神の名を持つライダーはヒーロー志望   作:Katarina T

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13話

時は遡り、死柄木と黒霧が逃げた後、緑谷と合流した切島は突然倒れて意識を失った静時に声をかけ続けていた。

 

「檀君!しっかりして!」

「おい!目ぇ開けろよ!檀!」

 

二人が必死に呼びかけているが静時は依然として荒い呼吸で意識を失っていた。

オールマイトは、直ぐにでも静時を病院かリカバリーガールの下に連れていきたかったが、安否がまだはっきりしていない生徒たちや瀕死の重症を負っている13号や相澤先生を雑兵とはいえいまだヴィランたちが多くいる場所に置き去りにするわけにはいかなかった。

その上マッスルフォームを維持できる時間がもう残り少なくなってきており、表面上は何てことなさそうにしているが内面ではかなり焦っていた。

 

 

――――そんな時一発の銃弾がヴィランの一人を打ち抜いた。

 

「遅くなってすまなかったね。今動ける先生を片っ端から集めてきたよ。」

 

白く右目辺りに傷があるスーツ姿のネズミ 根津校長 の声と共に現れたのは、雄英にいるプロヒーローたちと、先生たちを呼びに行った飯田の姿だった。

 

 

 

その後、駆け付けたプロヒーローたちによって残っていたヴィランたちは一人残らず無力化され、生徒たちも全員助け出された。

相澤先生と13号先生、そして静時は呼んだ救急車に乗って運ばれていった。

 

「あの……檀ちゃんは大丈夫なんですか?」

 

とても心配そうな表情で蛙吹はやって来ている警官の一人に尋ねた。

 

「大丈夫。気を失っているだけで命に別状はない。今はリカバリーガールの下で治療されているはずさ。」

 

警官は安心させるようにそう言った。

 

その後も相澤先生や13号先生もとりあえず無事であることを聞き、皆は安堵した。

 

 

 

 

(結局、何も……出来なかった……)

 

その後、雄英は休講になり、家に帰ってきた緑谷は自室で一人考えていた。

 

(あの時、ヴィランたちに僕たちの力が通用すると思っていた。でも、まだまだ全然だった。)

 

(今回助かったのは、ボロボロになりながら戦ってくれた相澤先生や13号、そして……檀君のおかげじゃないか……)

 

緑谷の脳内にあの時、敵と一人で立ち向かおうとする静時の姿が蘇った。

圧倒的な恐怖にそれでもなお誰かを守るために立ち向かおうとする

……一人の友人(ヒーロー)の姿を……

 

(もっと強くなりたい……)

 

緑谷は拳を握りながらそう決意していた。

 

―――――――そしてそれは緑谷だけじゃなかった。

 

 

((((もっと強くなりたい)))))

 

 

今回の事件で、己の無力さを思い知らされた1-Aの全員が緑谷と同じ想いを抱いていた。

 

 

 

 

静時は目が覚めるとすぐにリカバリーガールがやってきて体の具合を確かめた。

幸いなことに体に異常がないことがわかると自宅に帰れるようになった。

帰る際、マッスルフォームのオールマイトがやってきて物凄く心配されたり、助けに来るのが遅くなったことを謝ってきた。

静時はその一つ一つに応えて家路についた。

 

翌日は昨日のことがあり、雄英は休校になった。

新聞にはいったいどこで嗅ぎ付けてきたのか、昨日のUSJ襲撃事件が報道されていた。その中には、雄英の警備に関して問題視している声もあった。

 

(やれやれ、やっぱり批判の声は上がっているな……)

 

静時は、事前に襲撃を止めることが出来ていれば、と己の無力をかみしめていた。

 

その次の日、休校も終わり雄英にやって来た静時は、事件の時負傷していた相澤先生と13号先生のもとに向かった。

酷い怪我だったし、もしかしたら会えないかと思っていたが、二人とも普通に職員室の中にいた。

 

(いや、13号先生はわからんが、相澤先生はもうちょっと休んでいた方がいいんじゃ……)

 

13号先生は宇宙服を着ているため怪我の具合がわからなかったが、相澤先生は全身を包帯で巻き、両腕にギプスをはめた状態でありどう考えても動かない方がいいと感じられた。

相澤先生には、襲撃の際無茶をしたことを少し説教されたが、二人とも静時も無事を喜んでくれた。

静時はそんな二人にお礼を言い、エナジーアイテム『回復』で二人の傷を治療し、教室に向かった。

 

 

教室につくと静時が最後だったようで、中から複数の声が聞こえてきた。

静時はあの事件で緑谷以外皆怪我を負ってないことに安堵しながら教室のドアを開けた。

 

「おはよう。」

 

「「「………………」」」

 

(ん……?)

 

静時が挨拶をしながら教室に入っていくと、皆一様に静時の方を見て固まった。

 

(な、何なんだ……)

「お、おーい……」

 

静時がクラスメイトの様子に困惑し声をかけようとした次の瞬間、

 

「「「「壇(君)(ちゃん)(さん)!!!!!!」」」」

 

クラスメイトの半数以上が静時のもとに集まってきた。

 

「檀君!もう体は大丈夫なの?凄く苦しそうにしてたけど」

「壇さん!あなたという人は勝手に飛び出してこんなに心配させて…」

「おい、檀!お前本当にもう動いて大丈夫なのか?」

「うわああん!ほんとに良かったよ!」

「本当にウチら、心配したんだからね!」

「檀君!君もう動いていいのかい!無理せず何かあったら遠慮なく僕に言ってくれ!」

 

 

絶え間なく来るクラスメイトの言葉に流石の静時も戸惑いながら何とか皆にもう大丈夫であることを伝え落ち着かせた。

 

(本当に……こいつらは……)

 

その時静時はちょっぴり泣きそうになった。

 

 

朝からかなりの騒ぎがあったが一先ずホームルームの時間になり、相澤先生が入ってきた。

 

「相澤先生復帰はやっ!?」

「ていうか怪我は!?もう治ったんすか!」

「ああ、壇のおかげでな。」

 

相澤先生の怪我が治ったことに喜びながらホームルームが進んでいった。

 

「もうじき体育祭がある。」

 

(体育祭か……)

 

一難去ってまた一難というわけではないがこれから始まる一大イベントに思いをはせる静時であった。

 

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