サンドラは、海賊船のセンサーがESP反応を検知した地点へと海賊船を飛び出した。
彼女は、頭を下にして、直立した体勢で大気圏に突入した。地上へと自由落下しながら、地上の様子を探った。
いた……!
「そっちか!」
彼女は、D弾の作り出した巨大なキノコ雲の中に飛び込むと、彼の気配を感じる場所へと、速度をあげて一気に飛んだ。
地上に降り立った彼女は、数千度の高温の中、ぽつんと傷一つない建物を見つめた。そこは、燃えることなくそこに存在している。
彼女は、強力なESP反応を感じ取っていた。
「そこか……」
彼女は、舌なめずりをして、ロックがそこから現れるのを待っていた。
その時、ロックは感じ取っていた。
あの時の……!
惑星エピリアの軌道上で襲われたエスパーが近くにいる。それを感じた彼は、ロペス家の全員を、安全な所へ避難させなければ、と考えた。しかし、テレポートで逃げても、あのエスパーは必ず追って来るだろう。ならば、ここで対決するしかない。しかし、外の高熱と、強烈な放射線から一家を守る為に、このバリアを解除する訳にはいかない。
そんなことを考えていたロックの思考に、アンの思考が割り込んできた。
……あの時の女が来たんだね?
アン……!? ……そうだ。皆が危険だ。
でも、このバリアを張っていると、ロックさんは全力で戦えない……そうだよね?
君が……?
うん。やってみる。私がバリアを張ってみる……!
アンは、怯えるロペス一家を尻目にジョシュアに言った。
「お願い! 皆を、絶対にここから出さないように協力して! ロックさんは、外にいるあの女の相手をしなきゃいけないから!」
ジョシュアは、慌てて窓の外を見た。高熱で炎を上げる木々の中に、確かに人影があった。それは、ゆっくりと家に近づいている。宇宙船の中で襲われたあの女に間違いなかった。
「わ、わかった!」
ジョシュアは、家のドアの前に走った。
誰もそこから出さないように。
彼にロペスが叫んだ。
「おい! いったい、どうなっているんだ!」
ジョシュアは、真剣な表情で言った。
「父さん、母さん、兄さん! お願いだから、少し我慢して! ここでじっとしていないと、皆死んでしまう!」
アンは家の中央で、必死にイメージした。ロックのイメージを感じ取っていた彼女は、懸命にそれを真似ようとした。彼女が強く念じたことで、彼女の髪が逆立った。
ロックは、非常に強いESPを感じ取って、アンの様子を確認した。彼女は、必死の形相でロックに目で頷いた。彼は、彼女がバリアを張るのに成功したことを理解して、自身のバリアの展開を止めた。
「さあ、行って! ロックさん、あいつを、ジョシュアたちに近づけさせないで!」
ロックは、急激に能力を開花させたアンに驚きつつも、視線を窓の外にいる人物に集中させた。
「アン、ありがとう! ジョシュアも、皆を頼んだよ!」
「任せて!」
「頑張って、ロックさん!」
ロックは、最後に笑顔を向けて、瞬間移動した。
サンドラは、前方の建物の中に、ロック以外の強力なESP反応をもう一つ感じていた。彼女が不思議に思っていると、もう一つの反応が、彼女の背後に現れるのを感じていた。
「やっと、会えたね、超人ロック!」
サンドラは、振り向きざまに、手のひらに作り出した光球を投げ付けた。しかし、それが命中する寸前に、ロックの姿が消えた。
次の瞬間、サンドラの真後ろの宙空にロックは現れ、両腕を、彼女の後頭部へと振り下ろした。しかし、その瞬間、今度はサンドラが消え、ロックの背後に現れた。彼女はロックと同じ様に両腕を振り下ろして、ロックの後頭部を殴打した。
ロックは、勢いよく地面に転がった。うつ伏せに倒れた彼の背後に、サンドラは超能力で作り出したエネルギー弾を連射した。
その攻撃をまともに受けたロックはうめいた。
「くっ……!」
「なんだよ、その程度かい!? 超人が聞いてあきれるよ!」
ロックは、先程までのD弾の方向転換から、バリアの展開まで、力を使いすぎていた。
「じゃあ、これで終わりだね!」
サンドラは、渾身の力を込めて、強力なエネルギー弾を放った。ロックの倒れていた地面は、大きな爆発を起こした。その場から少し離れて後ずさったサンドラは、がっかりした様子でその爆発を眺めていた。
「全然、大した事ないじゃん。つまんないの」
その一部始終を、ロペス家の人々は家の中から見つめていた。
「何なんだよ、あの女!?」
「あ、あれは、エスパーじゃないか!」
「まさか……ロックさんが……!」
アンは、急速にロックの存在が失われるのを感じていた。
「うそ? そんな……。ロックさんが……」
サンドラは、もう一つの強力なESPを放つ建物の中に興味を持った。
「もう一人、いるじゃない。強そうなのがさ」
サンドラは、ロックがいた場所が放つ高温を避けて、ゆっくりと建物に歩いて近寄って行った。
その時、ロックがいた場所から、消し炭のような黒い影がふらりと立ち上がっていた。
「何!?」
衣服が燃え上がったまま、ロックは鬼気迫る表情で、サンドラを睨んでいた。
「ば、化け物か!?」
そして、両腕を上げると、頭上に大きな光の剣を作り出した。
「何だそれ!? この間の奴より、ずっと強そうで、かっこいい技だな!」
サンドラは、後方に飛び上がって離れると、ロックの真似をして、同じ様に光の剣を作り始めた。
ロックは、それに気づいて興味深く、それを見つめた。
その直後、互いが放った光の剣がぶつかり合い、二人の間で大爆発が起きた。
ロックは、すぐさま空へと飛んだ。
「あっ、逃げるのか!?」
あっという間に高高度まで上昇した彼を追って、サンドラも空へと飛び上がった。
続く…
本作は、私のブログ、pixiv、ハーメルンで同一作品を投稿、またはその予定があります。