転生者掲示板 作:名無しの作者
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『将来は中央で走らないか?』
誰の言葉だっただろうか。
『以前のように走ることは出来ないでしょう』
何とも思わなかったのを覚えている。
『好きなだけここにいればいい』
いつも心の何処かに、ぽっかり穴が開いていた。
『君がイッチだね?』
それを聞いた時、何かが変わっていく。そう、思った。
目が覚める。何か夢を見ていたようなきがするけど、うまく思い出せない。
諦めて、ベッド脇に置いてある義足を足に装着する。最近は整備が出来ていないからか、細かい傷が目立つ。いい加減どこかで替えの義足を作ってもらうべきかな?でも、今持っているお金で、この義足と同じものを作るなんて無理だろうし…。大会出たかったなぁ…。
掲示板の人達と相談して遊戯王の大会に出てお金を稼ぐ、という作戦は、出ることができずに失敗した。原因は二つ。
一つ、賞金が出る大会ではデュエルディスクを使用したデュエルが主流だということ。
二つ、私はデュエルディスクを持っていないし、買うためのお金もないということ。
この二つのせいで、作戦は始まる前から失敗してしまった。他人のデュエルディスクを使うという話も出たけど、デュエルディスクには個人情報が登録されているらしく、大会に出るならよっぽどの理由が必要だということもあり、現在は大人しく働いている。
働き先はこの世界の転生者が経営するカフェで、住み込みで働かせてもらっている。店長さんが言うには、『飯が美味い店』らしい。実際賄いとして出てくる料理はどれも美味しいし、ボリュームもある。ただ、お店の看板商品である特製ブレンドコーヒーは人気が無い。お客さんはみんな口を揃えて不味い、なんか味が変、泥水か?等と言ってくる。
そうやって、お客さんや店長さんと話しながら働く生活をし始めて2ヶ月経つ。掲示板の人達と話し合って作戦が失敗したのが1ヶ月程前だから、1ヶ月進展が無いことになる。幸い、デュエルディスク購入の為の資金はもう少しで貯まるので作戦の再始動も間近だ。賞金が貰えたら、先ず義足を作ってもらおう。それから、それから…
「優勝してもいないんだからタラレバの話はやめな?」
「うぇっ、え、声に出てましたか?」
「うん。バッチリと。というか、前から気になってたんだけど、その義足って高いの?」
「そこまで高いものという訳ではないんですが、こっちの世界だと難しい物かもって思いまして…」
「ああ、なるほど」
長い黒髪を後ろでまとめて、シャツとズボンにお店のエプロン。店長さんのいつもの格好だ。腰にはデッキとデュエルディスクのホルダーがあって、彼女も一人のデュエリストだとわかる。
「…」
「?なんですか?」
どうかしたのだろうか?普段は雰囲気からして笑顔な店長さんが、珍しく真面目な顔と雰囲気を出している。
「デュエルディスク位なら買ってあげられるよ?本当にいいの?」
ああ、またコレか。
「何度も言ってるじゃないですか、大丈夫ですよ。それに誰かに買ってもらった物より、自分で貯めたお金で買った方が大事に出来ますし、愛着も湧きますので」
「…そっか」
似たような内容の会話を、作戦が失敗した辺りから何度も行っている。店長さんは何かと私に構ってきてくれるが、住まわせて貰っているだけで十分なのだ。それに、この世界に来たばかりの時に買ってもらった耳と尻尾を隠す服の代金も返せずにいる。店長さんは頑なに受け取ろとしないし、先の問答もやめてくれない。いつかここからいなくなる身としては、やり残したこと、なんてものができないようにしたいのだが…。
そんなモヤモヤを抱えたまま過ごして数日が経ち、目標の資金を貯めることに成功した。
「ご購入いただきありがとうございます。当店でご購入いただいたお客様にはデュエリスト情報の登録サービスを行っておりますが、いかがいたしましょうか?」
「お願いします」
「承りました。ではまず、登録するお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「はい。神代ユウキ…神様の神に、依り代の代、ユウキはカタカナでお願いします」
「承りました。アドレスの登録などもできますがいかがいたしますか?」
「そっちは大丈夫です」
「では、こちらが神代様のデュエルディスクになります」
「ありがとうございます」
「またのご来店をお待ちしております」
