ライネル快進撃!!   作:ムラムリ

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早起きしてしまったので書いてみたら出社までに書き上げられちゃった。
最終話にしようと思ってたけど、長引きそうだったので分割。


ガノン

 その白のライネルは、とても変わり者だった。

 まず、基本全ての魔物達が志す、強くなる事に、自らの色を変える事にそう執着しなかった。

 その代わりに色んな物事に興味を見出した。

 時に人族とも交流する事があったというその変わり者は、どのライネルよりも沢山の事を見知っており、またその誰に対しても柔和な性格から、自然と誰からも慕われる存在だった。

「俺も、その変わり者に色々とついて行って、色んな事を体験したものさ」

 ヘブラ山脈を登り、秘境の温泉を堪能したり。そこで盾を余分に作って持って来ていたかと思ったら、四足に装備して雪山を滑り降りるなんて事も経験した。

 海の先に見える孤島に興味があるからと、泳ぐ練習にまで付き合わされて、その孤島に行き。そこには妙な球体が三つ程転がっていた以外は大して何もなかったが、それでもその変わり者は満足気で。

 モルドラジークを食うぞと、唐突に砂漠にまで付き合わされ、その眼球に目を突っ込んで脳を握り潰して仕留めてみせたのは、その変わり者が最初だった。

「皆が皆愕然としていたけどな、俺は真似ただけに過ぎないんだよ」

 その後、肝を食わされて、ひたすらに馬に尽きる事のない性欲を発散する事になったのも、今となっては笑える思い出だ。

 強さに興味がない癖に、いざ戦闘になれば、際立ったパワーこそなけれど、世の中の理を全てその身に修めているというような動きでその身には擦り傷の一つも負う事がなかった。

「今でも俺は勝てる以前に、触れられるとも思わないしな」

 きっとあの変わり者は、こっちが奥の手を出さざるを得なかったゲルド族に対しても、さっくりと勝ってしまうのだろう。

 しかし、その変わり者は、ある日忽然と姿を消した。

 死んだとは思えなかったが、数多のライネルと、そして交流のあった人族ですらその行方を探したが、その行方は終ぞ誰にも分からなかった。

「それが、僕の父なんですよね」

 息子の白は記憶にないけど、と付け加えて。

「色濃く受け継いでるよ。お前は」

「それで、何で今、そんな話を?」

「実はな、俺はその変わり者がどうなったか知ってるんだ。

 ガノンを潰す前に、ちょっと話しておこうと思ってな……」

 片手剣は、遠い北を見ながら話し出した。

 

*

 

 ガノンにとって最早、封印の巫女と退魔の勇者は後回しにする事柄だった。

 最大の信奉者であり、最も使える手駒であり、最も力を分け与えていた人間が、残虐に殺された。

 その魂は今、ガノンの手元にあったが、刻み込まれた恐怖と絶望は魂までをも強く傷つけられている。

 記憶を読み取ってみれば、真っ先に出て来るのは黄金のライネルの四匹が落胆した顔で覗き込んでくる光景で、更にそれ以外は全てもうぼやけていた。だから、その黄金のライネル達に何をされたのかすらガノンは分かる事がなかった。

 封印されてからどれだけの時間が経ったのか、それはとうに曖昧だ。

 自我すら消える程の歳月を掛けなければ復活も出来なかった。それでも残った怨嗟ばかりを蓄えて、今日こそ復活出来る。

 使い物にならなくなった魂を食い千切り、闇の底でとうとう体を起こす。

 そしてまず、最大の脅威を屠る為に動き出した。

 

「……へぇ。本当にこっちに来るんだ」

 意外そうに呟く弓は、ハイラル城の地下から復活しながら、ハイラル城を放って真っ先にこちらへとやって来る厄災ガノンを眺めていた。

「汚ねえ神様だな」

 大剣がそう吐き散らす。

 赤黒い怨念のエネルギーを撒き散らしながら、顔だけの形をしながらやって来るそのガノンは、無骨な物を好むライネルの美的感覚としても好めるものではない。

「…………」

 片手に番えた弓。もう片方に槍。全力のスタイルで一歩前へと踏み出す槍は、その厄災ガノンに挑む一番手としての権利を手に入れていた。単純に運試しの結果そうなった訳だが、どうにもそういう時は運が良い奴だった。

「ま、頑張れよ」

 知略やら色々使って来るとは思えないが、パワーだけはありそうだ。

 その片手剣の言葉に、槍が不満そうに返した。

「……どっちへの言葉?」

「…………どっちも?」

 結局、厄災ガノンの姿を目の当たりにしても、黄金のライネル達にとっては怖気付く程ではなかった。

 ずんっ!

 怨念のエネルギーを纏った巨大な人型が、目の前に着地した。

「フスーッ……フスーッ……グアアアアアアッ!!」

 その咆哮は、一万年振りの地上に出た歓喜か、それとも。

 ただ、槍は冷徹に言い放った。

「……吼えて誇示しなきゃいけない程なんだね」

 

 その巨腕から繰り出される攻撃は、黄金のライネルであろうと悠長に食らえるものではなさそうだった。

 身を伏せ、するりと掻い潜りながらまずは槍をその足に振るってみた。

 バヂィッ!

 弾かれた。

「……」

 怨念のエネルギーか?

 踏み潰しを再び回避しながら、別の場所をもう一度。

 バヂヂッ!

