺だって研究がしたいわけで………帰るだけなら、俺と一緒に帰ればいいんじゃないか………あ」

「その船は無事か?」

「いや………その………破片が降ってきたときに…………潰された」

 

 アレックスの視線の先、窓の外からは輸送船の破片で潰された彼の船がある。

 つまり、帰る手段もなければ通信の手段もないということである。

 グレーテはひらりと肩をすかした。

 

「そういうことだ。帰りたいなら協力することだな」

「……わかったよ、って話聞いてる限りじゃあんたが船の護衛任務をとちったせいなんじゃないか。むしろ協力するのはそっちじゃないのか」

「…………聡い子だな。ごまかせるかと思ったのだが」

「無表情で言う台詞じゃねぇよそれ………」

 

 こうして二人は船の修復と、ジャミング源の排除という二つの難題に立ち向かうことになったのであった。

何を望むのだよ

  • あまあまな恋愛
  • えちえちな展開
  • いちゃいちゃさせろ
  • とにかくバトルだ
  • 冒険させろ
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