超昂大戦 二次創作SS  虜囚の花嫁! エスカチーム、明日へのブーケトス   作:環 藍河

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※新たな注意事項やネタバレ警報はございません。前章まで既読の方は、そのままお読みください。


第3章 ヴェールの下の希望! 花嫁戦士に大切なこと

《ふん、魔女が迫害の被害者ぁ? 笑わせるな、貴様らの活動の犠牲者が世界に何万何億といるくせに…!》

「…過去の誤ちは、消えない…、だから…!」

 

ひゅっ。

びしっ。

パキッ…びしびしっ…!!!

 

ぱりっ、ぴきぴきっ…

ぱーーーーーーーーん!

アメイズのウィップの一閃と共に、ショーケースで包まれた悪意は決壊、血塗られた宝石の輝きは、本来の高潔を取り戻す。

「私たちは、誤ち以上の未来を、叶えてみせる!」

紛争ジュエルの片棒担ぎが露見した日から、エリーとNAUの金庫番・節制のクラリスは東奔西走。

ジュエルに関連する数十億ユーロもの全収益を放出し、ダイヤモンド鉱山や金精錬工場を片っ端から買収。

労働改善と人権啓発と、そして。

 

『ふははははははっ! 我等が恋人をたばかり、無辜の民を私欲の贄に供する外道どもよ、今更ひれ伏そうが断固許すまじ! 震えて悔いよ!』

 

ジークフリート派・皇帝のファヴニル率いる魔女師団による実力行使。

腐臭漂う独裁者はひとたまりもなく征伐され、全ての元凶たる内戦は呆気なく終結。悪魔の輝石は一転、民主化された小国の復興の原資となる。

ここにNAUは100%、倫理を備えたエシカルジュエリーを扱うに至ったのである。

 

「私たちが傷つけ、命を落とした人たちのことは、絶対忘れない。

でも、その人たちに報いるためにも、罪に汚れた歩みを、私は止めない。

それが、過去の私への落とし前よ!」

 

……

 

「ふっ…ふひひっ…ははっ…!」

敗れ、堕ちるヒーローの悪夢にうなだれ、肩を震わせるトパーズ。

《あひゃひゃひゃひゃあ! 壊れるには早すぎねえかあ、ヒーローさんよお!》

 

「あーーーーっ、!

はあーーーっはっはっはあーーっ!!」

両の拳を左右に突き上げ、虚像の銀幕を鋭く睨みつけ、トパーズが咆哮する。

「マジうけるんですけどーっ、この私に向かって、ヒーロー論で心をへし折ろうなんざ、一億とんで二千年、早い、早いっ、早すぎんのよーーーっ!!!」

 

《なあっ…何だとお?!》

「いーいっ? もう私たちは、先輩たちに憧れるだけの、おままごと戦士じゃないっ!

だって、私たちの戦いを見て、ダイビートには次々と戦士志願者が来ているんだ! あたしでさえ、今や次の新しいヒーローたちの憧れなのよ!」

 

先の最終決戦の後、エスカ・チームへの直接のファンレターや、SNSでの応援メッセージが爆発的に増加。大半はルビー宛てだが、サファイアやアメイズ、そしてトパーズへの激励も、少なからず届いている。

あるいは、最終決戦は最後のひと押しに過ぎず、エスカ・チームの日頃の草の根的活動が実を結んだのかもしれない。

 

そして、ダイビートでは戦士志願者の他、一般業務で募集した中から選抜し、応募者の適性に応じて戦士採用しているが、その際の辞退者が少ないのも、エスカ・チームの活躍の賜物であった。

 

 

「偉大なヒーローに貰った心で、私たちはもっともっと、強くなる。先輩たちを襲う罠だって、今度は私たちが破ってみせる!」

《馬鹿かっ! お前らが勝てない先輩どもが勝てねえ敵だと言ってんだろ、十字架を七つに増やしてやるぜえ!?》

「上等だ、やってみろお! たとえ先輩たちや私たちが倒れたって、今度は私たちに憧れた後輩戦士たちが、ヒーローになってお前たちを討つ! また負けたとしても、その後輩たちが必ず勝つ!」

《がっ…こ、怖くねえのか、そのときお前は、とっくに負けて死んでるだろうがあ!》

「ヒーローの真髄は、その魂! 先輩の心を私が受け継ぎ、その魂を次が、また次が受け継げば、ヒーローは…不滅よ! 

