風の惑星   作:とも2199

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本作は、超人ロックの二次創作小説です。


風の惑星3 海賊

 連邦軍の艦隊五隻は、惑星ディールの軌道から発進すると、一斉にハイパードライブに突入した。宇宙に瞬いていた星が、一瞬で流れる線に変わる。この恒星間航行技術によって、銀河連邦の入植惑星を渡ることを可能にしていた。

 

「出してよ!」

「話を聞いて下さい!」

 マキムラは、艦の独房の扉を叩く音を聞きながら、呆れたように言った。

「軍艦への密航は重罪だ。そこで大人しくしていてくれ」

 一層激しく扉がどんどんと叩かれていたが、それを無視してマキムラはロックのそばに戻った。

「迷惑かけてすまない」

 ロックが彼に申し訳無さそうに謝罪した。マキムラは、にやりと笑っている。

「ま、伝説の超人に頼まれちゃね。それよりも、この後の対策について上で話そう」

 

「行っちゃった」

 ジョシュアは、しゅんとして独房のベッドに腰掛けた。

 アンは、思い切り独房の扉を蹴飛ばしていた。

「もー! こんな所に閉じ込めなくてもいいじゃない!」

 彼女も、諦めてジョシュアの隣に勢いよく座った。

「ロックさんって軍人なのかな」

「だから、スパイかも、って言ったじゃない」

「僕ら、どうなっちゃうのかな。もしかして、知ってはいけない秘密を知ってしまったんじゃ?」

「何それ」

「映画とかで見たことある。存在を秘密裏に消されるんだ」

「消されるって……?」

 ジョシュアは、声を落としてアンに囁いた。

「殺されるってこと」

 真っ青になったアンは、再び立ち上がった。

「逃げよう!」

「どうやって?」

「それを、これから考えるの!」

 

 艦隊は、一斉にハイパードライブを終了して、惑星エピリアの目前に出現していた。そのまま、ゆっくりと惑星の軌道に近付いて行く。

 ロックとマキムラは、軍の士官らと共に、艦橋に集まっていた。

「惑星の全体スキャンを行った結果、今の所何も見つかっていません。念の為、周囲を警戒してしばらく留まって調査を行います」

 艦の士官の説明に、マキムラはため息をついた。

「うーん。これは、空振りかな」

 ロックは、にこりと笑って言った。

「残念だったね。あの二人のこともあるし、調査が終わったら、一度ディールに戻ってもらおうかな」

「むぅ。仕方がない」

 マキムラは、渋い顔をして言った。ここでロックを解放してしまうと、もう手伝ってもらえないかも知れない。それを彼は懸念していた。

 ロックは、彼が心の中で「海賊出てこい」と強く願っているのを感じて、苦笑いを浮かべた。

 その願いが届いたのか、艦の士官の一人が報告を叫んだ。

「付近にハイパードライブの反応を感知! 報告にあった海賊船出現と思われます!」

「何だと!? 全艦、戦闘配置!」

 

 海賊船は、中型の高速船だった。ハイパードライブを終了すると同時に、連邦軍の艦隊を感知していた。

「連邦軍の艦隊五隻を感知!」

 海賊船の船長は、後ろを向いて、背後にいた人物に声をかけた。

「サンドラ。連邦軍にここが見つかった。奴らの戦艦には、この船では対抗出来ない。お前の出番だ。すぐに行ってくれ」

 サンドラと呼ばれた女は、嬉しそうに目を光らせた。

「全部、壊しちゃっていいのかい?」

 船長は頷いた。

「やらなきゃ、こっちが殺られる」

 彼女は、舌舐めずりして笑った。

「わかった」

 その瞬間、彼女はその場から消えた。

「船長、テレポートしたようです」

「ああ。お手並み拝見ってところだな」

 

