青年と少女のマルチプル・オンラインⅡ 作:グラハムさんとピンクマ
翌日の夜、明日人の部屋…
現在の時刻は20時、明日人はシード値をVR機器に設定し終えたところで凛に話しかけられる。
凛 「気をつけて下さいね、いざとなれば私も飛び出しますので」
明日人「ありがとう。じゃあ早速行こうか」
相手は病院側の人間である為、少しの緊張感を抱きつつ、明日人と凛はログインする。
岩場…
ドサッ
グラハム「うぐっ!」
初期スポーン位置が何故か空中だった為、いつものオレンジのコートを着用したグラハムは岩の上に頭から落ちた。
グラハム「いってぇ、、、。ってユーフォニアの時もそうだったけど、また岩場からの始まりか」
ここからスティラと出会ったんだよな。ユーフォニアとは全然違う岩場だが懐かしく思う。
スティラ「きゃぁぁぁ!」
グラハム「?」
ふと上を見上げると、スティラが空から落ちてくる。
グラハム「何で!?」
トスッ
咄嗟の判断で両手を前に出し、落ちてくるスティラをお姫様抱っこで受け止めた。
グラハム「だ、大丈夫?」
改めてスティラの体を見ると、ユーフォニアでの鎧装備と同じである。
スティラ「あ、ありがとう、、ございます、、、」
お姫様抱っこで受け止められたのが恥ずかしい為、スティラは頬を赤らめて目を逸らした。
グラハム「う、うん。じゃあ降ろすよ」
スティラ「はい、、」
グラハム「ところで何で空から?大体予想はつくけど」
スティラ「私にも分かりませんが、この世界の景色が見えた頃には落下していました」
グラハム「危ないな、、、」
この世界の初期スポーン酷すぎるだろ。
グラハム「ん〜、、、お、あそこに街が見えるからとりあえず行こうか」
スティラ「分かりました。数メートル後ろから付いて行きます」
数分後、街の入口前…
岩場地帯から離れた所にある街の様子を確認する為にグラハムはヘカートⅡのスコープで観察した。
グラハム「あ〜、、、これは、、、」
とあるものを見て、後ろにいるスティラを呼んだ。
スティラ「どうしました?」
グラハム「入口で検問されるかも。この世界の服装はユーフォニアと違ってて怪しまれるから、このローブを着て今の装備を隠そう」
スティラ「ですがもし体を触られて気づかれたら、、、」
グラハム「あ、そうか!う〜ん、、、」
考え込んでいるうちに夕日がもうすぐ沈む。現実世界では20時15分なので、時間軸はユーフォニアと同じということが分かる。
この街は塀で囲われているな。なら、、、
グラハム「もう少しだけここで留まって、さらに暗くなってからそのローブを着て身体強化魔法で塀を登ろう。太陽炉で飛び越したいけど光で目立ちすぎるから使えないのが少し不便だけど」
スティラ「分かりました」
さらに数分後…
夕日はほぼ見えなくなり、移動する時がきた。
グラハム「時間が押してるな。少し急ごう」
グラハムは足を身体強化すると、塀の上へ跳び上がった。その跳躍力はギリギリであり、天辺の窪みを掴むとそのままよじ登る。
スティラ「大丈夫ですか?」
グラハム「ギリギリね」
スティラが既に横にいたということは、完璧に跳び上がれたのだろう。
そしてグラハムは街の中を見渡す。
グラハム「少しプランを変更。俺の後ろを付いて来るんじゃなくて、屋根の上から見守って欲しい」
この街の屋根の高さは時計塔を除いて大体同じなので、上からの方が周囲を確認してもらいやすい。
スティラ「はい、くれぐれもお気をつけて」
グラハム「ありがとう」
スティラの心配する気持ちを受け取り、地面へ音を立てずに飛び降りる。
グラハム(あっ、街の中にいるって確信もないのに侵入したな。何やってんだろ───)
キィィィ…
すると耳鳴りのようなものが頭に響き、気配を感じ取る。
グラハム(いや、いる。運が良かった。場所は、、、あのパラソルか)
何故か最初から分かっているかのように先へ進んだグラハムは、特に奇襲等を受けることなくこの世界へ招待した人物と出会う。
謎の男「この場所がよく分かったな」
男はパラソル付きの机から立ち上がる。
グラハム「偶然この街が目に入ったのでもしかしたらと」
やっぱり、昨日と同じく敵意はない。これなら少しは敬語を挟んだ方がいいか。
謎の男「取り敢えず、場所を移そう。私自身も、、、な」
グラハム「はぁ」
どういう意味だ?
路地裏…
グラハムは男の後ろを静かに歩く。
謎の男「この中だ」
そう言って男はしゃがみ込む。マンホールだ。
グラハム「下水道か」
謎の男「早く入ってくれ」
グラハム「、、、分かった」
入ってしまえば、スティラの援護は望めないな。
下水道…
謎の男「ここなら盗聴されない」
あぁ、「私自身も」が分かった。俺達は第三者から監視されているんだ。
謎の男「自己紹介が遅れましたね。去年、君の手術を担当した阪田です」
グラハム「やっぱり阪田さんでしたか」
相手は俺のことを知っている訳だから別に名乗らなくてもいっか。
阪田 「ご存知だったんですね。地上では失礼な態度を取りすいません」
グラハム「いや、気にしないで下さい。この人は大丈夫だと勘付いていたので」
阪田 「よく気づきましたね、、、いきなりですが、あなた達はまた私達の組織に狙われています」
グラハム「やっぱり目をつけられていたか。軍事利用、ですね」
阪田 「はい。目的は、『003と007の確保』、『繊月さんの捕獲』です」
それも予想通りだな。組織が俺とスティラ、ルイスを放っておくはずがない。
阪田 「組織の前に姿を現したくはないでしょうが頼みがあります。どうか、組織の上の人物を共に倒してほしいのです」
グラハム「、、、」
まさかの頼みだ。正直関わりたくないので拒否したいが、それだと去年見たカルテの内容のように、次の犠牲者がまた出てくるだろうな。
グラハム「正直に言って、俺は今住んでいる場所から引っ越したいです。仮に協力すると言っても、俺達に何のメリットがあるんですか?」
阪田 「そうですね、、、では、5000万円の給付を今は考えましょう。それ以外ならば言って頂けると考えますので」
金かい。
グラハム「お金ですか、、、いや、まぁ、分かりました。メリットがなくとも行くつもりでしたので」
阪田 「ありがとうございます!」
グラハム「取り敢えず、この世界のことを知りたいので外へ出ても大丈夫ですか?」
阪田 「はい、問題ありません。要件は伝え終えたので目的を終え次第ログアウトして頂いて構いません」
グラハム「分かりました。失礼します」
路地裏…
グラハムはマンホールをそっとずらし、地上へ出た。そしてマンホールを閉めるとスティラが建物の屋根から飛び降りてきた。
スティラ「グラハムさん!大丈夫でしたか?」
グラハム「うん、大丈夫。今回は阪田さんと話をしてきただけ」
そしてスティラにこれまでの話をする。
スティラ「やはり阪田さんは組織を否定しているんですね」
グラハム「そうだね、そこだけがせめてもの救いかな。、、、まぁとにかく、戦いに備える為にこの世界を調べておこう」
スティラ「確かに、戦闘場所などはは調べておかないといけませんね」
そして2人はこの街について調べ回った。
これからまた、大きなことに巻き込まれていくのだろう。
ピンクマ「就職試験、が、来る」