そして最後には必ず、悪を…あんたを必ず、討ち滅ぼす!」

 

トパーズの求める英雄像は、もはや自分一人だけの矮小なカッコ良さでは、収まらなかった。

勇気をくれる先輩へは、リスペクトと憧憬を。

正義を託す後輩へは、熱き思いに応える矜持を。

そしてその連鎖こそが紡ぐ、終わりなき英雄譚。

たとえ主役でなくとも、その一隅に名を連ねることこそが、トパーズのヒーローたる本懐であった。

 

「中途半端な覚悟であたしを怒らせたその愚かさ、骨の髄まで後悔させてやる! 地獄の閻魔に懺悔しろお!」

 

……

 

《さあ、ヒビキよ。その忌まわしき血を封じよ。兄者はいずれ想破が誅伐しよう。あとは、貴様の自刃で不幸の連鎖は止まる…!》

「…くくっ…くっくっくっ…!」

すすり泣きか、はたまた自嘲か。うつ向いたまま肩を震わせるヒビキが、言葉を続け。

 

「…私が…不幸とは…笑止千万!」

《ぬなっ!?》

きびすを返すヒビキの顔に、生い立ちの不遇への怨嗟は無く。

 

「…私はっ、私はあーっ!

 天下無双の、果報者だああーーーっ!」

 

満面の笑顔と、心の底からの快哉の叫びが、試写室を満たす。

《はあーっ!? 気でも触れたかあ?》

 

「閃忍の素質が無いことが、不幸だと?

 逆だ! 才無きが故に、私は超昂戦士になれた!

 ルビーに、トパーズに、アメイズに…最高の仲間達に出会えた!

 あろうことか、人類の運命が懸かる戦いにまで加わり、皆を護り抜くことができたんだ!

 この僥倖、貴様ごときにわかるものかあ!」

 

《ぬぐっ…だが、ハガネはどうする! 奴の汚名はあ!?》

「言う輩には、言わせておけっ! 私もまた、いつかハガネを討つ戦士! 汚名と言うなら、自らすすぐ!」

《な…な、がっ…!?》

 

「覚えておくんだな。何が自分の幸運か、何が不幸かなど、自分にだってわかりはしない。全ては時が過ぎた後に、自ら顧みて決めるだけのこと。ましてや、結果を見ただけの外野が後付けした不幸なんかに、私は膝を屈したりしない!」

 

刹那、ヒビキの口角が慈愛をたたえ。

 

「私の幸福は、私が決める。」

 

その決意と自負は、痩せ我慢とは程遠く。

眼差しに秘める凛然たる希望は、既に祥を手にした者のそれであった。

 

「お前にも教えてくれよう。私を奈落の底に突き落とし、加古野を愚弄する口実を知り得たその幸運が、その実、己が身の破滅をもたらす、最悪の不幸であったことを。

…これより加古野ヒビキ、修羅となりて、貴様を冥府の果て、魔道の坩堝まで追いつめよう。

推して参る!」

 

アメイズ、トパーズ、サファイア…、三人の心を粉砕し屈服させ、復讐を成す。

そんな、コマンダー三人の下卑た野望は、ここに脆くも潰えた。

 

一方、孤独の牢獄に囚われ続けるルビーに向かう、助けの手は未だ届かない。

急げ救援部隊、イデアの壁を打破し、ルビーに希望の笑顔を取り戻すのだ!

 




連夜のお立ち寄り、ありがとうございます。作者の環です。
つたない出来ですが、ハーメルンさんのPV管理ログで見る限り、ちょっとだけ常連さんもいらっしゃる…のかな? 感謝感激です。

さて、第3章は鬱展開の前章からの伏線回収でしたが…環には参謀(投稿前に客観的に読んでくれる相方)がいないので、敵の罠もヒーローの逆転劇も、両方を自力本願で作ってます。
ただ…まるで超合金ロボかキン肉マン消しゴムで、ぼっちごっこをやってるみたいな気持ちになるんです。
「がおー、超人パワー3億だー、ひれ伏せー」
「なにー、それじゃこっちは4億だー」
「うわーやられたー」
…みたいな。
敵攻撃がショボくないか、ちゃんと敵の力を受け止めてカウント2.9で返せているか、不安になったり。

あ、皆さんがスッキリ読めておられれば無問題ですよー。
今回のアメイズ・トパーズ・サファイアの倍返しが、読者の皆さんのカタルシス(快感)に直撃しておりましたら、環の冥利に尽きます。

それでは最終話、孤独のルビーの伏線回収、また明晩お会いできますことを。
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