「…………」

 派手だが、感触としてはそう厚くない。ゴロン族の長の放つ、大剣で百回以上叩かないと壊れない壁とやらよりはよっぽど脆そうだった。

 工夫すれば貫ける。

 足元でうろちょろされる事を嫌ったガノンが一度距離を取り、棒立ちで観戦していた黄金のライネル達にも腕を振るう。

 だが、当然当たる事はない。

「もうちょっと遠くから見てるな!」

 大剣が呑気に言いながら走り去って行った。

 それをガノンは呆気に取られながら見て、そして弓を構えた槍に向き直る。

 舐められている。

 それだけは理解したガノンは、憤怒の形相をしながら鎖付きの鉄球を生み出し、ライネルへと叩きつけた。

 遠心力を伴ったその鉄球は、当たれば黄金のライネルの頭であろうと弾けさせるだろう。

 しかし、だからこそ軌道は分かりやすく、その程度を避けられないはずもなく。

 矢が放たれる。

 脛を狙ったそれは、人の四肢を吹き飛ばす程の威力であれど、相変わらず弾かれる。だが、弓を背負って両手で槍を持ち直したライネルは、距離を詰め、すかさずその部分に追撃を放った。

 どぢゅぅっ!!

「ガッ!?」

 壁が貫かれた。

 そして、その脛をそのまま強引に引き裂いた。

 ……内部は柔らかいな。

 どばどばと血のように怨念が吹き出して来る。

 こいつは要するに、エネルギーの塊だ。ウィズローブよりもっと純粋な、九割九分がエネルギーそのもので出来ていると言って良い。

 だからこそ不死身であるのだろうし、そしてそのエネルギーの属性の弱点たる封印の力でないと滅する事は出来ない。

 そんなところだろう。

 派手に転んだガノンが起き上がろうとする、それまでの間に。

「グオオオオオオオッ!!」

 ライネルは吼えた。

 そして跳んで、その背中に槍を突き刺し。

 剥がれた壁の内側から、ガノンは爆発四散した。

「……え?」

 これで終わり?

 

 呆然とする槍に、大剣が近寄って来た。

「つまらなさそうだけど、次、俺な」

 ごろんごろんと転がったその頭は、次第にびくびくと震えて元の体を取り戻そうとしていた。

 敢えて放置して、それから暫く。

 復活して立ち上がったガノンは、最初から本気で鉄球を振るったが、それは当然の如くに顔面へと打ち返された。怯んでいる隙に膝を叩き壊され、転んだところに頭を何度も叩き潰された。

「復活まで時間掛かりそうだけど、もう少し加減しても良かったでしょ」

 弓は復活して立ち上がったばかりのガノンの胸を、壁ごと貫通した。

 それでも必死に抵抗しようとするガノン、四肢を順々に破壊して、最後に頭を踏み砕いた。

「本当に一万年もの間、力を蓄えてたのか? 一万年でこれなのか?」

 片手剣は、唐突に背中から出した羽を叩きつける攻撃を初見で弾いてみせると、体勢を崩したその足を後ろ脚で蹴り上げ、転ばせる。

 頭を踏みつけ、首に何度も刃を叩きつけて引き千切ると、無造作に掴み上げた。

「なあ、神様。一万年も何してたんだ? 答えてくれよ、なあ? なーんで、一万年も力を蓄え続けて来たあんたが、数十年鍛え続けただけの俺達に手も足も出ないのかをさあ!?」

 引きちぎった首と顔を合わせ、片手剣は問いただしてみるが、それに答える事もなく。

「グ、ゴ、ガ……ゴガガガガガガガガッ!!」

 哀れな目を向ける黄金達に、ガノンは最早どうする事も出来なかった。

 そして、黄金達は他のライネル達を呼び寄せた。

「鎖、作って来ました」

「どうもな」

 若輩者達から、長々と作られた鎖を手に取ると、その強度を確認してから、尚も復活しようとするガノンに向けた。

「じゃあ、封印しに行くとするか。俺達なりの方法でな」

 目的地は、デスマウンテン。

 

*

 

 ライネルの群れが、ハイラル城の背後を歩いていくのが視認された。

 先頭を歩くのは、四匹の黄金のライネル。

 それぞれの種族の長を屠った当の魔物達であるが、その中央で鎖で雁字搦めにされているのは。

「……あれ、ガノンか?」

「いや、まさか……」

 だが、鎖の隙間から漏れ出しているのは、明らかに怨念のエネルギーだ。

 ライネルが来た方向も、復活したらハイラル城を放ってガノンが飛んでいった方向と合致している。

 ふと、黄金のライネル達が立ち止まったかと思えば、びくんびくんと動きまくるその鎖の中身を何度も踏みつけて黙らせていた。

 それからまた、歩みを再開する。

 後ろを着いていくライネル達は、露骨にその滲み出た怨念を避けて続いていく。

「え、じゃあ、何? ライネル達はガノンを倒したとでも? 元からそういう目的だったとでも言うのか? 魔物が?」

「いや、だったらどうして英傑達を殺したんだ?」

「分からん……」

 結局、ハイラルの民は、その意図を分かる事は最後までなかった。

 これから何をするのかも、そんな黄金のライネル達を尾行するような命知らずな事は誰も出来なかった。




正直に言ってしまうと、
この黄金のライネル達がリンクに出会うと、リンクに一対一で正々堂々戦いを挑んで死んでいくという結末しかなかったし、
そもそも純粋に格好良いライネルを書きたいという意図で書き始めた代物だから、そんな結末にしたくなかったのもあって、
リンク、それからゼルダと出会うルート自体を封じて、ライネル達だけでガノンを封印まで持っていくという形になりました。

ついでに言うと、色々理由つけてリンクに勝たせようと思っても、黙示録のリンクは成長している要素あんまり見受けられなくて、最初から完成されてる印象だったから、何にせよこじつけに近くなるなーって所感。

まあ、どうやって封じるかは……大体想像つきますよね。

黄金のライネル+α 2回目

  • 大剣
  • 片手剣
  • 先頭の白
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