ヒーローたちのプロポーズ   作:ドキソルビシン

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尾白と葉隠の話です。
葉隠れがかなりキャラ崩壊してます。
ご注意ください。


【尾葉】真っ白な世界に隠れた君を見つけ出す

最初は1年生の時の戦闘訓練。

まだ、ヒーロー活動の右も左もわからなかった頃、高校で初めて関わりを持った異性が尾白くんだった。

あの時は一瞬で何もできなくて悔しい思いだけがあって、尾白くんのことなんて眼中にすらなかった。

でもクラスのみんなと関わっていくうちに尾白くんがとてもいい人だってことを知った。

私は個性の特性上みんなから見失われやすい。

そのため、戦闘訓練や索敵訓練なんかではとても活躍した。

一方で救助訓練において要救助者役になった時、誰も見つけてくれなかった。

授業が終わるまでこのままなんじゃないかと思った。

でも尾白くんは透明な私を見つけてくれた。

どうやって?と聞いたら「そこに君が助けを求めていたから!」とプロ顔負けの笑顔でヒーローっぽいセリフを返されたものだ。

今振り返ってもすごいと思う。

それがきっかけで私をもっと見てほしくて、見つけてほしくてアプローチをかけていった。

きっと尾白くんは私の好意に気づいていたと思うけど卒業するまで恋人を作るつもりはない、ということを男子会で言っていたことを三奈ちゃんに教えてもらった。

三奈ちゃんは当時切島くんと付き合いだしたばかりでクラスの間ではその話でもちきりだったこともあり、恋愛話を切島くんから仕入れてきやすかったという理由があった。

そこで知った尾白くんの思い。

私は卒業するまでアピールを続けることにした。

そして卒業式の日に告白をした。

このままでは私を見つけてくれる人が消えてしまうと思ってしまったから、彼を私に繋ぎとめたくて、私から告白するほどに惹かれてしまっていた。

無事恋人になってからもアピールは続けた。

時には自分の体を使って、できる限りの誘惑をして尾白くんを、猿夫くんをつなぎとめようとした。

やってることはヤンデレのそれと変わらないかもしれない。

でもそれほどに私は彼を離さないようにする努力をした。

否、ただ単に彼を欲していただけかもしれない。

最近では休みがなかなか合わない猿夫くん、会う頻度も最初月に2,3回会っていたのが今では月に1度会えればいい方だ。

去年から目が悪くなったのか眼鏡をかけ出していた。

眼が悪くなったなんて知らなかった、気づけなかったのが悔しい。

このまま別れてしまうのではないかと思った、嫌だ。

私を見てくれた人を失うのは嫌だ。

嫌だ。

だから、ヤンデレだろうと何と言われようと猿夫くんを離す気はない。

別れる気はなかった。

でも、ついに来てしまったのかと思ってしまった。

メッセージアプリに届いた彼の言葉。

『話したいことがある。とても大事なこと。時間が空いた時に会いに行きたい。』

 

―――――――――――――――――――――――

 

会う日取りはすんなり決まった。

ひと月ぶりに会う彼とのデートだ。

デートの最後に彼とお話をする。

もしや、と疑ってしまってからは疑念が晴れず、いつもより元気がないのに無理して楽しもうとしている感じが出てしまった。

「普通」と呼称されてきた彼だが案外鋭く、彼女の機嫌や体調など、細やかなところに気が利くとてもいい彼氏だ。

私の空元気などデートの最初に来ていたアウトレットモールを出た時点で気づいていたに違いない。

気晴らしにカラオケでも行こうかと誘った。

彼はすんなり頷いてくれた。

私のわがままにも喜んで付き合ってくれるいい彼氏さんだ。本当に。

 

―――――――――――――――――――――――――

 

何曲か歌った後、糸が切れたように私の集中力が切れた。

歌の途中で歌うことはやめ、腕をだらりと方から垂らす。

彼から見たらマイクが縦向きから横向きに変わったくらいの違いしかないのだろう。

だがもう限界だった。

猿夫くん、話してほしいな。

今日は何の話をしに来たの?って

言ってしまった。

我慢、できなかった。

すると持っていた眼鏡を外して、別の眼鏡を取り出した。

するとおもむろに語り出した。

「本当は夜のイルミネーションでも見ながら、と思ったんだけど…。それじゃあ透さん、少し話させてもらうね。」

 

――――――――――――――――――――――――

 

「まずはここ2年の間でなかなか会えなかったことについて謝っておこうと思って。」

やはり...他に懇意にしている人でもいたのかな、と表情を暗くした。

「そんな暗い顔されると罪悪感がすごい...。本当にごめん。」

やっぱり...そう、なのか。

泣きそうになるのをこらえて猿夫くんの言葉を待った。

「実は発目さんに頼んでサポートアイテム作成に協力してもらっていたんだよね。」

へ?

