風の惑星   作:とも2199

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本作は、超人ロックの二次創作小説です。


風の惑星10 模倣

 上空に上がると、そこはひどい強風が吹き荒れていた。

 ロックは、風に飛ばされないように空に留まると、サンドラが自分を追って飛んでくるのを待った。程なく、彼女が同じ高さに上がると、狂気を顕にした表情でロックを見つめていた。そして、ロックは、これまでの出来事から気がついた事を、彼女に試すことにした。

 彼は、両腕で宙に四角い形を作り始めた。中空には、クリスタルのような板状の鏡が形作られている。

 サンドラは、目を丸くしてそれを見ていた。

「なっ、何だそれは!?」

 ロックは、彼女を睨みながら答えた。

「これは、ラフノールの鏡……」

 サンドラは、興奮した様子で、見よう見まねでロックと同じ様に手を動かした。しかし、ラフノールの鏡はなかなか現れない。既に、ロックは鏡を完成させ、それを宙に静止させていた。

 サンドラは、ロックが作った鏡を見て、焦った様子で手を動かしている。すると、鏡の上の方が彼女の手から生み出されていた。

「でっ、出来た!」

 サンドラは、嬉しそうに自分が作りかけている物体を眺めている。

 ロックは、そこで自分のラフノールの鏡を消すと、サンドラに向かって、吹き荒れる風に乗って飛び、一気に間合いを詰めた。

「えっ! ちょっ、ちょっと待って! もう少しで、出来るから……!」

 ロックは、ラフノールの鏡を作ろうとするのを止めない彼女の背後に回り、思い切りその背中を蹴り上げた。

 サンドラは、バランスを崩して強風に煽られて宙をくるくると回りながら、地上に落ちて行った。地面に落ちていった彼女は、地面にぶつかるとバウンドして転がった。

 ふらふらになりながらも、彼女は、両手をついて起き上がった。ロックは、その目の前にふわりと降り立っていた。

「ちっ、ちくしょう! もうちょっとだったのに!」

 まだ満足に動けない彼女に対して、ロックは一瞬で間合いを詰めて、手のひらで腹のあたりを打った。

「ひっ!」

 腹から一気に空気を吐き出して、息が出来なくなった彼女は、前のめりで倒れそうになっていた。

「ひ、卑怯だぞ……。超能力で戦え……」

 ロックは、疲れた表情で言った。

「……君は、体を使った訓練が不足している。超能力をコピーする能力に、頼り過ぎたな」

 彼は、頭を垂れた彼女の首すじに、手刀を加えた。そして、サンドラは、力なくその場に崩れ落ちた。

 ロックは、ほっと息を吐き出すと、あたりの様子を確認した。既に、D弾による爆風と高熱はだいぶ収まっていた。ロペスや自分の畑があった場所は、作物が高熱で焼け焦げ、炭で塗ったような黒い跡だけが残っていた。

 ロックは、サンドラの身体を抱きかかえて肩に乗せると、瞬間移動でロペスの家に現れた。

「ロックさん!」

 家の中では、ジョシュアが彼の無事を喜んでいた。ロペスの他の家族は、あまりの出来事に、一箇所に集まって震え上がっていた。

 アンはというと、部屋の中央で、苦しそうな表情をして立っていた。皆を守ろうと、必死にバリアを張り続けていたのだ。彼女は、ロックの姿を見ると、気丈にも笑いかけようとしていた。

 しかし、そのロック自身も、力を使い果たして疲れきっていた。

「ありがとう、アン。……ここは、今は高濃度の放射線で満ちていて危険だ。すぐに、全員で街まで移動しよう」

 ロックは、ぽかんとしているロペスたちを眺めると、意識を集中させた。

 次の瞬間、全員で、都市のある海岸線の波打ち際に現れていた。

「ここは……?」

「いつの間に……!」

 当惑する一家をのすぐ脇で、アンは疲れ果てて、仰向けになって砂の上に寝転び、肩で息をしていた。

 ロックは、彼ら全員の無事を確認すると、その場で力尽きて倒れた。サンドラの身体も同じ様にロックの横に倒れ込んだ。

 ジョシュアは、恐る恐るサンドラに近寄った。

 どうやら、先程暴れていた女は、意識を失っているらしい。

 ロックはといえば、全身の衣服が燃えかすのようにわずかに貼り付いているだけで、もはや全裸と言ってもいい状態だった。ジョシュアは、自分の上着を脱いで、そっとロックの体にかけた。

 

 

 惑星ディール軌道上――。

 

 海賊船では、サンドラが降り立った地点を、スクリーンにズームして映し出して観察していた。

 船長のマークは、ロックが勝利したのを確認して、スクリーンを消させた。

「もういい。ここを脱出する。発進準備!」

 操舵手は、マークに確認した。

「どちらに向かいますか?」

 マークは、手を振った。

「どこでもいい。我々は、D弾を使うような極悪非道なおたずね者だ。とにかくここから離れるんだ」

 程なくして、海賊船は、ハイパードライブに突入し、惑星ディールから遠く離れて行った。

 船長のマークは、感慨にふけっていた。

 

 所詮は、ものまねが得意な頭の弱い女だ。本物には、勝てるはずも無い……。

 

 彼は、次の動きをどうするか思案して、高速に流れる星の線を眺めた。

 

続く… 




本作は、私のブログ、pixiv、ハーメルンで同一作品を投稿、またはその予定があります。
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