風の惑星   作:とも2199

7 / 16
本作は、超人ロックの二次創作小説です。


風の惑星7 暗雲

 サンドラの乗る海賊船は、惑星ディールの軌道上に現れていた。

「連邦の艦隊の姿はありません」

 報告を受けた船長のマークは、頷いて次の指示を出した。

「ESPの反応が無いか探れ」

「了解しました」

 サンドラは、マークの横で退屈そうに船長席であぐらをかいていた。

「本当に、ロックはこの惑星にいるんだろうな」

「惑星エピリアに救助にやって来た連邦の軍艦は、この惑星に立ち寄って、彼が船を降りたことが分かっている。超能力を使ってくれれば、センサーに反応するだろう」

「ちょっと、もの動かしたぐらいでも反応すんのか?」

 船長のマークは、腕組みして首をひねった。

「む……。まぁ、確かに、その程度じゃ反応しないかもな」

 サンドラはがっかりしていた。

「そんなんで、探せるのかよ」

 何かを思いついたマークは、サンドラの方を向いた。

「お前の言う通りだ。ならば、強力なESPを使わせればいいってことだな」

 

 惑星ディールの大陸は、相変わらず激しい嵐が吹き荒れていた。その嵐の中、農場の空に舞う二人の人間がいた。

「うわあぁぁー!」

 ロックとアンは、強風に乗って、空を飛んでいた。風に流されて、くるくると舞っていたアンは、近くに飛んで来たロックの体に抱きついて身体の回転を止めた。

「あぶ、危ないよ! こんなの!」

 ロックは、憤慨するアンの顔を見てくすりと笑った。

「でも、いい訓練になる。空を飛ぶのも、念動力の応用だからね。この風は、練習するのにちょうどいい」

 ロックは、再び彼女の身体を手放した。

「ろ、ロック!」

 彼女は、一瞬バランスを崩したが、ロックに言われた通りに空を飛び回るイメージを続けた。そうすることで、今度は上手くバランスを取って空を飛ぶことが出来ていた。

 地上の農家の家や、地面一杯に広がる農場が、みるみる小さくなっていく。

「こっ、こんな感じ!?」

「上出来だよ!」

 二人は、風に乗って空を舞い続けた。

 そんな中、ジョシュアは、地上で父親のトラックに乗って待っていた。空を見上げると、強風に翻弄されながらも、ロックとアンが空高く昇って行くのが見える。

「いいなぁ。アンばっかり」

 ジョシュアは、二人を羨ましそうに見つめていた。

 

 その後、三人は、ジョシュアの自宅であるロペスの家に招かれ、久しぶりに皆で夕食をとっていた。

「最近、三人でよく出かけているようだな。面倒を見てもらって悪いな、ロック」

 ロペスの家族が揃って食卓を囲んでいる。ロックは、出された野菜を煮込んだスープを食べながら、笑顔で応じた。

「いえいえ。僕の方こそ、退屈しなくて助かってますよ」

 ジョシュアの兄のジョージは、ロックに対して憮然とした表情で言った。

「そんなこと言って、この間みたいに、変な所へ連れて行くのは止めてくれよ」

 ロペスは、そんな彼の態度を見兼ねて言った。

「ありゃあ、ロックさんのせいじゃない。ジョシュアが勝手について行ったのが悪い」

 ジョシュアは、それを聞いて不満そうに言った。

「あれは、元はと言えば、アンが言い出したんだよ」

 ロックと共に、ロペス家の食卓を囲んでいたアンは、目を丸くしている。

「そんな言い方、酷いじゃん! 嫌だったら、一緒に行かなきゃいいのに!」

「だって、心配だったから……」

「何が」

 ジョシュアは、顔を赤くしている。

「そ、それは……」

 ジョージは、そんなやり取りを見て、冷めた調子で言った。

「アンも、お転婆も大概にな。やって良いことと、悪いことを君も学んだ方がいい」

「ぶー」

 アンは、不満そうにふくれている。

 ロペスの妻のサマンサは、出来たての焼けた丸鶏を運んで食卓にやって来た。

「今日のメインディッシュよ。皆で食べてね」

 優しそうな表情で、彼女は皆に肉を取り分け始めた。

「うわー。美味しそう!」

 アンは、嬉しそうに舌を出して唇を舐めた。

「ありがとうございます。本当に美味しそうですね」

 ロックは、サマンサに感謝を込めて言った。

 

「D弾の発射準備完了!」

 海賊船では、慌ただしく、攻撃準備が行われていた。

 サンドラは、船長に背後から声をかけた。

「そこまでする必要、あんの? 軍隊を相手にするならともかく」

 船長のマークは、サンドラの方を向いて言った。

「ロックは、この攻撃にすぐに気がつくだろう。そして、D弾を止めようと超能力を使うに違いない。ロックが見つかったら、お前の出番だ」

「あたしが聞いてんのは、そんなもの使って、この間みたいに地上にそのまんま落ちたらどうすんのかってこと」

「多少の被害はやむを得ん。だが、前の時も、人が住んでいない場所でやったことだ。死傷者など出ていない」

「え!? 何それ」

「俺たちを極悪人として宣伝する為に、連邦の連中がついた嘘さ」

「な、何であたしにも黙ってたんだよ!」

「俺たちが本気だとお前に分かってもらう為さ。ロックと戦いたいんだろう?」

 サンドラは、そう言われて、少し黙り込んだ。

「まあね」

「なら、やってみるさ。なあに。お前が心配しなくても、ロックなら、D弾が落ちる前に何とかするだろうよ」

 船長のマークは、そう言うと前を向いた。

「惑星上空の都市に進路合わせ! 位置につき次第、攻撃を開始する!」

 海賊船は、ゆっくりと軌道上を移動し始めた。

 

続く…

 




本作は、私のブログ、pixiv、ハーメルンで同一作品を投稿、またはその予定があります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。