初めまして秋雲 楓でございます。
とりあえず頑張って書き続けられたらなぁと思っております。
というわけで第一話どうぞよろしくお願いいたします。
世界中の精霊達を捕らえていた邪神グラトーニエが斃れる。
その巨躯の内側から爆ぜるようにして色取り取りの光が世界中に散らばっていく。その様子を涙を流しながら見つめていた少女が喜びの涙と笑顔でこちらへと振り向く。
『ああ、精霊達が解放されていく……世界に色が………貴方のお陰よ、本当にありがとう………!!』
思い出すと本当に長い旅だった。始めてからあんなことやこんなことがあった。思い出す度にある感情が湧き上がる。その感情を込めて私は花が咲くような笑みを浮かべると少女に向かって走り出し、跳躍する。
「テメェも邪神と一緒にくたばって沈めやこの
『ストーリーの流れでそうなった』からという凄まじい理不尽によりラスボスにそれまでの武器が通用しないという最高にクソでキレそうになる要素を克服するために習得した格闘スキル「
しかしながらストーリーシーンなのでダメージ判定もなく、どんなことになってもストーリーは進行するため衝撃でバウンドしつつもこれまでの旅を懐かしむ姿はホラーというか狂気的なのではとしか言いようがない。そもそも壮大なステージとBGMに反比例するかのような強盗がつけてそうな目出し帽とビキニの変質者な私に対して感動的な言葉を投げかけることのなんと不毛なこと。多分、普通の人が見たら『なんつう恰好して何やってんだコイツ』と思うこと間違いなしだろう。これには、海よりも深く、空のように広い言い訳がある。それは
「なんでラスボスぶちのめすのに必要な唯一の対抗手段のダメージが素手以下ってふざけんな!つーか、なんでラスボス有効的な装備がこんな変態不審者の流行の最先端を行きそうな不審者ファッションなの!?お陰様でこんな装備でラスボス倒すことになったじゃんか!!てか、フェアカステメェ今まで何処にいやがった!声だけ響かせやがって、補助魔法くらい使えや悪霊かテメェ!!!!!岩塩そのまま投げつけんぞ!」
『みんなとの旅は大変だったけど、楽しかった……!』
「シナリオもサブクエも全部元凶お前なんだよクソビッチがぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
多分、この光景を誰かが見ていたら、これを見てゲームを楽しめているかと聞かれて頭を悩ませることなく『NO』を言いそうだが安心してほしい。私はこの瞬間のためにゲームから逃げなかったのだから。
この『フェアリア・クロニクル・オンライン〜妖精姫の祈り〜』、通称『フェアクソ』というゲームは味方が使えないにも程がある無能の思考ルーチンなのに対して敵の思考ルーチンはすさまじく有能、バグで進行不可の道、ラスボス直行便の落とし穴、パーティーに参加した時に全挙動が某赤いのよろしく三倍速になるまごうことなきお荷物としか言いようのないフェアカス(ソロだとパーティー強制参加)、その他膨大な数のバグの数々。これら全てが仕様とか『ゲーム売る気あるのかこのバカども』と中指を立てながら唾を吐きかけたいレベルである。
こんなの誰が買うかと。まぁ、私は買ったんだけども。
ここに至るすべての場面でヒロインこと
そんなフェアカスに無制限で攻撃が可能という『報酬の三分間』。
このゲームをアイツと同じ日に買ってから十日間、人生の内貴重な青春の24時間をドブに投げ捨てながらこの『報酬の三分間』目指してこのゲームをクリアした私の心は不思議な爽快感があった。
言うなれば長い窓すらない外にも出れない投獄生活が終わり、出所して何十年ぶりに青空を見た時のよう。
そんなクソゲーをクリアした私が確信をもって言えることがある。
「もう二度とやるかこんなクソゲー」
無駄に壮大なエンディング曲と共に流れてくるエンドロールこと戦犯リストを見ながら私はいそいそと寝る準備を整えていた。
おっと自己紹介が遅れた。申し訳ない。
私は、
どこにでもいる、ごく一般的なクソゲー好きのクソゲーハンターだ。
クソゲーをクリアした後というものは、並大抵のことは笑顔で受け流せると言っても過言ではない。
隣に座っている幼馴染の日務楽郎も同じ気持ちだろう。一言で済むことを無駄に希釈した先生の言葉にはフェアカスのような世界のために殺すのを反対していたモブを殺すことになんの一切もの躊躇のないクソの超理論とは違い、何の矛盾もない。むしろ真っ当なお言葉である。
長ったらしい言葉を紡いだ後に放たれた「解散」の言葉にクラスのみんなは活気を取り戻す。
今年の夏はどうしようか、去年みたいに楽郎と一緒に大作クソゲーを買って共にやりこむという、青春の甘酸っぱさなんてものがない知らない人が見たら枯れに枯れ切っていると思われる気がする夏休みを過ごしたわけだが、今年はフェアクソのせいでそんじょそこらのクソゲーでは満足できないと、私の直感が告げていた。
「ねぇ、楽郎。いつものところ寄らない?」
「オーケー。俺も今日寄るつもりだったしな」
「お、てことは
「おう、一昨日やっとクリアしたぜ。お前は?」
「私も一昨日クリアしたよ。また、同じタイミングでクリアかぁ」
私たちは荷物を纏めて、行きつけのゲームショップに向かうのだった。
なんか背後からちょっと圧のありそうな気配がしているが気のせいだろう。うん。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
執筆を始めたばかりですが、読んでいただけると嬉しいです。
ちなみに主人公ちゃんはソロプレイ限定以外のクソゲーでサンラクと会っています。というか、ソロプレイのクソゲーもことごとくサンラクと被っている。
つまり、実質一人のサンラク(女)みたいなもん。もちろん幕末もやってるし、鯖癌もやっていた。
自分で書いてて青春を捨てすぎてるにも程があると思う。もうちょっと乙女らしいことした方がいいと思う。多分、やるシーンはほぼないと思うが。