神の名を持つライダーはヒーロー志望 作:Katarina T
※ここからエナジーアイテムの独自設定が強くなります。
「緑谷、蛙吹、峰田……三人とも相澤先生を連れて玄関口まで離れてろ。」
静時は敵を油断なく見ながら、三人にそう言った。
それを聞いた三人は、驚きながら、静時に声をかけた。
「壇ちゃんはどうするの?」
「……何とか奴らを足止めする。」
「そんな無茶だ!相手は相澤先生ですらかなわなかった上に、話を聞いた限りこの襲撃の主犯格だ!僕たちを襲ってきた連中とは比べ物にならないくらい強い!」
「そ、そうだぜ。ここは隙を見てみんなで逃げようぜ。」
「それを敵がはいそうですかと見逃すわけがない。仮に運よく逃げることが出来たとしても、あの黒い靄が即座に追ってくる。負傷した相澤先生を担いでじゃあ逃げ切れない。」
静時の言葉に三人は固唾をのんで、現状の深刻さを改めて理解した。
「それじゃあせめて、僕も一緒に」
「そんな状態で何ができる!」
「っ!?」
緑谷の提案を遮るように静時は拒絶した。
今の緑谷は飛ばされた先のヴィランたちを捕縛する際、個性を発動させ左の親指と中指が壊れている。
(いや、仮に緑谷が万全な状態でも個性の制御ができていない今の緑谷を戦わせるなど論外だ。)
緑谷自身それを分かっているのか悔しそうな表情を浮かべた。
「どの道、まだ敵がいるかもしれない以上、相澤先生と担ぐ二人を守る奴がいる。」
「緑谷、お前が三人を守れ。」
緑谷は静時の言葉にはっとなり顔を上げ、覚悟を決めた。
「分かったよ。……任せて!」
「壇ちゃん……頑張って!」
「し、死ぬんじゃねえぞ!」
「ああ。……行け!!」
三人は静時の覚悟を感じたのか、静時の声と共に蛙吹と峰田が相澤先生を担ぎ、緑谷は周囲を警戒しながら、振り返ることなく玄関口まで走った。
「は?……行かせるわけないじゃん。……脳無。」
死柄木の言葉に反応し、脳無は走る三人を襲ったが、
「させるわけねえだろ!!!」
『マッスル化!』 『マッスル化!』 『鋼鉄化!』
それよりも早く新たに三枚のエナジーアイテムを追加で起動した静時に殴られた。
先に発動していたのと合わせて合計8枚ものエナジーアイテムで強化された静時の渾身の一撃に流石の脳無も吹っ飛ばされた。
「ああ、クソ!またあのガキか……」
「死柄木弔……先ほど生徒の一人に逃げられました。時期に応援が呼ばれます。」
「……は?……黒霧、お前がワープゲートじゃなかったら粉々にしてるところだぞ……」
死柄木は思い通りにいかないことにイライラしてるのか、頻りに自分の首を掻きむしった。
やがて少し落ち着いたのか、先ほどとは打って変わって冷静な口調で話し出した。
「……雄英にいるプロヒーローを何人も相手にはできない……仕方ないゲームオーバーだ…残念だけど今回はこれで引き上げるしかないね……」
流石に大勢のプロヒーローの相手はごめんなのか逃げる算段を話し始めた。
しかし、死柄木は静時の方に顔を向けると、その悪意と狂気の籠った目を見開きながら、言葉を紡いだ。
「帰る前に、できる限りここにいる生徒を殺してあの平和の象徴に屈辱を与えよう……」
「まずは……お前からだ。やれ、脳無…」
死柄木が言うと脳無は、今度は静時に向かって襲い掛かってきた。
「くっ!さっき全力で殴ったってのに全く効いてる様子がない。」
静時は襲い掛かってくる脳無を高速で懐に潜ることで躱し、そのまま脳無の体にカウンターを叩き込んだ。
しかし、脳無は静時の攻撃にまるで堪えた様子がなく、今度は静時に向かって掴みかかろうとしてきた。
静時は後ろにバックステップをし、掴みかかろうとする脳無の手を躱し少し距離をとった。
入試の時の巨大仮想敵を倒した時より、さらに多い8枚ものエナジーアイテムを使った攻撃でさえ、効いていないことに静時は危機感を覚えていた。
