ニート達の兄   作:モチみかん

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自称神様の兄

惑星テラの何処か。

戦争や天災によって荒れ果て、不治の病である鉱石病(オリパシー)の原因となる大量の源石が散らばり、雑草もろくに生えないような荒廃した土地。今となってはその周囲に生息していた野生動物どころか、この土地を巡って争っていた国からも見向きもされなくなって久しいこの場所に、不自然なものがあった。

 

あたり一面が赤褐の土に覆われたこの荒野に、林が立っているのだ。

その不自然にポツンと立っている林の中には、これまた似つかわしくない底が見えるほど透き通った小さな池。そしてその池の近くの木陰に、特徴的な、しかしどんな種族にも似ていない角と尾を持った男が寝そべっていた。

 

その男の特徴的な角と尾は深い瑠璃色。不意に開かれた瞳は薄い琥珀のようだった。ゆっくりと体を起こしたあと、木々の間からこぼれる光に目を細め、

 

「・・・そろそろ引っ越すかなぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ニェンとシーの兄?」

「おう」

「えぇ」

 

ある日のロドス・アイランド。

鉱石病に感染した感染者の治療とそれによって引き起こされる問題を解決するための医療機関であるこの船。その中でトップの一人であるドクターの執務室で、部屋の主てあるドクターと二人の女性が話していた。

一人は一応ロドスのエリートオペレーターではあるが、無職(ニート)と呼ばれているニェン。もう一人はその妹でいつの間にかロドスの通路に描かれた扉の中に住み着いていたシー。

 

「いや、特に大きな理由はねぇんだけどよ。私がこの前こいつの絵の中で兄さんの絵が置いてあったのをみつけて、『そういやこの辺に兄さんがいるらしいな』って言ったら、シーがわかりやすく反応してな」

「・・・なんだか誤解がありそうだから訂正しておくけど、私はそんなこと(反応なんて)してない」

「嘘つけ。どうせ寂しいんだろ? 昔っからあいつの後ろを『兄さま兄さま』って言いながらついて歩いて「うっさい!」

 

普段は冷静で物静か・・・というかほとんど絵以外に興味のないシーでも姉の前では感情的になるらしい。ソファーに寝そべったままニヤニヤと茶々を入れるニェンに怒鳴る。

 

 

「でも珍しいね。君たちの性格からして、勝手に会いに行くかとおっもていたが」

 

普段の自由すぎる行動の数々を思い出しながら思ったことをつぶやくドクター。その言葉を聞き、

 

「そりゃドクター。これから仲間になやつがどんなやつかぐらい知っといたほうがいいだろ」

 

さも当然のように言うニェン。その言葉を聞いて思わず書類にサインをする手を止めニェンのほうを見る。シーも同じように振り向いていることから、何も聞かされていなかったらしい。

 

「ちょっと?私そんなこと聞いてないんだけど?それになんでそんなことすわけ?」

「そっちのほうが面白いから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おせーぞー。早くこーい」

「まって……むり……しぬ……」

「ドクター。だいじょうぶですか?」

「だいじょぶでしょ。いくらケルシー先生に『書類仕事と指揮以外はオリジムシ以下』って言われてたドクターでもただ歩く位ならできるって。…できるよね?」

 

ドクターの執務室での会話から数日後。

ドクターやニェンを含めたロドスの一行は荒野のど真ん中に居た。ニェンとシーの二人に荷物を持っている訳でもないのに瀕死になっているドクターと何故かついてきた我らがCEOであるアーミヤ、その護衛のオペレーター数人が雑談しながら歩いている。

 

「うるさいぞブレイズ……というか……なんでアーミヤと君が居るんだ……」

「はい。私はケルシー先生に頼まれて、ニェンさん達のお兄さんについて私の方からもロドスに勧誘して欲しいと言われたので」

「私達は二人の護衛役。」

 

そのアーミヤの言葉にシーが反応する。

 

「なんであなた達が兄様を勧誘しようとしてるの? そんなことしてもなんの得も無いと思うけど?」

「たぶん私が兄さんについて色々話してたからだと思うぞ? 結構いろんなこと言ったし」

 

無言で睨まれるかま特に気にした様子もない。そのまま一時間ほど喋りながら歩き、ドクターから死にかけのオリジムシのような声が出始めたころ。

ニェンとシーが唐突に足を止め、指をさす。

 

「着いたぞ」「着いたわ」

 

二人が指さすのは、今までと何も変わらない風景。同行者達が首を傾げるなか、指さした場所に近寄り手をのばす。

一瞬伸ばした手の周りの景色が歪み、荒野の中に似つかわしくない林が現れた。

 

「ほら頑張れ、後ちょっとだぞー」

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