上耳も好きですが合同演習以来爆耳にはまってしまいました。
それではどうぞ。
「麗日!結婚おめでとう!ドレス似合ってるよ!」
「響香ちゃんありがとう!」
今日は緑谷と麗日の結婚式。
ウチはA組のよしみで呼ばれた。特に女子たちはA組女子は全員参加していて花嫁から幸せのおすそ分けをいただきに来たようだ。男子の方を見るとさすがにクラス全員は来れなかったけどプチ同窓会的な感じで級友たちに会えるのは嬉しい。
ウチのクラスでは一番最初に付き合いだしたカップルだったし、卒業してからはいつ結婚するのだろうと同窓会のたびにからかっていた。
主に芦戸が。次点で葉隠。どっちも彼氏がいるにもかかわらず恋バナでのキュンキュンというものはいつでも供給したいらしかった。だが今日の二人はそんな普段の同窓会とは打って変わって純粋に「おめでとう」という思いを伝えている。結婚という恋人とは数段上のステージに上がったが故に二人も羨望のまなざしでバージンロードを歩く花嫁を見送っている。
そんな自分も新郎の幼馴染と仲良くさせてもらっているがその幼馴染くんがどうにもさっきから落ち着きがない。
何してんの。新郎側の席の一番前で辛気臭い顔しちゃって。あんたは一番に祝ってあげる人でしょうが。もっとまともな顔しなさいよね。
神父の前での宣誓、誓いのキス、そして退場。
時間にしてはとても短かったのに濃密な幸福をもたらす空気に当てられたのかA組女子は皆涙を浮かべていたのが見て取れる。
新郎新婦と家族が退場し、私たちも写真撮影の会場へ移動した。
やはりどことなく曇った顔をした彼氏さんを励ますために近くへ行くとそれはそれでむすっとした顔に変わるからどうしたらいいのかわからない。こんな時にそんな顔されたらウチだって困る。早々に口角を上げてほしいものだ。上げたら上げたで恐怖かも知れんが。
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全員での写真撮影の後、ホールで会食、余興、親族への感謝の言葉と続いていった。
余興は飯田が緑谷と麗日についてプレゼンをするという奇抜なもので改めて緑谷と麗日がいいやつらだって再確認できた。
そして結婚式のMV。
式場の人たちはわずか3時間ほどでMVを作成してしまうのか...。
普段副業で歌を歌い自分でMVを作成しているウチにとっては欲しい能力かも知れない。
結局新郎の幼馴染兼ウチの彼氏は結婚式の間なにか思いつめたような顔を崩すことはなく、幸せな空間に似つかわしくない仏頂面で式場を後にするのだった。
せっかくだし二次会とかは行かないの?
遠慮するって?
・・・
じゃあウチも彼氏さんのご機嫌取りのためにも一緒に帰ろうかな。
緑谷と麗日には悪いけどお暇させてもらおう。
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「車取りに行ってくる。響香はロビーで待っとけ。」
はいはい。こんな時だってヒーローだからノンアルというポリシーは崩してないようだ。
ウチはもちろんワインを頂いた。どうやら緑谷がプロポーズの時に頼んだワインらしい。
麗日も麗日でこんな所まで幸せのおすそ分けをしたいらしい。
ロビーで二次会に行く面々と話していると彼氏さんが車をエントランスに持ってきたのだろう。早く帰るぞと言わんばかりの眼光で睨みをきかせてきた。
こんな日にそんな顔しなくてもいいでしょうに。
「耳郎さん!」
「響香ちゃん!」
新郎新婦がそろってお見送りかな?
「はい!ブーケ!次は響香ちゃんと爆轟君の番やね!」
「かっちゃんとの結婚式楽しみにしてるからね!」
ありがとう麗日!緑谷もこんなところでからかって来るなんて今までの意趣返しか?
まあ勝己がプロポーズするところが全然想像つかないけれど。
いつになるやら・・・。
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一時期クソを下水で煮込んだような性格とまで言われた彼氏さんだが一年の最後に敵連合と戦った後から急速に丸くなった。
合同演習がきっかけでつるむようになり付き合いだしたとはいえ勝己との距離感は今日のようにたまにつかめないことがある。
その件で緑谷と麗日には相談に乗ってもらったことも多々あった。
だが、なんだかんだ言ってウチの嫌なことはしてこない、ウチの喜ぶようなことをしようとしてくれる、たまにはサプライズまで用意してくれる、と最高な彼氏である。
その勢いでこのブーケを見て何か感じ取ってくれたらいいなと思う。
いつものように荷物を持ってもらい、助手席のドアを開けてもらい、完全にお客さん気分で車に乗り込むと
「少し待ってろ」
と言われた。
どうやら緑谷と麗日と話すようだ。
緑谷にはなんか応援されてる・・・?
そして麗日にはめっちゃ肩叩かれてる。
ちょっとイラついている勝己を見て車から出ようとしたが程なく運転席に戻ってきた。
なに話してたんだ?
ウチには教えてくれないのか?すぐわかるって?
まあいいや。早く帰るよ。どうせ今日の夜もパトロール行くんだろ?
ったく不器用な人なんだから。
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30分ほどのドライブを経てウチらの家に着いた。
勝己と二人で事務所兼住居を建てたので同棲というよりもはや事実婚状態で過ごしている。
だがプロポーズはされてないし結婚の「け」の字すら勝己の口から出た記憶はない。
駐車も終わり車を出ようとしたところ隣の人に手を掴まれた。
どうした。早く出るぞ?
「ちょっと話すことがある。」
いつになく真剣な表情だ。わかった。聞いてやろう。
ウチにとっても珍しく真面目な表情をする。いったい何の話をするんだか。
「響香、一度しか言わねぇ。よく聞け。」
「俺はお前を愛している。高校の時も、相棒時代も、事務所を構える時もわがままな俺に付き合ってくれた。感謝している。ありがとう。」
え?急にどうした?でも表情は真剣なままだ。
こういう時は真剣に聞いて口出ししないのが女の立ち回りってやつでしょう。
変にリアクションするなんてウチらしくない。全然ロックじゃない。
でも聞いてみたくなってしまう。気づいてしまったが故に。
これはプロポーズなのかと。
「だが、出久に結婚の先を越されちまった。正直悔しかった。」
「俺は丸顔よりも響香を幸せにできている自信があったが今日のアイツの顔を見たら少し負けたと思っちまった。」
「だからよ耳郎響香、一生俺のそばに居ろ。俺だけの耳郎響香になれ。そして俺があいつらよりもお前を幸せにする。異論は認めねぇ。」
そう言って手を差し出してきた彼はこんな時でも高い自尊心は失われておらず、少し生意気と思ってしまった。
だが同時にその高潔さはいつにも増してかっこよく見えた。
こいつウチの答えを分かってて異論を認めないとか言ってるのかね。
でもね、ウチだってロマンチックなプロポーズっていうのに少し憧れてんだよ。
だからちょっとした意趣返し。
彼の手を取ってこちらに引き寄せ口をふさいでやった。
「いいよ。一生あんたのそばにいてあげる。離さないでね。」
車の中でのプロポーズの返事は体が熱くなっていたこともあって顔が真っ赤になっていただろう。
でもまだ夕方だからかな。
きっと勝己にはバレていないと信じたい。
だって今は過去一幸せな心地だから。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
次は切芦か轟百を書きたいと思います。
この小説で出てない人で書いてほしい人の話
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