(これが対オールマイト用の人工怪人、わかっちゃいたけどなんてやつだ。)
「無駄だよ……そいつは対オールマイト用の特性サンドバック怪人……その程度の攻撃じゃ何度やってもショック吸収で効かないよ……」
その後も静時は、なんとか脳無の攻撃を紙一重で躱していき、攻撃を繰り返していくが、脳無に対し、ほとんどダメージを与えられないでいた。
(くそ、何とかオールマイトかほかの先生方が来るまで時間を稼ごうと思ったが。マズイな…)
静時は、今とても焦っていた。
それの理由は、脳無の性能が予想以上に厄介なこともあるが、それ以上にいま使っているエナジーアイテムのことでだ。
静時が使っているエナジーアイテムは確かに強力だ。しかしそれには様々な制限がある。
まず一つ目、同じエナジーアイテムは最大で三つ(少なくとも生身の状態では)までしか起動できない。だから静時はこれ以上『マッスル化』や『高速化』を追加使用することが出来ない。
二つ目は、エナジーアイテムは一度に使用する数が増えれば増える程、効果の持続時間が短くなる。静時が焦っている理由がこれだ。8枚ものエナジーアイテムを使っているためその持続時間はかなり短くなっている。
そして三つ目は、エナジーアイテムはエナジーアイテムホルダーから取り出すと十数秒で消失する。この為、静時が新たにエナジーアイテムを起動するにはエナジーアイテムホルダーからエナジーアイテムを取り出す必要があるが、敵がそんな隙を見逃してくれるはずがない
以上のことから静時は持続時間が切れる前に何とか突破口を見つけようと焦っていた。
しかしその焦りが致命的な隙を与えてしまった。
「しまっ!?」
静時は脳無の攻撃の回避に失敗しその拳を食らってしまった。
「がはっ」
咄嗟に『鋼鉄化』で強化していた腕でガードしたがそれでもなお全身を砕かれたかのような痛みと衝撃が静時を襲った。
静時は吹っ飛ばされると近くにあった壁に激突した。
(ぐ…ぞ……意識が……)
消えそうになる意識を何とか繋ぎながらボロボロの体でエナジーアイテムを一つ何とか起動した。
『回復!』
それによって何とか回復した静時は、
(今のままじゃあ勝ち目がない……こうなったら!)
左右にAとBのボタンがあり、中央に画面がある、まるでゲーム機のような見た目の『バグルドライバーⅡ』を取り出した。
(……更に向こうへ…Plus Ultra…だったな!!)
静時は、覚悟を決めると『バグルドライバーⅡ』を腰に当てた。
『ガッシャ―ン』
そう声がなるとベルトのように腰に装着された。
続いて静時は、『仮面ライダークロニクルガシャット』を取り出し、立ち上がった。
「……まだ生きてるんだ……いい加減死ねよ…」
死柄木がうんざりしたような表情で静時を見てきた。
それに対し静時は何か反応を返すわけでなく、ただ一言呟いた。
「今こそ審判の時」
静時はこう言うと『仮面ライダークロニクルガシャット』を起動させた。
『仮面ライダークロニクル!』
そのような声がなると『仮面ライダークロニクルガシャット』はまるでゲームの音楽のようなものを奏でながら空中を漂い静時が腰のAボタンを押すと同時に『バグルドライバーⅡ』にセットされた。
『ガシャット!』
「変…身…」
そう呟くと『バグルドライバーⅡ』を起動させた。
『バグルアップ!』
- 天を掴めライダー! -
- 刻めクロニクル! -
- 今こそ時は、極まれりィィィィ!! -
そのような言葉と共に現れた緑の雷と共に静時の姿が変わった。
全身を黒と緑で彩られ、胸にプロテクターのようなものを身に着け、顔を仮面で覆った戦士。
『仮面ライダークロノス』
神の名を持つライダーが今ここに降臨した。
ようやく出せた……