お店を出ながらデュエルディスクを腕に装着する。思っていたよりも軽いが、長時間腕につけているのは辛そうだな…。
「どう、重くない?」
「はい。大丈夫だと思います」
「それはよかった。それで、さっきの名前は?確か名前は…」
「その名前は好きじゃないので。以前の、人間の名前です」
「…そう」
そもそも、競争バとして生きないのならあの名前は不要なものだ。わかりやすいからとそっちで名乗るべきではなかったかもしれない。
「できれば、これからはこっちの名前で呼んでくれると嬉しいです」
「わかったよ。そういえば、この後は大会だったよね?操作とか問題ない?」
「はい。サポート機能があるらしいので、何とかなると思います」
「先に帰るけど、頑張っといでね!応援してるから」
「ありがとうございます」
賞金が出るといっても小さな大会、個人経営のカードショップでの開催だ。参加者は多くなく、抽選して人数を絞るまでもない程だ。
あっさりとエントリーを済まし、店内を見てまわる。バニラモンスターや効果の使い道が限られる効果モンスター、魔法、罠は値段が安い。変わって使いやすい効果モンスターや魔法、罠、しっかりとテーマが確立しているカード群は異常なほど値段が高い。シンクロモンスターに関しては、碌な効果を持ったものがいないにも関わらす、更に高価だ。
こんな状況なのに二つのテーマが混じったようなデッキを使って、変な目で見られたりしないだろうか?それに加えてシンクロまで使ったら…。極力、シンクロ召喚は使わない方針で行こうか。
「一回戦を始めまーす!デュエルスペースに集まって下さーい!」
始まるか。デッキの調整は…、とりあえず一回戦はこのまま戦おう。パワーバランスが悪いようだったら二回戦では入れ替えればいい。
「神代ユウキさんですね?」
「はい」
「相手はカタナ使いさんです」
「は…はぃ」
デュエリストネーム、か?それとも選手名のようなもの?
「挨拶を済ませたら初めてしまって構いません。終わったら私の方に報告を」
「あ、はい。わかりました」
「ふっ。お前が今回の対戦相手か」
…侍?袴を着て腰に刀…大丈夫なのかな?
「よろしく、お願いします」
「よろしく。では早速始めようか」
「はい」
「「デュエル!」」
カタナ使い LP4000
神代ユウキ LP4000
先行は…私か。この手札なら…
「行きます。手札から
「む?ないぞ」
「では、効果により手札から
「ないぞ。というか、いちいち確認していては時間が掛かろう?ある時は宣言するので確認はしなくてよいぞ」
「わかり、ました…。…手札の
めくれたカード
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・
・
・
・
「
「…」
「…?カタナ使いさん?」
「ッは!?う、うむ!吾輩のターン、ドロー!っく、手札断殺を発動!」
「その発動にチェーンしてナチュル・ビーストの効果を発動します」
「なにっ!?」
「魔法カードが発動した時、デッキの上から2枚を墓地へ送ってその発動を無効にします」
墓地へ送られたカード
・
・
「ぐぅ…。カードを二枚伏せて、ターン…エンドだ…」
「……。私のターン、ドロー。…魔法カード
めくれたカード
・マグネット・インダクション
・ライトニング・ストーム
・
・
・
「
「!?」
めくれたカード
・
・
・
・
・
「伏せカード2枚を手札に戻してください」
「く…」
「バトルフェイズ。ラプタイトとドラガイトでダイレクトアタック」
「ぐああああああ!!!」
カタナ使い LP4000→1800→0
「ありがとうございました」
「…あぁ」
………。
幸運なことに、その後のデュエルはすべて先行。手札も恵まれ初手でナチュル・ビーストを立てることに成功し、苦戦することもなく優勝してしまった。
手ごたえもなにもなく、前世のデュエルのような殴り合いはできず、ただフィールドを制圧するだけのデュエル。前世なら喜べたが、ここだととてもむなしい。
今後はもっとデッキを調整して、他の人と殴り合えるデッキを作らなければ…。
・名前
ウマ娘のイッチの前世での名前。ウマ、競争バとしての名前は依然未定。
・デュエル
相手のデッキを考えるのがだるくなったので一戦のみ。しかも相手のデッキ内容は全くわからないという体たらく。最後の二枚の伏せはミラフォとマジックシリンダーです。デュエル内容に不備があったら言ってください。修正します。