 宇宙空間に出たサンドラは、宇宙に浮かぶ連邦軍の宇宙艦五隻を眺めた。

「ど・れ・に・しようかな〜」

 彼女は、そのうちの先頭にいた一隻に目をつけた。

「お前からだ!」

 再び、彼女の姿が消えた。

 次の瞬間、先頭にいた連邦軍の宇宙艦の機関室に、彼女は現れた。

 サンドラは、両手を広げて意識を集中すると、機関室の反応炉に強力なエネルギーを放った。稲妻のような光が反応炉に直撃すると、それは、眩しいブラズマの光に包まれた。

「ばいばい」

 サンドラは、そう言い残すと、その場から消失した。

 次の瞬間、先頭の宇宙艦は、反応炉が暴走し、大爆発を起こして消滅した。

 そして、その数秒後、その後方にいた艦も後部エンジンが爆発し、真っ二つに裂けて四散した。

 

「前方の艦二隻が撃沈されました!」

「いかん! 海賊のエスパーの攻撃だ! ESPバリアを展開しろ!」

 ロックは、何者かが艦内に侵入して来るのに気付いた。

「駄目だ。間に合わない!」

 その瞬間、ロックらがいた艦橋に、サンドラが出現した。

「遅いんじゃない?」

 彼女は、凶悪な笑みを浮かべると、再び姿が消えた。

 それを見たロックも、すぐにその場から消えた。

「ロック!」

 マキムラが、横にいたロックの方を見ると、既に彼の姿は無かった。

「あ、あれ?」

 

 ロックらの乗る宇宙艦の機関室に現れたサンドラは、にやりと笑って反応炉を眺めた。しかし、彼女は何かに気がついて、そちらを向いた。

「ん?」

 機関室の操作盤の影に、人が隠れているのが見えた。

「何やってんのかなぁ?」

 彼女が操作盤の後ろを覗き込むと、そこにはジョシュアとアンがいた。

「隠れんぼでもしてんの?」

「う、うわぁ。見つかった」

 ジョシュアは、アンを庇うように彼女の体を抱き抱えた。

「あれ? ジョシュア、軍の人じゃなさそうだよ」

 サンドラは、にやりと笑って伸ばした手の平に、光球を生み出した。

「そう。あたしは海賊。じゃあね」

 その時、ロックも機関室に現れた。そして、サンドラが、二人に攻撃を加えようとしているのを目撃した。

「ジョシュア! アン!」

 その瞬間、サンドラと二人がいた場所が電気がぶつかり合うような音が響いた。

「何!?」

 ロックは、一瞬の出来事に驚いていたが、すぐに気を取り直して、一瞬でサンドラの背後に取り付いた。そして、彼女を力一杯突き飛ばした。

「ロックさん!」

「二人とも、早く逃げるんだ!」

 その間に、サンドラはゆっくりと立ち上がって、嬉しそうな笑みを浮かべていた。

「何だよ、あんた。あたしを突き飛ばすとはいい度胸だ!」

 サンドラは、再び手に光球を作り出すと、次々にそれを放った。それは、ロックの目前まで飛んだところで、消えて行った。ロックは、彼女を睨みつけたまま、微動だにせずにそのまま立っていた。

「へぇ、あんたエスパーなのか」

 ロックは、機関室で超能力で戦う危険性を考えていた。一撃で仕留める必要がある。彼は、両手を上げると、棒状の光の束を作り出した。

 サンドラは、目を輝かせていた。

「な、何だそれ。あたしもやって見る!」

 彼女は、ロックと同じ様に両手を上げて集中した。そして、同じ様に光の束を作り出した。

 その様子を見たロックは、少し驚いたが、慌てずに腕を振って光の束を投げ付けた。しかし、サンドラも、同じ様に光の束を投げ付けた為、互いの攻撃がぶつかり合った。機関室の中央で、眩い光が輝いたと思うと、爆発を起こした。ロックは、ジョシュアとアンのそばでバリアを張り、その爆発から彼らを守った。しかし、爆発の影響で反応炉の周辺にプラズマの光が走った。

「くっ。反応炉が……!」

 ロックは、更に反応炉の周囲にもバリア張った。これが破損すれば、艦体は大爆発を免れない。爆発を起こさなくても、周囲にいた人間は命を落とすだろう。

 反応炉が暴走を始めた影響で、宇宙艦は、大きな揺れを起こしていた。

「おっと、じゃあ、あたしはもう行くよ。あんたとは、また戦いたいな。死ぬんじゃ無いよ!」

 サンドラは、そう言うと、その場から消えた。

 彼女は、その後他の艦にも移動して、次々に破壊していった。残されたロックらの乗る艦は、ゆっくりと惑星エピリアの軌道を外れ、大気圏へと突入して行った。

 ロックは、反応炉の破損から艦体を守る為、バリアを貼り続けていた。

「ロックさん! 一体、何がどうなってるの!?」

 ロックのそばで、アンが困惑して叫んだ。

「船が、惑星に落ち始めた……」

「ええ!?」

 ロックは懸命に力を使いながら、マキムラに伝えた。

 

