青年と少女のマルチプル・オンラインⅡ 作:グラハムさんとピンクマ
第6話「青年の思いやり」
建物の屋根の上…
グラハムはスティラと二手に分かれて街の様子を調べている。
グラハム「全てが石造りの建物で、、、川も流れてて、、、広場に誘い出して戦う方がいいな。色んな方向から攻撃されることを考えて射線を切れる場所からあまり離れずに」
スタッ…
すると背後から着地する音が聞こえた。
無事合流することができたな。
スティラ「只今戻りました」
グラハム「お疲れ様、どうだった?」
スティラ「端から端まで同じ構造ですね。罠などが仕掛けられていなければ問題なく戦えるでしょう」
グラハム「分かった。、、、はぁ、頭を使いすぎた、この街の飲食店へ行こっか」
ゲーム内通貨は適当なものを売れば何とかなるだろう。
スティラ「分かりました」
スティラは何かをしようと、インベントリを開く操作を行う。
スティラ「、、、?」
グラハム「どうしたの?」
スティラ「インベントリが開きません、、、というより、体力の表示もありません」
グラハム「何故、俺は開けるのに、、、そうか」
悩んだものの、グラハムはすぐに原因に気づく。
グラハム「きっとここも、〘マルチプル・オンライン〙だ」
スティラ「ユーフォニアと同じ世界、ですか?」
グラハム「うん、この他にもまだまだ知らない世界があるだと思う。とにかくこの世界でもスティラは1人の人間だ、危険を感じる前に逃げてほしい」
スティラ「いえ、逃げるなどありえません!私はグラハムさんと出会う以前にも何度も危険な目に合いましたが、無事に乗り越えています。そして、グラハムさん自身も下手すれば危ないんでしょう?」
その通り、マルチプル・オンラインとプレイヤーの繋がりは深い為、回復されれば現実世界でも回復し、傷つけば傷付く。
グラハム「うん、、、でも俺は、なんとしても──」
スティラ「む、、、」
ギュ…
するとスティラは、グラハムが話している途中で抱きしめた。
グラハム「す、スティラ?」
スティラ「あなたはどうして1人で行おうとするのですか、もっと私達を頼って下さいよ」
グラハム「だけど、もし今回の件でスティラが傷付いてしまうと思うと辛くて」
グラハムはスティラを抱きしめ返す。
スティラ「私なら大丈夫です。そして、私こそグラハムさんが傷ついてしまうのが辛いです」
グラハム「、、、そっか、気持ちは同じなんだ」
スティラ「もちろんです」
スティラをそっと離し、グラハムは言う。
グラハム「それじゃあ改めて、協力よろしくね」
スティラ「はい、喜んで!」
仲間の力をもっと信頼する、、、それが今の俺の課題かな。
グラハム「、、、っ」
そんな話をしていると、グラハムは川の石垣に少女が座り込んでいることに気づいた。
スティラ「グラハムさん、どうしました?」
グラハム「ちょっと付いて来て」
スティラ「は、はい」
グラハムは静かに屋根から飛び降りると少女のもとへ近づく。
現実世界で言うと15歳くらいか?
グラハム「、、、大丈夫?」
声をかけてみると少女は顔を上げる。その瞳はエメラルドのようで綺麗だが、体は正直清潔とは言えない。
グラハム「迷子か?」
少女は微かに首を横に振る。
グラハム「とにかく、夜は危ないから安全な所へ行こう?」
少女が頷いたのを確認すると、グラハムはメッセージウィンドウを開く。
グラハム〔今少し、返事をもらえますか?〕
送信相手は阪田さんだ。グラハムは下水道から出る前に阪田さんとフレンド登録をしていたのだ。
病院の方とフレンド登録するのは何だか変な感じだが。
阪田 〔はい、何でしょう〕
石造りの家…
グラハムは阪田さんからメッセージボックス経由で通貨を受け取り、この街で1番安い部屋を購入した。その部屋はそこまで綺麗ではないが住めれば十分である為、ひとまず少女をベッドへ座らせた。
グラハム「ほら、パンと水だ」
グラハムがその2つを渡すと、少女は早速水を飲む。
少女 「、、、、、、ありがとう」
少女が初めて声を出した。
よほど疲弊していたんだな。
グラハム「かなり疲れているだろうし、色々聞くのは明日にするよ」
スティラ「グラハムさん、明日は月曜日ですよ?」
グラハム「あぁぁ、、、」
しまった、明日は学校だ。
スティラ「私がこの方の面倒を見ます」
グラハム「いいの?スティラも明日は忙しいんじゃないの?」
スティラ「明日はユーフォニアの巡回のみですので、グラハムさんは明日の私の代わりさえ見つけて頂ければ問題ありません」
グラハム「そうなんだ。分かった、ありがとう。今から行ってくるよ」
スティラ「はい、ではまた明日」
グラハムはスティラ達から離れ、ユーフォニアへログインした。
フォニア宮殿、ロビー…
一般兵「それでは明日、街の巡回へ行きます」
グラハム「ありがとう、無理言ってごめんね」
一般兵「いえ!お気になさらず!」
そう言って一般兵は自室へ戻った。
グラハム「、、、お人好し過ぎたかな」
あの子を見た時、年齢は違うがつい幼少期の頃の咲月と姿を重ねてしまったので見てみぬふりはできなかった。
グラハム「またやらなきゃいけないことが増えたな」
そう言ってグラハムはログアウトした。
????「、、、」
黒い影に見られていることに気づかずに。
ピンクマ「また戦闘0だ!(先を考えてない人の末路)」