「え?そんな呆れるようなこと言ったかな。」

だって、猿夫くんの戦闘スタイルでサポートアイテムってあんまりいらないし、そもそもサポートアイテムって何?どんなの?ってかいつから!?

「質問の圧がすごい、そして顔が近い...。すごい剣幕だね。ちょっと離れてほしいかな。」

あ、ごめんごめん。気になりすぎちゃって。

「サポートアイテムはね、戦闘用じゃないんだ。日常的に俺が使いたいなって思って個人的に依頼したんだ。」

それは?

「それはね、」

いったい何?

「この眼鏡だよ。」

え?目が悪くなったんじゃなくて?

「俺の視力は特に下がってないよ?あくまでサポートアイテムとしてって感じかな。今日最初につけてきたのはおしゃれだけど。」

ってことは少なくとも1年以上はサポートアイテム作成を依頼してたってこと!?

「そうだね。だからここ一年半くらいなかなか会えなかったのはこれのせいなんだ。ごめんね。」

そ、そうだったのね。

私浮気してると思って、つなぎとめたくて必死だったから、聞く勇気なんて無かったから、一人で空回りしていたんだね。

「このサポートアイテムはね、僕と透さんのために作ったんだ。」

私のため?

「その機能を見てもらうためにこの眼鏡と鏡を用意しました~!」

すると猿夫くんはご機嫌で手鏡と眼鏡を取り出して渡してきた。

ワクワクしながら見てくる猿夫くんを見つつ、受け取った眼鏡をかけて鏡を見ると、私の顔が見えた。

え、見えた?

よく見ると髪が跳ねている部分がある。

気づかなかった。

いつも髪の毛のセットは見えないため、全部濡らしてドライするという非常に面倒な方法を取っている。

そのためにドライ後の髪型は櫛で梳かしているとはいえある程度感覚だよりだ。

だが、今はアホ毛のように頭頂部の毛が跳ねているのが見て取れる。

触ったら確かに私の髪のようだ。

後ろに誰かいるわけでもない。

この顔は生まれつき透明の私が見ることが叶わなかった『自分の顔』だ。

猿夫くん、これって…

「これはね、光の屈折を利用して透明化している透さんのために屈折率を変えた特殊なガラスを使っているんだ。」

「この眼鏡を作ってもらって最初の方は透さんが薄かったり、周りの景色がぼやぼやしたりで大変だったんだ。まあ、俺は要望を言うだけで、試行錯誤したのはサポートアイテム会社の人だけどね。」

「そしてさ、前回のデートでやっと納得がいく出来に仕上がったのが確認できたんだ。」

「そこで次のデートでちゃんと透さんと人生を共にしたいって伝えるつもりだったんだ。」

「俺もさ愛している人の人生最高の瞬間は見たいからさ、こんなのを作ってもらってしまったよ。」

最高の瞬間を見たい?とはどういうことなの猿夫くん?

「つまりね、僕は君のウェディングドレス姿を見たくてこの眼鏡を作ってもらったってことさ。」

「もちろん俺の隣で来てもらう用として、ね。」

全然浮気なんてしてなかった。

むしろ将来のことを考えていてくれた。

疑ってしまった自分が憎い。

学生時代は溌溂としていたのに、今では見る影もないのは冒頭の浮気の思い込みが原因だ。絶対。

「だから透さん、俺はね浮気なんてしてないから、そんな泣きそうな顔しないで。」

「心配させてしまったこと、とても申し訳ない。気づいてたんだけど、この眼鏡の作成を一区切りにしてプロポーズしようと思ってたんだ。」

「だから、俺のわがままでこの指輪を君に送るのを先送りにしてごめんね。」

「俺と結婚してください。」

私だけの『特別』であるために『普通』を演じていたのかな?と今では疑ってしまうくらい猿夫くんは輝いて見えた。

結果として浮気は本当に幻で、心から安心している。

その安心に加え、不安を幸福で拭い去ってくれた猿夫くんに私は告げる。

「プロポーズの言葉は結構普通だね!結婚しよっか!」

「普通って言うな!頑張ったんだぞ!」

「あはは!猿夫くんごめんね!これからよろしく!」

先ほどまでの心の暗雲はどこへやら、自慢の溌溂さが戻ってきた。

普通を極めた猿夫くんのプロポーズはやっぱり普通だった、と今度の女子会で言おう。

せっかく顔が見えるようになったし、お化粧もしてみたい。

これも今度の女子会で聞こう。

でも、カラオケボックスでプロポーズは絶対普通じゃない。

それだけはみんなを驚かせるに十分な話題だと思う。

 




最後まで読んでいただきありがとうございました。
これでA組女子については全員終了です。
B組は書けるだけ書きます。
次は鉄哲と拳藤を書きたいと思っています。

この小説で出てない人で書いてほしい人の話

  • 上鳴→耳郎の思い
  • 口田→耳郎の思い
  • 飯田の思い
  • 常闇の思い
  • その他(感想欄に記入してください)
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