「うん?」

(反応炉が暴走している。急いで艦外に放棄してくれ)

「ロックか!? おい、反応炉がもう保たない! 今すぐ、艦外に投棄するんだ!」

「ばかな。艦は、バランスを失って惑星に落ちる途中だ。そんなことをすれば、墜落する!」

「爆発を起こしたら一緒だろ! 大丈夫だ! ロックに任せるんだ!」

 艦長は、苦渋の表情で機関士に指示をした。

「反応炉を投棄しろ!」

 宇宙艦のエンジンノズルが投棄されると、内部の機関室が露出した。

「う、うわぁ!」

「ひいい! ま、まだ死にたくないよ!」

 ロックは、大きく宇宙空間に開口部を開けた船体から、反応炉とジョシュアとアンを守る為、バリアを張り力を使い続けた。

「は……早くしてくれ!」

 反応炉が設置されていた床が爆破されて、固定されていた反応炉が、勢いよく艦外に飛び出して行った。そして、宇宙艦から離れた所で、大爆発を起こした。

 激しく艦体が揺れていたが、ロックは少しだけほっとしていた。

「ジョシュア! アン! 僕に掴まって!」

「えぇ!?」

「早く!」

 二人がロックの体に捕まった瞬間、ロックは艦橋へと瞬間移動した。

「あわわ!」

「な、何、なに!?」

 二人は、中空から現れて、艦橋の床に転げ落ちた。

「ロック! このままでは、艦が墜落する!」

 マキムラは、険しい表情で、現れたロックに声をかけた。

「分かってる!」

 再び消えたロックは、今度は艦外の艦底部に現れた。

「くっ……!」

 ロックは、渾身の力を出して、艦体を支えた。大気圏を超える時の激しい熱が、ロックと艦体を包んだ。

 宇宙艦は、大気圏を抜けると、猛烈な勢いで惑星の上空を飛行した。

「制御不能! 墜落します!」

 ジョシュアとアンは、抱き合って泣いていた。

 マキムラは、騒然とする艦橋の人々全員に声をかけた。

「皆、ロックを信じろ! 絶対に助かる!」

 轟音と共に惑星の上空を飛行する宇宙艦は、みるみる地上に近付いて行く。

「総員、衝撃に備えろ! 何かに掴まれ!」

 そして、地上に近付いた艦体は、姿勢を水平に保ったまま、地面に滑るように着地した。そのまま、数千メートルは、地上をずるずると滑り、ようやく艦体が停止した。

 艦内では、あちらこちらで、設備が倒れたり、物が散乱していたが、静まりかえっていた。

「大丈夫か?」

 最初に起き上がったマキムラは、近くにいて、床に転がっていたジョシュアとアンに声をかけた。

「た、助かった……?」

「よ、よかったぁ……」

 二人とも、涙を浮かべて抱き合っていた。

 そして、マキムラが周りを確認すると、他の艦の士官らも一人、また一人と動き出した。

「……何とかなったな」

 ほっとしたマキムラは、ふと、肝心の男の心配を始めた。

「ロック……」

 

 艦外に出たマキムラは、ジョシュアとアンと一緒に、ロックの行方を探していた。

「おーい」

「ロックさーん!」

 しばらく探していると、艦の後方に倒れている人影を見つけた。

「いたぞ!」

 三人が駆けつけると、ロックは衣服もぼろぼろになった状態で、息を切らして大の字になっていた。

「ロックさん……」

 ロックは、彼らに気がつくと、目を薄く開けた。

「……怪我は、無いかい?」

 ジョシュアとアンは、顔を見合せると、喜びを爆発させてロックに抱きついた。

 

続く…

 




本作は、私のブログ、pixiv、ハーメルンで同一作品を投稿、またはその予定があります。
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